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オフサイドトラップについて思うこと ~ウマ娘メインストーリー5章感想~

こんばんは。印度孔雀です。

先程のブログでオフサイドトラップについて少し書かせていただきましたが、Twitterを見てみると、どうやら私と同じことを考えている人が多々いらっしゃいました。

色々考えましたが、とりあえず今私が思っていることを書き留めようと思います。ウマ娘や運営に批判的なことは極力避けます。

また、筆者もウマ娘から競馬を見始めた初心者、あまつさえニワカです。「史実厨は黙ってて」「ウマ娘からの新参のくせに、偉そうに名馬を語るな」と思われる方はブラウザバックを推奨します。

オフサイドトラップ

まず、この馬について簡潔に説明しますと、彼は94年クラシック世代(同期に三冠馬ナリタブライアン)の馬で、3度の屈腱炎を乗り越えた後、8歳(旧馬齢)にして初GⅠを天皇賞制覇で飾った名馬です。2011年に20歳でこの世を去りました。

そんな彼が唯一制覇したGⅠが、かの伝説の大逃げ馬サイレンススズカが東京競馬場の大ケヤキで粉砕骨折のち減速、競走中止、そして安楽死という結末に多くの人が涙した1998年11月1日東京11R、第118回天皇賞・秋でした。

彼は天皇賞・秋まで七夕賞、新潟記念と重賞を2連勝し、年齢を感じさせない絶好調な走りを見せてくれていました。そして、関係者の思いを乗せ、秋の大舞台を迎えたのです。

「存在」の価値

そんな彼が、どんな形であろうと、この天皇賞では1着で入線したのです。これは、例えどんな事象があろうと―自分の応援していた馬が故障し競走中止していたとしても、素直に称えてあげるべきことだと思います。

確かにサイレンススズカは強かったです。しかしこのレースのペースは速すぎますし、競馬に絶対は無いと言われるように、サイレンススズカが逃げ切れるという保証はどこにもありません。それなのに、一部のサイレンススズカファンはおろか、競馬評論家からでさえ「この天皇賞に価値はない(瀬戸慎一郎)」「どうでもいい(清水アリカ)」などの罵詈雑言は後を絶ちませんでした。勝ったのに祝福されない。そういう辛い思いを彼は経験してきたわけです(もちろん長年応援してきたファンの方もいますが)。

そんな彼の活躍は、ウマ娘のアニメ1期では同じ馬主(渡邊隆氏)の馬としてエルコンドルパサーが代わりに出走し、サイレンススズカ骨折ルートとしてエルの優勝として描かれていました。この時点でオフサイドトラップ(ウマ娘)を登場させても良かったとは思うのですが...

12月22日公開のゲーム版メインストーリー5章において、秋天はifストーリーでサイレンススズカが優勝するものとなっていました。なお、同レースに出走していた実名ウマ娘はメジロブライトのみでした。

これは、多くの競馬ファンが望んでいた事ですし、ifを描けるコンテンツだからこそ出来ることです。また、仮にここで骨折してしまえば、前までのストーリーのシナリオとの辻褄が合わなくなるうえに、アニメ1期の焼き直しとなります。本当に運営側も、悩んだ末のラストシーンなのだと思います。

ですが、こうしてウマ娘から元の史実に興味を持った私たちが存在を知ったオフサイドトラップという馬が、このシナリオ(というよりウマ娘の世界線)ではどう足掻いても報われないというのがどうしてもモヤモヤしてしまうのです。

競馬の世界もウマ娘の世界も厳しいことは重々分かっています。サイレンススズカを勝たせたければオフサイドトラップは勝てませんし、その逆も然りです。ただ、史実のレースでの勝者にあたるウマ娘が、少なくともメインストーリーの中ではGⅠを勝てずに終わってしまうというのが本当に引っかかってしまいます。

じゃあどうすればいいんだ、と思われるかもしれません。同着は(実例があるとはいえ)興醒めしますし、はぐらかすというのも、それはそれで良くないかもしれません。

個人的には、オフサイドトラップの枠にスペシャルウィークを入れるという手もあったのではないかと思いました。このレースにはたまたまなのかクラシック世代の馬は出走していませんでしたが、一応出走条件は満たしますし、史実の活躍世代もおかしくありません。シナリオの展開的には誰もが納得できると思います。それ以上に、「この世界の1998年11月1日東京11Rにあたる天皇賞・秋にはオフサイドトラップというウマ娘は出ていない」と割り切ることもできます。サイレンススズカが主人公、かつアニメの焼き直しにしないためにはこれまでのメインストーリーのように史実準拠ではどうにもならないところが必ず出てきます。なら変にはぐらかさず、レース内容としては「メインストーリー中のこの秋天」≠「98年の秋天」くらいでも良かったのではないのでしょうか。

2022年3月6日追記:今振り返ると、ストーリー中のレース「離れぬ憂慮」でステータスガン盛りの「貫禄あるウマ娘」(=オフサイドトラップ?)を登場させたことがCygamesの配慮なのかもしれません。

