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第二十一回 書き出し祭り 第四会場の感想

 こんにちは。智子です。
 書き出し祭りの感想は「会場ごと」にご用意します。一つの記事の文量が多くなると、色々と弊害(Twitterカードの読み込みができないなど)があるな。と感じたので記事を分けます。


記事について

 表題の通りです。感想を別に分けています。別の会場についてはノート記事を添付しておきます。

感想の作成方法について


 今回はちょっとやり方を変えます。読みと書きをスムーズに行いたいので、感想依頼は「読み終えて、感想を書き終えた」段階で募集するつもりです。

 感想がいつも長尺となるので、要点をまとめたものを感想として残していきたいという目標があります。長いと記事が重くなりますからね。うまいことやっていきます。

感想依頼

 上記のマシュマロで、会場名と作品名を明記したうえで感想依頼を投げてください。

 一応、全感想として下記に感想は残しています。感想依頼があれば追記する形で感想を残していきます。

 何かしら、感想に要望等あればコメントも付してみてください。気になる部分あればそこも合わせて、感想を残します。


会場へのリンク

第二十一回 書き出し祭り 第四会場


4-01 コインロッカーに学ラン詰めて

タイトル感想

 わからん。コインロッカーと小説ってすると。赤ちゃんの話題くらいしか浮かばないですが。どういうことでしょうね。
 バイト禁止の高校生がバイトするお話でしょうか?

あらすじ感想

 ああ。そういう話ですか。えっちぃですね。

 若き日の智子は中洲の風俗街でえっちな遊びに行ってみようと、単身福岡に乗り込み、道に迷い、わけがわからなくなって何もをせずに回らない高級寿司を食って帰った。という美味しい思い出があります。

 どんな本文になるのか。下世話な気持ちで眺めております。

本文感想(26/99)

 いや、これ楽しめるのは。金を握りしめて性風俗に行ったことがある人が。追体験するなり、応援する気持ちで読む話ですね。

主人公   :私
主人公の能力:不明
世界観   :現代日本。2000年代。
異変・事件 :ピンサロの広告を見る
問題・課題 :不明(彼自身の課題と向き合う問題点は見当たらない。堂々と風俗いける心根と度胸は正常ですよ)
決意・覚悟 :ピンサロ行くっていう決断
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):童貞という。女性経験のない若い男性が。ピンサロ(ピンサロも性的な接触ないけど……)という大人の遊戯に足を踏み入れる。という初めてのシーンを読むこと。

 ルポに近い作品として出しているでしょうし。なろうのレギュレーション上、ピンサロのサービスシーンは描けません。わかってますよ。ギリギリ攻めてもイケナイいけないんですよ。

 だって、ギリギリアウトだったらこの「書き出し祭り」の企画すら根こそぎアウトになるからです。

 みなさん。わかってます。「アウトなシーン」は二話以降なんだろ?

 ってね。

 二話以降のえっちぃシーンを確約してくれるなら良いんですけど。いやぁ。ねえ。だったら、普通にえっちぃコンテンツ漁るかなぁ。

 作者の方は意図しているか。していないか。存じ上げないのですが。

 いわゆる「童貞文学」とされるジャンルであって、その専門のコンテストなんかも自主企画で立てられている方もいます。その分野から殴り込んできた書き手じゃなかろうか。とニコニコしながら読んでいました。

 ピンサロかぁ。

 病気には気をつけてくださいね。

 感想は以上です。


4-02 平塚凡太の平々凡々な一日

タイトル感想

 娯楽小説って平凡な日々を描写してはならない。という考えがあるんですが。本当に平凡な一日の描写を期待して読みに来る読者は少ないと思われるタイトルです。名前も日本人のそれであるので、現代ものでしょうか。

あらすじ感想

 ここまで書いて本当にただの平凡な一日だったら、智子は憤慨しますからね(説明書きでここまで書かれてるのに、説明書き通り平凡な日常が描かれていて憤慨する読者は迷惑なので気にせんでください)!

 実際のところは「全然平凡じゃないなにか」を描写していく作品なのでしょうかね。

本文感想(27/99)

 明快な作品ですが。難しいかもですね。というのも、作品の一番の魅力である「学園ループもの」としてのジャンルとしての強みを「インパクト」のために後半に持ってきています。

主人公   :平塚凡太
主人公の能力:ループすること
世界観   :男性向け作品の、学園ラブコメ的空気感のなかで行うループもの。
異変・事件 :不明(作中には描かれていないが。一回目のループ発生時と予想)
問題・課題 :平凡な日常のための条件を満たす(問題を未然に防ぐから見えづらい所はあります)
決意・覚悟 :平凡な日常に戻ること
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):学園ラブコメ世界観でループをする。

 タイトルとあらすじ。本文を途中まで読んでも「何を楽しむ作品」なのかまったくわからない状態だったので。最後まで読んで「ああ。ループものを楽しませよう」としている作品だということを飲み込めました。

 最後まで読んだら、味が出てくるタイプの作品なので「ループものが読みたい!」といった熱烈なジャンル読みの読者達に届かない作品だと思います。

 作品のムード自体は、2010年代のラノベの香りを感じました。冒頭と末尾で文言を揃えていくあたりの言葉選びのセンスは、ニコニコしながら読んでしまいました。

 何度でも申し上げますが。

 美人の女子高生と緊張感なく、お話ができるような奴は平凡じゃありません。ループ一回目ではみっともなくどもってる主人公を期待します。

 感想は以上です。

4-03 愛は不要なので結婚しましょう(感想依頼あり)

タイトル感想

 了解です。結婚しましょう。智子はフリーです。
 契約結婚絡みのタイトルっぽさがあります。どういう関係性なのか。あらすじと本文で示されることでしょうか。

あらすじ感想

 こういう感じですか。ああ。ああ。いいのかもしれない。お仕事ができるダークエルフのお姉さんが。呪い解呪の仕事のために「結婚しましょう」といったことを持ちかけるんですか?
 
 あらすじではそこまで明快じゃないので、もしかしたら違うかもですが。面白そうですね。

本文感想(28/99)

主人公   :ジェラ
主人公の能力:呪解師としての能力
世界観   :ハイファンタジー
異変・事件 :呪い解除の依頼
問題・課題 :イベラネーガの王子(多分ヒーロー?)の呪いに対処する
決意・覚悟 :呪いの対処のために結婚(長命のエルフ故か、ためらいが薄い)する。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):目的完遂のための、契約結婚的な要素のありそうなものです。しかし、まだ「ヒロインとヒーロー」が出会ってもいないので、女性向け作品としての期待をもっていいのか。そこもちょっとあやしい作品です。

 色ごと抜きのハイファンタジーとして読むなら、十分楽しめそうです。タイトルが「結婚」とあるので、もう少しなにか「色めいた」情報が展開されつつ、引き込みがあるかと思いながら読んでいました。

 結構ハードでびっくりしました。

 主人公がある程度完成された人格であると、それだけで「動揺」とか「逡巡」が見えないので、進行が淡白に見えます。もしもラブロマンス空間を発揮してくれるのだとしたら、どっちが頬を赤らめる役になるんでしょうかね。ヒーローかヒロインか。

 現状はヒロインが動じないので。ヒーローがその恩義から積極的なアプローチをかけるのか。

 呪いを解いて終わりじゃなかろうですからね。どんな話になるでしょうか。

 読ませるスムーズな進行だったので、続きのページがあればもっと確認してみたい作品でした。

 感想は以上です。

 感想依頼を受け付けたので、次の通り感想を追記します。

4-03「愛は不要なので結婚しましょう」 すばらしい感想をいただき、もう訊くことはないかな、と思っていましたが、 智子さんの『「梗概」としてのあらすじを提示した作品はことごとくその効果を発揮している』との書き込みをみまして、果たして自作はどうであろうかと気になりました。

依頼文より

 ああ。私のつぶやきをご覧になっているんですね? さては、あなたもゲスパーだな? 皆さん、書き出し祭りのエゴサ止まんないですよね。残り2週間を切った位ですから。エゴサも大変です。

 おっしゃるつぶやきもこの部分ですね。

 質問の要旨理解しました。

梗概ではないかな? その辺り、詳細を知りたくなりました

依頼文より

 お見込みの通り。御作のあらすじは厳密には「梗概」ではないですね。
 物語の結末までは書かれていませんし、本文とあらすじの進行がだいたい同じ文量にとどまっている作品です。

 最後の数行に「本文外」の情報が付記されています。

 現在書き出し祭り「75作」読み通しましたが。厳密な「梗概」としての作品はまだ見ていません。

 本文があらすじの構成に追いついていなかったとしても、あらすじの力によって、安心感を持って読める作品。を指しています。

 翻って、御作について考えてみるならば。その「梗概」としての効果を一定、発揮したタイプの書き出しではあると思います。

 しかし、次に例示する作品と比べると。情報量は少し見劣りするかも。とは思いました。

 記事文中においても「今後の展開やラブロマンス」を約束する情報量ではなかった。とは言及している通りです。

 具体例をあげると、別の会場にはなるんですが。

1-14 繰り上げで家督を継いだ三男坊、実父に疎まれた妖術使い令嬢を娶る』はその力があるタイプの作品でした。

 もう、ご覧になってますかね。
 あらすじで「ヒロインをお嫁さんとして迎える」というのが明記されているんですが。さらには、その令嬢は「お仕事ができる。優秀な令嬢であり、領地運営に大きな貢献をする」という期待感も持てるあらすじでした。

 掘り下げをしてみるために、触れてみますが。

 辺境伯家の三男ギリアムは、遊学先から戻る途上で貴族の馬車を襲う飛行魔物の群れに遭遇する。
 美貌の伯爵令嬢ニルダを助けたギリアムだったが、彼女はひどく失望した様子。というのも、襲撃は彼女自身の仕込んだもの。
 後妻の娘ばかりを偏愛するようになった父に疎まれ、どこかへ幽閉される前にと脱出を試みたのだというのだ。
 その場では伯爵家へ送り届けるしかなかったが、ギリアムは「困ったときは力になるから」と請け合い、ニルダも彼の言葉に望みをつなぐのだった。

 やがて領地へ戻ったギリアムを見舞う、父と兄たちの急死。家督相続と領地運営の重責に立ち向かうギリアムだったが、そんな中で奇しくもニルダ救出のチャンスが巡って来る。彼女を保護して傍に置いたギリアムは、その型破りな思考と規格外の魔法の力に翻弄されつつも、ニルダとの絆をさらに深めていく。

