第二回 #書き出しコロシアム 【2nd Set】感想

 表題の通りです。書き出しコロシアムの作品の感想です。

 前回の感想は次の記事です。
 同じ作品について、感想を残していくという性質から、今回の記事も一部重複するものがあろうかと思います。ご容赦ください。


挨拶(2023年11月20日)

 みなさんいかがお過ごしでしょうか。
 小説書いてますか?

 まだ、2ndの小説が発表されていない段階で、この記事を書いています。色々と作品の並び順に変更があるようなので、ちょっとした準備も兼ねて記事をご用意し始めているのです。

 先週の時点で目を通しながらもりもり刺激を受けたので、書き出し祭りの原稿を整理し直しています。

 やはり、面白い作品に触れたあとは色々と視野が変わりますね。癖で殴っていきましょう。とは言いながらも、並行して読みつつ、書いてとちょっとバタバタしそうです。

記事について

【1st Set】の概要

 企画の概要についてはここでの紹介は省略します。

 主催者の方の投稿を引用しておきます。

企画概要について

【2nd Set】にあたり、主催から説明があったので投稿を確認しておきます。



 あれ降順ってどっちだっけ。と思いながら、調べ直した智子です。

 数の大きいものから小さいものへ進む順序。下降順。

 上記のシートに表示されていた順番通りに、作品は掲載されるとのことです。こういう取り扱いをするために、作品に番号を付番しなかったということなんでしょうね。納得です。

感想(準決勝)

はぐれた僕らのカンパーニュ

タイトルについて

 カンパーニュの横文字がわからん。わからんですぞ。

あらすじについて

 この情報量を絞ったあらすじの書きぶり。

 ねえ?

本文について(1st Set)

 面白かったです。三者三様のキャラクターが登場し、それぞれのバックボーンを開陳する形で展開される話題。そして、抱えた課題に対して、どのような目標を持つのか。それらを示した形で引きました。

 二話目ってどうなるんでしょうね。だけど、そんなの関係ない。一話目が面白くないと駄目なんだ。とまで言わんばかりのフルスロットルですね。

主人公   :桝田
主人公の能力:模写の能力
世界観   :現代日本
異変・事件 :横領事件
問題・課題 :会社内で散逸している高級品の存在
決意・覚悟 :横領事件の解決の報酬の見返りとしての30億

 ファースト10すべてが埋まった作品は順に読んだなかではじめての作品です。

 合わせて、この作品において主人公桝田の「内的な課題」にかかる部分の「被害を受け止める力」が不能状態に陥っていることなど、他にも越えるべき課題が設置されていることも注目したい作品です。

 ドラマをやろうとしています。

 二話目や三話目で、領収書の偽造能力を逆手にとって何かしらの逆転の布石を示すのでしょうかね。


本文について(2nd Set)

 ちょっと長くなります。この作品がキャラクター主体であることをフックとしているため、どうしても仕方ないことだとご承知おきください。

 二話目を読む前に、一話目を読み直して、この作品の予想と期待といったものを整理してみようと思います。

 この作品は他の作品たちと差別化される特徴的な要素があります。
 基本的に多くの読者はそうなんですが。
「ドラマ」が好きだったりします。
 表面的な課題と内面的な課題が両立したもの全般を「ドラマ」と言います。
 表面的な課題のみが展開されたものを「メロドラマ」と言います。
 この作品『はぐれた僕らのカンパーニュ』において、設定されるであろうキャラクター達の課題や、今後の展開の情報の出し方が『ドラマ』を意識した構成になっています。

 そして、それは「主人公のみ」というスケールではなくて、三人ともにドラマティックな設定を盛り込もうとしていることが、この作品の第一話の投票で跳ねた要素だと捉えています。皆さんドラマが好きなんですよね。

 桝田という人物について

 三人のキャラクターの中で、唯一「成長を求められるヒーロー」としての要素や情報の開示が多かったキャラクターです。それは作者の方も意図的に多くした要素はあろうかと思います。彼には解決するべき「表面的な課題」と「内面的な課題」を明確にアピールされました。

 表面的な課題として「横領事件の解決及び10億円の入手」こと。内面的な課題は「被害を被害と認め、糾弾し、自身の回復を求める」こと。

 これは読者に対して「わかりやすく」提示した課題でした。一応このアピールで「成長する主人公は彼なのだな」といった部分は汲み取ることができる一話でした。

南條という人物について

 本作の主人公を導く存在として、描かれる傾向がある上司であり、消極的だった主人公を叱咤激励し、物語への導きを成す役割として登場しました。本来であれば、それだけの役割に徹することも可能です。可能ではあるんですが、それをせずに「破壊願望」的な衝動を併せ持っていることを彼は開陳しました。この情報によって、智子の読後感に一捻りありました。

「他のキャラクターにもヒーローとしての内面的な課題を見せてきたぞ」という驚きがありました。

 表面的な課題として「横領事件の解決及び10億円の入手」という目的を共有しつつ、内面的な課題(これはまだ、推測の段階。しかし、明らかに彼が併せ持っている向き合うべき性質のそれ)は「親を含めた、権威者の破壊衝動に起因する彼の課題」です。

 言ってしまえば、南条も明確に課題がある人物だとは捉えます。ゆくゆくは多くの社員の生活を背負う立場にある人材です。そんな方が「この会社はもう駄目だよ」とか「信用を失墜させてやりたい」という己の我欲を隠しもしないのです。このような神輿を担ぎたいか? と問われると、ちょっと不安です。

 この物語を通して、南条もまた成長を期待できるキャラクター性が提案されています。


 藤井瞳子(以下、瞳子と表記されます)という人物について

 男性二人のキャラクターが名字であるのに対して、彼女が女性であることを強調し、読者に飲み込ませやすくするための「名前」での表記が特徴的なキャラクターでした。
 彼女が「金銭欲」に貪欲な姿勢が明示されて、物語の最終的な着地点や目標を「30億円を山分け」という提案も彼女からされます。

 表面的な課題として

 表面的な課題として「横領事件の解決及び10億円の入手」という目的を共有しています。これらは三者が共有する目的として、描かれます。

 内面的な課題として「金銭欲特化」故に、衝突もあったでしょうし、その衝突の結果左遷を受けているわけです。

 南條と瞳子は似たような理屈で、左遷をされています。

 それぞれのキャラクターの物語の始まり。を見ると、桝田は「レシートの偽造依頼」を断った。という点からですが。

 南條と瞳子は「横領についての金額及び手法」を気づき、人に漏らした結果、左遷されています。

 歴代の書き出し祭りで出てきた作品の中で、似たような「物語の始まり」があります。ちょうどいいので、例として挙げたいです。

 第十九回 書き出し祭りの『4-17 郡長運営記』です。この作品の主人公も「汚職を正した結果、地方の郡長として左遷される」という変化から始まりました。
 物語は主人公たちの「欠点」から展開されるものが好ましいとされていて、そのルールとしての展開を、南條と瞳子は踏襲しているのです。

 こういった様式美から智子は思いました。

「あれあれ? この作品は主人公が三人いるぞ!?」

 といったものです。

 ここまで書いて、ある程度結論をまとめたいのですが。

 この作品の「魅力や売り」というのは「三者のドラマ」を第一話で見せた。という手腕に読者達は舌を巻きましたし、それを称賛したことでしょう。

 現代の物語に必要なのは「良質なストーリーより、良質なキャラクター性」であると私は捉え始めているので、この作者も同じ要素をもって、コロシアムで殴りかかってきているのだと感じています。鋭利な槍です。鋭い作品です。

 さて、第二話以降にどんな展開やムードを読者は期待しているのか。

 多くの方が言及します。

「予想は裏切って、期待は裏切るな」

 この作品について、二話の予想をします。

 予想

 南條の行動力。桝田の模写の力。瞳子の会計能力。という3つを組み合わせて、有機的に展開されるイベントを予想しています。どうなるんだろう。

 期待

 やはり、三人の活躍ですよね。第一話でそれぞれのキャラクターに課題を示すことができました。そして、その三人に魅力を感じた読者達及び投票者達を誘導する必要があります。
 この物語はドラマであり、この三人の活躍を期待してもらう作品であることです。
 この勢いのまま、三人が駆け抜けるところを見てみたいです。

 不安

 三人がそれぞれヒーロー足り得る魅力のあるものとして展開しています。展開していますが。この作品に不安点があるとするならば、物語上の「対立者」が未だ見えない(横領の組織的犯罪ってことは見えてるんですがね)点でしょうか。
 それぞれの価値観に対立しうるような、イベントを整理し、展開できるのか。それとも。主人公を「桝田」に限定して、桝田のためのイベントに終始して、たたむか。三人のための物語として大風呂敷を広げるか。
 二話でその方向性が見えてくると思いました。

 さて、今から第二話を読んでみます。

はぐれた僕らのカンパーニュ 2話』の本文感想

 読みたてほやほやの感想です。

 二話ってことだから、引きを意識しての電話のシーンまでもってきましたか。

 一人増えました。その人物の登場から、退職代行を依頼していた森くんをあぶり出すといった流れでした。予想は裏切りました。そういう方法なんだね。という驚きを得られました。

 しかし、ドラマとして期待していた読者の期待値を満たしたか。というと、難しいかもしれません。

 しかし、新たに登場した東くんの存在も、ドラマ性をもたせ、動機をもたせたものでした。
 このキャラクター造形を示した。という部分から、後々のイベントで「この4人のカタルシス」を約束するのは非常に膨大な文字数がかかるだろうなぁ。とは思いました。

 この部分で、その「ドラマ性」に期待していた読者の脱落があるかもしれませんね。

 キャラクターにドラマ性を示す。示したあとは物語を動かす。

 このタイミングで登場する新キャラ。怪しいなぁ。そう思っちゃう、いやらしい読者の智子です。




異世界転移デザイナーの魔法陣

タイトルについて

 ファンタジー作品でしょうか。恒常的に異世界転移が行われるような世界観なのかも。

あらすじについて

 煽り文ってやつになるのか。作品のジャンルや今後の展開がシンプルに示されていていいあらすじだと思います。

 二話以降の展開も示されていることも書き出しコロシアムのレギュレーションの上で、有効だと感じます。

本文について(1st Set)

 面白かったです。

 いや、どうして面白かったのか。をちゃんと、書かねばならんのですが。

 昨今の流行りというほどではないんですが。「壮年」の主人公を異世界転生に設定することは、ターゲットとしての読者をそのラインに設定している作品なのでしょう。

 主人公の能力等の活用によって、若人達を導く側としての立ち振舞い。等のメンター的性質をもたせた作品でしょう。

 持ち込まれる課題を解決しながら、人々の信頼を得ていく。などの部分が約束されている冒頭でした。

 さらには、主人公を慕う年若いケモミミの女の子です。おじさんの心を撃ち抜きました。

主人公   :ヨシュア先生
主人公の能力:デザイナーとしての力
世界観   :異世界ファンタジー
異変・事件 :学年トップのエルフの少女の課題の失敗など
問題・課題 :まだ不明。予想はつく。
決意・覚悟 :ここも不明。

 現状はまだ、ヘラルドとしての役目をもったヒロインが事件を持ち込むという所にとどまっています。

 ちゃんと、続きが読めるってわかってるの嬉しいですね。

 おっさんが活躍する系の作品はある種一つのジャンルとして、広がり始めたように感じています。その一端ですね。

本文について(2nd Set)

 賑やかしとして身を差し出していただきましたか。献身的な態度嬉しく思います。

 この作品も予想と期待を考えてみましょう。

 予想

 あらすじにある通りでしょうね。あんまり苦しくはない予想でした。その安定感を示してくれる二話を読みたいです。
 主人公の能力を活用し、学校に潜む闇や陰謀を暴くといった「スカッとするシーン」を二話目で読めると思っています。

 期待

 この作品の主なターゲットは「獣人族の見目麗しくも人懐っこい少女」が「おじさんをチヤホヤしてくれる」というファンタジー作品であるため、その夢を崩さないムードを期待したい。

 現実にいるおじさん達の加齢臭に嫌悪感を示す少女達とかにおそらく需要はありません。多分。ないと思いたい。

 少し肌が触れただけで、嫌悪感から泣き出してしまう少女との触れ合いで泣き出してしまうおじさんを見たくありません。

 人懐っこいままのヒロイン達をはべらせてください!

 さて、それとは別に。期待されている要素としては「魔法陣のデザイナー」としての面もあろうかと思うので、その方面で読み進めようとした読者の期待を満たす描写やシーン。考察も求められていると感じます。これらを満たしたならば、一話で獲得した読者を継続的に引き込む事ができるのではないでしょうか。

 さて、今から第二話を読んでみますね。

異世界転移デザイナーの魔法陣  2話』の本文感想

 予想どおり。あらすじにもありましたしな。予想通りだからといって、駄目ってことはないんです。むしろ、テンプレの作品には予想通りであることが安心感につながるジャンルでもあるので、悪い事ではないと思いました。

 期待感についても、同様です。一話で示していたデザイナーとしての能力や努力を裏打ちするような描写を繰り返すことで、読者の期待感を満たしたものと思います。

 二話で特筆したいのは、ヘイト管理じゃないかなぁ。とは思います。

 ヘイト管理というのは非常に重要で「悪役を悪役たらしめる」といった部分で、おろそかにできない部分です。

 二話の引きは「読者が最も見たいところ」を三話にお預け食らっています。私は読みたい。

 この作品の売りは「おじさんが若い子にチヤホヤされる」という大前提があります。そして「チヤホヤ」されるためには、ヒロイン達に感謝されるイベントが必要なのです。理由もなくチヤホヤされたいわけじゃないんです! おじさんゆえに培ってきた人材やコネや、能力を活用して、若い娘にチヤホヤされたいという世の中のおっさんたちの願望が物語となっています。

 そして、そのイベントのためには「理不尽に若い娘をいじめる」敵対者が必要です。それが、ナインヘッドだ!

 とまあ、こういった部分で読者は熱望しています。

 ナインヘッドがボコボコにされるところをです。

 主人公のヨシュア先生もね。大人ですから。公衆の面前で大人を痛罵し、罵倒することを望んでいる筈がありません。しかし、そうせざるを得ない。ここは介入するべき。と、彼は判断したからこそ、ラストに介入しているのです。

「ちょっと早く着いちまったんだよ。で、校長さんに教室教えてもらったから、見学がてら来てみたんだけど……」
 そう言いながらヨシュア先生が周りを見渡す。そして今にも泣きそうなアヤメちゃんを見ると、ぐぐっと眉をしかめさせた。

異世界転移デザイナーの魔法陣  2話

 この言葉からわかるように。彼は「見学」に徹する筈でした。そう、この介入は彼の中の「義」のするところから起こるイベントであり、担任のナインヘッドの対応に大人として、介入することを決意するシーンです。

 三話において、このナインヘッドをどのように処理するのか。そして、その処理自体が次なる展開として4話以降の陰謀にどう繋がっていくのか。イベントが次のイベントを引き起こす。読者の読む手を止めさせない。そういった技術のある二話だったように感じ取ります。

 なにも持たないヒーロー像ではなくて、転移し、五年を置くということで。「成長したヒーロー」が活躍し、新しい居場所を得る。といった物語の様式に従った作品です。

 面白かったです。この展開を示せたならば、投票した人たちは満足して、推す作品だろうと思いました。

 二話の時点でファースト10に変更がありました。

主人公   :ヨシュア先生
主人公の能力:デザイナーとしての力及びスケールのスキル
世界観   :異世界ファンタジー
異変・事件 :ナインヘッドによる明らかな妨害? による、学年トップのエルフの少女の課題の失敗など
問題・課題 :まだ不明。あとちょっとでわかりそう。
決意・覚悟 :ここも不明。

 三話以降で、ナインヘッドの裏にいる陰謀がみえるのかもしれませんね。最終的に「どこにたどり着くのか」を示さないのは、ネット小説ゆえのものなのかもしれませんね。

 それか三話で主人公は何かを決意し、物語の大目的を示すことになるのかもしれません。

 この物語はまだ「大目的」が示されていないのです。そこを示すところまで、三話で描けるのか。実はそこがこのあとの決勝においての分水嶺になるんじゃないかなぁ。なんて思ったりしています。

さざなみが呼んでいる

タイトルについて

 海の話題ですかね。

あらすじについて

 お父さんアグレッシブですね。人魚の肉を求めて、お引越しだなんて夢があります。現代ファンタジーで展開される何かしらの因習村的な作品でしょうか。

本文について(1st Set)

 面白かったです。
 死体を発見する。というホットスタートから始まり、時制を巻き戻し、死体を見つけたあとの通報までを一話としています。

 個人的には情報の塩梅が良かった作品だと思いました。

 死体がないということで、このあと狂言の疑いがかけられ、周囲との軋轢やらなにやら。因習村です! 好きな人は好きな流れです。

 まだ、主人公のバックボーンの掘り下げまではいかない量なので、どんな反応になりそうか。本格的な因習村作品は、この作品が初めてかも。

主人公   :小林由香
主人公の能力:不明
世界観   :現代もの。まだ、ファンタジーかどうかは不明な領域。ホラーだとは思います。
異変・事件 :周囲の「人魚」への反応に関するシーンから、変化が始まりました。
問題・課題 :不明。二話以降でスリルが展開されるのでしょうか。
決意・覚悟 :作品の目的がまだ見えてこない。主人公は何をしたいのか。それはまだ伏せられています。

