「ぼくらの好きな場所」

そうだね。
かくれんぼに向いている場所ともいえるかな。
あらゆる感情の波を起こしたくないときに行くよ。
そこはいつもあいつと取り合いになるんだ。黒と銀のしまがきれいな猫。
取り合いといってもけんかはしないけどね。先客に譲るのがぼくらの暗黙の了解。

そうだね。
あいつと友達だとはいえないかな。
地上種と猫だから尻尾のあるなしの違いはあるよ。
そこでいつもあいつと会えるわけじゃない。アメジストブルーの目がきれいな猫。
いなくてもさみしいわけじゃないけどね。元気にやってるだろうと思うのがぼくの流儀。

そうだね。
交流といえるものはひとつあるかな。
たまにあいつからのお土産が置いてあるよ。
いつもの所に空色の風切り羽とか夜の鉱石が、そっとね。猫にしか捕れない物ばかり。
ぼくは変わらずキャットフードを置いていくけどね。それがぼくらのちょうどいい距離。

そうだね。
あいつといつまでも続くとは言えないかな。
この黒水晶の丘と違って、ぼくらは年を取るし好みも変わるよ。
いつも行きたい時に行けない地上種のぼく。ほかの場所ができたら来なくなるのが猫。
だから、今こうしてぼくの膝であいつが寝てるとはね。ぼくがつけないとね、猫の名前。

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1名前:羽風 和(はねかぜ なごみ)
2この夏、行ってみたい(出かける予定の)場所:札幌の大通公園のビアガーデン!
3自分の一番オススメnote(一番自分らしいnote):この作品です。
4ひとこと:主催者さま、楽しい企画をありがとうございます! 皆さんの記事も楽しみです♪