1-14 繰り上げで家督を継いだ三男坊、実父に疎まれた妖術使い令嬢を娶る あらすじより

 情報量あるでしょ? めっちゃ書くんですよ。多分、ここまで本文では書けないよね。と予想していましたし、実際書けていません。

 本文で示されたのは。あらすじ半分がせいぜいです。でも、あらすじの後半の内容を読むことで、「あげまん(昨今あまり見ない概念ですが)の話なんだな」と理解しました。運気じゃないんですけどね。

 翻って、御作のタイトルとあらすじによって「物語の期待感やセットアップ」まで含めて、その効果を発揮出来ているか。というと、御作の作品は「呪いにまつわる政治的闘争」をメインストーリーとする作品ジャンルということはわかりました。

 しかし、タイトルにもあるような「いろごと」めいた期待感を補完するような情報量ではありませんでした。ヒーローとヒロインが対峙するようなシーンでもあれば、また違ったんでしょうけど。

 もしも。ラブロマンスであるなら。障壁が必要です。しかし、その様子もありません。

「呪われた王子と結婚してくださるのですか?」

本文より

 ご両親はノリノリじゃないですか。

 読者としては「タイトルでラブロマンス的空気感」を期待して読みに行ったら、思いの外ハードだし、ラブロマンスとしてどんなムードになるのかわからない。もしかしたら、全然ラブロマンスじゃないかも。とまで、不安になるムードの作品でした。

 もしもですが。「この作品はラブロマンスになるんだぜ!」というのであれば、あらすじに「アオリ文」として、作品のジャンルを約束する文言をいれてみたら、もっと効果的になったんじゃないかな。とは思います。

 どうでしょうか。梗概としての話題から、展開した感想の追記でした。

 智子は甘々なラブロマンスを期待しています。

 感想は以上です。


4-04 公爵夫人は離婚したい。〜もちろん親権は私が貰います〜

タイトル感想

 離婚調停もの。来ましたか。ありそうでなかった発想だなぁ。と思っていたので、ニンマリしています。最近この「離婚時の親権」について現代の国会でも話題となっておりますから。タイムリーなネタで、皆興味アリそうです。

あらすじ感想

 正しく。物語の始まり。といったシーンのあらすじです。しかし、分かれる理由がまだ良くわからんので、そこに迫る形で本文は描かれるのでしょうか。
 離婚問題。私は結婚相手を見つけるのも大変だというのに、離婚に悩むことができる。という人生のステージにはのぼっていません。
 彼女を何を悩んでいるんでしょうね。気になる作品です。

本文感想(29/99)

主人公   :私(子爵令嬢→伯爵家に養子入り→公爵夫人)
主人公の能力:不明
世界観   :ハイファンタジー(結婚に教会が絡む。中世キリスト教的価値観)
異変・事件 :タチアナを起因とする衝突
問題・課題 :不明(離婚にあたっての課題やタチアナを含む出生の謎なども絡みそうであるが、判然としないまま本文は終了)
決意・覚悟 :離婚を決意する
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):一人称視点の「私」を主人公としているので、離婚問題について「一緒に悩んで、一緒に戦う」ことを期待しての「離婚調停」に関する物語を約束しているのではないか?

 作品の舵取り次第で「メロドラマ」か「ドラマ」になるかの分水嶺の書き出しです。

 どっちなんだろうなぁ。

 視点は一人称の「私」であるため「私」が知り得た情報でしか、物語上の設定を読み取れない。「私」の認識がすべて正しいとも「約束」できない視点であること。

 まず。こういった「女性向け作品」の特徴の一つとして。

「主人公の決断に説得性をもたせるためのヘイト管理」として、彼女のバックボーンや。これまで受けてきた仕打ちについて滔々と述べる。というのはあります。その述べ方自体が、駆け足めいていて、急かされた感はあるのですが。おそらく、女性向けの作品の競争で「短編をまず書く。反応が良ければ長編に誘導」というランキング上の都合等もあり、短編めいた形で提供があるのではないか。とも予想してます。

 あれらのヘイト管理は自己憐憫的要素もあり、今後の「離婚」への説得力をもたせると共に「家族」がどのような問題を抱えていたのか。という情報の開示にもなっています。

 正直、タチアナの帰還についての部分が一番気になるんですけどね。

「え? どうやって戻ってきたん? タチアナ嬢ちゃん。そりゃ、産まれは外じゃったんじゃろ? 死んだと思ってた子どもが戻ってきてごらん。更には、娘ってんだから可愛くて仕方なかろう」

 という、所感もあったんですが。そういった諸々も「鑑みる」ことができない位に「私」は追い詰められているのでしょうし「味方」は息子しかいない。といった「視野狭窄」状態に陥っています。

 ここ(家族問題)と向き合う物語にする。であれば、それはドラマ(内的な課題と外的な課題の両立)であります。

 ここ(家族問題)から目をそむけて、本当のおじいちゃん、おばあちゃんのご実家(伯爵じゃなくて、子爵家ですよね)に引き上げる時点を結末とし、ヘイト対象者の家族をざまあ。する物語であれば、メロドラマ(外的な課題重視)的な作品になろうかと思います。

 このジャンルのどちらに振り向くのか。方向性が見えてこなかった書き出しの情報量でした。

 いやいや。
 
 どうなんだろうなぁ。

 実は自省的なシーンもあるんですよね。

「お嬢様に奥様、どちらもお互い家族として認めてないって点ではタチアナを責められないわね」

本文より引用

 この部分も含めて「やっぱり、ドラマしようしてるのかな?」とは思ったんですが。ここ以外に「家族の問題」としての言及がなかったので。違うのかも。

 このジャンルの方向性が見えなかったので、安心感がなかった読後感でした。

 感想は以上です。



4-05 Penetrator ~突き進む竜とズッ推しの翔竜記者~

タイトル感想

 ペネトレーター。貫通するとかでしたっけ。なんで、私はこの単語を知ってるんだろうか。
 作品のジャンルは全くわからんです。レースに関するものなのか。

あらすじ感想

 異類婚姻譚的なやつですか。私の顔を舐め回す方がいたら、私も恋に落ちるほどにはちょろいやつなので、気持ちはわかります。
 
 婚姻譚というほどガチガチではないのでしょうね。少年が「何になるのか」は不明なあらすじです。タイトルから見るに記者なんでしょうかね。
 
 記者になってどのように関わっていくのか。そこが「ナラティブ」的な要素ですよね。本文でそこが示されるかどうかを気にしています。

本文感想(30/99)

 ターゲットとしては。昨今「ウマ娘」を含む競走馬等のサブカルコンテンツを親しんだ人達を取り込める作品層な気がします。


主人公   :マノ・コレル
主人公の能力:不明(記事の作成能力がどのようにレースに影響するのか? まだ良くわからなかった)
世界観   :競馬ならぬ競翔竜という競争する競技のあるハイファンタジーの世界観。
異変・事件 :牧場からの手紙
問題・課題 :ペネトレイターの競翔竜としての活躍に至るまでの障壁(羽が曲がっているとか)
決意・覚悟 :ペネトレイターの番記者ってわけじゃないんでしょうけど。記者として援護する。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):わからん。まだわからんです。正直な所、智子が「競馬」をオマージュした文化に詳しくないというのもありそうです。

 読んだ所ですが。

「記者がどう絡むんだろうか?」

 という不思議な気持ちではあります。ペネトレイターという異色の竜が、活躍をするまでの「艱難辛苦」を「記者がどうサポート」するのか。

 といった部分が、書き出しではまだ見えてこなかったです。私の想像もつかない方法を用意しているのでしょうが。それが見えるような書き方があれば、もっと高い期待値を持てたかもしれません。

 でも、どうなのかな。私が競馬に詳しくないからこんな感想はあります。

 分かる人には分かるネタが仕込まれてるのかもしれませんね。

 感想は以上です。



4-06 我輩は神龍である、名前はセクシーだいこん

タイトル感想

 名付け親も頭かかえてそうですよね。
 ファンタジー作品であろうかと思います。文豪の名作に準じるタイトルなんですが。セクシーだいこん。だいこんは非常にセクシーですからね。そのセクシーさと、物語が絡み合うものに昇華できるか。非常に大事な観点です。

あらすじ感想

 少女が名付け親なんですね。
 世界観は伝わりました。今後どうなるのか。というのもシンプルに表現したあらすじでした。こういう方法があるんですね。
 どういう物語になるのか。はさっぱりですが、本文を読んでみてムードを確認したい作品です。
 無自覚な強者。という主人公の設定があるようです。 

本文感想(31/99)

 名付け親は自然な気持ちで名付けてるんですね。

 挑戦的な演出の作品でした。というのも。

「我輩は猫である」
 名作のオマージュから始まり、独自設定のある世界観を解説する意味合いも込めた。セクシー大根の語りでした。

 登場人物の語りであることに徹した時、一定の不自由さが存在します。その不自由さ故に作品の「ジャンル」や「ムード」を確定するのが遅れた感じはします。

主人公   :飼い主
主人公の能力:不明(説明はあったが、まだ不明ですよね。棒術みてみたかったですね)
世界観   :おそらく。ハイファンなのでしょう。原付きとか。現代的な要素はいくらかあるようなので。パラレルワールドのローファンと見てもいいのかもしれませんね。
異変・事件 :不明
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):不明

 予想は立つのですが。セクシー大根の不穏な語り。好戦的な態度。それらが物語る作品の「バトルジャンル」や「あやかし」といった要素を交えた。異能バトル等は感じ取れるのですが。

 具体的には、登場人物周りの情報を開示することで、作品の世界観に触れているという段階です。

 後半に「きゅー」としか鳴かない撫子に対して「おまえらゆるキャラやったんか……」という驚きもありました。

 まだ、色々と不明点が多い作品ではありますが。独自設定及び独自世界を構築しようという意欲を感じる作品でした。続きあるなら、もうちょっと読んでみて、一波乱、イベントを確認してみたい作品でした。

 感想は以上です。


4-07 神絵師のデルド

タイトル感想

 神絵師という考え方が非常「現代的なワード」ではあろうかと思うので。称賛の意味合いとは別の内容を含ませてるのでしょうか。
 名前からして、ファンタジーっぽさがあるので。
 
