明治生まれの先生に書を教わる
2022、12、11
曽祖父の書いたお手本でほぼ毎日、書写をしている。
書に興味があったわけでもなくどこを目指すわけでもなく
激変する生活の中で15年も続いているのが、不思議レベルである。
最近の明治贔屓もあり、今日ふと
彼が何時代の生まれか知りたくなった。
お手本の最後に、昭和35年に91才、の情報がある。
(私と年の差101才。何やらめでたい)
ということは、生年は1869年。
年号表を、ドキドキしながら見る。
・・・明治2年。ほぼ江戸!夏目漱石の2才下!
私までの道が一気に、陸続きになった。
雅号・平間愛山(あいざん)
明治の始まりに生まれ、大正昭和を通り
初期の東北電力(白洲次郎と同期?)に勤めた後
塩釜神社に書家として住み、娘(私の祖母)は神社から仙台一女高に通い
気仙沼に嫁いで、末っ子が私の母で。
才色兼備な孫の中で唯一地味だった母に一番目をかけて
お手本を何冊も手作りし、丁寧な敬語の手紙をたくさん送った。
私がそれらを気仙沼の祖母宅で見つけて彼の人柄に感動し
一式を譲り受け、その数年後に家は津波で丸ごと流される。
愛山氏の顔も声も知らない。
手がかりがないかと塩釜神社に電話し、手紙を書いたが返事がない。
NHKのファミリーヒストリーに頼りたいが
出られるだけの有名人になる気配も願望もない。
相手が今日どこに行ったか何を食べたか全部把握している
世間のsns上の「友達」と全く違うあり方で
日々、曽祖父とコミュニケーションをとっている。
机と床を拭き、前日に神棚に備えた湧水で墨を擦り
「ひいおじいちゃんよろしくお願いします」とお手本にも手を合わせる。
ひたすら、右脳で線を追いかけて真似すること、一日四行。
そっくりに書いたつもりが、翌日見ると全く違う。
静かなお稽古。先生を尊敬している。
20年前、「見える人」に「穏やかな老人の方がついています」と言われた。「応援してくれてるんですね」と聞くと「いえ、心配しています」。
ひいおじいちゃん、激動、がだいぶ収まりました。
少しは安心してくれていますか?
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