 三話あるって、いいですね。

本文について(2nd Set)

 おお。立候補ありがとうございます。実はもうすでに、準決勝の作品は読んでいて、感想は準備していました。

 以下は、日曜日に書いてた感想ですが。放流します。

 予想と期待を考えてみましょう。

 予想

 この作品は序盤において、因習村独特の不穏さ等で読者の誘引を図った要素があります。上記のファースト10の項目で見た時に、そこを補足するような第二話になる予想です。

 主人公の能力が未知数です。
 でも、現代ファンタジーの因習村ですからね。今後陥る窮地に対して、彼女がどのような力を有しているのか。それはこのあと、どのように発揮されるのか。スリルを切り抜けるための、彼女の力が未知数ですね。


 問題や課題とされる部分はなにになるのか?
 おそらく、あらすじにもあったウシオさまとされるものの描写によって、敵対者のディテールを明らかにしてくることでしょうか。現状は、盲目的なまでのクラスメイトだったり、そこにある文化習俗への恐怖感などですか。そして、それで大事なのは「語りすぎない」ことがこのジャンルに求められる要素だと思います。その不気味さとともに、少しずつ前に進む情報量になるかもしれません。

 決意と覚悟が描かれると予想しています。 
 第一話の時点で、どうしてここに越してきたのか? どうして、この恐怖を前に物語から撤退しないのか。そこの部分がまだ一話では見えてこなかったので、そこを補完する情報が提示されるのかもしれませんね。

 期待について

 この作品の魅力はやはり、ジャンル設定としてのホラーであることだと思うので、急な転調等をせずに、ホラーとしての筆致を保ち、恐怖感を煽るように作品を展開することを期待されているのではないでしょうか。

 以下は、『さざなみが呼んでいる 2話』の本文感想です。

 予想はいい具合に裏切られました。

 恐怖の方法こうきましたか。いや、盗聴器はまじで怖い。この作品の魅力として据えているホラーの内容って「オカルティック」な怖さのみではなくて、「ヒトコワ」とされるジャンルの要素もあるので、あの手この手で読者を恐怖にドロップキックしてくれるのだなぁ。という安心感と不安感がないまぜになりながら、読み終えました。

 ハッシーの存在が、今後のキーポイント(味方?)にもなるかもしれません。そして、物語の展開において何かしらの「善悪問わず」委員長も重要な人物です。

 こういった今後の展開における、登場人物を提示しつつ、恐怖を示す。

 例のアグレッシブな父親の登場です。そして、彼の描写とともに、二人がどうして引っ越してきたのか。というバックボーンにかかる第二話でした。

 やはり、アグレッシブには理由があったんですね。母のために。妻のために。といった様子でした。

 人魚の肉が本当に効果があると信じている二人もホラーではあります。

 予想は裏切ってくれました。そして、期待は満たしてくれました。

主人公   :小林由香
主人公の能力:不明(ここ不安です)
世界観   :現代もの。まだ、ファンタジーかどうかは不明な領域。ホラーだとは思いますです。人魚の肉への言及等もあり、ジャンルが固まって来た感じはあります。
異変・事件 :周囲の「人魚」への反応に関するシーンから、変化が始まりました。
問題・課題 :不明。二話以降でスリルが展開されるのでしょうか。めっちゃ怖かった。人魚の肉を求める能動的な理由でやってきた外部の侵入者(小林達)VSウシオ様を称えるコミュニティという対立構造が確定的になりました。
決意・覚悟 :作品の目的がまだ見えてこない。主人公は何をしたいのか。それはまだ伏せられています。ここの部分については、母を助けるため。とありますが。詳しい理由は「語らない」構成でした。読者の知性を信じたいい書きぶりだったと感じています。

 結構情報が更新されましたね。残すところは、対立する村人達と、主人公がどのように対峙する予定なのか。それがまだ見えてこない部分ではあります。

 第一関門の番人(主人公が物語世界において、どのような能力を発揮するのか? 主人公を試す存在)の不在が、今後どのように作用するのか。このジャンルにおいて、能動的な主人公の能力は必要としないのか。

 ここらへんの部分が読み切れないので、票の動向や判断が難しいです。

 1話で気に入って、読んだ方は投票を継続できるんじゃないでしょうか。

 1話で掴んだ読者を離さない。というのが、一番大事なところだと思うので、手堅い作品かもしれませんね。


婚活魔王(コブつき)を、幼女が勝手にプロデュース ~不幸を望まれた人質王女が、魔王国で溺愛されるまで~

タイトルについて

 女性向け作品でしょうか。最近、本屋のおじさんから「女性向けは溺愛が強いですよ」と教えられた智子です。

あらすじについて

 あらすじがありません。あらすじがあると魅力を損なうか。タイトル以上の新規性のある情報が存在しない作品なのかもしれません。

本文について(1st Set)

 少々混乱した作品です。

 魔王は未婚なのに、コブ付きなんですかね。

 タイトルからは幼女がコブ付き(魔王の子ども)と捉えていました。なので、ドアマット的なヒロインを相手に「魔王の娘(幼女)による婚活プロデュース」みたいな物語として、タイトルでは捉えていたので驚きました。

 うーん。5歳かぁ。10年経っても15歳かぁ。

 年の差婚にやんややんや仰るフェミニストに見つかったら燃やされそうです。

 異類婚姻譚強いですよね。やっぱり、普遍的な面白さがあります。

 皆さん若紫大好きなのかも。

 本文を読めば、これから何が起きるのか。何を目的としているのか。それがバッチリ示された作品であるので、好きな人は好きな作品です。

 意地悪な敵対者の存在も匂わせているので、ざまぁも期待できます。

主人公   :私(ちんちくりんの5歳児の女の子)
主人公の能力:5歳児には見られないレベルのおませさん
世界観   :人間と魔族が対立するハードなファンタジー世界で、展開するラブコメディ
異変・事件 :5歳の嫁は不適であると、断られそうになる
問題・課題 :私の課題は生存。夫の課題は「結婚適齢期の女性にモテモテになること」
決意・覚悟 :夫をモテモテにするために、奮闘する(おませな力で)

 きれいにまとまっているし、誰かに紹介する時に作品の魅力を伝えやすい一話というのは強いです。

 惜しむ所はタイトルにある「コブ付き」という言葉がどうしても、子連れの魔王様のイメージがあったので、先入観の部分からアンマッチを感じた方がいるかもしれません。

 面白い切り口の作品でした。

本文について(2nd Set)

 予想と期待を考えてみましょう。

 予想。

 正直わからんです。だって、ファースト10埋まってますからね。物語の常道で言うならば、主人公のおませな力で、何かしらの活躍をするのでしょうが。
 物語って一直線じゃないんですよね。主人公が臨むストーリーラインを阻むものが存在します。それらに「どう対抗するのか?」という常に対峙し続ける要素があるものです。

 その点で言った時、おそらく主人公はヒーローの信頼をまだ得ていないので、それらのためのイベントになるのでしょうか。その時には、おませな力が具体的に発揮することを予想しています。

 期待

 主人公の一人称視点であること。とても前向きな少女であること。そして、彼女のひたむきさは報われること(故郷の意地悪な人たちを描写もしてましたし)。等、読者には多くの願いや期待がある作品です。

 彼女が報われる方向性のムードや、力を期待しています。

以下は『婚活魔王(コブつき)を、幼女が勝手にプロデュース ~不幸を望まれた人質王女が、魔王国で溺愛されるまで~ 2話』の本文感想です。

 ああ。なるほどぉ。といった読後感でした。

 女性向け作品に臨まれる「ヒーロー」の出現というもので引きとしました。女性向け作品の「ヒーロー像」というのは基本的に「権威者」であること。そして、その権威の元に庇護されるヒロインというのが、求められています。
 そして、それらを踏襲できた引きです。

 Twitterにも書いてはいたんですが。タイトルに結末が約束されている作品なので、この作品の対象読者の皆さんは「この妙齢な魔王様が五歳児にメロメロになる過程」を楽しみにしているわけです。

 そして、その健気な五歳児の頑張りを「応援する」態度で本文を追っています。ええ、智子はこの五歳児のリコリスちゃんを応援していますよ。

 この作品のムードとしては、世界観とギャップがあるものです。つい最近まで戦争をしてたようなハードな世界観であり、第二話の引きとなる部分においても、粗暴な兵士が登場する位にはまだバイオレンスな世界です。

 そのバイオレンスな世界ゆえに、魔王の「暴力性」に伴う魔王軍陣営に敬意がうまれるのだろうな。とは思っています。

 この作品の基本的な「簡単には溺愛させてやらんぞ」といった作者の心意気が現れるのが、その身体性の不利から、そもそもドアノブに手が届かない。とか、その娘に助言を与える母の存在とか。がコミカルに描かれています。

 死者の回想によって、物語上の導きとする方法は一般的とまでは言いませんが。この方法は「バトルもの」とかそういった修行のシーンを回想するみたいな導きです。
 女性向け作品で、回想による「メンターの介入」といった形式で展開し、誘導される物語は浮かんだものがあります。

 実はこの作品も似たような形式で、メンターの介入があります。

 異世界転移ものとして、両親と兄が交通事故で突然無くなってしまい、喪失感に包まれた中での異世界転移もの(しかも、ちょくちょく現代に戻れます)です。

 とんでもなくハードな設定から始まるんですが、物語を通して彼女はそれらの逆境を、チート的なスキルと工夫で乗り越えていくという物語です。

 それらの逆境を乗り越える時にたちまち現れるのが、死んだ筈の兄による回想シーンから物語が展開していきます。

 物語のムードは終始、明るく、前向きです。そして、大きな決断やイベントの時には果敢な判断力と、闘争心で立ち向かっていく。そんな主人公が楽しめる作品です。

 しかしながら、例として出しましたが。ヒーローとして期待されるラブコメ要素は薄い作品です。

 翻って、『婚活魔王(コブつき)を、幼女が勝手にプロデュース ~不幸を望まれた人質王女が、魔王国で溺愛されるまで~ 2話』においては、終始「明るいムード」を展開しています。そして、五歳児にして非常に強い態度を示しました。

 しかしながら、権威者の保護を受ける。というヒロイン像であったり、権威者であればモテる。という母の助言などからわかるように。ある種保守的な女性像をヒロインは継承した人物です。

 故に、作品のどこかで「ヒロインが本当に安心して、息をつける場所」が現れることを願っています。

 こう、思わせてきた時点でこの作品のキャラクター造形は成功だと思いました。

 私はリコリスを応援していますよ。多くの読者が「リコリスを応援したい」と思わせたならば、この作品も十分な得票を期待できるでしょう。

 作中を通してまだ、くじけた様子や。辛さを見せていないリコリスの態度を読者がどのように捉えるのか。「都合がよい」と判じられるか。「健気な態度であり、痛々しいまでの強がり」とも見られるかもしれません。

 ちょっと、弱さを第二話で見せるとかあれば「物語のドラマ性の面」で集客が望めたかも。とは思いました。リコリスは少々強すぎるキャラクターかもしれませんね。

 彼女が安心できる場所を物語で獲得することを願っています。

 感想は以上です。

投票先(準決勝)

 準決勝の投票報告に関しては4つのうち3つを選ぶ。というものなので、消去法的な要素です。

 作品のアプローチはそれぞれのジャンルからしたら、適切なものにも感じます。故に選ばなかった理由を強いて整理するならば。

 智子は登場人物が多い作品の読解が苦手です。

 これが群衆とかならまた違うんですが。『はぐれた僕らのカンパーニュ』のように、全ての登場人物に主役としての格がある作品は魅力ではあるんですが、2話で東君の登場で「やばい、頭パンクじゃ! 森君も!?」といったあたりで思考停止になりました。

 選べなかった私を許しておくれ。

 故に消去法的に三作が決まりました。

感想(敗者復活戦)

『あざと可愛い』姫勇者さま! ~元悪役令嬢の彼女が俺(モブ)の事を好きすぎる!?~

タイトルについて

 あざと可愛いヒロインが俺のことを好きになってくれるんですね。智子のあざと可愛いの審美眼は厳しいですよ。私のハードルを飛び越えられるかな?

あらすじについて

 これって、多分。ゲームライク世界のキャラクター視点なんですかね。情報が拡大していくタイプの作品ですね。 

本文について(1st Set)

 理解しました。分かった作品ですね。

 ゲームライク(異世界恋愛シミュレーションゲーム等?)でしょうか。のプレイヤー側としての、ヒロインが、主人公を籠絡するためにあざと可愛い態度を取っていたんですね。理解しましたよ。

 面白いアプローチだと思います。

 男性向け作品に出てくるヒロイン達というのは「基本的に男性たちに好まれるようなディフォルメされた」ヒロイン像を踏襲します。

 それらを意図的に模倣しているのがヒロインということであり、主人公は「攻略対象」キャラ程度に思っていたんですが。

 地の文を見る限り、彼自身も「プレイヤー」としての性質がありそうです。なにかのきっかけで記憶の復活や、進展があるのかもしれませんね。

主人公   :テオ
主人公の能力:二流程度の魔法使い
世界観   :ゲームライクな異世界ファンタジー。おそらくシミュレーションゲームのそれ。
異変・事件 :ヒロインのエリカが。プレイヤー側としての性質を持っていることが判明する。
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 私達読者はわかってるんですよ。このラブロマンス空間が展開されているのですから、最後はくっつくんだろ? っていう風に理解しています。だけど、情報が展開されたこの段階ではまだ。物語上の課題や、テーマは示されていないというだけです。

 99%の類似性と1%の新規性が魅力的なエンタメコンテンツだと考えるならば、この作品はその力を持っています。

 二話目、三話目において主人公の能力を活用しての物語の展開があるのか、ないのか。気になるところではありますよね。

本文について(2nd Set)

 間に合うんですよ。今日はまだ火曜日ですからね。時間があります。賑やかしになるだろうかねぇ。楽しんでくれていますか?

 感想依頼ありがとうございます。賑やかしとして身を捧げる方が多いこと嬉しく思っております。

 さて、他の方の感想でも触れていますが。予想と期待の二点から考えてみましょう。
 この二点で言えば、そこまで悩むことのない作品でした。

 予想

 あらすじにも今後の展開や、イベントについては箇条書きのような形で示されているので何かしら、それらの情報にふれる形で2話が展開されるのではないか。と予想しています。

ここは実はゲームの世界!?
姫勇者は実は悪役令嬢だった!?
おまけに伝説の聖女や魔王まで復活してやがる!?

あらすじから引用

 ゲームライクの世界観であること。は1話で提示されました。
 悪役令嬢以降云々については、1話で提示がないので、2話移行でそこに触れるのだろうと予想しています。

 期待

 1話目で示した魅力や売りという部分は「魅力的なヒロインのあざとさ」といった部分から提示されていて、それに気づいてしまった主人公のテオが描かれています。

 タイトルにもある「あざと可愛い」の要素を失わせずに、今後の二人の関係性を描いていくことになるのでしょうか。

 要素としては、いくらか男性向けにも女性向けにも振り切れることができそうなものです。なんのゲーム世界なのか。という部分で見た時、あらすじや1話の本文から類推するに。乙女ゲーでシミュレーションゲームだとするならば、女性向けの作品なのかもしれません。

 ちょっとここが初見では私の中で不安定でした。

 さて、『『あざと可愛い』姫勇者さま! ~元悪役令嬢の彼女が俺(モブ)の事を好きすぎる!?~ 2話』を読んでいきます。

 <姫勇者エリカ視点>という文言を見て理解しました。

「ああ、この作品はやはり女性向け作品のテンプレを活用した作品なのだ」

 1話の時点でもその片鱗はあったので、読者はムードの裏切りはなかったと思います。多分。私は「納得」する感じ程度でした。

 読みたてほやほやです。ゲームライク世界観という舞台のなかで「何を魅力として魅せていくのか」ということを意識できた作品だと思いました。

 2話は3段落のシーン構成です。

 1段落目は、期待に示していた。「あざと可愛さ」に関する項目は2話の冒頭で示し、1話で示した魅力を「おかわり」させるように楽しませたあと、場面の転換に至るまでの間に「彼と恋をしないといけない」といった、物語上の目的を示しました。

 2段落目は、その目的に関連するシーンとして、ゲームライク世界への転生や、導きに関するシーンです。

 3段落目に、1話の後半からつながるように、キスシーンの話題から展開です。そして、その際に「変身」の能力があることを開示しました。

 この作品を考える上で、もう一人の主人公としてエリカのことを考えましょう。主人公が増えたので、ファースト10を整理し直す必要が出てきました。

主人公   :姫勇者エリカ
主人公の能力:ゲーム世界に介入できるコントローラーの存在と変身の魔法? 技能? の二つ。
世界観   :ゲームライク(“ドキドキ異世界冒険譚! ~恋する主人公は最強です!?~”)な世界観。主人公のテオはどうあがいてもバッドエンドとなる魔法使い。
異変・事件 :異世界への転生
問題・課題 :不明(ここはまだ汲み取れないです。世界がどのような課題を持っているのか。わからないが、示唆はされました)
決意・覚悟 :勇者になってテオ君を救う