 そもそも神を偶像的に描写することがタブーではない。という部分も興味はあります。

あらすじ感想

 シンプルなあらすじです。画家の話のようです。まだ、全体のログラインは見えないので。ジャンルも不明です。評判がよかったら、興味が湧いてくる作品でしょうか。

本文感想(32/99)

主人公   :デルド=アルバート
主人公の能力:画家(元軍人ですって!)
世界観   :ハイファン。空を飛び交う殺戮兵器が存在する世界観。
異変・事件 :女の子を拾う。宿に連れ帰る。絵を破かれる。
問題・課題 :不明(多分、問題を抱えているのはアリアの方かもですね)
決意・覚悟 :不明
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):戦乙女でありながら、戦乙女を美化しないヒロインとの対峙を楽しむ作品でしょう。

「よっこらせ」

宿につくと僕は女の子をベッドに寝かせつかせた。

本文より引用

 ヒロインをお姫様だっこしました。
 いや、町に着いたなら病院連れてったらんかい。その子は気絶しとんのじゃろ。

 という、ツッコミを内心持ちましたが。押し殺しました。なにかあるんでしょうね。病院につれていけない理由が。未成年の女の子を宿につれていき、休ませないといけない合理的理由が存在するんですよね。

 読後感としては「亜流のボーイ・ミーツ・ガール」なのだなぁ。というのは伝わる作品でした。元軍人ということもあって、何かしらのシーンで「マッチョな活躍」も期待できる要素があります。

 上記の部分でも触れたんですが。おそらくこの作品は「アリア」自身も主人公としての成長の要素を持っていて。アリアとデルドの思想的なコンフリクトが、物語を推進してくれることになるのでしょう。

 しかし、現状二人がどのような課題を抱え、どのような問題に巻き込まれているのか。までは見えてこない書き出しでした。

 どうなるんだろうか。戦乙女を女神様のように見えなくなっちゃうってことなんですかね。人生を変える。というのだから、認識とかではなくて、何か巻き込まれるんだろうか。

 二話目があるなら、ムードを確認してみたい作品でした。

 感想は以上です。


4-08 転生女神に惚れました。

タイトル感想

 もう。仕方ないですね。ほれっぽいんだから。
 でも、ラブロマンスは障壁が高ければ高いほど。分厚ければ分厚いほど。意味があります。
 どれくらいのハードルを設定できるでしょうか。

あらすじ感想

 転生先で徳を積もうとしているって話ですか? この引きとしている部分がハードルなのでしょう。気になる情報量ではあります。一目惚れした女神を振り向かせたい。という明確な目的が示されたあらすじであることは、わかりやすくていいですね。

本文感想(33/99)

主人公   :ヘルロ
主人公の能力:冥界神の嫉妬。左の能力を相殺するために次のギフトが付与される。セルピナの贖罪(神によって死んだ場合、死ぬ前日直前までの間で自由にやり直せる)
世界観   :異世界転生があるハイファン世界
異変・事件 :女神様に一目惚れ
問題・課題 :女神様の嫉妬により、ヘルロが異性に惚れられると強制的にリスタート。
決意・覚悟 :ヘルロは神に至るために徳を積もうとする。ヘルロと並ぶために。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ヘルロの願いとは裏腹に、女神の嫉妬が「ヘルロの徳を積ませる行為」を封じてしまう。死ぬ度に試行錯誤して、隠れて徳を積もうとするのか?

 かなり特殊な設定でしたね。

 女神様のそばに立つには徳を積む必要がある。

 物語の目的設定と障壁の設定が噛み合っているように思います。

 出てきた情報は「事前設定」「物語のルール」といった部分ではあるので、ムードまではわかっていません。

 彼は「人に親切をする」というスタンダードな方法で「徳を積んできました」が。今回は「人知れず徳を積む」という形でないと「惚れられて死ぬ」というハードモードです。

 こういった縛り、制限によって今後の展開への「予想」は立ちました。その予想を裏切らずに二話以降も展開してくれたら、読者はついてくる作品じゃないでしょうか。

 面白いセットアップの作品でした。

 感想は以上です。


4-09 ローション・ファンタジー ~不肖・ナカジマのすべらない話~

タイトル感想

 ローションかぁ。ローション危険ですからね。不意の転倒で頭をぶつけて御覧なさい。密葬されかねませんよ。
 ギャグやコメディラインに乗せた作品であると期待しています。

あらすじ感想

 いや、ローション転倒じゃないですか。泡風呂で楽しむローションの遊戯が得意なお姉さん達から再三「マットは危険なので、勝手なことをしないように」と強く強く注意を受けることは成人男性の多くは身を持ってご存知かと思います。いや、智子はね。友人から聞いたんです……
 
 異世界転生ものはもう大喜利ですから。取り扱うアイテムと瞬発力で物語をゴリゴリ作ってください。
 
 皆ローション好きですよ。ねえ?

本文感想(34/99)

 感想を書くために、読み直して見てるんですけど。なんか、ところどころえっちぃですよね。

主人公   :ナカジマ
主人公の能力:趣味が高じてローションを自作する能力……
世界観   :獣人等他種族が存在するナーロッパ的異世界
異変・事件 :不明(作品の展開自体がホットスタート形式なので、序盤のシーンが不明)
問題・課題 :ローションを通した生活改善。販路の拡大。
決意・覚悟 :お世話になった村への恩返しがしたい。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ローションに関する技術的な側面と。魔法が存在するナーロッパ世界での。技術無双的なもの。販路の拡大。流通。商会との対立など想像される「商品の流通」全般への物語を拡大を期待できそうです。

 いろいろ。書きましたけど。

 なんかところどころえっちぃのも魅力の一つだと思います。

「理屈はそうでしょうけれど、ここまで糸を引く魔法液ポーションは見たことないですわ」
 オレイン医師は、陶器のような傷ひとつない指先で滴をつまむと、その感触を念入りに確かめる。

本文より引用

 どうして、指の描写した? えっちぃよ。

「あっ、あっ」
「マナさん、気分はどう? 顔色がよくなってきたけど」
「あっ、はい、魔力に包まれる感じで、ふあぁ……お母さんのおなかの中みたい」
「あなたの吸収力はすごいのね」

本文より引用

 だから。えっちぃよ。獣人少女はあれですか? 有袋類かなんかですか? そうじゃないとなんかえっちぃぞ。

「俺はこれを【ローション】と名付けた。古代エルフ語で『洗い清める』って意味らしいな」
「古エル語には『浣腸』の意味もありますわね」

本文より引用

 絶対以前の転生者が悪さしただろ? ナカジマ以前に狂信的な何かが世界に産み落とされたんじゃないですか。

 ナカジマが黒光りする棒状のものを女医に手渡した。
「でこぼこはあるけど、すごく滑らかね。これなら口にくわえたりして粘膜接触もできそう」
 寝台のマナが、なぜか顔を赤らめている。

本文より引用

 おい。ナカジマ。お前、マナっ子に何した?


 とまあ。なんと申しますか。非常に真面目な顔しながら、異世界転生商業チートをしようとしているのですが。もう、ところどころからまろびでるインモラルを楽しむ作品でもあろうかと思います。

 この楽しさを一話で約束しているので、二話目以降も同じテンションで「ローション」をテーマに一つの物語を書き続け、成功までの波乱を描いてくれることを期待しています。

 なんかえっちかったです。この作品にえっちさを感じなかった人は。清いあなたのままでいてください。

 感想は以上です。



4-10 夜明けの魔法使い(感想依頼あり)

タイトル感想

 皆さん魔法使いの話題好きですね。ファンタジー作品だと想像しています。夜明け。暗いイメージが漂よう作品なのでしょうか。
 
あらすじ感想

 傷を負ったヒーロー(英雄的な行いをしたキャラクター)像の作品ですね。好きなタイプの話です。
 それらの傷自体が、主人公の次なる旅や試練の要素につながるものと予想しています。

本文感想(35/99)

主人公   :ヴィオラ・K・アルバーチェ
主人公の能力:影魔法の使い手。他人より幾らか魔法や刀の扱いに長けている。
世界観   :魔族との対立がある。ハイファンタジーの世界観。前線と最前線という言葉があることから。戦争や勢力争いのようなことをしている? バトルファンタジーのムード
異変・事件 :ルキアス・アグリコラの弟子入り志願
問題・課題 :魔族の侵攻に対峙する及びエレナ・アグリコラの死に対しての向き合い。
決意・覚悟 :不明
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):バトルファンタジーです。バトルを楽しめ! 私は楽しんだ。

 すごくいい書き出しだったと思います。

 私好みの「内的な課題」にまで言及された書き出しの演出でした。

「これだよこれ! わかってんなぁ。通だねぇ」みたいな気持ちになりながら、読んでいました。

 主人公のヴィオラの変化のシーンをどこに捉えるか。というと、複数の意見が分かれそうですが。あえて、ルキアスの弟子入りとしたいですよね。本当は「好敵手」を失った時も変化(痛みを伴う)として、着目できそうですが。あくまでも「物語上の前向きな変化」とみると。弟子入りでしょう。

 書き出しで「バトルファンタジーやります!」といった、見せ場から始まり、主人公の能力が開示され、ライバルの姿がよぎる弟子を相手に、勝ってしまう。

 彼女が物語を通して、向き合う痛みが物語を展開させてくれました。

 いい演出の作品でした。

 あくまでも、本文の情報量だけを見るならば。

「彼女達がどうして戦っているのか?」

 というバックボーンや、バックストーリーは見えてこない段階でしたが。それは、二話以降で物語の導きや設定ラインの話です。珍しく「主人公の決意」は不在の書き出しでしたが。それでもなお、面白く書ける。というのを実感できた読後感でした。

 感想は以上です。

 感想依頼があったので、感想を追記します。

 まず、こういった相談は「事前にプロットや作品のメインとなるストーリーやそれとリンクするキャラクターの課題」などを聞き取ったり、仕様を確認したうえでおこなったりします。