2022年3月18日追記:このレースについて書く上で大事な存在を忘れていました。オフサイドトラップの鞍上の柴田善臣騎手の発言について、以下に記載させていただきます。

「笑いが止まらない」の真意

なお、オフサイドトラップが理不尽に非難されてしまうことについては、よくこのレースの勝利ジョッキーインタビューでの柴田善臣騎手の発言が引き合いに出されます。

柴田騎手は、このレースでオフサイドトラップにテン乗り(初騎乗)でした。というのも、秋天の前の重賞2戦で騎乗していた蛯名正義騎手はステイゴールドに騎乗するため、このレースでのみ柴田善臣騎手に白羽の矢が立ったようです。ちなみに、98年七夕賞以前までは安田富男騎手がずっと騎乗されていました(新馬戦のみ中舘英二騎手)。オフサイドトラップのラストランの有馬記念では、重賞を2勝した蛯名騎手と再タッグを組んでおり、結果的に柴田善臣騎手とは秋天の1戦のみの関係となりました。

そんな柴田騎手とオフサイドトラップは初コンビで優勝するわけですが、この時のレース後のインタビューが、とんでもなく批判の対象となってしまったのです。以下、一部の書き起こしです。

記者「おめでとうございました。」

柴田「ありがとうございます。」

記者「検量室に戻ってきた時、思わず"よっしゃぁ!"という雄叫びがありましたけれども。」

柴田「そうですね。気分よく競馬できて、まあ成績がこういう成績ですからね。まあ、すごいなんか笑いが止まらないって感じですね。」

(中略)

記者「えー、サイレンススズカにアクシデントがありまして、そのあたりは気がつかれましたか?」

柴田「ええ、もうだいぶ手前で気がついて、サイレンススズカがどっちの方に動くのか心配になりましたけど、内がうまく空いてくれてね。サイレント(ハンター)と入ることになったんですけど、上手く捌けて。まあサイレンススズカには気の毒ですけど。はい。」

(引用終)
1998年11月1日 フジテレビ スーパー競馬より

この「笑いが止まらない」という言葉は、今でも柴田善臣騎手を非難する際に使われるフレーズです。確かに、この言葉をよく思わない気持ちもよく分かります。

ですが、この時点ではサイレンススズカが予後不良になってはいません。また、その直後に「サイレンススズカには気の毒ですけど」と気を遣った発言をしています。「笑いが止まらない」がサイレンススズカの競走中止を喜ぶ発言とするのは筋違いもいいところです。

もっと言うなら、騎手は仕事上、レース中の競走中止のような自体に遭遇することも珍しいことではないでしょう。相手の馬が競走中止になった、予後不良になるかもしれない、だから喜ぶのは控えよう。と考えなければならないのでしょうか。自分の馬の勝利を喜ぶことくらい許してやれないのか?と思います。

個人的な結論

まあ、いくら戯言を言ったところで実装されてしまったものは変えようがありませんので、自分の中では「オフサイドトラップという名のウマ娘は出走していなかった」と割り切ろうと考えています。ただ、競馬の予備知識を持つこともなく、オフサイドトラップという馬のことを知らなければ、このストーリーを美談として受け止められたのだと思うと、「ウマ娘から競馬に入る」ことは「ウマ娘に対する理想を高める」ことに繋がりますし、良い事ばかりでは無いのかな、とこの一件で感じました。

あと、メインストーリーの進行上はカットされましたが、1995年の宝塚記念。ライスシャワーが故障しその場で安楽死を迎えた非業のレースですが、このパターンに則れば、おそらく本来の勝ち馬であるダンツシアトル号のGⅠ制覇も同様に無くなってしまうのだろうと考えると複雑な気持ちです。彼に関しては、これが無くなると勝った重賞が京阪杯(GⅢ)のみになり、経歴がオフサイドトラップに比べもっと寂しくなってしまうことを考えると、この宝塚記念は描かないのが正解なのかと思います。

なお、1つ気になった点が。 ・・・
2021年12月26日追記:この箇所の記載はかなり攻撃的・不適切な記述でした。執筆時は感情的になっており、述べていいこととダメなことの区別がついておりませんでした。訂正して謝罪いたします。

おわりに

という訳で、今回のお気持ち表明はここまでです。まあ純粋にウマ娘を楽しんでいるファンが見たいのは、よく名前も知らないウマ娘が勝ちスズカが骨折する展開より、スズカがまた走り出し、天皇賞のゴール板を元気よく駆け抜けるシーンですからね。

それでは次回の記事でお会いしましょう。印度孔雀でした。

2021年12月25日追記:オフサイドトラップについて触れる人を「逆張り」と批判してる方がTwitterで見受けられましたが、サイレンススズカ第一で考え、サイレンススズカの勝利を望むことが「順張り」でオフサイドトラップの勝利を望むことは「逆張り」なのでしょうか。それってオフサイドトラップに対する最大限の侮辱だと思うんですけどね。こういう人が多いので、筆者は正直サイレンススズカの「ファン」が苦手です。

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