 姫勇者の視点になると、物語の目的地がある程度明確に示されました。私達読者が「どの目的地に向かっているのか」を楽しめるように、情報が開示されたように感じています。

 ここでまた重複はするんですが。男性主人公の「テオ」君について考えてみましょう。

主人公   :テオ・コートナー
主人公の能力:二流程度の魔法使い及びホーム画面にアクセスできる力。及び、ロードを挟んでも記憶を維持(ほんの少し)できる。
世界観   :ゲームライクな異世界ファンタジー。おそらくシミュレーションゲームのそれ。
異変・事件 :ヒロインのエリカが。プレイヤー側としての性質を持っていることが判明する。
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 この二つを並べた時に。情報としてだけ見れば「男性向けにも女性向けにも振れる」といった要素があったので、最初「どっちの物語なんじゃろ。タイトルは男性視点だし、あらすじも男性視点。だけど、舞台設定は女性向け」という目新しさはありました。

 そして、2話で開示された男性主人公テオの存在が「追放ものテンプレの男性」としての要素があること。

 ゲームの基本設計として、男性主人公も女性主人公も選べる男女問わないプレーヤー層等の提示からこの作品も「男女問わない」性質のものを目指しているのだ。と理解しました。

 男性向け要素を一話目に提示しつつも、設定は女性向けの舞台であることから広いターゲットを狙った間口をこれでもか。と広げた作品なのだと推測します。

 そして、2話目で「どっちにもいける設定だけど、乙女ゲーのテンプレもあるから楽しめよ!」といったアピールの作品です。

 1話と2話を見る限り、まだ逼迫(いや、魔王の復活も相当ですが……)した展開は見受けられません。

『世界を救ってください』

 とある、転生時のメッセージの詳しい内容がまだ見えてこない塩梅です。テオを恋愛面で籠絡することで、世界の安定につながる。という方向性が「魔王云々」で全部解説した。というのであれば、そういうものなんだな。とは飲み込む作品でしょうか。

 テオに襲いかかる不幸をすべて、払い除けて、テオを救うためにあの手この手で籠絡しようとあざと可愛いヒロインが頑張る話しです。

 作品上の物語としてヒロインの目的意識は明確になったのですが。男性主人公のテオも「主人公」として成り立たせるには、彼の目的や、課題等を深掘りしていくことで、ダブル主人公としてのラブコメが期待できるようになるでしょう。

 案外、3話でその深掘りや彼のバックボーンにかかるエピソードトークになるんでしょうか。

 バレてしまった能力を元に、二人がどのように距離を縮めるのか。

 1話時点では持っていなかった、興味が2話で湧いた作品でした。

 3話楽しみにしています。


騎士令嬢と偽物悪女の共謀〜婚約破棄させたので自由に生きます〜

タイトルについて

 異世界恋愛もの。的なニュアンスは伝わりました。ジャンルも分かった気がしますが。詳しい部分はあらすじを読まないとわからない情報量です。

あらすじについて

 婚約破棄もの。強い女性像。たくましさ。そういったものを押し出した作品でしょうか。

本文について(1st Set)

 展開と情報が早いですね。婚約破棄のテンプレートの類似性から導入して、能動的な活躍を見せる女性キャラクター達による物語の展開を約束しています。

 正直「婚約破棄の作業いるん?」みたいな、気持ち(わざわざ悪評しか立たない方法で破棄したってねぇ…)で最初読んでいたのですが。後半に至ってからようやっと、4人の関係性が見えてきて、提案しているカップリングを理解した段階で「ああ、だから複合的な理由で茶番をいれたのだ」と理解しました。

主人公   :リリアーナ・クレメンス
主人公の能力:騎士令嬢としての戦闘能力諸々
世界観   :異世界ファンタジー。不穏な政争等も期待できるハードな設定を有している。
異変・事件 :弟の失踪(婚約破棄ものとしては異例ですが、変化を決意するシーンを異変と考えた場合です)
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :弟の捜索

 弟の捜索という大目的を達成しようとする中で、新たな課題が発生するタイプの物語でしょう。偽物悪女の活躍で、物流等の面から戦争絡みの話題が展開するのでしょうか。

 序盤から引き出しを見せていった感がある冒頭でした。

本文について(2nd Set)

 お待たせしております。賑やかしとして、色々と感想をご用意しております。テンプレートとしての様式を複数活用した意欲作からの感想依頼ということもあって、楽しみです。

 予想と期待という部分から考えてみます。

 予想

 難しい予想ではないです。リリアーナの弟、ユリシスは大目標というわけではなくて、少目標としてそれであり、ユリシスの捜索を通して、1話で提示されていた「戦争にかかる」不穏な情報が展開していくというタイプの物語だと思っています。

 そして、1話でもそれぞれのカップリングを提示したので、それぞれのストーリーラインから両者の活躍が描かれるものだと期待しています。

 本作の主人公はリリアーナとしていますが、視点さえ変えればジュリエットを対象とした、サクセスストーリーも可能です。そういったことができる位にはプロットとしての掘り下げがありそうなことと。一つの様式美の中に違う種類のヒロイン達の活躍を並行的に描こうとしていると感じ取っています。

 ジュリエットの行方不明の話題で引いているので、読者の興味にジュリエットに向いている。であれば、ジュリエットの話題になるのでしょうかね。

 期待

 ストーリーラインが二つの出発点を示しています。リリアーナが弟を捜索するストーリー。ジュリエットが交易や貿易の観点から、不穏な戦争の動きを感じ取っているなど。それぞれのバディにそれぞれの課題を明示した形なので、それらに向き合うことを期待されているようにも思います。

 ラブロマンス一本。の小説ではありません。1話で提示した期待感を損なわずに、2話も物語を展開していくことをのぞまれていそうです。

 さて、『騎士令嬢と偽物悪女の共謀〜婚約破棄させたので自由に生きます〜 2話』を読みます。

 読み終えた第一声としては「かっこいいねぇ」といううめき声です。

 ちゃんと2話の中で、ストーリー上の山場というか。ピンチというか。そういったものがスピーディに描かれています。

 おそらくですが。

「ネット小説に求められるスピード感」を十分に理解した書きぶりのようにも感じています。

 1話でストーリーラインを二つ提示しました。

 一つ目は、リリアーナ及びジェイドのバディ。弟ユリシスの捜索のために、旅に出る。旅の性質はまだ良くわからない。あらすじに「自由」とあるので、その向きの旅路になるのか。

 二つ目は、ジュリエット及びロミオのバディ。隣国との戦争に絡む政治的な闘争を主とした物語。

 そして、その二つのバディに恋愛的な要素を期待できる描写をどちらも差し込んでいました。

 ラブロマンスを基調に、隣国との戦争というスリルをフックに色々と展開する。といった方向性を1話でバチンと提示したあと、2話でもその期待をしぼませずに、ジュリエットの周辺から、ロミオの捕縛といったようにスリルと活躍をみせています。

 1話で期待していた人たちの票はすべて獲得したんじゃないか。とは思っています。

 やっぱり、3話への引きが一番強いのってこの作品のような気もするんですよね。

 1話の引きが次の文章です。

 ジュリエットが行方不明になったと、リリアーナが聞いたのはその一ヶ月後。

1話の引き

 リリアーナ視点で語られていた1話です。この引きのあと、2話はジュリエット視点から開始です。

 2話の引きはどうなのか? というと。

 ロミオの扱いをどうするか。宰相が迷うそぶりを見せた所で、元帥が重々しく告げた。

「今は国内で争っている場合ではない。クレメンス辺境伯に隣国との内通の疑いがある」

2話の引き

 ロミオ捕縛されてますけど。気になる人はよんでください。面白かったですよ。

 リリアーナのご実家である「クレメンス辺境伯」が内通の疑いあり。と引きです。ここで、次はボールがリリアーナに移るんですよね。

 映像手法的にも非常に躍動感あるつなぎ方なので、上手な方が書いているのだと思います。

 上手だなぁ。とボケっと楽しむだけ楽しんでいました。

 どうして面白いのか。とかを逐一説明することも可能なんですが。3話もあることですし、余り語らずに置こうと思います。

 だけど、この物語のキーポイントになる伏線が第1話にあるのではないか。とも思っています。

 物語にはいつも主人公たちに「特別なアイテム」が授けられたりします。

 それはなろう系であれば、チート能力とかでしょうが。今作の場合はジュリエットが預けた商会の手形から湧き出る(湧き出ません。商会の金庫です)お金が、次のものがたりの伏線のようにも感じます。

 この書き出しコロシアム終わったあとに、そのまま連載しているんじゃないかなぁ。と思うような高い完成度の作品だと思いました。

 政治的な話題をフックにしたファンタジー好きなんですよね。戦記物ってほどじゃないんでしょうけど。それにそういった部分を期待できるシーンは3話では無理かなぁ。いや、合戦見れちゃうのかなぁ。

 3話が楽しみです。現時点(11/29)では全部読めていませんが、投票候補の作品になりました。

偽りのアマテラス

タイトルについて

 天照大神ですか。我が家では可愛らしさも込めて「てんてるだいじん」と呼び合っている神様です。神道系の話題でしょうか。神様偽るってよっぽどですね。

あらすじについて

 なんの作品かわからんですね。だけど、日本列島を含んだ神や神道にからむ物語であることは伝わりました。そして、神様とお別れしてるのに、まだ日本に神道に根付いているのはどうしてなんでしょうね。

 色々と作中で述べられるのでしょうか。

本文について(1st Set)

 まさかのまさか。神の視点でしたか。理解しました。

 ファンタジーじゃないですか。現代日本において有名所の神様を引用しての縄文ファンタジーです。和風ファンタジーってヤツじゃないですか。

 智子が以前から「誰か縄文ファンタジー書いてよ」とほうぼうで呟いた結果でしょうか。努力が実りました。

 異色ではあります。ありますが。類例作品が無いわけじゃないです。

 長尺の作品となると、その作品世界を構成する神の描写も珍しくはありませんが。初っ端からアクセル全開の天照大神が飛び出してくるとは思ってませんでした。

 さて。

 あらすじにもあるように「神様」と訣別するまでの物語であり、それらに関する「教訓話」的なものに落ち着きそうです。

 お説教めいたものを皆さん好んで読みたいか。っていうと、少数派な気はします。

 二話、三話でどこまで書くのか。書いてくれるのか。興味がある作品です。

主人公   :うつろな超常的な存在から自我を得て神となった「私」
主人公の能力:超常的な力
世界観   :縄文時代から弥生時代(稲作の伝来による別の神の台頭が見られる)
異変・事件 :よそのむらの神の救援要請。
問題・課題 :不明(二話で明らかになる?)
決意・覚悟 :不明

 ちゃんと神の話題にしても、基本的なストーリーラインとしての引きがあるってんですから。物語というのは不思議ですね。

本文について(2nd Set)

 深読み……迂闊なことを申し上げた気がしますね。天照大神を「てんてるだいじん」と呼び合うような辺境の民です。
 期待されたハードルが高い場合は、ハードルをくぐるように人生を駆け抜けてきました。
 あっけにとられてください。

 賑やかしですけん。身を差し出してくれたことを嬉しく思います。

 さて。

 他の方の感想と同じように、一話から受けた印象でもって。予想と期待を考えてみましょう。

 予想

 一話の引きが抜群に効いているので、誘導があります。何かしらの危機や物語の到来を示していました。落命した男性の存在が物語の到来を示す。ヘラルドとしての効果がありました。

 矢文みたいなもんですね。

 神を襲うもの。とありますが。

 どうなんだろうな。時期的に大洋からの人々や、農作関連の話題もあったので。渡来人の存在自体を「大陸の神の侵略」とでもいった形で争わせることになるのでしょうか。

 稲作自体は古く縄文時代から行われていましたが、日本列島全体に稲作文化を広げ始めたのは弥生時代ですし。その稲作の伝播拡大に伴う、新しい神様との軋轢とか? でしょうか。

 期待

 一話の中でも転調があってるので、ムードの切り替えがある程度許容される読者達がついてきています。おそらく、ある程度好き勝手してもどうにかなってしまう作品だとは思います。

 しかし、あくまでも「神」の話しであることは切り離さずに、最後まで神であったり、信仰心であったりといった側面に切り込むことをあらすじの情報からも期待されているのではないでしょうか。

 以下、『偽りのアマテラス 2話』を読んでの感想です。

 おお。神々の異能バトルものだったんですね。二話まで読んで、ようやっとジャンルがある程度確定した感じはします。

 一話の時点ではどのような危機が迫っているのかあまり見えてこないものでしたから。どういうものを期待するか。余り方向性が定まっていませんでした。

 故に読者の方は多くの広がりをもって期待した人がいるかもしれません。しかし、その多くは「和風ファンタジーじゃん」という部分であれば、この異能バトルものとしての展開自体に落胆する方はいないとは思いました。

 そして、この作品の中でもっとも変化があるものとすると。主人公が変わったというのはあろうかと思います。一話の多くは神視点であり、二話については主人公が変化し、ヤマヨとなりました。

 故にファースト10を整理し直してみましょう。

主人公   :ヤマヨ
主人公の能力:神託を受ける巫女としての力。敵対者も同様の力を持っている。
世界観   :和風ファンタジー
異変・事件 :山を越えた村の壊滅(岩戸の上とあるので、天岩戸関連のオマージュか)
問題・課題 :音を同じとする神との対立
決意・覚悟 :まだ不明。ヤマヨの放心状態が終われば、指針が決まるか?

 二話にして始まった感のある物語です。バトルを基調とした対立関係を示しているので、2nd以降の読者の流入によっては、票がぽーんと伸びる可能性があるんじゃないか。とは思う作品でした。

 このあとのスタンスがまだ見えてこないというのは、やはりネックでしょうか。

 ヤマヨというキャラクターがそんなに「敵愾心」を燃やすタイプじゃないように見えているので、争いを避けるために行動するのでは? とも思われるキャラクターでした。

 そして、もう一つ判断に迷うのは。ヤマヨというキャラクターの課題が未だ見えてこないので、ドラマ性の期待がし辛いところです。

 その喪失感自体を二話でのバトルで発生させたのだとして、三話でそれらを自覚し、回復のために闘いを行う。ということになるのか。

 しかし、現代私達に伝わるアマテラスは『天照大神』ですからね。

 おそらく悲劇となることが多分に予想される作品です。ここを汲み取った人が「可愛そうな話しはちょっと……」と敬遠する可能性も十分にあります。

 てんてるだいじん。あんなに精神的に不安定な人だったんですか。そら、癇癪起こして引きこもりしますよね。もしかしたら、このあとの3話の闘いに関しても天岩戸神話をなにかしらオマージュしたものになるかも。

 個人的にはですが。主人公や語り手が一話と二話でぱつっと別れたことは、タイムラグのある書き出しコロシアムという企画の性質上、少し苦しい文体だったかもしれません。



悪役令嬢は幸せな夢を見ない

タイトルについて

 SFの電気羊みたいですね。

 悪役令嬢とあるので、異世界ファンタジーの女性向けでしょうか。

あらすじについて

 知識無双をするわけじゃないタイプの、悪役令嬢ですか。この方法斬新ですね。99%の類似性の中に1%の新規性。いいあらすじです。
 今回の場合、断片的に提供される情報をもとに、楽しませることができるか。という部分で勝負になる作品なのかもしれません。

本文について(1st Set)

 面白かったです。
 記憶が戻るとか。そういう、おそらく「転生ではない」ように見せかけた転生ものじゃないかなぁ。とは思いながら読んでいますが。もう本当にスピリチュアルな予知夢なのかもしれませんね。どっちなんだろ。

主人公   :イザベラ・ブランシャール
主人公の能力:予知夢(本当に予知夢かぁ? と邪推しています)
世界観   :異世界恋愛の世界観
異変・事件 :毒殺の予知夢
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 書き出しは次の通りです。

 彼女の周辺情報や、バックボーン。幼い頃からの予知夢など、彼女の能力や取り巻いている環境等についての記述から始まります。

 そして、それらの予知夢の能力により、ヒロインは未来の展望に不安を持っています。

 あらすじにも記載があるように、毒殺を防ぎ、決意や覚悟に至る部分を二話目以降で提示することになるでしょうか。

 そこまで示したら、ファースト10。物語の楽しみ方まで示す作品になりそうです。

 色々投票したくなりますね。

本文について(2nd Set)

 予想と期待から考えてみます。ちなみに、私はこの作品に投票していた読者です。

 予想

 1話の感想でも書いていましたが。あらすじにある通りの動きをおさえていくのではないでしょうか。
 情報の出し方が、ちょっとしたミステリーっぽさがありますよね。幼馴染のマリエルの不穏な態度(仲が悪いってわけじゃないですけど。公の場での失言など)や、夢で描写されるドレスの色やなにや。色々と伏線を整理しながら書いているようにも見えます。

 期待

 1話のムードでもそうでしたけど。少々重苦しい文体ではあります。その様子を残したまま、毒殺未遂について、介入して、防いでいくとかのアクションが期待されています。
 断罪されるタイプの悪役令嬢ものにおいて「こんな重い作品あるんやな」という感覚を1話で持っていたので、この読後感を維持してくれるものを期待しています。

 さて、『悪役令嬢は幸せな夢を見ない 2話』を読みます。

 いえぇああ!? ←読み終わった直後の言葉です。

 アクション(毒殺阻止のために、走り出す)は起きた。リアクションまで見たかった。 

 このスピード感で展開されるのだとしたら、ちょっともどかしいかもしらんですね。

 この作品ってもしかしてですが。他にヒーローいそうですね。

 この部分で、ちょっと私は戸惑っているかも。

『イザベラ。君はとても聡明な人間だが。けれどもしかしたら、と考え込んでしまうところが欠点だな。だからこそ、困ったときはまず動いてみるといい』

 いつ、そんなことを言われたのだろうか。誰に、そんなことを言ってもらったのだろうか。
 しかし、記憶にないはずのその言葉が。ストンと身体の中に落ちてきて、自分のやるべきことがハッキリする。