 それらの要素を「書き出し」のみで汲み取った段階なので、ある程度推測の上でコメントを残していきます。

 といった言い訳を先にしておきます。

4ー10、夜明けの魔法使いの作者です。 感想ありがとうございます。全体的にお褒めの言葉嬉しいです。

依頼文より

 丁寧にありがとうございます。
 褒めてるというより。ファストな展開を望むWEB詳説の演出面において、効果が発揮できていると感じた作品でした。

それとは逆にここが気になったなどありましたらムチを入れて頂きたいです。

依頼文より

 ムチですかぁ。うーん。どこかあるかと言われたら、強いての部分でしょうが。

 作品全体のバックボーンが薄いので「物語の目的」の部分が見えないのはあります。

 だけど、それって「バトルシーン」などのように「作品のウリ」としている部分を削ってまで描いて、スピード感を削ぐと、また悪い影響を与えそうです。
 指摘したって仕方ない演出上の要素かなぁ。とは思います。

 とは、申しておりますが。感想依頼まで頂いているので、インディーばりのムチさばきをお見せしましょう。

 提示した情報に対する、読者の興味と連続性が保たれていない。
 というのはありそうです。
 前提として「弟子入りのバトルシーン」に展開するために、駆け足になってるというのはあるんでしょう。

 アクションに対してのリアクションの描写が薄いので、読者が展開を噛み砕く前に次の展開に流れています。その噛み砕く為の描写に関しても配慮は薄い作品だと思いました。

 詳説のために、順繰りにシーンを分割してみようと思います。その後ろには「シーンの目的」も付します。

1:冒頭にてライバルを手に掛けるシーン。

 本作の本質的な書き出しのシーンです。このシーン自体が「主人公が物語上、大きな変化を与えられる」イベントです。そして、そのシーンは物語の最後においても「影響」を与え続ける象徴的なシーンであることが求められます。

 この時に「ライバルの死によって、主人公がどのように変わったのか?」という興味を読者に与えました。であれば、次のシーンないし、この書き出しの間で「主人公の変化」について、予想できる情報を提示されることを期待します。

 期待しましたが。その情報は「明示的」には表されていません。

2:前線に下がることを拒否するシーン。

 主人公の師匠が、骨を負ってまで。弟子に最前線から前線に引くことを勧奨しにきています。
 このシーンには二人の関係性(師弟関係)や。
 二人が身を投じている「戦い」についての周囲の評価などが描かれていて、作品の世界観や「直近の舞台設定」に関するやり取りです。

 しかし、このやり取りを通したとしても「主人公がどうしてこの土地に固執するのか?」という基本的な「主人公の動機」までは見えない情報量です。

3:ルキアス・アグリコラからの弟子入り志願

 シーン2から「不意の来客」としてつながる形で、弟子入りの志願の話題が飛び出します。厄介事であるとして「弟子入りを希望する少年の希望に沿うために、師匠に横流し」をしようとします。

 物語には「抵抗」がいつもあります。今回の「弟子入り」を拒否するというワンクッションもそれと同じ効果があります。

 これらのワンクッションに関しても「彼女の見えない動機」などが推察されるものでもありません。

 さらに注目したいのが「主人公の師匠、ベルナルド」と「弟子入り志願者のルキアス」は「偶然居合わせた」という部分は気になりますよね。

 極論すると、小説はフィクションでしかありません。物語を展開するために、ある程度の「偶然」が重なることは十分にありえます。ありえますが「偶然」が重なり続けるならば、文章の外で「必然」としての作為があります。それらを補完する描写等が無い場合「作者にとって」都合の良い偶然がつづているように見えてしまいます。

 いっそのこと、ベルナルドが弟子入り志願のルキアスを連れてくる。とか、ルキアスがベルナルドからの令状を持参して、弟子入り志願しにくる。とか、シーンを圧縮しつつ、目的を達成(ベルナルドと主人公の関係性の明示、最前線に残ることに固執する態度の表明)する演出に整理してもよかったかもしれません。

4:ルキアス・アグリコラとの戦闘

 これは外せない! この作品の一番の魅力です。ライバルの弟を通して、自身がとどめを刺したライバルの姿がよぎります。適当に流そうと思っていた戦いも流せない。衝動的に勝ってしまう。

 こういった挙動についても「主人公がライバルの死」に対して、思うところがあるし、まだそれを飲み込めていないことをあらわしています。

 さらには、彼女が物語を通して「どのような活躍をするのか。どのような能力を持つのか」といったアピールのシーンです。

 しかし、このシーンでもなお「どうして、彼女が最前線に固執するのか」が描かれていません。

5:弟子入り受け入れ

 見届け人もいるし、彼女は弟子入りを受け入れました。

 弟子入りを渋っている様子などからもそうですが。彼女は「身の安全が保証されないなにか」を覚悟しているのではないでしょうかね。そんな中、足手まといになりかねないものを背負っている暇は正直ないでしょう。

「お前の勝ちだ、ヴィオラ」
 剣を鞘に戻しながら呟く。しかし彼女は俯くだけ
「悔しいと思うなら強くなれ」
 話は終わったと、ベルナルドは歩き出した。
「ま、待ってください師匠!」
 ヴィオラの声に足を止めて振り返る。
「何だ? あ、もしや前線こっちへ来る気になったか?」

本文より

 ここのシーンです。このシーンの前後に「強さ」の話題も触れています。

 であれば、このシーンを根拠にするならば。主人公のヴィオラは「強さ」を根拠に「物事」が正しく進行される。と信じているのかもしれません。

 ライバルと比べると強くないはずの自分が残ってしまっているのが間違いである。

 間違いなのだから、正されないといけない。

 といった挙動から、最前線に「一人になっても」残り続ける。という軍人にとってはめっちゃ迷惑な行いをしているのが主人公です。

 言ってしまえば、非常に幼い行為ではあるんですよね。自身を自暴自棄な身に置いていて、上司(師匠のベルナルド)の手も焼かせる。

 その「軍機違反」や、単独行動を許す力も持ち合わせているのでしょう。

 こういった、固定化した状況を動かす存在として「ライバルの弟」が登場するのがメインストーリーが動き出すシーンです。

 ここの部分についてもですが。彼女が周囲の説得にも応じず、最前線に固執し続ける理由は明かされません。

 その「最終的な動機(最前線に固執する理由)」に関して「推測」で輪をつなぐ程度の情報しかないんです。そこに彼女が向き合うシーンがあれば、読者は「物語を通して、彼女が何を課題としているのか」というのを理解できるでしょう。

 現状はそれこそ「アクションに伴うリアクションが続いて、設定を噛み砕く暇がない」というスピード感です。

6:アシュという少女に迫る危険。引きの部分。

 文字通り、引きですね。次のページをめくらせるためのシーンです。更に登場する人物のための、固有名詞の登場もありました。

 とまあ、色々書いてみました。

 一回目の感想でも書いていた。

 珍しく「主人公の決意」は不在の書き出しでしたが。それでもなお、面白く書ける。というのを実感できた読後感でした。

記事文中より引用

 この三文を拡大して、詳しくコメントしました。

 とは言ってもですね。「面白さ」を損なう領域ではなかったですし。「ライバルより自分が弱い」という考えが、彼女が最前線に固執する理由(その論理的整合性をつなぐためには、もう一つ解釈が必要ですが)なのだろう。とは十分に分かる書きぶりです。

 非常に自暴自棄となっている所に「足手まとい」となり「安全も保障されない」死地にライバルの弟を繋ぎ止めてしまう師弟関係を拒否したい。というのも、作中のスリルや課題として受け止めることも十分可能な情報量です。

 なので、あえてムチとするならば。ということで、上記の点でしょうか。動機が繋がらない。という部分ですね。

あと他にここ良かった点もあれば追加で欲しいなと思います。

依頼文より

 欲しがりさんなんだから。もう。

 前述した通り「動機不在でも面白いんだな」というのは、ある程度「読者の知性(動機を推察して、補完してもらう)」に頼ったスピード感のある演出であることはあります。これって、なかなかできることではないんですよね。どうしても「説明」したくなっちゃうから。

 あと、言及していなかった部分としては。

 おそらく冒頭においての「敵と共に討ったライバル」という部分から。敵ごと貫いたんだろうなぁ。とは思うシーンがあります。

唯一の親友で好敵手で仲間のエレナ・アグリコラを、敵と共に討ったヴィオラ。

あらすじより


 それと、リンクするように自分の命が軽いと捉える事もできるセリフがあります。

「先制を譲ります。遠慮しなくていい、殺すつもりで来なさい」

本文より

 最後の引きの戦闘として、攻撃をためらうルキアスに向ける言葉もあります。

「何をのんびりしているの。さっさと助けてあげなさい」
「でもこのまま魔法を使ったら、アシュまで巻き込んでしまいます」
「あら、私には容赦なかったくせに。そういうの気にしないと思ったけど、そうでもないのね」

本文より

 おそらくですよ。主人公にとって、現在「自分の命が軽い」という課題もあらわしているセリフが散りばめられています。

 こういった「演出上」のセンスをセリフや動きの中で、意図しているのか。意図していないのか。畳み掛けるように描写ができている。演繹的に関連性をもたせることができるセンスというのを感じた作品です。

 バトルもので、こういったセンスってすごく大事だと思うので。これからも磨き続けて、書いて欲しいと思います。

 どうでしょうか。追加で感想をご用意しました。

 感想は以上です。

実りあるものとなったようで、よございました。書き出し祭りはまだあと2週間もありますから。いろんな方に感想依頼を投げて、サンプルを集めるとよいでしょう。丁寧にお返事ありがとうございます。


4-11 潜入! オギャり学園! ~最強のママ兵器育成計画を阻止せよ~

タイトル感想

 おおっと。これは智子の琴線に触れますよ。ギャグ・コメディ作品でしょう。そして、バブみあふれる作品であることを期待しています。

あらすじ感想

 全力で遊ぶ。それがエンタメの大事なところです。
 バブみをナラティブとして提案できるか。それがこの作品の肝です。
 母性にはちっとうるさい読者です。私を満足させないと。
 
 おギャリますよ? ママ呼んでこい!

本文感想(36/99)

 てっきりママに甘やかされるシーンから始まるのかと、ワクワクして読みに来たら。真面目なおっさん達のオギャルシーンから始まりました。

 ママ呼んでこいよ!

