インスタント他者承認

他者からの承認は麻薬だ。いや、麻薬よりもタチが悪いかもしれない。誰も逮捕してくれない。取り締まらないけど圧倒的な中毒性がある。

ここからの話は完全に自分の話なので誰かを分析した話ではないということは一応断っておく。

大学のサークルは恐ろしく効率的にインスタント他者承認中毒者を作り出す。「他者からの承認が欲しければ人前で何かやるサークルに入りなさい」とは僕の名言だが、例を挙げよう。

お笑いサークルに入ってどこかでみたことのあるようなネタを書き、1ヶ月くらい頑張って練習し、友人や身内の前で披露すれば人から「笑い」という最高の承認が簡単に得られる。

アカペラサークルに入って適当にグループを作って友達の前で人が作った歌を歌えば拍手が得られるだろう。

軽音サークルに入って楽器を練習して(既に弾ける人もいるだろう)薄暗い部屋で人の作った歌を歌えば飛び跳ねる友人の顔と歓声が得られるだろう。

これらに共通することは何かといえば、何も生産性のあることをしていない(クリエイティブではない)にも関わらずそれっぽい承認が簡単に得られるという事だ。(もちろんオリジナルのネタや曲を作ってる人がいるのは知ってる。お前の話はしてない。)こういう環境に3年くらいいるとどうなるか。自分はクリエイティブな人間だ。何かを0から作り出すことができる人間だと勘違いした、天才の真似をする承認欲求だけがある凡人が完成する。この傾向は高校まで目立たなかった、承認されてこなかった人に顕著である。

もちろんサークルだけじゃなくて、SNSでもそうだ。

どこかでみたことのあるような画角で夕日の写真を撮る人。ネタ画像のテンプレに従ってボケる人。自分が発見したんだぞ!と言わんばかりに人が作ったものを拡散する人。有名人のエピソードを我が物顔で披露する人。みんなインスタント他者承認を得て自分がクリエイティブだと思い込んでいる。実際は何も作り出していないのに。

何が言いたいかというと社会に出ると3年とか1ヶ月とかで承認が得られることなんかまずない。たまに雑用した時に言われる「ありがとう」くらいだ。5年目でも若手。10年目でも中堅と言われる。ちょっと頑張っただけで「凄い」とか「笑い」とか「興奮」とか「拍手」のような最大級の承認が得られるようなもんじゃない。

何が言いたいかというと仕事つまんないけど中毒から抜けるためには3年くらいはかかりそうって話。仕事。やるか。

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