2話より引用

 作中のヒーローはアルベールではないのか。でも、ラブロマンス基調ではなくて、暗殺を避けようとするミステリー的なものと考えたら、甘い何かは期待しないものなのかもしれません。

 悪役令嬢絡みだから、ラブロマンス成分を期待していた智子としてはちょっと期待を外した感はあります。いけませんねぇ。男女が揃えば、恋が始まるみたいに安直な考えをしてしまう智子がにくいです。

 引用のセリフが誰のものかは不明ですが。イザベラはこの言葉をきっかけに動き出します。これは導きとも癒える。メンター的な性質の誘導です。

 このメンターが「誰なのか」は不明なんです。アルベール? いや、違う気がするけど。

 といった形で、アクションからのリアクションを引きとしている2話でした。

 興味は持てる。持てるが、ちょっと私が予想していたムードの作品とは違うのかも。という読後感でした。


悪魔で拒絶し、夢を視る

タイトルについて

 わからん。夢ネタは2つ目かもしれません。

 智子は寝ても覚めても夢しか見てない哀れなニンゲンです。

あらすじについて

 悪魔と契約しちゃいけないって、お婆ちゃんから習わなかった世界線の子ですね。

 なにかしら、バトル要素のあるものなのかもしれません。キャラクターの動機自体をあらすじで示した作品ですね。本文を確認してみます。

本文について(1st Set)

 面白かったです。いい能力と制約だと思いました。

 どうして、素晴らしいのか。をつらつらと述べると時間が足らなくなりそうですが。簡単に触れてみようと思います。

 戦いに臨まなくてはいけない。という物語の動機とされる要素を設定していること。
 それぞれの対立者の「事象を拒んだもの」を言い当てること。というのは、対立者を理解し、慮り、相手が抱えるだろう課題と向き合うといった「闘い」の性質を予感させてくれました。

 武力だけで、殴って、戦って、といたバトル的なものではなくて。相手の心にふれる必要がある。というのは、ドラマ的な問を与えてくれそうで非常に高い期待をしています。

主人公   :望月ミチル
主人公の能力:自分を除く家族の不死身化
世界観   :現代ファンタジー。悪魔との契約から始まる異能バトルもの。
異変・事件 :悪魔との契約
問題・課題 :他の契約者との対立
決意・覚悟 :契約履行のために生き残り続ける

 見事に物語の枠が示されました。

 ニンゲンの身体は穴だらけなのに、更に穴を増やすなんて。けしからん! 委員長!

 二話目を楽しみにしています。

本文について(2nd Set)

 感想依頼ありがとうございます。ドラマ性が期待できそうなバトルの仕組みであるようには捉えていたので、個人的には気になっていた作品でした。しかし、一話目ではまだ敵対者との徹底的な対峙とまではいかなかったので、様子見していた作品です。

 さて、予想と期待を考えてみましょう。

 予想

 穴だらけの委員長ちゃんとバトルするんでしょ! とかいう引きでしたよね。しかしながら、いきなり胸刺されてるからもう詰みでは?

 期待

 やはりこの悪魔との契約。といった要素を踏まえて「何を拒まれているのか」というある種のミステリー要素の絡む作品であることをムードとして提示しました。そして、キャラクター同士のやり取りが、劇画的なものではなくて、もっとサブカル方面の男性向けのキャラクター造形であることも意識できるので、それらの『学生生活』としての期待もあるでしょうか。

 ハイレグ姿の小悪魔さん。智子も多くの事象を拒みたい難儀な生活をしているので、私の元にやってきてください。

 さて、『悪魔で拒絶し、夢を視る 2話』を読みます。

 面白かったです。そして、新たなヒロイン(ファム・ファタール的な存在ですが……)としての登場が2話で示されました。そして、その彼女から新たな情報の誘導があり、主人公は更にクラスメイト達に警戒をする必要が出てきました。

 ただでさえ、人間は穴だらけなのに。さらに穴だらけになったヒロインが登場です。

 加速しましたね。作品への期待度が加速しました。

 書き出しコロシアムすごいです。

 おそらく、企画の趣旨として提案された「書き出しの向こう側」という分野で見た時にピカイチの作品だと感じています。

「書き出しの向こう側」に求められる要素はなにか?

 という要素の答えがこの作品の2話にありそうです。

「1話で広げた風呂敷を、たたむことなく、更に展開していく」

 というのが大事なのではないか。と思い始めました。

 1話でハイレグの小悪魔さんが飛び出してきます。存在が破滅的なバディであり、彼女の存在が物語のきっかけにもなりました。

 そして、更に2話でも同じ性質をもつ「破滅を誘引しかねないバディ」として「穴だらけの委員長」が登場です。

 1話でそのムードとキャラクターにあてられた人に対しての「はい、おかわりです!」といった感じで飛び出してくるキャラクター性に読者は大満足ですよ。

 主人公はそれらの危険性や、友人たちを疑わないとならないという状況から、委員長を拒絶します。そら当然ですよね。

 こういった、関係性に対して一筋縄ではいかない提案が物語の困難を予測させます。

 ちなみに私が3話を書くとしたら、思考停止しそうな位にこんがらがっています。

 そして、この物語は「ドラマ」を展開するための情報は撒かれました。撒かれましたが、それを拾い上げる約束の描写がこれからもとめられると思います。

 1話と2話で最大限の期待値を高めてきた作品です。

 3話で「読者はどんな期待をしてきのか。その期待に対する答え」が3話目で提示された時に、読者がこの作品への期待の方向性や、ついていっていいのか? という判断になりそうです。

 もしも、3話でエキセントリックなキャラクターを設置するだけで、終わってしまうと、今ほどの興味は持てなくなる作品かもしれません。

 一つの小モデルが示されて、この戦いの中でどういった導きになるのか。どういう満足感を得られるのか。そこまで読みたいですね。

 3話で一回畳むようなことができるんだろうか。

 非常に高い期待を持って、3話を読みたい作品でした。


龍火絶消(りゅうかぜっしょう)

タイトルについて

 ドラゴン的な!ファンタジーですね。

あらすじについて

 いや、わからん。わからんよ。

本文について(1st Set)

 憧れのままに生きてきた少女の視点から始まりました。

 あらすじにある。龍を占拠するのは少女の母のようですからね。母の力がまだ未知数です。

主人公   :ガリーナ=フルフレア
主人公の能力:不明
世界観   :異世界ファンタジー。科学技術はある。パラレルワールド的なものとして考えるべきかも。
異変・事件 :龍の殺処分を知る
問題・課題 :不明(まだ、明かされない段階の情報)
決意・覚悟 :龍の殺処分の理由を知ろうとする

 少女の目的であったり、最後の引きとしての「スパイ容疑の逮捕」等もあるのでしょうが。

 おそらく、重要な設定となる要素を会話文によるもので提示する演出の作品なので、その情報を飲み込めるか飲み込めないかで、読者がふるいにかけられそうです。

 娘が捕まったあとの、お母様のパワフルな活躍を期待しております。

本文について(2nd Set)

 予想と期待から考えてみます。

 予想

 あらすじの通りなんじゃないですかね。娘(留学生)が捕縛された。という部分から、母が暴れるという話題でしょうから。あらすじの通りであることを予想しています。

 期待

 基本的にこの作品に期待している人達というのは、龍の上にある学校というある種ファンタジーな世界観。そして、その世界の龍に憧れを持った少女の視点に乗っかって、楽しんでいるので。それらの没入感やムードを損なわずに2話へ誘導してほしいと思います。

 あらすじにある母親の話題があるので、もしかしたら、視点がガラッと変わって「転調」を示す可能性があります。その転調を飲み込ませることができるかどうかは重要な気がしています。

 さて、『龍火絶消(りゅうかぜっしょう) 2話』を読みます。

 視点変更は序盤ではなかった。
 2話の序盤から中盤まで終始、ガリーナの視点でした。

 これはあれです。説明が多い回でしたね。

 おそらく、見せ場である占拠や、母のアクションなどを描くために性急な描写になっているのだと思っています。

 1話で示したムードとは違う向きの書き方であったので、それはそれで戸惑いをおぼえた読者がいるかもしれません。

 どうにかして、それぞれのキャラクターや陣営の存在などを描き出そうとしていることは読み取れた(消防隊と軍関係)のですが。エンタメ小説とか。エンタメ作品として見た時、能動的なアクションによって展開されているわけではないので、余り好ましいものではありません。ありませんが、キャラクターや陣営の設置などの面から、高い期待を持つことが可能な作品です。

 ファースト10も更新をします。

主人公   :ガリーナ=フルフレア
主人公の能力:不明
世界観   :異世界ファンタジー。科学技術はある。パラレルワールド的なものとして考えるべきかも。
異変・事件 :龍の殺処分を知る
問題・課題 :不明(まだ、明かされない段階の情報)ベリカという国家との外交上の問題
決意・覚悟 :龍の殺処分の理由を知ろうとする龍を殺処分させたくない

 ある程度、これらの情報を更新するために説明的な描写が続いたのだと思います。物語の枠は分かりました。

 1話で期待した人たちが、この書きぶりを受け入れるかどうか。であるからですね。

 最後の引きとなった「母の占拠」という部分が「能力が未知数」であるため、そこの部分もリーダビリティに寄与できたとは思いますが。まだ良くわからんです。

 色々書いていますが、この感想は自戒も込めてのものです。

 実際のところ、私も似たような書き方をしていることがあります。キャラクター同士の絡みや関係性に傾倒し、反動で状況やバックボーンを地の文で「説明」していることが多々あります。あまり良くないことだと。私は思っているんですが。私みたいに「説明読みたい」みたいな層もいないわけじゃない。と思いたいんですよね。

 この形式で、票をこぼしていたりしたら「ああ、やっぱり説明はよくなかったのかもな」というケースにもなり得る作品かと思いました。

 結果が気になる作品です。

 暴れるママさん好きですよ。

 ママさんの活躍を期待している人は多いと思っています。


偽りの姿をした僕と、優しい嘘を言う君が、陽の光の下でワルツを踊るまで

タイトルについて

 なんか、タイトル長いけど。
 よくわからんですね。
 ワルツを踊ることが大事なんですか。
 私のダンスの思い出なんて言えば、林間学校で踊ったマイム・マイムです。
 手を握った女の子全員を好きになってしまう呪いにかかっていた智子は大変でした。

 小柄だからといって、女の子の列に放り込まれていた山下君と手を握った時はやけに冷静になれたのをおぼえています。

あらすじについて

 はい! わかった。わかっちゃった。この作品はラブロマンスですね?

 女の子のフリして、ヒロインとイチャコラしちゃう作品です。この期待を本文で応えてくれるでしょうか。確認します。

本文について(1st Set)

 イチャコラじゃなかったですね。結構重め。しかしながら、どうしたものか。多分、智子好みの作品ゆえに、票は伸びない作品かもしれません。内的な課題を重視した作品構成です。
 主人公とヒロインが抱える課題をシンクロさせることで、構成としての効果を期待しているように思います。
 私はこの方法は好きですが、メロドラマを好むタイプの読者には余り反応が良くないかもしれません。

 作品のガワとして見た時は、なろう系において馴染みのある異世界恋愛ファンタジーとしての空気感があります。

 男性が女性装を行い、ヒロインとの関係を持つ作品になります。

 主人公自体が「変身の特性」を持つ人物であり、それらの能力を活用して、物語が進んでいくことを期待できる作品です。

主人公   :ケヴィン
主人公の能力:女性装を行う器用な能力
世界観   :異世界恋愛重視の異世界ファンタジー
異変・事件 :女性装をしたケヴィンのご奉公(奉公と言っていいのか?)
問題・課題 :幼馴染のサラが抱える環境の変化に伴う悩み?
決意・覚悟 :不明

 現状、描かれてる描写でも十分作品の全体像を推測するに足りる情報が描写されています。多分、ヒロインは主人公の女性装を理解しているでしょうし、そういった二人の関係性がタイトルにあらわれているのだと思っています。

 ラブロマンスにかかる作品はそういった関係性を楽しむという部分はあろうかと思うので、ジャンルに適したアプローチの作品だと思いました。

本文について(2nd Set)

 どうも、賑やかしの智子です。個人的には強い興味を持って見ていた作品からの感想依頼です。

 出遅れてなどおりませんよ。賑やかしの薪とならんと、立候補ありがとうございます。

 予想と期待の部分から作品に関して考えてみます。

 予想

 ヒロイン知ってんだろ!?
 ラブロマンスの妙味はもどかしさですからね。
「もう、お前らくっついちまえよ。ひゅーひゅー」
 という、シチュエーションをどれだけ作り出すか。という部分です。そして、その約束を作者はご存知であり、ヒロインが主人公の態度に違和感を持つ。戸惑うといったところまで描いていますから。

 あとはもう、白々しくも「女性装」が似合う華奢な男性キャラクター(女性たちに嫌われないマッチョな精神を抜いたヒーロー)とどのようなラブロマンスを繰り広げてくれるのか。そこを楽しみにしている作品です。

 しかしながら、まだヒロインのサラという人物が見えてこないので、おそらく2話ではサラの視点に切り替える等して、舞台や物語の目的、サラの課題等の提示が始まるのではないでしょうか。

 期待

 ラブロマンス空間お願いします。
 ライトノベル作品としてのムードを序盤から提示しているので、この空気感を崩さずに、後半の展開に繋いでほしいと思っています。

 二人の話題に終始するのか。それとも、サラの課題を浮き彫りにするため、貴族制度や立身出世に伴うサラの父親にもフォーカスをしていくことになるのか。

 現状ではまだ、どちらにも舵取りができそうなので、二話の風呂敷の広げ方を楽しみにしています。

 さて、『偽りの姿をした僕と、優しい嘘を言う君が、陽の光の下でワルツを踊るまで 2話』を読みます。

 くっついちまえよ!

 ラブロマンス空間でした。

 どうしたものか。どうするべきか。ラブロマンスのストーリーとかテンプレとして考えるならば、間違いないし、この方法は「読者」のためのチョイスなのだろうなぁ。とは感じました。

 1話でやってる情報をもう一度、描写している2話ではありました。

 そして、変身(女性装)をしているケヴィンの能力(意趣返し)の開示等、第一関門として機能している「ハドリー準男爵」とのやり取りも彼の力を見せつける試練の一つでした。

 この作品の目指そうとしているところって、非常に難しいものです。

 ある程度、敵対者となりうる存在はヘイト管理の行い方次第で、物語の色味が変わります。そして、この作品は「敵対者」自体もコミカルに描こうとしているし、あわせて「紳士的な学びの姿勢」も持ち合わせたバランスのあるキャラクター造形にも見えています。1話時点での貴族らしさについての言及だとか。向上心にあふれているタイプのキャラクターです。個人的には好きな敵対者です。

 ああ、これはもしや、ドラマをやる気なのだな。と2話の読後感があります。

 敵対者がヒロインの肉親というのも、打倒するだけでなく、懐柔し、融和の道を図る等の展開も読者としては期待してしまう情報量でした。

 パートリッジ伯爵家の凋落もそうなんですが。基本的には自業自得なんです。世の中大体そういうものですから。それに関して描写の仕方についても「ヘイトバランス」のために描かれてる様にも見えませんでした。

 ケヴィンとしては、「女性装がバレてしまえば、サラに誤解を与えてしまうから、バレないようにしないといけない」という喫緊の目的を示しました。

 サラの目的がまだ見えない段階です。でも、わかってるんですよ。

『お前たち好きあってんだろ?』

 みたいなおせっかいおじさんがひょこひょこ飛び出します。ちょっと、智子おじさんあっちいって!