主人公   :以頭浩二
主人公の能力:一流の探偵。その優秀さからオギャりも一流
世界観   :現代日本。シリアスコメディの世界観。
異変・事件 :ママ候補序列一位の羽月ひかるからの打診(専属バブ138号)
問題・課題 :羽月ひかるに近づき、スリルと報酬(計画の阻止だからね。オギャルことじゃない)を得る。
決意・覚悟 :仕事の完遂。計画の阻止。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):まだその魅力を出し切っていない。本当は羽月ひかるの「ママ」あふれる攻撃の手札を残しています。スパイものとしてのスリルはありました。十分「読む理由」にはなる作品でした。

 ちゃんとスリルがあります。そして、任務の成功のために「敵の懐。奥深くに飛び込む」という動きのあるシーンを展開してくれました。
 専属バブという部分で、次話につながるシーンも見事な引きでした。

 でも、惜しむ所は、書き出しの情報量でドラマまで持っていってほしかったですね。主人公が内奥に隠し持った「バブみ」欲求との葛藤とか。彼自身のストイックさと、それに言及する羽月とか。

 この非合法なプロジェクトの奥に、涙している女性たち、男性たちのドラマを感じさせて欲しいです。

 是非とも、続きを書いて欲しい作品です。やり方次第で、ドラマ仕立てにできる良い舞台設定でした。書いて欲しいです。

 感想は以上です。


4-12 神頼まれ屋、始めました

タイトル感想

 わからんですね。よろず承り。みたいなものなのかもしれませんが。顧客が「神」ってことなんですかね。

あらすじ感想

 イメージ通りの作品でした。あらすじでも「神」を顧客とする話ですね。神話の神々と触れ合うエンタメ作品はみんな好きなんでしょうね。私も結構好きです。
 ああいった人たちが現代に馴染んだ世界観が好きだったので、そういうのばかり書いてた時期もありましたので。強い興味を持っているジャンルの作品です。

本文感想(37/99)

 皆さん。仕事にぐったりしているんですねぇ。私もそういう時機があったので、お気持ちわかります。こういったキャラクター設定の作品が見かけるというと、色々考えてしまいます。

 皆さん、ブラック労働につかれているのか。残業100時間を超えると人生の意味を考え始めてしまいますよね。お体大事になさってください。

主人公   :僕(朧夜〈おぼろや〉望〈のぞむ〉)
主人公の能力:不明(ホットスタート形式の冒頭から察するに。体当たりで仲裁するんだろうか。問題の性質は明らかになっている)
世界観   :あやかし等が存在する現代ファンタジー。ローファンですね。
異変・事件 :社畜サラリーマンであった主人公への転職の誘い
問題・課題 :あやかしや神々からの頼まれ事
決意・覚悟 :転職して、神々からのよろず承り。頼まれ屋を始める。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):神々が持ち込む頼み事を処理していく。という「よろずうけたまわり」形式の短編連作を約束している。のではないでしょうか。

 セットアップや。物語の動機。神々が主人公をいたわっていることなどもわかります。

 さらには、キャラクターの描写等からも「男性向け」としてのそれがあるようにも見受けました。男性向けであやかしって正直珍しい感はありましたね。

 こういった「傷ついた主人公」がその「傷」を元に「頼まれ屋」としてどんな依頼に対応していくのか。「傷ついた主人公だからできる」神々の問題とリンクしていくことが求められると思います。

 その部分の期待を満たしながら、話を展開できたら。読者がついてくる作品じゃないでしょうか。

 感想は以上です。



4-13 冒険者ギルド『アメジスティア』は生前葬を推奨します

タイトル感想

 生前葬ってゲン担ぎみたいなものだと思っていましたが。どういう意味で投影されるんでしょうか。ファンタジー作品をイメージしました。

あらすじ感想

 生前葬をテーマにした作品ですね。あらすじにもそれらの効用効果を列記した形でしょうか。おそらく、それらの「生前葬の情報開陳」自体をナラティブとして設定していそうです。面白そうです。読んでみたい作品です。

本文感想(38/99)

主人公   :リオネル・ナヴァーク
主人公の能力:不明(生前葬のプランナーであるのは分かるのですが、まだどんな力かは未知数です)
世界観   :獣人が登場するハイファンタジー。のじゃロリ……
異変・事件 :のじゃロリの生前葬依頼
問題・課題 :のじゃロリからの「夫を呼んで欲しい」という難題
決意・覚悟 :生前葬を通しての「区切り」の場を提供し続ける。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):生前葬を行う理由や概念。ポリシーを示す段階の作品であって、まだ「エピソード」として完結していないので、分かりづらい。分かりづらいですが。「生前葬」を通して、ゲストキャラクター達の課題を解消し続ける作品。というイメージは持てました。

 この作品も「カタリストヒーロー」的要素の強い作品なんでしょうね。リオネルという主人公が「生前葬」を通して、多くの課題を持つキャラクター達への一助となる作品のようです。

 そして、今回はのじゃロリ、コンさんを導くエピソードです。死者の蘇生に近いような願いに対して、どのような提供をするのかで。作品の方向性は決まりそうです。

 二話目読んでみないとわからないなぁ。ハートフルな物語になって欲しいです。

 良い舞台装置と設定の話です。今後展開をしていくうえで、十分な力のある作品だと思いました。

 続きをかいて欲しいです。のじゃロリが好きだからという安直な理由ではないんですよ。ええ。うん。はい。

 感想は以上です。

4-14 マリファナ売りの少女

タイトル感想

 智子は麻薬に詳しくないです。マッチ売りの少女でもなくて。マッチョ売りの少女でもない。マリファナかぁ。
 おそらく、マッチ売りの少女のパロディ作品として提案するんでしょうか。
「このマリファナ売り切るまで帰ってくんじゃないよ!」
 みたいな。それはもうコメディっぽくなりそうですが。マリファナか。どうなるんでしょうね。

あらすじ感想

 マッチ売りの少女的なパロディではなかったですが。物語の最中「売人として捕まる」というスリルやルートは存在するのでしょうか。
 
 あんまり、麻薬関連に詳しくないので、興味をもって読めそうです。
 
 あんまり、ラップバトルや詩吟とされる分野に詳しくはないです。似たようなテーマ性の作品は過去書き出し祭りで複数あったのは憶えています。
 
 ラップバトルというのは「韻を踏む」という点から、文芸とも親和性が高い可能性があります。エンタメとして新しい分野を走り出して欲しいです。

本文感想(39/99)

主人公   :キレイ
主人公の能力:ドラッグの売り子をしている。どちらかというと「弱者」故の選択。
世界観   :現代日本。ラップバトル✕麻薬の物語
異変・事件 :ドラッグの売買のシーンをMCサショウに見られる
問題・課題 :ラッパーの間に蔓延するドラッグ問題
決意・覚悟 :不明(ドラッグ問題への決意、覚悟まで見えてこない。ぼんやりとは分かるけど。少女。キレイにとっての報酬が見えづらい情報量)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):ラップバトルとか、そこら辺の詩に関する読みあいを込めて楽しむ物語。主軸となるメインストーリーの中に「マリファナ」問題が絡んでいく。キレイという少女の、ヒューマンドラマの要素も期待できる。

 丁寧で親切な作品にしようという意気込みが見えました。

 私のような「らっぷぅ?」といった、音楽にまったく詳しくないタイプの人間にも。噛み砕いて伝わるように頑張って書いてくれたんやろなぁ。と思いながら、前半を読みました。

 去年か一昨年か。サブテーマにラップバトル絡みのアニメが出たのは。

 調べてみたらびっくりです。もう2年前なんですか。

 コンセプトとか、取り扱うとしているテーマはまるっきり違うんですが。

 類似作品がないわけではないので、ラップバトルもの。というのを聞いて、興味を持つ読者やターゲット層は以前より多い環境だと思います。

 今の時機を逃さず、すべて書きあげて、発表することが大事な作品のようにも見えます。

 あと、触れてみたいのが。

「俺」が怪しいですよね。元締め「俺」なんじゃないですか?
 売り子が真面目に仕事してるか。チェックしにきたとか?

 ドラッグ問題に詳しくないから、わからんのですが。もしも、特定団体とか、業界全体に蔓延しているドラッグ問題などを取り扱おうとするなら、かなり慎重に情報を精査していくのが求められそうです。

 難しい企画ですが。ぜひ、書き上げて欲しい作品です。

 感想は以上です。


4-15 鳳凰の止まり木に茜さす頃~育てた雛鳥があやかしで溺愛されるなんて聞いてません!~(感想依頼あり)

タイトル感想

 タイトル上手ですね。ジャンルがわかります。溺愛を約束するタイプのタイトルでした。タイトルでジャンルやムードが分かる作品は強いでしょう。

あらすじ感想

 タイトルで予想した通りの作品です。溺愛されること自体に展開がとどまるか。物語として「何かしらの課題」を「溺愛」というギミックゆえに打破するのか。そこまで描けるかどうかは気になる作品です。

本文感想(40/99)

 ホットスタートです。溺愛を見せると。タイトルとあらすじで約束してるんですから。溺愛から開始です。

主人公   :瑞希
主人公の能力:不明
世界観   :現代を舞台にしたローファン
異変・事件 :ヒーローの登場(ひな鳥と思っていた子がイケメンとして登場)
問題・課題 :不明
決意・覚悟 :不明
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):溺愛されるのを楽しむに決まってるでしょうが!

 書き出し祭り。という企画を通してわかったのが。エンタメ作品として「一番大事なこと」は何か。というと、タイトルとあらすじで期待させた展開を外さないこと。これは「エンタメ作品」としての大前提なのだと思っています。

 そして、この作品はその「溺愛見せるぞ!」といった大前提を守ろうとした作品であり、その一番の魅力とするシーンをホットスタート形式でアピールする所から始まった話です。

 上のファースト10の項目でも埋まっていないことから分かるんですが。「物語の全体像」にかかる部分はわからない領域の文量でした。

 溺愛は主軸にしたうえで「どんなサブジャンル」の作品になるんでしょうかねぇ。二人の間にどんな障壁や妨害が立ちはだかるのか。

 その溺愛によって、主人公はどんな「報酬」を得られているのか。彼女はなにか課題を抱えてるのか。といったように、次話につながる情報は見えない段階でした。

 ジャンルに詳しい読者であれば、さほど気にならない領域なのかもしれません。

 だけど「エンタメの前提」として、溺愛は約束してくれたので、ターゲットの読者は選好の候補に上がる作品でしょう。

 感想は以上です。

 感想依頼を受け付けたので、次の通り感想を追記します。

 上から順にお答えしてみますね。

こ、こころのこりあります!!

