掌編いろは/ゑ「餌」

 フライパンと卵。服と鏡。紙とえんぴつ。おおきなケーキ。ちいさなロボット。
 それらをあちこちに置いて、入り口を開けた。
 二足歩行のハツカネズミはまっすぐに紙に向かった。
 なにか書くのか期待したが、ハツカネズミはそれをばりばりと噛みちぎっただけだった。
 別のハツカネズミはフライパンと卵を手にした。
 しかし料理するわけではなく、フライパンをラケットのように持って卵を打ってしまった。
 まだまだ期待どおりにはいかない。