 ファースト10の情報も少し更新です。

主人公   :ケヴィン
主人公の能力:女性装を行う器用な能力及び会話術による機転など
世界観   :異世界恋愛重視の異世界ファンタジー
異変・事件 :女性装をしたケヴィンのご奉公(奉公と言っていいのか?)
問題・課題 :幼馴染のサラが抱える環境の変化に伴う悩み? 女性装を気づかれてはいけない!
決意・覚悟 :愛しのサラが夫を見つけることができるように、淑女教育を行う

 二話まで含めて、ケヴィンの視点での物語上の方向性は決まりました。

 目的が示されて始めて、この物語が本格的に始動しはじめた感じがします。

 もう一人のヒロイン、サラの視点か。バックストーリー等が展開され始めてから「お前らくっついちゃえよ」と言えなくなるような、課題が提示されるとラブロマンスは加速するのかな。

 3話の情報次第で、また期待値が変わりそうです。

 2話はサラの視点に移って、情報量を増してくると思ったので意外ではありました。

 ケヴィンの視点で深掘りをしましたか。

 この方法が投票にどのように選好するのか。気になる作品です。



いずれ魔王になる彼と、彼を愛した魔女の話

タイトルについて

 魔王もの多いですね。やっぱり、流行りってことなんでしょうね。愛したとあるので、ラブロマンスでしょうか。魔王さまは大体恋してます。

あらすじについて

 イリアという名前から、男性か女性かあんまり分からなかったので、あらすじを飲み込むのに少々苦労しました。

本文について(1st Set)

 なんか、どんな話なのかは飲み込むことができました。

 勧善懲悪を離れて、魔王と勇者という対立軸をそのまま活用した輻輳的な作品を作ろうとしているようです。

 そして、お互いの「目的」といった部分から、物語の方向性が示されました。ラストの部分においては、タイトルとあらすじにもあったように過去の話に推移することになるんでしょうね。

主人公   :イリア
主人公の能力:勇者としての能力。魔王の前では力ないらしい。
世界観   :魔王と勇者という、設定を流用してのハイファンタジーでの対立の世界観。
異変・事件 :イリアの心情の変化を促すとして見るならば、魔王との会話になるか。
問題・課題 :スケールの大きな部分で。思想の上での介入。
決意・覚悟 :イリアは不明。対立者である魔王が明確。

 変化し、成長を期待できる存在としてイリアを主人公に置きましたが。二話目以降は視点が変わりそうですね。

本文について(2nd Set)

 他の22作品を見回しても、類例がないタイプの演出構成の作品からの感想依頼です。
 盛り上げんとして、賑やかしに立候補ありがとうございます。

 他の方の感想でも、同様に予想と期待を併記しているので、ここでもそれに準じます。

 予想について

 魔王の説得にかかる話題を示しているので、次の2話においては、回想のシーンに移行するのだと予想しています。これは予想というより、期待されるムードに近いものだと思います。読者を誘導した方向以外に投げっぱなしジャーマンのように、してしまいかねないので、ここは外さないと予想しています。

 1話の最後にあった引きの文章もあるので、主人公が説得を受け入れなかったとしても、周囲の人々が「勇者は裏切った」といって、不本意な形で物語への参入が急かされるのかもしれませんね。

 期待について

 構成として思い切りのある作品でした。

 キャラクターごとのストーリーとして見た時。魔王が勇者を迎え撃つ。というシーンは「勧善懲悪ものの勇者の物語」として見た時、ラストのクライマックスです。そして、迎え撃つ魔王(倒されることが役目の悪役)も、打倒する勇者もその最後のシーンに向かって、旅路を行い、読者に見せる結末です。

 しかしながら、この作品はクライマックスから開始しています。
 おそらくですが。このあとは、回想シーンを経て、説得を受け入れた勇者が次なる舞台に向かうための「変化」を促すためのストーリーです。

 物語は基本的に「葛藤に悩むヒーロー」と「答えに向かって導くメンター」が存在することで、ある程度の誘導が存在します。今回の場合は「勇者」がヒーローであり、「魔王」がメンターです。
 おそらく、この説得のあと魔王もヒーローとしての性質を得て、勇者を導きつつ、ヒーローとしてさらなる成長や、メンターとしての自己犠牲(この自己犠牲にかかる項目が回想であると、読者のアンテナはバチバチですよね。愛した魔女もまたメンターとしての犠牲に身を捧げたのでしょう。勝手に死んだものと思って考えています)に身を投じるなど、キャラクターのモデルは多く存在しています。

 メンターがまだ未熟で、ヒーロー(成長の要素を持てる未熟なもの)であった頃の話題を、2話で展開されると想像しています。

 この作品の「思い切り」といった部分が。

 主人公を再設定して、そのためのたたき台の描写を行う必要があるため、少々難度が高い作品だと思っています。

 さらには、勇者と魔王が抱えている問題や課題に「関連性」を持たせていくことで「物語上の必然」を感じ取れるように作成していくことが求められます。

 それを考える時に大事なのが、勇者の設定ですね。

 勇者はコミュニティ内部での居場所を保つために、同族ともいえるであろう「魔法を使える人々」を手に掛け続けている。

 魔王も、環境さえ違えば、同じ運命を辿っていたかもしれませんよね。

 ある程度、このハードな世界観に寄せていく描写や、設置された設定等を読者は期待していると予想しています。

 あとタイトルにもあった「彼を愛した魔女」という部分からも「愛」が物語上のキーワードになることを期待していたでしょうし、1話ではそれが見えなかったので、2話でその片鱗が見えたなら、もっと期待値が高まりそうです。

 さて、『いずれ魔王になる彼と、彼を愛した魔女の話 2話』を読んでみます。

 予想と違う読後感に落ち着きました。

 1話と2話でムード自体は変わりなく、このムードを好んだ読者は安心感をもって読めたと思いはしました。

 しかし、他の部分がネックな気がしています。

 1話で示したキャラクターの関係性から期待されていたものとは違うものが2話で提示されたように感じます。

 感情的であり、高ぶり、揺さぶられたイリアという勇者の存在に対して、イリアを説得し、導くものとしての泰然とした態度を崩さなかったヴェルクラインを描いた1話と比べると、その性質が鏡のように入れ替わった2話でした。

 この変化を読者は見たかったか? という視点で考えた時、おそらくは効果を発揮できていない2話であると予想しています。

 おそらくですが。作者が書きたい! と思った関係性や、仄暗いバックボーンがあるキャラクターを表現していることだと思います。

 思いますが。

 それは「1話で期待した読者」達の満足感を満たすものなのか?

 というのは重要であろうかと思います。

 私の前回の投票を見ても、おわかりだとは思うんですが。私はそもそもこの作品に投票していないので、想定ターゲットだったり、この作品を好む人達が「何に期待していたのか?」というのは、推測しかできていません。

 それも上記の「期待」に書いていた「ヒーローとメンター」による関係性の提示及び「愛」とされるものからのイリアを導くという、物語を予想させたところです。

 ならば、2話でも「その愛」をもって、物語が誘導されると期待していた読者を予想していました。

 これも結果を見てみないと分からない部分ではあるんですが。

 作品に対して、読み手が感じている魅力。

 作品に対して、書き手が感じている魅力。

 に不一致が生じた時に、こういったアンマッチが起きてるように思います。

 私がこの作品に感じ取っていた魅力は「愛」をテーマに据えた物語であり、その「愛」によって「惑うイリアを導く」ということを期待していました。

 2話で戦後処理に通じる形から始まり、気になっていた「キャラクターのバックボーン」主体ではないものだったことが、印象を薄くしたように思います。

 あと、やはり2話の冒頭、初手から面食らった感じはあります。これは演出の問題ではあるかと思います。

 Twitterでもそこを軽く言及しました。

 この部分を言及するために、1話のラストを見てみます。

「イリア、君に聞いて欲しい。いずれ魔王になるかも知れない僕と、僕を愛した魔女の話を」
 イリアはこくりと頷いた。
 その様子を――……思いがけない人物に見られていたとも知らずに。

1話のラストから引用です

 魔王からの申し出に対して、イリア(勇者)がうなずき、話を聞くことを受け入れる。とあります。事前にかなり乱れておりましたし、すぐに話し始めて、その判断や存命の可否を決すると思っていたものです。

 しかし、2話の冒頭では「話したかどうかもよくわからない」情報量のまま戦後処理が始まりました。

 エレオスの王都は沸きに沸いていた。
 《魔の国マギア》に巣くう魔族を殲滅し、魔王ヴェルクラインを倒したことが大々的に発表されると、魔族撲滅派《ロワ》の支持者達を中心に勇者を称える声が次々に上がった。どこもかしこもお祭り騒ぎ。街は深紅の国旗に彩られ、撲滅派の正義の勝利だと国民は口々に賞賛した。

2話冒頭より引用

 この文章を読んで、戦いは終わり、勝報も届いている。おお、勇者は魔王を殺したんだな。とも取れる文章です。まあね。だけどね。皆さん読み慣れてますから、OK。魔王は死んでないんだろ? 勇者が嘘の報告したとか? みたいなことを思いながら読んでるわけですよ。これは物語ですから。ええ。どんでん返し! どんでん返しですよ。

 実際のところ、ヴェルクラインは匿われるようにして、素性を隠し、生きておりました。

「君にラヴェンダの話をする前に、知らない毒を盛られて死ぬのは嫌だった」

2話中盤、食堂にて

 ここの部分で引っかかったわけです。

 知らない毒の傍点云々は、そういう彼の特殊な能力とか設定の話であろうかとは思うんですが。そこじゃないんです。

「え? この人達まだ話し合ってなかったん?」

 という部分で目が滑ったわけです。

 興奮状態にあったイリアがあの場で剣を収めて、男を匿う決断をする中で、描かれなかった部分(1話のラストと2話の冒頭の間)で、なにかしらあったもの。と思いながら読んでいたので。この部分で、読む手が止まりました。

 実際「殺すのを保留している」というようなことも考えられます。彼はいつでも死ぬ気であるし、話したいこと話せばいつでも殺してやらん。といった勇者の態度かもしれません。2話の地の文でそういった態度は示されていませんでしたが。

 こういった部分の細かな部分で書き手が「キャラクターのバックボーンや設定を見せたがっている」ように感じ取ってしまいました。

 ここの部分を私と同様に感じた人は、投票の選好にシビアになるかもしれません。

 蛇足ではありますが。

 2話のヴェルクラインの拾われるシーンから開始して「魔女集会だぁ!!!」と智子を引き付けていたら、多分、票入れてました……

 情報の出し方って大事ですねぇ。

 感想としては以上です。三話でイリアが追い込まれることになるんでしょうかね。物語には「追い立てられるような動機」が必要です。家族が可哀想な目に遭わないことを願っております。



どろだんごの神さま

タイトルについて

 どこにも神様はやどります。どろだんごにも。多分。ええ。会ったことはないですが。いるでしょう。

あらすじについて

 まだ良くわからんですね。現代ファンタジーであることはわかります。行動力あふれる後輩によって、物語が展開されるタイプの作品であると予想します。

本文について(1st Set)

 西向くの予想当たりました。

 押しかけ女房の女性の後輩ですか。こんなことされたら、三日で結婚しちゃう自信があります。どうして、この主人公は平気なんですか!?

 さて。

 どうしたものか。まだ、情報が少ない感じがする作品ですね。人間の付き合いが下手くそな主人公が、行動力あふれる魅力的なヒロインによって、物語が展開していくというタイプの物語です。

 前提としてある。人形を愛で、持ち歩いているという主人公の設定自体が、あらすじのみで最初展開されていたので。あらすじを読まない人(いるんですよ。私はこの企画で知りました)にとっては飲み込みが難しい冒頭だったかもしれません。

 ダイラボウってダイダラボッチに関連する物語で、そのうちどろだんごの神様は大きくなっちゃうのではないか。なんて期待しています。

 この作品の魅力として提案しているのは押しの強い、魅力的な後輩を誘引の材料としています。今後の展開やログラインが見えない所は不安材料には感じました。

主人公   :望月拓
主人公の能力:不明
世界観   :現代ファンタジー
異変・事件 :不明
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 あらすじにもあるように、後輩の思惑自体が「作品全体の謎」として提案していることはアピールしているので。キャラクター小説として、後輩の存在に魅力を感じた方が投票をする作品でしょうか。

 智子は押しかけ女房募集中です。

本文について(2nd Set)

 この作品を読んで、投票した人の予想と期待を想像してみます。

 予想

 この作品に関しての予想とするならば。帰郷に際して、三人の関係性の推移に興味を持った人たちでしょうから。順当に帰郷に関するエピソードが展開されるものと予想しています。

 期待

 押しの強い後輩によって、誘導される物語構成に期待をしている読者はいるでしょうから。このまま後輩の存在感は高めながら、主人公を翻弄してほしいと思います。

どろだんごの神さま 2話』を読んでいきます。

 なんかわかってきましたよ。どういう作品なのか。

 能動的な物語性のあるものではなくて、能動的な行動力の後輩によって、彼自身が「内省的に対人関係への抵抗感」を減らしていく。などのスタイルを取った物語なのだと思いました。
 それこそ、いつかの書き出し祭りで話題になっていた「マニックピクシードリームガール」としての力をもった後輩による、先輩をもてなすための物語です。

 この作品の世界観やムードについては、現代ファンタジーとしての「泥団子の神様」という存在と、ご当地ものとしての側面がある作品をイメージして作られているのでしょうか。

 そして、最後の引きとしてある「土砂災害のおそれ」についても、二人が所属している企業の「地質調査」を専門としている仕事というところからも、3話でそれらの災害への介入や「泥団子の神様」ダイラボウの活躍など、今後の展開を示唆する形で引きです。

 1話のムードは維持しつつ、物語が『動き出した』という要素は感じられました。

 1話からついてきてる人は、楽しめた展開であろうかと思います。

 まだ、この後輩の思惑がわからないのが不安要素ですかね。野崎まど的な世界観であるかもしれない。とは心づもりをしながら読んでいます。


闇色の世界で、禁断の果実をほおばって

タイトルについて

 わからん。やっぱり、ファンタジーっぽさはあります。禁断の果実とあるので。楽園追放的な? どうでしょうか。

あらすじについて

 ヴァンパイアですか! ハードボイルドなイメージです。あらすじから予想するにまたたびものなのかも。そういうつもりで本文を触れてみます。

本文について(1st Set)

 ほら。ハードボイルドでした。

 吸血ってどうしてこんなにえっちぃんでしょうね!

 小説を書いている人ですね。演出や構成の面から「語らない」で「語る」というものを意識して書き上げることができた書き出しです。
 技巧の面が評価される傾向のある書き出し祭りや、書き出しコロシアムで評判がいい作品だと思います。

主人公   :ミハイ・フロレスク
主人公の能力:剣技? とか、戦闘能力でしょうか。
世界観   :異世界ファンタジー
異変・事件 :賞金稼ぎの襲来
問題・課題 :不明(ぼんやりとはみえるんですがね。ヴァンパイアって病気なんですかね)
決意・覚悟 :ミハイは娘の治療を願っている。おそらく、絶望的なのか。

 二話、三話まで見ないと「作品の方向性及び小目的、大目的」が見えない構成の作品です。それは描写自体を重くしていること。二人の関係性を演出の面から表現しようとしているためです。この方法が吉と出るか。凶と出るか。

 この方法でネット小説で評価はされるのだろうか。書籍で読みたい作品のようにも感じます。あと、ちょっとえっちぃので家族には内緒で読みたいです。
 禁断の果実は娘さんだったんですか? お父さん。大変ですねぇ。

本文について(2nd Set)

 この作品を読んで、投票した人の予想と期待を想像してみます。
 いや、まあ。私は投票したんですけどね。

 1話の感想の時点でも、人を選ぶ作品だろうとは予想していました。していましたが、ここまで票を割るとは思っていませんでしたね。総投票数の95人(475票うち2票無効票の473票)を思うと、16人は刺さったのだと思えば、純粋に好みの差の領域だろう。とは考えます。

 さて。

 予想

 大剣を担いだ青年自体が、次なる展開のための「ヘラルド」としての役割をもって、情報とともにやってくることになります。1話でも情報が示されたようにこの物語は「課題」に対して「バトル」で物語を解決していくことを予想できる情報でした。であれば、主人公たちが「どのような力を持っているのか」を示し合うように、青年との戦いが生じることでしょう。

 そして、その青年との和解や共闘、もたらされる情報から、彼らが望んでいる「吸血鬼の治療など」の目的へ、物語が導かれると予想しています。

 期待

 えっちぃ!

 失敬。ミハイとリディアという二人の関係性が非常に危ういバランスの元、序盤は進行しています。ある種、愛着障害的な関係性にあるようなものにも見えますし、非常に不健全ではあります。ミハイもそれは十分に理解していて、娘の治療に心を焦らせていることも演出上感じ取れる描写でした。

 そんな二人の関係性を払ってくれる存在として、1話の引きで参入した青年に期待を寄せています。

 二人には大きな課題があることを1話で「語らずに示せた」ことが、個人的には大きなリーダビリティーとなっています。

 それらと同じ熱量や、文体、ムードを2話でも継続できているか。期待を満たし続けてくれるでしょうか。

 さて、『闇色の世界で、禁断の果実をほおばって 2話』を読みます。

 智子はダンピールになります。えっちぃ! 智子はミハイに輪切りにされそうです。

 失敬。

 面白かったです。2話の情報で、また少しキャラクターのバックボーンが掘り下げられましたね。

 ロシュという強力な護衛を手に入れるシーンとして、終了です。

 そして、ミハイとリディアは確かに同じ陣営にいるものですが。思想としては、対立していることもわかりました。薄っすらと1話ではそうとも予想はしていましたが。

 良いドラマ性です。

 ファースト10を考えてみましょう。ミハイとリディアが良い対比を作り出しています。

主人公   :ミハイ・フロレスク
主人公の能力:裏打ちされた経験と戦闘能力。しかし、それは「人間としてのそれ」です。
世界観   :異世界ファンタジー
異変・事件 :賞金稼ぎの襲来
問題・課題 :娘が吸血鬼としての生活を望んでしまっている。それを引き戻すことが物語の課題なのでしょう。
決意・覚悟 :ミハイは娘の治療を願っている。おそらく、絶望的なのか。

主人公   :リディア・フロレスク
主人公の能力:貴種としてのヴァンパイアの力
世界観   :異世界ファンタジー
異変・事件 :賞金稼ぎの襲来
問題・課題 :老いていく父を前に、約束された孤独感。
決意・覚悟 :リディアはさして、治療を望んでいない? おそらく、ミハイをヴァンパイア側に引きずり込もうとしている?

 物語には思想の対立者が必要です。それらの役割の多くは敵対者に委ねられるのですが。今作の場合は、お互いに味方である両者がお互いの関係性に対立をしている。という構成です。

 面白くなりそうですね。

 でも、結末は見えた気がします。多分、ミハイは最後に献身的な犠牲とともに物語から退場してしまいそうですね。苦み走った結末として、娘に道を示して死んでしまいそう。

 読むの怖い作品です。

 でも、私は続きを読むでしょう。ちょっとえっちぃので、家族には内緒で読むでしょう。

 ぜひとも、最後まで書き上げてほしいと思っています。

 私の本棚に並べたい本です。

 3話の執筆お励みください。応援しています。


AI自動生成なんて創作じゃねえ!