依頼文より

 智子がダメ押しの周知をした際の文言を拾い上げてくれました。

 この押しの強さが「元気な少女」感があります。

『千と千尋の神隠し』において、仕事を望む千尋のような力強さを感じました。

全感想ありがとうございます。
下記の追加感想も頂けますでしょうか。
4-15 鳳凰の止まり木に茜さす頃~育てた雛鳥があやかしで溺愛されるなんて聞いてません!~

依頼文より

 丁寧なお礼のコメントありがとうございます。

 こころのこり、承りました。

 問題・課題が不明とのことでしたが、あらすじ+本文を深堀して読んだ場合、主人公達の今後の課題点などを読者に期待させる感は薄そうでしょうか。
 溺愛見せる!こんだけ甘いぞ!で終わってしまっている感が強そうなので、出来れば深堀出来れば…と思い、ご質問させて頂きました。

依頼文より

 おお。難しい相談ですね。

 深堀りする前に前提として話をしましょう。

 今回の書き出し祭りで智子は99作品読み終えましたよ。今回の祭りで私は学んだ要素があります。
「キャラクターに課題を与えるないしストーリー上の障壁」を予感させるイベントによって、物語上の誘導を与える演出は「ジャンル」によって、優先度が違う。と感じています。

 それは「コメディ」ジャンルの作品は優先度は低いなぁ。と思っています。イベント自体を「笑う」ために「楽しむ」ために書かれているからです。

 今回の「溺愛」をジャンルのメインと据えたうえで、ヒーローが「あやかし」であるというのも。「異類婚姻譚」の要素を加えた「溺愛」ものです。
 更には、あらすじに含まれる語り、小学生時代の一人称だったりからも分かるように、コメディテイストの作品であるのは間違いないと思っています。何かしらの強い課題や、ヒューマンドラマ的な人間としての成長や葛藤をメインテーマにした作品ではないので、さほど心配することはないと思っています。

 タイトルとあらすじの時点では、次のように読者は期待しています。

「溺愛を好む読者のための作品であり、ヒーローはあやかしである」

 という要素で、読者は読みに来ています。タイトルとあらすじで読者ターゲットへの選好ができています。

 本文まで読み始めたら。ヒロインとヒーローの「バックボーン」にかかる描写までを最初のホットスタートのシーンで描いています。

「だ、だって! あか……じゃなくて、鳳凰寺君くん、後輩でしょ! 後輩にベタベタするなんて……」
「後輩じゃなければよかったの?」
「そう言う問題じゃなーい! というか、本当はもっと歳下でしょ!? なんでここにいるの!?」
「瑞希ちゃんと同じ学校に通いたくて、色々手を回したんだよ」
「権力の活用方法がおかしいよ!?」
「僕が同じ学校に通うのいやだった?」
「いやじゃないんだけど……」
「昔は僕のことを可愛がってくれたのに……」

 儚げで美しい顔立ちにしょんぼりした表情を浮かべて見つめられると、言葉にグッと詰まりそうになるけれども……。

本文より

 あらすじでは展開されていなかったバックボーンが提示されました。ヒーローは主人公の後輩として、学校に入学しています。

 ということは、今後の舞台は「学校」で展開されることを示唆しています。

 彼は私の後輩、鳳凰寺茜くん。
 なんと、幼少期に私が育てていた元ひな鳥で、その正体は大富豪のあやかし一族の御子息だったのです! 知らなかった!

本文より

 そして、それらの情報が補足されます。

 ヒーローに求められる要素って、金とか権力があることも大事なので。あやかし一族の御子息であるとか。そういった部分の情報提示でした。

 これらの情報量からして。タイトルとあらすじから本文を読めば、情報が増えました。

「溺愛を好む読者のための作品であり、舞台は学校を指定される。ヒーローは資力がある、あやかしである」

 ちゃんと、読めば。舞台の確定であったり、ヒーローのパーソナリティが充実していく要素はあります。

 そして、二人の出会いのシーンとして、過去の回想に物語は展開していきます。

 ここで、小学生視点として切り替わるので、文体も年齢相応の「コメディ」としてのそれに切り替わります。
 襲いくる蛇。それに対峙する少女のシーン。
 ヒーローのひな鳥としての誕生。

 ひな鳥の登場は、小学生時代の時制でみるならば。物語の起こり、の部分で引きとなっています。

 作品のジャンルとしては十分な情報量であろうかと思いますし、最初に「溺愛」のシーンを見せることも十分なジャンルとしての期待感や約束に貢献している演出だと思っています。

 御作は溺愛やコメディのジャンルとして見るならば、特別問題のない情報量であることは十分に申し添えたうえで。感想依頼にあった部分を考えてみましょうか。

 物語上の成長について

 そもそもですが。主人公達の「成長上の課題。物語上の障壁」というのはすべて「成長」のためにあるのが前提だったりします。

 これは私達の人生でもそうなんですが。新しい職場。新しい学校。新しいクラス。新しい環境に身を投じた時、新しいストレスや新しい人間関係を構築するなど。大忙しです。

 私達の生活はいつも「変化と安定」を繰り返していきます。

 それらを「モデル」に物語の構成は「変化と安定」を模倣しています。

 主人公が成長をして、環境に馴染む、安定する。安定したら、また新しい変化を投入する。

 といった形で常に「人生に波乱」が起こるように。物語も同じような工夫を求められます。

 その点で御作の「溺愛」ものとして、考えてみるならば。物語上の変化と安定で眺めてみましょう。

 小学生時代

 変化:蛇に食べられそうな卵を保護する。
 安定:ひな鳥との「溺愛(ヒロインがヒーローに与えるそれ)」の生活

 高校生時代

 変化:あやかし一族のつよつよ可愛いヒーローとして、ヒロインを溺愛してくる。
 安定:不明

 物語になる部分って「安定」の部分なんですよ。「安定(起承転結でいう所の承の部分)」についての予想を立てることができるか?

 というのが、基本的な「物語上の誘導」であったりするんですが。御作は現状「学校を舞台、権力をごりごり使う押しの強いヒーローが溺愛してくる」というイメージはふわっと持てますし、それで、選好したターゲットには十分な要素だとは思いました。

 さて、深堀して考えてみましょうか。

 現状出ている情報で、考えられること。

 ヒーローがあやかしである。ということは「公然の事実」であるのか「二人の間の秘密の関係」であるのか。ここの設定次第では、ラブロマンスの雰囲気は変わりそうです。

 もしも「公然の事実」であるとしたら「社会的な制度の中で、あやかしがどのような位置にいるのか?」というキャラクターのバックボーンにふれることで、物語上の課題として期待できたでしょう。

 もしも「公然の事実」ではなく「二人だけの秘密の関係」であるのだとしたら。あやかしを「ラブロマンス」の対象として見ることへの「私」の葛藤をテーマに物語を展開できるでしょう。

 別の会場の感想でも書いたんですが。

「どんな方向性の作品にもなり得る」という「可能性が広い」作品になっています。

第二十一回 書き出し祭り 第二会場の感想(順次更新)
2-12 ネフ・デ・フゥーの船頭の感想より

 御作も同じような状況になっています。二人が「どのような課題や、障壁に立ち向かうのか?」といった部分で見た時に「提示している情報」についての補足が少ないため。展開の可能性に「広がり」があります。実際のところは、こういった情報提示は「二話目以降」でムードや課題の確定のために描写の取捨選択をしていくことになるんではないでしょうか。

 続けてみましょう。

 あやかしという存在が「公然の事実」であるならば、それを前提として。「あやかし一族」がどのような発展をしているのか。そして、その発展や繁栄のなかに「妻となる人を決めないといけない」というセントラルクエスチョンが存在するかもしれません。
 ヒーローがシンプルに「好きな人を連れてくればいいんだよね!」といって、ヒロインに猛アタックしてくるといった理由です。

 溺愛に理由がつくことになるんでしょうか。

 だって、考えてみてくださいよ。あやかし一族で何不自由ない坊っちゃんですよ。

「おまえ、どうして卵でそこに転がってたんや?」

 という「設定上の抜き」があります。これは読者への興味誘導として効果を発揮しています。

 ヒーローは生まれる前から、親族に疎まれていたのかもしれません。それとも、何かの争いに巻き込まれて逃げ出していたのかも。

 とにかく、ヒーローの現状はよくわかりませんが。何かしらの欠点を抱えているとは思います。

 おそらく、本当の「ひな鳥」としての教養を彼は持っていない。
 全く無関係の少女と大事な幼少期を過ごしているわけですから。
 彼は「あやかし」一族の中では「人間に育てられた妙な奴」としてコミュニティから孤独を感じているのかもしれません。
 その孤独の拠り所として、ヒロインへの溺愛を繰り返しているかも。

 彼は「愛し方」のサンプルがヒロインから与えられたものしかないんです。

 どういう理屈で彼が「一族」のもとに戻ったのか。顛末はわかりませんが。

 彼の生育環境は「大きな課題を抱えている」と設定することも十分可能だとは思います。

「ヒーローからの溺愛」の性質や、その問題にヒロインは気づき、小学生時代の時と同じように「愛を与え、道理を解いて」ヒーローを導く(彼がコミュニティや家族との関係において、適切な愛情表現やあやかしとしてのアイデンティティに不具合を生じていることへの導き)存在として振る舞うことになるのかもしれません。

 だって、メタメタに溺愛してくるヒーローが「実は家族仲悪いんです」とかなってご覧なさい。

 この面倒見の良いヒロインはほっとかないでしょ。トラブルに首突っ込むタイプのヒロインであり、行動力にあふれている人だと思っています。

 だって、私なら「卵が蛇に食われてら。たくましく生きてくれ」と念じて、その場を立ち去りますよ。

 とまあ一応ですが。設定が見える段階で、推測として立てられる。深読みというとこんな感じでしょうか。

 私がこの溺愛ジャンルに詳しくはないので、情報提示の量とかが気になるのであれば、ごりごり感想依頼を出してみるのが良いかもしれません。

 でも、まだ感想依頼を受け付けてくれてる方はいるでしょうかね。

可能でしたら是非ともご意見頂けますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

依頼文より

 可能な限り、色々考えては見ました。でも、かなり「いまさらな」話を刷るんですが。

 ジャンルとしては「ラブコメ」であるので、今のムードは非常に魅力的な作品になっています。この感想を書くにあたり、色々と皆さんの感想を読んでみたんです。

「とにかくヒロインが可愛い」

 というのは皆否定しないところです。それは「ヒロインの語り」という部分から、作品の魅力の一つとして構成されているので。キャラクターの成長とか。課題との向き合いとかの演出を意識しすぎて、今の勢いを崩してしまうのもそれは勿体ないところなので、ゴリゴリと「溺愛が書きたいんじゃあ」という癖を隠すことなく、書き続けるのが大事だと思います。

 書き出し祭りは色々な作品出てきますけど。一番大事なのは「書きたいものを書きつつ、ターゲットにどうやって届けるか?」という部分です。

 その点で考えたら「ターゲットに届いた」作品としては、なにも迷う必要がない作品だと思っています。

 書き出し祭りも残り一週間を切りましたね。のこり一週間ソワソワしながら過ごしましょう。

 感想は以上です。


4-16 言罪の旅人たち(感想依頼あり)

タイトル感想

 わからん。「言罪」という言葉があるんですか。造語なのか。何かしらの罪人が旅人をしている。とかいうことかもしらんですね。ファンタジーでしょうか。

あらすじ感想

 ファンタジー作品みたいですね。「原罪」と「言罪」の言い換えみたいにもとらえることができそうです。

 ファンタジー世界を構築する時の「世界観」をあらすじで示そうとしている作品です。そして、そこだけに終始せずに物語を牽引するであろうキャラクターまで設置しているというのですから、丁寧なあらすじでした。
 
 書き出しでどんなナラティブを示せるでしょうか。

本文感想(41/99)

 こいつは判断が難しい作品ですね。あらすじにもあるように、メインのキャラクターとされるものは二人いて、そのどちらが主人公(作中最も成長し、変化を得て、物語に介入する役割)であるのか? という部分が見えてこない作品です。

 あわせて、作品中の独自世界にかかる情報を飲み込ませたうえで、ラストのシーンに至ることで「物語の起こり」で引きとなっています。

 起こりから承に至る流れが二話以降となります。タイトルとあらすじ(梗概的)があるので、今後の展開への誘導がいくらか期待できる作品でした。

 キャラクター二人に対して考えてみましょうか。

主人公   :オー族の少女ホト
主人公の能力:神語を用いて人を殺めることができる。
世界観   :ハイファンタジーの世界観
異変・事件 :ホトが言罪を犯す。自害を図るも失敗する。
問題・課題 :不明(処刑を免れるためにラナサと旅に出る)
決意・覚悟 :不明(旅の理由が消極的。あらすじではわからない段階)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):独自世界と信仰やルールなどによる、世界の解釈を楽しむ作品。

主人公   :大司祭ラナサ
主人公の能力:他者の言力を奪う(これもわからんですね。禁忌を犯すとあるので、誰でもできる能力なのかもしれません。大司祭という役職が「罪人に罰を与えるときに限り、その罪人から言葉を剥ぐことを許されている」とあります。それを踏み越えることにためらいがない精神性を指している可能性があります)
世界観   :ハイファンタジーの世界観
異変・事件 :ホトが言罪を犯す。自害を図るも失敗する。「言葉を奪う名目が得られた」
問題・課題 :不明(ホトを生かす理由がわからん。奪ってお終いのハズですが、奪えない問題が発生するのでしょうか)
決意・覚悟 :不明(体制派であるのですが、思想が反体制的なので。そこも含めたものになりそう。現状では分からんですな)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):独自世界と信仰やルールなどによる、世界の解釈を楽しむ作品。

 色々と要素を整理しながら、読んでいけば。「序盤も序盤」といった段階であり、作品の楽しみ方についても「世界観のみ」で戦っている書き出しでした。

 奪った「言力」によって「何をするのか?」という部分が全く見えない(ラナサが言葉達に対するスタンスが反体制的であることは汲み取れますが)ので、世界観の魅力と、舞台設定「言力」を巡る物語なのは分かりました。

 惜しむところは。作品の魅力についてを「一読」では私は解釈できなかったですね。独自設定や固有名詞が並ぶので、キャラクターが有しているであろう感情や思惑を、つなげるのに多少苦労しました。

 この点は人によるでしょう。

 実際、精読して、要素を整理していけば。「物語の起こり」までを書いた作品であるのだとは理解できました。

「エンタメ的」な整理で考えるならば。言力を使って、何ができるのか。集めることでどんなメリットがあるのか。がわかりやすかったら、イメージもちょっとついたかもしれません。

 話は変わるんですが。

「大司祭ラナサさま、言罪を犯した者を、お裁きください」
……裁くのは私ではなく、神だけれどね
 ラナサが静かな視線をホトへ向けると、『死』の神語を賜った少女はさあっと青ざめた。

本文より

 実はこの解釈結構好きです。宗教的な規則や違反に対しての「罰」の考えは、宗教によって様々なんですけど。

「神が裁いてくれるから、私達が強いて裁く必要はない」

 といった考えがあります。

 ムスリムでも「娘が婚前交渉を持ち、挙げ句に妊娠までしました。私達は罰する必要がありますか?」といった、質問や一問一答があります。
 
 私の好きな回答があります。

「ムスリムが婚前交渉を持つことは神の意志に反している。あなたの娘は神様に罰せられる。それは明らかだ。神様が罰するので、あなた達ご両親がするべきことは娘の味方となることです」

 人の行いや。不品行に対して「口やかましく」ものを言ったって仕方ないんですよね。だって、犯した過ちは取り返すものではないのですし。大丈夫、神様は「死んだあとに」裁いてくれますから。現世で裁く必要はないんです。

 という考えを知ってから「SNS」で誰かの不品行に対して、苛立ちを募っている皆さんを眺めるのが、不憫になる気持ちではあります。

 さて。

 実は同じような柔軟な考えがラナサにもありますよね。

 こういった「キャラクターが持っているであろう思想」が反映されたセンスがチラ見えするのが。面白いなぁ。とは思いながら読んでいました。

 WEBで読むのはしんどそうですね。ハードカバーでガッツリ読みたい作品でした。本になったら、連絡ください。

 感想は以上です。

 感想依頼を受け付けたので、次の通り感想を追記します。

21-4-16 『言罪の旅人たち』 作者です。 突っ込んだ感想、もう少しおねだりしても良いのでしょうか。 (いただいた感想の文字数を見ながら)

依頼文より

 おねだりさんですねぇ。よございます。承りましょう。

特に、読み取りにくかった部分について。具体的にここがわからなかった、という箇所があったら教えてほしいです。

依頼文より

 読み取りにくかった部分。精読したら、意味は通るよね。といった文章だったり、設定の開示の話程度ですからね。この部分の「ここが分かりづらかったです」という文言の開示は「智子の読解力」の話になりかねないので、恥ずかしいのですが……まあ、感想を100作書くというのも個人的には、十分に小っ恥ずかしい行いではあります。

 飲み込みづらかった部分を整理してみましょうかね。

 御作は読者に与える前提情報がかなり渋いので、どんな文章を読み始めたとしても関連性が薄い。というのはあります。

 関連性って何よ。という話なんですが。文字数がかさむとは思いますが。コメントを残してみます。

 私達が「エンタメ」を含むコンテンツにふれる時。まっさらな状態でコンテンツにふれることは少ないです。

 今回は書き出し祭りなので、本屋を例にあげます。

 ご存知の方はいると思うのですが、智子は大食漢です。
 毎週一度は焼き肉食べ放題に向かう人間です。
 土日祝日であれば、ランチタイムで2000円で食べ放題が可能です。90分の時間制限いっぱいをオーダーバイキングで費やす人間です。

 腹を肉でみちみちに詰めたあと、家路につくのが毎週のルーチンです。

 その帰り道に本屋があるんです。
 ヒゲだらけの長髪のおっさんが、肉の香り漂わせながら本屋に入店します。私が来店するだけで、店の緊張感が高まります。

 私が存在するだけで、治安が悪くなります。智子は罪な人間です。

 まずはライトノベルのコーナーを、漫画を、新書を、文庫を、次に平積みされている作品達を眺めます。

 この地域ではどんな本が好まれているのか。を一通り眺めます。

 私は表紙を見つめます。装丁がハードカバーであるか。文庫であるか。本屋には珍しいですが。ペーパーブックの小説かもしれません。

 とにかく表紙にはたくさんの情報がありますよね。キャラクターのイラストが提示されていたとしたら。サブカル向けのライトノベル等の印象が強まります。頭身が多めのイラストで、タッチが柔らかいイラストなら「女性向けのライト文芸」としての側面もあるでしょう。
 もしくは、キャラクターのイラストではなく、どこかの町並みを描いているのだとしたら。人物の物語ではなく、場所の物語の可能性もあります。
 装丁がおどろおどろしかったら、それはホラーかも。
 明るい色使いのそれだったら、ヒューマンドラマなのかも。

 本というコンテンツは「読む前」から多くの情報があります。

 その情報を並べて「面白そうだなぁと思った読者のための書き出し」であることが求められている。と思っています。

 ラーメン屋ならラーメンを出してください。
 そば屋ならそばを出してください。

 読者は「食べたいもの」のお店に自分で並びます。

 そして、あなたの作品「4-16 言罪の旅人たち」に関しては「タイトルとあらすじを見て、興味を持った人」があなたの小説の前で並んでいます。


 言葉を尽くしましたが。この前提条件を元に「一文目」からあたってみましょう。

 タイトルとあらすじから。

「言罪という独自要素を取り込み、それをもとに逃避行を行う物語。メインキャラクターは二人。旅とあるので、その旅の最中、それぞれイベントが設定されている」

 ということが示されています。神の真意及び革命云々についても、メインストーリーの中に絡むのだろう。とぼんやりと思っています。
 革命とあるので、なにかしらの「体制」への批判的な要素も期待できますよね。

 これらを読んだ時に「なるほど。この作品は独自設定を基調としたハイファンタジー作品であり、二人の登場人物が旅をする物語なのだな!」と期待しています。

 この期待から読み始めたときに。本文をあたってみましょう。

 遠くから、でたらめな歌が聞こえてくる。
 神殿内部は誰もが立ち入りを許されているわけではないが、静寂に包まれたこの回廊には声の通り道があった。

本文冒頭

「旅してないじゃん。なんやの?」

 といった部分から、読む時に「視座の変更」を求められました。
 ここはカロリー高めでした。これは、もう。智子の「頭の中身の問題」というのもあるので、あんまり一般化は出来ない領域だと思います。期待の出発点が違った。という部分が一点。
 実際読み進めたら、あらすじにあった部分を「梗概」として時系列順に踏襲していることは読み取れました。