タイトルについて

 AI過激派な感じで遠巻きにみていたいタイプです。

あらすじについて

 AIに関する部分の話題ですね。人間らしさとか、AIに関連する部分でもそうですが。エンタメ界隈において「面白さ」というのは、トライ・アンド・エラーの世界ですし、私は肯定的に捉えている人間です。

本文について(1st Set)

 面白いかどうかで、言うと、面白さを最初からアクセル全開で出してきていますが。どうなんだろうか。二話、三話があるとのことですからね。この面白さを維持できるんでしょうか。

 多くの課題を示した作品ではあるんです。

 AIの活用からして、擬似的な恋人を「復活」させるグロテスクな関係性を提案したと思えば、人口の調整であったり、管理社会的な性質を示してみたり。相反する性質のテーマを提示してしまったので「読者はなんの方向性で楽しめばいいのか?」という部分で迷子になった読者がいるのではないか。と考えています。

 ちなみに私は迷子になっています。

 個人的にAIは「人間の一歩手前」を常に学習して、模倣して、大量生産する程度の能力にとどまると予想しています。

 新しい、ムーブメントやエンタメの組み合わせ等を発展的に大量に試行する。まではできないんじゃないか。いや、できるのか。

 こればっかりは作中で「面白さ」とは? とか、そういった方向性でのアプローチがあるものと期待していたので、違ったものを読んだ感があります。

主人公   :物垣ライタ
主人公の能力:AI人間
世界観   :SF世界
異変・事件 :炎上騒ぎ
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 現状、炎上に対して霧吹きでガソリンを撒いた博士の構図で終わったので、二話、三話がどうなるのか。どういう提案をするのか。非常に興味深いですが。一話目で多くの風呂敷を広げた作品であり、どのようにまとめていくのか。興味深い作品です。

本文について(2nd Set)

 楽しんでくれていましたか。賑やかしとして、皆さんが楽しんでくれてるならよございました。智子の個人的な勉強のためにも、感想を残していたりします。

 他の作品の感想にも残しているように、予想と期待から考えてみます。

 予想

 暴徒が現れるっていうわけですから。この炎上騒ぎに大してどう対応するのか。押し寄せて来るってんですからね。これがもしもバトルものとかだったら、それらの暴徒という課題に対して、武力で対応するんでしょうが。そういう向きの描写もなかったので、想像がし辛いですね。

 期待

 基本的には1話で示していた「男性向け」作品に登場するような、魅力的な体つき及び行動を展開してくれる女性キャラクターの登場であったり、そういったムードは保ちつつ、新しい展開に移るのだと期待しています。


 予想と期待が非常に難しい作品です。1話の時点の感想でも触れてはいたんですが。SF作品としての「要素が多い」ので、どの方向性の楽しみ方を提供しようとしているのか。誘導が薄い作品です。

 よって、その誘導を固めるために2話が展開されると予想しています。

 主人公はライタだと思っていたので、1話時点では、主人公(目的を持った、成長要素のある人材)が不在となってしまうので。2話次第で「どんな物語にもなり得る」という広がり自体が、読者の獲得を逃したのではないか。とは予想していたりします。

 さて、『AI自動生成なんて創作じゃねえ! 2話』を読んでいきます。

 えっちぃシーンを入れたら、智子がなびくと思ってるんでしょ?
 危なかったですよ。

 期待していたように、物語の方向性を固めてくる2話でした。

 でも、引きが「ヒロインの実体化」によるもので、今後、ヒロインの命やメンテナンスと引き換えに隷属を強いるのだろうなぁ。という予想で2話は終わりました。

 主人公の能力がまだ未知数なところはありますよね。ある程度、推測はできるんですが。どのようにスリルや葛藤を生み出すのか。制約をもたせられるか。そこの部分で物語の期待値は変わりそうです。

 ファースト10も情報が更新されました。

主人公   :物垣ライタ
主人公の能力:AI人間(AIという高性能というわけじゃなくて、代替の生体マシンとのこと)故に、クローンボディがあれば復旧可能。
世界観   :SF世界
異変・事件 :炎上騒ぎからの撲殺事案
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 問題・課題にかかる部分が、まだ具体的に触れられていないことは。3話への期待感に陰りが出たようにも感じます。

 イベントは起きてる。しかし、主人公が何を望んでいるのか。何を目的に物語に介入するのか。能動的な姿勢のあるキャラクターではないので、彼が能動的に切り替わるイベントが「カグヤ」の登場なのだろう。と予想しています。

 書き出し祭りの作品でもそうなんですが。

「この作品がどんな感情を約束してくれるのか? どういう楽しみを見いだせるのか?」

 といった部分で見た時に「未知数でありつづけること」というのは読者のリーダビリティに影響を与える要素だと考えています。

 ムードでは伝わっているんです。ライタというAIを搭載した人間が、魅力的なヒロイン達とキャッキャウフフする。それは十分にアピールされています。そこの1点を持って、ついてきている読者はいつまでもついてくる作品です。

 しかし、そのキャラクター達が今後「何を試されていくのか」が見えづらいエピソードが多く、目的も未だ不在(多分、ライタはヒロインと結託して親に反抗するとか?)なままです。

 3話までを通して、主人公のスタンスが明確になるかならないか。で、読者が「どっちに期待して読むのか」という誘導がなされると思います。

 ネット上の読者はかなりシビアなので、第1話でその方向性を示さなかった場合はついてきてくれていないとは感じます。

 しかし、男性向け作品が、ドラマよりイベントを重視する傾向があるのだとしたら、この書きぶり自体が正しい方法なのかもしれません。

 続くイベント自体が、読みとしての楽しみと考えるならばですが。

 3話はどうなるんでしょうね。敵対者がどっちになるかなんですよね。博士かAI否定派か。

 案外、ライタが集団訴訟でも起こしますかね。その展開も度肝抜きますがね。

3話が待ち遠しい作品が増えた感はあります。




三つ手の彼!

タイトルについて

 わからん。おててが三つあるんですか? 三刀流できますやん。

あらすじについて

 わからん。各話タイトルで押し込む。19回書き出し祭りの作品を思い出します。独創的なあらすじです。

 ジャンルがわからんです。ラブコメディであろうことはわかりましたが。異世界ファンタジーなのか。現代ファンタジーなのか。
 基本的に書き出しコロシアムって一般の読者層より、書き出し祭り関連の関係者が集まるイメージなので結構突飛なことしても、皆さん読んでくれるような気はしています。この突飛さにみあった本文なのでしょうか。

本文について(1st Set)

 突飛でした。見合っています。

 作品のスタイルというか。文体や言葉の用い方で、作品の世界観を提案することができるんですね。

 ラブコメディともあるので、ラブ要素のある少女の視点の作品です。

 小説って基本的に「読者の想像力に委ねる」部分が大きい作品です。作者が想像するキャラクターと読者が受け取るキャラクターには乖離が生じるものです。

 エンタメの幅も広く。描写されるキャラクター達のイメージ像というのも多くの方がそれぞれに捉えていますが。

 私はこの作品を「実写的」なそれではなくて「ディフォルメされたエンタメキャラクター」的なもので印象を整えました。

 さやえんどうの存在や、独創的な髪型等からアニメ調のそれではないか。とも捉えたし、多くの人がそのイメージを持てた作品ではないでしょうか。

 その部分を共有できた時に「この世界を飲み込める」という作品でした。

主人公   :私
主人公の能力:不明。燃え上がる恋心でしょうか。
世界観   :現代ファンタジー
異変・事件 :不明(強いてあげるならば、ライバル登場?)
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 この作品は「ラブコメディ」なので、最終的に結ばれること。を読者は臨んでいます(多分)し、それらのプロセスを楽しみたい人々です。

 ここで、効果を発揮するのが「あらすじ」なんですよね。

 第三話で撃ち抜いちゃう?

 女性視点のラブコメディは順番に読んでいって、この作品が初めてかもしれません。

本文について(2nd Set)

 この作品を読んで、投票した人の予想と期待を想像してみます。

 予想

 あらすじにも記載のあった、各話タイトルから考えるに8月に何かしらのイベントを用意しているものと考えます。夏らしいなにか。夏休みですかね。

 期待

 1話で示した恋やラブロマンスとしての期待感を保ったまま書いてくれることを期待しています。
 参加者一覧にいないことは承知なんですが。どうしても他の作家さんの名前がちらつく文体です。
 元気いっぱい。天真爛漫な少女マンガの主人公のような文体です。

 文体だけで、作品のジャンルを確定させてしまう力ってすごいなぁ。と思います。

 さて、『三つ手の彼! 2話』を読みます。

 面白かったですね。少女漫画的なコミカルな世界観であることを、1話の時点で飲み込んでいたので、数々のイベントが「主人公を引き立てる」要素として展開していますし。最後の「下駄でサッカーボール」についても、世界観にあったコメディ調のイベントとして仕上がっています。

 母の無情さもよございました。

 書き出しの向こう側として考えた時、基本的なムードや約束を崩さずに2話を展開できた作品は1話の票を継続できます。更に、新たな要素を示すことができたら、他の客層も飛び込むと考えています。

 この感想を書いている11/30時点では、書き出しコロシアムの公式から敗者復活戦の投票の中間発表がされています。

 1話の魅力を継続した作品は、そのまま得票が期待できると思っています。1話の時点でおおよそ、作品の魅力とされるアピールができていた作品が揃っていたので、敗者復活戦の上位陣が2話で転ばない限り、大きな順位の変更はないのではないか。と考えています。

 予想ですがね。

 やはり、私達書き手に必要な力は「1話でついてきた読者のために書く」という力だと思います。その点で言えば、この作品の安定感は抜群でした。

 次、撃ち抜いちゃうんですか?

 彼が撃ち抜かれるかどうか。を非常に気になっています。

 私は非常に硬い男ですから。未婚の男女が二人であっているというだけでけしからんと思うタイプです。ここで、ヒーローが彼女の告白に応えないのであればそれはもう裏切りです。

 4話があるってことですから、一波乱ありそうですが。


北限より来たりし物

タイトルについて

 わからん。者ではなくて、物としているのもなにか意味がありそうですが。タイトルからはジャンルがわからない。深読みすれば、ファンタジーなのか。

あらすじについて

 あらすじは無いようです。

本文について(1st Set)

 わからん。
 全くわからんという訳では無いんですが。
 この作品の最も強くアピールしようという部分が見えづらい作品でした。

 最後の一文が、作品の中での「悲劇」として描いているように捉えましたし、それらを持って「引き」としているようです。

 ネット小説としての一話目で見るならば、十分な量であるし、次のページにかかる部分であれば私は続きを求めて読む内容です。

 しかしながら、あらすじが無いというのもネックであり、次の展望にかかる描写が薄いので、推しづらいですね。

 私を含めて、多くの人が好むであろうハイファンタジーとしての空気感はあるので「読める」のですが。「今後のログライン」が見えないので不安な作品でした。

主人公   :スウェル(多分、死んだので、本当の主人公は妹の可能性あり)
主人公の能力:猟師として弓を扱う力
世界観   :王都という言葉がある位なので、王という統治者がいるファンタジー世界
異変・事件 :奪いし者の襲撃
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 この作品に限らずですが、作品の大目的等を示さずに主人公達の置かれた環境やバックボーンの描写にとどまる作品が目立つイメージです。

 先の展開が約束されない。というだけで、不安です。あらすじがあればまた違った印象の作品になりそうです。

本文について(2nd Set)

 あらかた智子の感想依頼受け付けが終わったあとに、依頼を出してくれる優しい依頼者さん。ありがとうございます。

 賑やかしであります。智子です。

 さて、他の方の感想と同様に予想と期待から考えてみます。

 予想

 わからん。わからんですなぁ。とはいうものの、出てきている情報だけで考えたらこのあと。ティセ(1話で弓を扱っていたスウェル少年の妹)が2話で活躍するんじゃないでしょうか。
 あらすじもないので、この作品が「何をしようとしているのか?」「どんな楽しみを提供しようとしているのか?」といった基本情報が見えない作品なので、想像し辛かったですね。家族愛とかそういった情愛に関する作品なのだろうとは感じ取っています。

 期待

 予想の部分でも書いたんですが。未知数な作品なので、ある程度自由度はある作品だとおもいます。妹思いの兄がいて、その兄の自己犠牲によって妹は助かった? というようものでしょうか。とにかく、悲哀を連想させる始まりではあるので、この作品に「無邪気なハッピーエンド」を期待して、一票を投じた人は少ないと思うんです。
 つらくても苦しくても、妹さんが幸せになってる物語を期待はしていると思います。

 北からクリーチャーがやってくる。という設定を大事にしながら、2話でクリーチャーとの対峙などを期待しているのではないでしょうか。

 さて、『北限より来たりし物 2話』を読みます。

 あああ。お兄さん! ああああ。お兄さんはぁああああ!

 といったように、情緒不安定になりました。2話目にしてどんな話なのかわかってきました……

 ああ。うーん。怖い。1話目にあった伏線がかなり効いてきます。ボディブローみたいにじわじわです。

 誰であろう。
 その姿は、敬愛すべき父と母の顔に違いなかった。
 《奪いし者》たちは、かつて捕食した大切な人の姿を装って、襲撃してくる。
 それがもっとも効率の良い狩りになると、やつらは知っているのだ。

1話より引用

 敵対者である奪いし者は「擬態」の力があるようですし、2話の引きとして出てきた兄の姿も「それ」と同じようなものに思います。

 しかし、一縷の望みはあります。

 タイトルを思い出してみましょう。

『北限より来たりし

 奪いし者の「者」ではなくて「物」なんですよね。

 なので、おそらく「兄」は『奪いし者』ではなくて「北限より来たりし物」として人間ではない変質したなにかとして描かれているのかもしれません。

 ハードな世界観。世界が抱えている課題。主人公のティセがどんな力を持っているのか。どんな役目を持っているのか。2話で新たに情報が追加された作品です。

 ティセについて考えてみましょう。

主人公   :ティセ
主人公の能力:祓いし者として、奪いし者達への対抗する力
世界観   :ハイファンタジー世界。ちょっと重め。
異変・事件 :兄の帰還※
問題・課題 :払いし者達との対峙
決意・覚悟 :兄さん見つかっちゃった。←3話で新たな目標が設定されると思います。

 ※この異変や事件というのは、主人公の環境を変える事件と見るべきであって、どこから「ティセ」の物語は始まったのか? と見る時、兄との離別で大きな変化が確かなのですが。2話時点で「物語が動き出す異変や事件」と見た時、兄が帰ってくるという事件によって、今後の新しい展開が期待されるもの。と判断しています。

 非常に気になる作品です。人間ってやらしいもので。「可愛そうな話」が結構好きだったりします。そして、この作品は露骨に「可愛そうな」キャラクターを設定して、不穏さを出していますが。私は信じていますよ。
 このお兄さんがなんか、すごい強靭な精神力でいろんなものをねじ伏せて、妹の前に戻ってきたのだと。ええ。お願いします(懇願)。

 1話目と2話目でガラッと作品への期待度が大きく変わった作品でした。

 でもなぁ。どっちの展開になるのか。予想に予想を重ねている読後感なので、得票は難しいかもですね。しかし、描こうとしている作品の魅力やアピールは十分に伝わりました。

 2話まで読んだ人がいれば、投票の傾向に動きそうないい作品だったと思います。

 投票先に悩みますね。





魔王の娘と旅をした。

タイトルについて

 過去形なので、何かしらの物語が終えたないし終える約束のあるタイトルに見えます。魔王という言葉からファンタジーイメージでしょうか。

あらすじについて

 タイトルのイメージ通りのあらすじでした。未来の勇者という性質からして、時制を飛び越え、主人公を導く存在としてヒロインがいるんですね。面白そうです。おそらく、彼女は主人公のことを主人公以上に知悉していて、それらを導くためにやってきたのでしょうかね。エモいですね。違ったら違ったで「こいつ勘違いしてら」と笑いものにしてやってください。

本文について(1st Set)

 面白い作品です。キャラクターの物語の動機だったり、バックボーンについては突飛なものはいらんのです。両親を殺された。それだけで、少年が何かを願って、戦う理由には十分なんですね。私はこういう明瞭さを持たない書き手なので、参考にしたいです。

 そして、この作品の提案している魅力というのが「家族の復讐を願い、魔族に嫌悪感を持っている主人公」が「魔族の娘」という明らかな敵対者からの求婚を含めた、ラブロマンス的要素も加味した作品です。

 10年という長尺を約束しているので、大きな構想の作品がありそうです。

 世界が抱える問題と彼らが今後どのように物語に絡むのか。想像が膨らむいい情報量だったと思います。

本文について(2nd Set)

 賑やかしになっているでしょうか。ポツポツと感想を書いております。おまたせしております。

 エンタメ作品として申し分ない1話だったようには思っています。もうちょっと得票を集めると思ったんですが、男性向けのジャンルでもあるので、純粋な好みでバラけた結果だったのかも。

 予想

 いやもう。わかってますよ。アデルが覚醒して、なんやかんやでしょ!

 わかってますよ。むしろ、投票した人はそれが見たくて投票したんですよ。

 期待

 押しかけ女房という言葉もあるように、押しの強い乙女が、主人公を導くといった形の「アドバンテージ」を一定握った形で、そばにいてくれるタイプの物語です。

 押しかけ女房好きです。押しかけ女房をいつまでも待っています。

 この二人の関係性を崩すことなく、エンドレスワームを討伐後も、両陣営から睨まれる(あらすじにある通りの敵対者達)等の、今後の物語を予想させる形でイベントが迫ってくることになるんでしょうか。

 私が個人的に気になっているのは「ヒロインはどうして主人公が勇者であると見抜いているのか?」という部分です。

 実はこの部分は物語の今後に大きな影響を与えかねない要素だと思っていて、未来からヒロインやってきた。みたいなSF設定打ち込んでも、ご飯3杯は食べれちゃいそうです。

 さて、『魔王の娘と旅をした。 2話』を読んでいきます。

 読みました。面白いですね。
 どうして、面白いのか。をちゃんと考えないとならないんですが。

 大体どの作品もそうなんですが。面白み自体はどの作品にもあるんですよね。その面白みが「ターゲットとして刺さった時」に「ああ、こいつは面白いかも」という風に期待値に切り替わるんです。

 そもそもですが。智子は1話時点で投票している作品なので「ああ、順当に面白かったなぁ」と満足した読者です。

 やはり、期待としてもっていた「押しの強い女性キャラクター」が「ヒーローを魅惑する」といった構成が大好きで仕方ないし、余裕のあるお姉さんに導かれるように気持ちよくなりたいんです。ええ、そうです。しかし、その余裕を持つためには女性キャラクターは「フィジカルの面で優位性が存在すること」が必要になってきます。

 魔王の娘ってもう戦闘力53万(フリーザ様)でしょ。私は戦闘力5(農夫)です。

 そういった関係性を1話から崩すことなく、2話でも提示できたこと。そして、次なる敵対者が登場することなど、あれよあれよと次なる展開でめくる手が止まらない奴です。

 まだ、全ての作品を読んではいないので、確定ではないですが。おそらく投票している作品じゃないでしょうか(11/28時点)。

 多分、3話で能力としてはまだ未知数なヒロイン、ノインの手によって窮地を脱するか。村を守るか。どっちに転がるんだろうか。

 ただ本当に。面白かったというだけの感想で申し訳ないです。深読みも何もないですわ。

 エンタメ作品で大事なのって『1話時点で約束したムードや魅力』を継続しつつ、新しい情報を展開すること。だと思います。

 その点でみるなら、この作品はお手本にしたい秀作であろうかと思いました。

 私もこういうふうにサクサク書きたいです。


催眠アプリを手に入れた! これでエロライフをぐへへへへ「今からお前達には殺し合いをしてもらう」…ぐへっ?

タイトルについて

 智子はズボンを脱いで、待機してていいタイプの作品なのかどうか。迷うタイトルですね。

あらすじについて

 まって、もしかして。期待していいのではないか? やっぱり、ズボン脱いだがいいですか。

 能力を持っているキャラクターが複数存在している。というのは、面白そうな要素ですね。

 催眠アプリのエロ漫画ってなんですか? 智子わかんない。

本文について(1st Set)

 主人公がヘイトを買う要素として、女性陣にとって不人気とされるような性質(性的な強要をものともしない倫理観、重度の処女信仰など)をもたせるなど、意図的な演出の狙いを感じるキャラクター設定でした。

 そして、それらの性質ゆえに物語の目的。生還を願ったアクティブなキャラクターとして物語で活躍し始めました。

主人公   :夢田 弘樹
主人公の能力:催眠アプリ(ちょっと制限がありますが。それこそが、物語を面白くする要素でもあります)
世界観   :現代ファンタジーのデスゲーム世界
異変・事件 :デスゲームの開始
問題・課題 :催眠アプリを活用した処女とのセックスを邪魔されたこと
決意・覚悟 :生還を決意する

 なにがすごいって、全部埋まってるんですよ。ちゃんとキャラクターの動機があって、戦略性のあるゲームとして展開している。

 正直なところ、これらの「デスゲームもの」を読解する力を智子があまり持たないので、絵面の想像はちょっとしづらい所はあります。漫画原作とか絵がある作品としての方が強い訴求力がありそうです。

本文について(2nd Set)

 この作品を読んで、投票した人の予想と期待を想像してみます。

 予想

 1話でモデルを示したので、読者の予想はたちやすいと思います。デスゲームとしての世界観は示したので、次は別の能力者(クラスの女子の半分は竿姉妹な時間停止能力者「水留 孝」←彼が一番気になっています)を交えて、デスゲームを生き残っていくことになるのでしょう。

 期待

 主人公にヘイトを高めながら、進んでいく物語構成を1話で示したので、そのムードを崩さずに、下心を原動力に2話も大活躍されることを期待していますし、それを読みたくて投票していると思います。
 私は「ゲーム性のある」小説を嗜まないので、投票から除外はしましたが。作品の魅力としては十分に伝わっております。

 さて、『催眠アプリを手に入れた! これでエロライフをぐへへへへ「今からお前達には殺し合いをしてもらう」…ぐへっ? 2話』を読みます。

 水留。お前同じクラスだったのかよ。

 あらすじに記載のあった人物3人のうち、2人が登場しました。

 さらに、最後の引きに、同じクラスの去来川(いさがわ)が超能力者であるという情報を提示して、読者への「謎」としての誘引がありました。

 去来川ぁ。お前もクズだったのかよぉ。

 面白かったですねぇ。1話のときより、バトルのルールがシンプルだったので、私も飲み込みやすかったです。

 こういったデスゲーム系の「被害者」の多くは、学校の中で幅を利かせた横柄な奴が退場していったりするんですが。ガリ勉の田中君をしばきあげるなども、新鮮で面白かったです。

 1話で投票した人をがっちり離さない。いい2話でした。序盤で示した期待を損なわない。

 内容が内容なので、読者は選ぶし、大量の得票は望めないんですけど。やっぱ読んでみたいですよね。

 3話確約というルールは参加者の皆さんに苦しいでしょうけど。観覧席としてこんな楽しい企画はありません。

 楽しみにしています。



人外ちゃんは命知らずの少年に離れてほしいようです

タイトルについて

 エンタメ小説としての期待がでます。人外ちゃんとあるので、人外がヒロイン枠としての男性向けのイメージでしょうか。しかし、少年とあるのでおねショタですか。おねショタですよね。ここ最近の智子は何を書いてもおねショタになる呪いにかかっています。

あらすじについて

 おねショタじゃなかったです。
 現代ファンタジーの、ラブコメ作品です。

 主人公が抱える特殊な設定がどのように、本文で展開されるのか。納得感とともにラブコメとして提案できるものなのか。内容を確認したいあらすじです。

本文について(1st Set)

 あらすじにもあったラブコメとしての関係性にかかる話の作品ですね。
 おそらくこの作品の一番の推そうとしているポイントが、美少女の人外とスリルとハラハラなラブコメでしょうから。それらを最優先にアピールした作品です。

 おそらくですが。妹さんの失踪だったりなんだりにヒロインは関わっているでしょうし「主人公を殺せない」という部分に関しても、チラ見えした妹さんの話題も関係がありそうです。

 ある程度、情報を撒いていて「確認してみたいだろ?」といったように釣り針を垂らされているのを感じる作品でした。

主人公   :西尾 伊織
主人公の能力:命が軽くなる認識
世界観   :現代日本。人外がいる。現代ファンタジーの世界観。
異変・事件 :ヒロインが人外であることを知る
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 三話まで約束された作品の一話ということもあり、二人の関係性から起因する物語の大筋はまだ見えていない段階の作品でした。

 大事なのは、主人公が人外の少女に好意を寄せた。という主人公の変化に関する話です。

 正直、恋に関する描写や話題というものは本来「説明できる」ようなものではないですし。理屈で理解されてしまった恋心は、エンタメ小説において余り受けがいいものではないです。

 なので、そこらへんをよく理解した書きぶりの恋心の領域の話です。

 大目的を見せる。より、二人の関係性の方を物語の重要な魅力としてアピールした作品のように捉えました。

本文について(2nd Set)

 この作品を読んで、投票した人の予想と期待を想像してみます。

 予想

 異色のラブロマンスにかかる作品ではあるので、主人公の盲目的なまでの恋心をフックに何かしらのアクションが予想されます。
 殺人の光景を見る。
 そこから、強い興味と好意を抱く。という変化のあと、好意によるアクションを予想です。

 期待

 おそらくですが。ラブコメよりかは、ラブロマンスよりなので、殺人に関するフックはあるんですが。それについての治安維持の面からの現実的なアプローチなどは描かれていないので、今後もそこは触れないで行くのだと思います。ギャグ漫画の世界線で、次のコマには流血治ってる。みたいなお約束のような空気感で行くのだと予想しています。

 1話でも示された舞台である。学校や、放課後の街などを行き来することになるでしょうか。

 さて、『人外ちゃんは命知らずの少年に離れてほしいようです 2話』を読みます。

 ある程度、ヒロインの人外ちゃんに関しての課題というか、予想される目的地みたいなものは朧げながら見えた気がしますね。

 作品の設定としては突飛で、現実離れしたものではあるんですが。彼女が抱えている課題というのが「他人からの好意への不信」という不能感があるのでしょう。

 学校で八方美人的な振る舞いをする。というのも、その不能感を隠す現れであろうし、それらを「崩す」存在として、主人公とヒロインの関係性が揺れていること。
 それは立派なラブロマンスです。

 1話で示した方向性のまま、情報を展開し、次のイベントに向けての2話だったように見受けました。

 3話では、彼女からの連絡によるアクションでイベントが起きて、主人公は何かの決断を迫られると予想しています。しかし、どうなんだろうか。この主人公がなにかにおたつき、動揺している未来が想像できない。
 作品コンセプトとして見るならば、人外ちゃんがワタワタする。というふうに予想できます。

 主人公が何かしらの成長要素のある人材に見えないんですよね。こういったパターンの主人公って、成長をするのではなくて「成長を促す」ものだったりします。カタリスト・ヒーローと呼ばれるタイプです。

 おそらく、成長要素のあるキャラクターというのは「愛されること。好意を向けられることへの不信感があるヒロインが、愛されること、好意を向けられることを受け止める」といった成長要素を提案しようとしている作品なのかも。

 妹はおそらくだけど、人外ちゃんに食べられてるんじゃないか。とも思っているので、その情報開示をもってしてヒロインからの「露悪的」な態度をさらに受け止める主人公といった構図で3話を引くのかも。

 いっそのこと腕一本食べられるのか。それでも動じないとか?

 どういう3話になるのか。ここまで動じない主人公ともなると、扱いが難しそうですね。どう魅せてくるのか。3話に興味を持てる突き抜けたキャラクター性でした。


無用の塔

 タイトルについて

 わからん。わからんよ。やっぱり、わからんです。

 あらすじについて

 わからん!
 多分、ファンタジーですか?
 作品の提案しようとする魅力がわからん。独自性を持たせていきたい作品なのかもしれません。

 しかし、娯楽作品というのは99%の類似性と1%の独自性で構成されるので。周辺情報がこのままわからないまま展開する時、娯楽小説としてはあまりむかないかもしれませんね。

 本文について(1st Set)

 ああ。どういうものかわかりました。

 書き手の方においては、あまり気分が良くないかもしれませんが。
 智子と似たような書き手の方だとは思いました。
 語り手の「僕」本人に寄せて書く作品であるので、それらと同じ水準で世界を捉えようと描写を重ねています。
 この描き方というのは「一人称作品」のルールに徹しており、細部の描写で世界観(ナイチンゲールの存在)を固定させよう。という意識も見えます。
 そして、この方法を選んだのは「二話、三話」と続きを書けるからこその方法です。

 現状のこの段階で「面白くなりそう!」と絶叫する作品ではありません。

 彼の飛んでしまった記憶等を探ったりするような「謎」によって誘引を図っていますが。効果を発揮できないのではないでしょうか。


主人公   :「僕」
主人公の能力:不明
世界観   :ヨーロッパ
異変・事件 :不明
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 記憶を失った段階からの「僕」の意識を描写することはルールとして適切ではあるのですが、物語がまったく動かないので非常に苦しい一話目です。

 二話目、三話目がある。と確約があるので、どこまで描きだして、物語の「目的」や「大目的」及び「小目的」等のストーリーの導線を見せることができるか。で、今後の評価が分かれそうな作品です。

 二話、三話が確約されていると。このスピード感の作品で勝負する方もやはりいらっしゃるんですね。

本文について(2nd Set)

 書き出しの向こう側という部分もあるので、この作品に魅力を感じ、得票をした人達の予想と期待を考えてみます。

 予想

 記憶を少しずつ取り戻しながら、描写と関連付けてストーリーが展開されていく作品であるので、同様の構成で、記憶を辿っていくものになると予想しています。

 期待

 一人称の視点であり、制限のある形で少しずつ情報開示がされること。一対一でキャラクターの過去の情報が開示されていく。それも性急な方法ではなくて、五感を通して、励起される描写を期待しているでしょう。

 1話からムードを崩さずに、2話でも同様の進行が進むのではないでしょうか。そういったことは読者は望んでいる筈です。

さて、『無用の塔 2話』を読みます。

 描かれる描写の性質から、片鱗はありましたが。おそらくですが、この語り手は「信用できない」タイプの語り手であろうかと思います。

 ミステリーの用語なので、厳密には違うんでしょうが。

 1話でもとらえどころのない描写や、不安定なそれは現れていましたが。おそらくですが、主人公が描写するそれは「幻覚や幻聴の類い」であったとしても不思議ではない。そんな情報が2話で展開されました。

 精神的に何かしらの問題を抱えている主人公の語り手ということが描写されたので、1話にあった諸々の描写自体も全て「主人公が思い込んでる」可能性はありそうです。

 1話のムードは継続された形で、新たな情報が付記されました。

 ファースト10も情報を追加してみます。

主人公   :「僕」リース
主人公の能力:精神的な問題を抱えている。
世界観   :ヨーロッパ
異変・事件 :落ちたこと
問題・課題 :不明(明らか、彼の状況は課題ではあるんですが。それを問題と捉えているようには見えないですね)
決意・覚悟 :ルシアンとともにいる

 少しずつ、情報が開示されて、リースとルシアンの関係性にかかる情報が見えつつあります。

 リースはおそらく「願った形」となっていて、物語の状態としては「安定した」形になっている状況です。

 物語って常に。安定と変化を繰り返していて、彼は「落ちる」ことで変化を求めて、「不思議な身体」と「おぼろげな記憶」を手に入れるのです。

 ならば、実は彼にとっては「安定した」状態ではあるので、次の3話で変化を与えることになるんでしょうかね。

 1話で掴んだ読者は満足できるムード感で、情報の提示はあった作品のように感じました。

うろくづのまなご

 タイトルについて

 意味がわからんですね。まなこ(眼)と思ったんですが、ひらがなで書いているし、別の意味なのかもしれません。タイトルではなんの作品なのか不明でした。

 あらすじについて

 わかりやすいあらすじでした。作品の趣旨や傾向も十分です。
 物語上の価値観の対立者として予想されるキャラクターの配置も十分効果を発揮しています。
 あらすじの時点でキャラクター達が「なにもの」であるのかを示すことは十分な興味をそそる要素です。

 颯真=「楽園」とされるコミュニティ出身の少年
 巳緒=「楽園」外の少女
 斉木=オカルトライター。彼の存在がロミオとジュリエット役の二人を描写し、物語を追い立てる存在として期待。

 キャラクターの配置や、説明設定によって「作品の世界観」まで固定できたことは非常に力のあるあらすじだと思ったので、智子の養分とします。

 私はあらすじの前段で、勝手に「プレッパーズ」の物語と捉えていたのでオカルトライターの記述で世界観の修正をしました。

 三人も出てくると、ある程度世界観が固まって期待感が上がりました。

 本文について(1st Set)

 テラーとして上手な作品です。
 読者が読みたいのは「高尚なネタ」ではなくて、魅力的な舞台で動き回る魅力的なキャラクター達が見たいということをよく理解できた作品です。

 読者達の、因習村としてのそれに期待されるものは「セクシズム的な危険に満ちた」ものを求める傾向があろうかと思います。しかし、この作品はそこを外して「因習村」とされるであろう『楽園』のコミュニティを少年にしています。少女ではなくて、少年にした理由が今後明らかにされるでしょうか。
 物語上のスリルを「セクシズム」を活用せず、本人達の「価値観」に重点を置く。というスタイルの表れなのでしょう。

主人公   :颯真(楽園コミュニティ)
主人公の能力:教義に対して批判的な思考
世界観   :現代日本
異変・事件 :少女との出逢い(ボーイミーツガールですからね!)
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明

 次の二話、三話が確約されているというのは強いですね。

 本文全体で「これから何が起きるのか?」(少女との出会いやオカルトライターの参入で楽園の破壊等)というのは明らかに予想できる描写の撒き方です。

 この作品の提案する魅力というのは「一つのコミュニティの破壊までのプロセス」を楽しむ等の要素であるし、それを汲み取れた読者にとっては申し分ない書き出しの作品でした。

 祝詞好きです。

本文について(2nd Set)

 深読みできますかねぇ。こういうふうに、賑やかしとしてご依頼頂いて嬉しいです。書き出しの向こう側ということもあって、二話以降の皆さんの技術に触れることで刺激を受けています。

 さて、第一話時点での予想と期待を考えてみます。

 予想

 この作品に関して正直「あれ、得票少ないねぇ」という驚きのある結果ではありました。どうしてだろうか。なんてことを考えたんですが、やはりバックボーンにかかる描写が多い作品というのが、得票に関しての誘導が少なくなってしまったのではないか。とは考えます。しかし、バックボーンが十分ということは尻上がり的に面白くなるものですし、コミュニティの破壊者となり得る斉木が何かしらの能動的なアクションとともに、物語を牽引するのではないか? と考えています。というか、彼がどうにか突破口を見出してくれそうです。

 期待

 価値観に関しての対立であったり、破壊であったりの不穏さを押し出した作品だったので、そこの部分の対立や懐柔を含めた作品になっていくことを期待していると思います。

 しかしながら、食べるものって結構宗教色があるんですよね。

 イスラム教とかはハラル食というのだったか、食べるものに制限がありますし。お肉に至っては「ハラルミート」とかいって、ちゃんと「免許」を持った人がさばいたものでないと食しちゃいけません。といった制限もあります。
 個人的な私見ですが。イスラム教が勃興した当時の、肉屋の衛生面の問題とか、利権の絡みとか。いろんな物があっての宗教的な規則とかもあったでしょうし。表に出てくる「規則」の裏側には一定の合理性があるものです。

 合理性を引っこ抜いて「ルールであるから」といった盲目的なまでの信者もいらっしゃいますし。隠れてお酒を呑んでるムスリム(イスラム教の信者)もおります。歴史上飲酒を称賛したムスリムの詩人もいます。

 皆さん、うまいこと建前使って生きておるんです。

 今回の場合の主人公の颯真はおそらくその盲目的な部分のコミュニティの人材ですし、それらの崩壊に伴う苦悩等のちょっと陰惨なテーマを読者は期待している作品ではないかな。とは思っています。

以下、うろくづのまなご 2話の本文感想です。

 正直な感想を申し上げるならば。読後感の変化に驚いています。

 この作品って、ホラーだったのかも。二話の文章の最後は、そういう意味なんでしょうかね。途中から「え? 主人公食べられちゃうん?」みたいな、不穏な文章に捉えました。

 しかしながら、明言はしていない程度の書きぶりであるため読者は判断に迷っているかもしれませんね。

 その不穏さをもって引きとしている。スリルを出してきたというのであれば、その狙いは十分に理解しました。

 理解しましたが「作品を通して提案される危険やスリル」が明確でないことは、ジャンルとしての不安定さに近いものがありそうです。

 オカルトライターの斉木が導かれる形で「集会に参加」することになるのではないか。とも思っています。

 そこで、集会の異常性等が示されるのか。

 うーん。

 第一話で示されていた情報だけで見るならば、作品全体の不穏さまでは表現がなかったので、第二話での転調等がどう効果を発揮するのか。

 因習村に絡むものって、基本的に「セクシズム」的な要素が強い作品が多いので、権威者が女性であり、心身ともに少年を支配しているといった構成は正直珍しいとは思いました。そして、その構成自体に魅力を感じることもできるのですが。一話時点でそれらが明確なアピールはされていなかったので、その関係性に魅力を感じる人達はこの作品にまだ届いていないかもしれません。

 ええ。智子はおねショタ的風味のある、高圧的で支配的な女性と少年の構成が大好きですよ。

 どの魅力からアピールしていくのか。書き出しの難しさを感じます。

 二話を読んだら、印象が変わる人はいくらかいるようには思う作品でした。

 書き出しコロシアムの企画内容面白いですね。

 自作の作品の「魅力」や「集客」になり得る要素を客観的に理解して、どの要素から明確にアピールしていくか。そして、自分の作品上のテーマを見せていくか。というのが問われる勝負なのだなぁ。と感じています。

 ファースト10も変化がありました。

主人公   :颯真(楽園コミュニティ)
主人公の能力:教義に対して批判的な思考
世界観   :現代日本
異変・事件 :少女との出逢い(ボーイミーツガールですからね!)
問題・課題 :集会というイベント
決意・覚悟 :不明

 集会に関する情報が付与されました。これは読み違えか。ミスリードか。ええ、主人公食べられちゃうん? いや、違うよね。そういう描写にしてるだけか。

 現状、撒かれている情報のみで見ると。「予想」はし辛い作品なんですよね。見せる導線というか。今後のイベントに「ヒロインがどう絡むのか」が見えづらいので、読者の誘導は難しい気がしています。

 このあとは斉木とヒロインが出会って、結託するとかなんでしょうかね。

 この三人がどのように絡み合うのか。そこまで示されるものと思って、読みに来た読者は面食らうかもしれません。

 三話でそこまで書かれるのか。物語の全体を予想させるところまでを三話では見てみたいでしょうか。


誰が召喚獣じゃボケ 〜一文無しの魔女見習いは、目が離せなくて手がかかる〜

タイトルについて

 ファンタジーですね。金に困窮したキャラクターというのは強い共感を持てます。皆さん、過去に困窮した経験はあるでしょう? 無いならば、そのまま安泰した人生を送ってください。

あらすじについて

 面白そうです。ラブ味が薄めのツッコミありのコメディ作品でしょうか。『ゼロの使い魔』を例に出すと、知らない人は知らないって普通に返されそうです。
 本文の興味が湧きました。

本文について(1st Set)

 面白そうですが。まだ、足りない感があります。これを言うと「お前は一話に欲張りすぎだ!」とか言われそうですが。

 個人的には、ファンタジーというものに「スリルや課題としての困難」を期待する読者であるため、キャラクターの関係性を規定するための出会いや、二人のコメディ調のやり取りのみでは、物語としてはちょっと期待が薄まっています。薄まっていますが、面白そうなんですよね。

 物語というよりかは、二人のやり取りや関係性を見ていたい。と思わせることが目的の作品であれば、十分に効果を発揮したと思います。

主人公   :鏑木颯太
主人公の能力:不明(召喚されたのには理由があるらしい)
世界観   :異世界ファンタジー
異変・事件 :召喚される
問題・課題 :カトレアの旅路に伴うこと
決意・覚悟 :不明

 異世界転移や召喚に関する物語の基本的な主人公のスタンスというのが、飲み込みの速さというのはあります。それ自体の飲み込みの速さや無意識化での異世界への受容的態度などをテーマとした作品もかつて読んだことがあるので、この作品の主人公が「どのようにこの世界を受容していくのか」という部分は個人的に興味が持てた作品です。

 ボケとツッコミって大事ですね。

本文について(2nd Set)

 賑やかしに応募ありがとうございます。全感想している民だし、余りこないだろうと思いながらやってたので、一番に依頼があって安心しました。

 第二話を読む前に、第一話時点での作品に関する予想と期待から展開してみようと思います。

 予想

 旅立ちのシーンが第一話であったので、次は旅立ってからの「第一関門」にかかるシーンを予想しています。一体どういった困難を提示するでしょうか。予想としては、やはりおカネでしょうか。あらすじにも書いていたので、そこをフックに何かしらファンタジー世界を描写していくものと予想しています。

 期待

 召喚獣としての使命という部分がやっぱり、気になる作品ではあります。それとなくハードな根本的な設定も見せつつ、二人のギクシャクした関係性といったマイナスな要素から展開されるコメディ作品です。そのムードを崩すことなく、主人公がヒロインをどのように支えていくのか。期待しています。

以下、『誰が召喚獣じゃボケ 〜一文無しの魔女見習いは、目が離せなくて手がかかる〜 2話の本文感想です。

 手堅い書きぶりだと感じました。

 二話全体を通して、主人公の目的であったりといった部分を再度強調するなど、読者の誘導があるものでした。

 予想と期待の面から。概ね、読者の想定を満たした作品だとは思います。

 この作品もまた「読者の知性」を信じた書きぶりの作品です。

 カトレアについて

 何かしら課題を抱えた人物であること理解させてくれるエピソードが満載です。カトレアという人物が「対人スキルになにかしら問題を抱えていること」が明らかです。

 しかし、物事の道理はわかっているようで、主人公が適切に導きを与えるとその通りに動き、自体の収拾に動き出すこともできます。

 主人公(鏑木颯太)について

 彼はヒロインを導く存在や、サポーターとして振る舞いますが。そのサポーター的振る舞いの最中、彼自身が現在進行系で生傷としている「面倒見の良さ故の心痛」が示されました。

 物語の中で、彼はこの課題の達成をカタルシスとすることがアピールされました。

 二話まで読んで「おお。この作品はドラマをやるつもりだ。このコメディのムードでドラマをやろうとしている」と感じ取りました。

 個人的には「ドラマ」のある作品は好きなので、私は受け止めることができましたが。コメディを期待している人たちがこの「葛藤によるドラマ性」を好むかどうかはちょっとわかりかねます。

 現状としては、予想していた通り「第一関門」としての機能である。「金銭面の問題」という部分をフックに、主人公たちが文字通り「試され」ています。
 この金銭面の問題等を「どのように解決するのか?」それを見せることで、物語全体の方向性を決めることができたシーンです。しかしながら、それらのシーンを最後までは描かれませんでした。

 おカネが足りない。それについての、解決のシーンは第三話にお預けとなりました。

 おそらくですが。得票は難しいと思います。以前もそうでしたが、基本的に「ドラマ」よりも「メロドラマ」的な、動きのある激しいものを読者は好んでいる傾向があるので、対人関係の機微や、二人の関係性に重きをおいた作品構成としては、難しいかとは思います。

 しかし、この作品の魅力である。「二人の関係性」及び「二人がそれぞれに抱える課題」(カトレアはまだ秘密としているようですが……)等を描き出すことを目的とした作品であるため、得票のために。といって、根本の魅力を変えてまでこのスピード感やイベントの構成を変える必要はないかと思う作品です。

 三話にて「主人公の鏑木」がどのような助力や助言を示すのか。それを期待しています。

 知性なのか。暴力性なのか。それとも交渉なのか。

 それらの力の発揮の仕方で、今後カトレアを「どのように導いていくのか。どのように関係を築いていくのか」といった。今後の物語の指標にもなるシーンだったと思います。欲を申せば、そのシーン(第一関門の突破)までを二話とすることが効果的だったようには感じました。

 どうでしょうかね。2ndから参入した読者の方もいるので、一般読者まで含めると票がどう転がるかわからないところでしょうか。

 三話で主人公がどう決断するのか。楽しみにしています。

投票先(敗者復活)

色々悩みましたが。この形になりました。

『騎士令嬢と偽物悪女の共謀〜婚約破棄させたので自由に生きます〜』

 面白かったからしょうがないでしょう。キャッチボールのように交互に移行する視点や視座で、政治ものやるってんですから。楽しいでしょう。1話で、ちょい見せされてた要素を深掘り知て、二話で提示した。という順当な書きぶりのそれでした。面白かったんですもの。

『闇色の世界で、禁断の果実をほおばって』

 投票先選考過程にて、記載します。

『北限より来たりし物』

 悲劇を予感させてくれるものってだけで、もう選びたくなる悪い読者です。お兄さん頑張って!

キヒヒヒ……。

投票先選好過程

参考までに1話時点で投票していた作品についても言及します。

投票『婚活魔王(コブつき)を、幼女が勝手にプロデュース ~不幸を望まれた人質王女が、魔王国で溺愛されるまで~』

 準決勝作品にエントリーされている作品でした。順当に期待したものを読めたので、票を投じています。

無投票『誰が召喚獣じゃボケ 〜一文無しの魔女見習いは、目が離せなくて手がかかる〜』

 主人公のバックボーンを掘り下げる形での「溜め」となる2話でした。主人公のバックボーンに触れたり、ヒロインとの距離が詰まるであろうイベントなどを丹念に繰り返し始めた手堅い印象の2話です。それらと、2話でアクションやスリルを展開してきた他作品と比べると、投票の選好でなくなく、ずらした作品です。

無投票『魔王の娘と旅をした。』

 王道ファンタジーのそれとして、面白いのは認めるし、ヘイト管理された村長の頭が吹っ飛ぶなど展開の素早さ。ヒロインの茶目っ気など、多くの武器を持っていることを理解しています。そして、それは魅力ではあるんですが。すいません。もっとえっちぃなのが読みたかった。智子の煩悩を許してください。他にえっちぃ作品。好みのシチュエーションがなかったら、繰り上げ投票でした。

投票『闇色の世界で、禁断の果実をほおばって』

 えっちぃ!

 それだけじゃないんですけどね。現在、個人的な最優秀作品はこの作品です。えっちぃからってだけじゃないです。ええ。

無投票『悪役令嬢は幸せな夢を見ない』

 感想にも述べたんですが。アクションに伴うリアクションまで見て、物語の方向整理を知りたかった作品です。リアクションで叩き落されるのか。称賛されるのか。
 そこが分からなかったので、投票ができかねました。


智子への質問の回答

 丁寧にお返事ありがとうございます。逐一回答してみようと思います。

智子さんの感想は細部まで踏み込んでおり、それが読者にどう伝わるかまでの推測もあり自作他作ともに勉強になります。

マシュマロの質問箱より

 勉強になりますか。それは良かったです。その推測が当たってるかどうかは、結果見ないとわからんのですが。盛大に外しまくってきてますから。これやってて気づいたのは「智子の感性は少し人と違うのかも」という不一致をある程度可視化できるようになってきました。

 皆さんもすべての作品というのは難しいでしょうが。自分が投票した作品について、どんな期待を持っていたか、どこで期待を外したか。というのはメモとして持っていて、祭りの終わり、後夜祭の時にでも話し合うと、力になろうかと思います。
 だけど、感想を述べ合うというのは非常に高度なコミュニケーションであり、慮りが必要になります。

 揉めないように気をつけましょう。

 私も勉強を兼ねて、色々と感想を書いています。

特にファースト10という評価基準を初めて知ったため、感銘を受けております。 ただ、簡単に調べてみたのですがファースト10という言葉はネットではでてきませんでした。智子さんのオリジナルでしょうか?

マシュマロから引用

 智子のオリジナルの言葉ではありません。この考えは私も拾い物です。
 ドンキーコングのアイコンのDK先生(@game_sennin)のツイートからです。この考え方で整理したのは結構最近のことです。直近で言えば、19回の書き出し祭りからじゃないかな。


DK先生のツイートから引用


DK先生のツイートから引用

 DK先生のツイートでは、ファースト10の5項目は次のとおりです。

主人公   :
世界観   :
異変・事件 :
問題・課題 :
決意・覚悟 :

 あとは、私が個人的に「あった方がいいよなぁ」と思って、付け加えたのが「主人公の能力」でした。

主人公   :
主人公の能力:
世界観   :
異変・事件 :
問題・課題 :
決意・覚悟 :

 DK先生の仰る出典までは確認していないのですが、シナリオライターの先生でもいらっしゃるので、脚本術の絡みの技術のようにも感じています。

 基本的にファースト10というのも「全体の10%」という考え方なので、書き出し祭りや書き出しコロシアムの4000文字ないし6000文字で全体の10%を表現するというのは、かなり詰めることになるので、あまり実践的じゃないジャンルももちろん存在すると思うので、ここらへんは臨機応変にいくところじゃないか。とは考えています。

 ほかにもあれば、ぜひ物語を読み取る・伝えるうえで意識すべきポイントを教えてくれると嬉しいです。

マシュマロの質問より引用

 ないです。というわけでもないんですが。

 知られて困るものではありませんから。ご案内しようかと思います。

 基本的に私は頼まれての下読みを行う時以外は、そもそも感想を残したりしません。
 下読みを行うときも本文だけを読むのではなくて、予めプロットや、書き手本人が「どういう狙いを持って書いているのか?」という作品上の「書き手が設定している魅力」を確認してから読み込むようにしています。

 なので、こういった「書き出し祭り及び書き出しコロシアム」のように、匿名性の高い企画作品に感想を残す時は。下読みの時以上に配慮を必要とします。

 一読をした上で「その作品が何を魅力と考えているか? どの部分で、読者を引きつけようとしているのか?」という部分を汲み取るようにしながら、読むように意識しています。

 そして、感想に触れるところもその部分を基本にしています。

 おそらく、本人が魅力として描いたところ以外の部分にフックがありそうな作品も意識して触れていたりします。

 書き出しコロシアムは1話から3話まで確約というのもあって、1話で読者が何に期待したのか? という部分を書き手の方はとても気にしているはずなので、普段はそれらの部分はタッチしないのですが、そこも2話の感想では意識して触れています。

 1話と2話の期待値から落差があった場合もそこを触れるようにしています。

 作者が提供しようとしていた魅力と。
 読者が受け取った魅力にアンマッチが発生している場合は、そこの参考にもなろうか。と思っているからです。

 投票に関しても、1話の投票と2話の投票についてもコメントを残しながら準備しようと考えています。

 この企画は「書き出しの向こう側」なので、向こう側で読者がどのように動いたのか。を足跡を残すのも大事かもしれないと思ったからです。

 質問に対しての回答は以上です。

最後に


 いやあ。全感想終わりました。

 なかなか、しんどかったですね。1話とはちがって、予想と期待。という項目から、触れるべき部分が多いから1stの頃と比べて、ボリュームが必要になる感想でした。

 多分、3話目が集まるFinalに関しては、2話目ほどのボリュームの感想にはならないと思っています。

 勉強にはなる時間でした。参加者の皆さん、三話目の執筆お励みください。




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