「またホトですか、懲りませんねえ」
 先導する司祭の背中に嫌悪が滲む。それは日暮れに色濃く落ちる影が見せる幻覚ではないはずだ。

本文より引用

 私達って文章を「読む」とは言いますが。実は読んでいないんですよ。「予想して、読んでいる」という部分があります。こういう風に予想して、補完して読む。という癖づいているので。

 タイトルとあらすじで出ていた。『オー族の少女ホト』の名前が出た。となれば、話者は『大司祭ラナサ』であると予想して読むんです。

 だけど、予想していますが。次の一文で「ああ、大司祭ラナサのことじゃないんだ」という文章の流れがあります。

 ラナサのキャラクター視点で内奥について言及しています。
「ホトに対して嫌悪感をにじませている司祭」の背中を見ているという文章です。

 ほんの数秒程度の読解の動きですが。こういった小さな「文章を飲み込むうえでのノイズ」が発生しています。

 このノイズが飲み込めないまま、次の文章、次の文章へと「理解したつもりで読み進める」と齟齬が発生して、前に戻る。といったことが度々ありました。

 この読解のカロリーや、文章の設置の順番によって「次の固有名詞」のウシュウという話題が飛び込んできました。

「きっと、ウシュウが咲いてはしゃいでいるのだわ……だってほら、こんなにも美しいんですもの」
 四方を回廊で囲まれた中庭を見やれば、俗世から切り離されたようなその空間には、淑やかな薄紅の花をつける樹――ウシュウが幹をうねらせそびえている。

本文より引用

 ここもそうですよね。ウシュウ。という固有名詞に関する説明が「後ろの文章」に挟まれています。

「ウシュウ」ってなんやねん。という読者の疑問を発生させて、それを後ろで回収する。そして、また文章を確認するために前文に戻る。

 といったような、小さな動きがここでも発生しています。

 おそらくですが、これはもう書き方の癖とか。書き手の読解力のレンズの広さの問題なので。

「こういった文章構成にすると、困る読者(智子みたいな奴)もおるんだなぁ」位に思ってください。

 これは一般化できる要素ではありません。文章の読解力や受け止め方って人それぞれだったりするので。お訊ねがあったので、強いてお答えしている。という領域です。

 次の質問にいきます。

また独自の世界観でどこまで伝えられるか、また期待をもたせられるかに挑戦したい、そういう思いがあったので、
>「エンタメ的」な整理で考えるならば〜
 など足りない部分を提示していただけたことも助かりました。 それをふまえて、逆にここは要らないのでは?と感じる描写について、お考えを聞かせてほしいです!

依頼文より

 依頼文を読むまでもなく。「世界観」で勝負しようという意気込みは見て取れる作品でしたね。その狙い自体は成功していて「一風変わったハイファンタジー読みたい」といった期待にこたえた作品だとは思うので、さして心配することはないんじゃないでしょうか。

 というのも、あらすじが「梗概」としてセットアップに関する部分を指していたので。
「このあと、一波乱あって。ホトを連れて旅に出るんやな」
 という予想は十分に立つので、次のページをめくらせるという書き出しの目的は十分に達したと思います。

 質問の意図は。
 もしも。この作品をエンタメ的な要素に寄せていこうとしたら。という考えで「スリムアップ」させて、他の描写を差し込む方法をお訊ねですね。

 皆さん、智子を何者と思っているかわかりかねますが。毎週お肉を食べることを楽しみにしている小さな人間です。

 考えてみましょう。

 タイトルとあらすじの時点で「物語読みたーい!」っていう人向けの情報ではないんですよね。

「この素敵な世界観をしりたーい!」っていう読者のためのタイトルあらすじであり、本文もその読者たちのためのものとなっています。

 実際、それは成功しています。そこは心配することないです。

 もしも「エンタメ寄せ」とするならば。

 あらすじの時点で情報を整理して、読者の期待感を「世界観の提示」のみならず「ラナサとホトの活躍」まで含めたものに変更します。

 文字数の問題で「世界観を説明」するシーンはざっくり削ります。

 世界観を説明しつつ、ラナサとホトの活躍を見せるシーンに置き換えます(簡単にこんなこと言うけど、できるかい! いうだけは簡単ですからお許しくだせえ)。

 基本的に「エンタメ」を楽しみたい人たちは「舞台設定の説明を読みに来てる」わけじゃないんです。 

 もちろん、舞台設定や。そこに馴染む価値観なども大事です。ラナサの発言も「バックボーンあっての味わい」となるので、楽しませ方がそもそも違うんですよね。

 言力という独自設定で「どんな活躍をして、どんな旅をするのか?」という部分に注力した演出に切り替える必要があると思います。

 現在は「旅の起こり」として起きる「宗教的な規則」を例示しながら、ラナサとホトの紹介にとどまっています。この時に「ラナサ」が反体制的な思想を有していることなどから、旅立ちを予感させるという情報量になっています。

 だけど「どんな旅をしていくのか。どんな活躍をするのか?」というエンタメ的なメインストーリー。エンタメ的なナラティブ(読者に約束する楽しみ方)が全く見えてこない。

 次のページめくったら。

 水戸黄門みたいな世直し旅になってるかもしれません。

 教会の追手を「言力」によって、ばっさばっさとなぎ倒す「バトルもの」に転じているかもしれません。

 これらの「結末までの過程を約束する」方針の書き出しに昇華できたら「世界観とナラティブ」の両立を果たした作品になれるんじゃないでしょうか。

 まとめます。

 書き出しとしてみるならば。現状で十分です。「世界観に興味を持ち、重視する読者達のために書かれている」作品だからです。

 ターゲットのために書かれていること。これが最も大事で、読者にとって誠実な態度です。

 もしも、エンタメ的な整理に寄せたいならば。あらすじから変更し、書き出しの演出も「旅の過程を連想できる」事件やイベントから始めることが望ましいのではないでしょうか。

 こんなこと申していますが。ネット小説なんですから、好きなターゲットのために好きに書いてよろしいと思います。紙の本とかだったら、文字数に制限(10万から10万前半)はありますが。ネット小説なんですから。書きたいものをゴリゴリ書いて、文字数パンパンにしていいと思います。

 大事なのは継続的に更新を繰り返し、新着小説の一覧に「名前を載せ続ける」という「定期更新」です。
 これだけで読者はつきます。あんまり心配しなくても、その力のままに作品を書き進めていいんじゃないかなぁ。とは思っています。

 私は「この読むのに前後するタイプの文体」であるなら、ハードカバーの本で文字数に制限を持って読みたい。といったタイプでした。

 こんな感じでしょうか。

なんだかおねだりが少しじゃないですね。
お答えいただける範囲で構いませんので、よろしくお願いします。
最後に、ラナサの価値観に触れていただけたこと、とても嬉しかったです。ありがとうございます!

依頼文より

 おねだりにできるだけご対応しました。

 ラナサの価値観についてもそうですが。人物を描く小説ですからね。ああいった「センス」や「人物観」がチラ見えしてくるだけで「一体感」というのは増してきますから。もりもりと書き続けてください。

 長尺となりましたが。感想は以上です。


4-17 うたかたのアンドロイド

タイトル感想

 なんか悲しい話になりそうです。
 セックス等を含めた性産業に従事するアンドロイドの話題に連想したのは、私がそういう話ばかりを書いているからでしょうね。

あらすじ感想

 少年少女視点のSFなのか。子どもたちだけで何かしらの問題を解決できるのか。といったものになりそうですが。舞台設定や目的意識の開示まで含めると情報が少ないあらすじです。
 
 物語の導線を本文に託したというところでしょうか。

本文感想(42/99)

 多分ですが。主人公のおじさんとは仲良くなれそうです。アパッシオ。最後には悲劇的な犠牲を払うことになりそうで、読み続けるのが怖い作品です。アパッシオ好きです。

 ファンタジー世界の思春期の男の子達の初恋はだいたいナニーメイドですから。恥ずかしがることはありませんよ。SF世界でもナニーメイドがいるならねぇ。そういうことですよ。そういう劣情と共に始まるの大好きです。父親とできてるナニーメイドとかに涙する息子の話とかも最高じゃないですか。

 蛇足でした。

主人公   :僕(宝華)
主人公の能力:不明(宝華に付き従うアンドロイドのパワー)
世界観   :基本的にネットワークがすべてつながったSF世界。
異変・事件 :大人たちが昏睡状態から覚醒しない
問題・課題 :不明(まだわからんですね。子どもたちにどんな危険が迫っているのか。それはまだ引きでしか見れなかった)
決意・覚悟 :不明(多分、大人たちを起こそう! とするのかも)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):子どもたちに降りかかる脅威の数々をアパッシオが剛腕で可愛く愛らしく活躍する話です。全体のストーリーラインとしては「昏睡状態の解決」を目標にするだろうなぁ。と予想しました。

 いい話だと思いました。誰が活躍するのか。というのが明確でアパッシオの活躍と、主人公の行く末を見たくなる関係性を表現できましたね。

 読者に「この二人の行く末をみたい」と思わせることができた段階で、エンタメ作品としてはもう成功したようなものだと思います。

 つかみバッチリなんで、二話以降も頑張って書き続けて欲しいです。面白かったです。

 感想は以上です。



4-18 白いドレスにスイカかよ。(感想依頼あり)

タイトル感想

 わからんですね。スイカいいじゃないですか。こぼさないように気をつけてください。
 タイトルからはジャンルも見えてこないですね。ウェディングドレスのイメージがあります。エッセイ風味のコメディでしょうか。

あらすじ感想

 え。これはちょっとかわいそうな話かも。悲恋じゃん。主人公のヒロインの恋は実らない感じですか?
 そう、捉えたあらすじでした。うーん。ジャンルがまだかっちりしないのでわからんですね。実らないのだとしたら、それはそれで恋ですよ。

本文感想(43/99)

 やっぱり、かわいそうな話だったじゃないですか。智子はこういうアンテナが鋭いです。もう、夏のお盆ってそういうことでしょ。


主人公   :山瀬風夏
主人公の能力:お盆の時期だけやってくる。死者の霊。声は出ないけど、姿だけが見える。
世界観   :現代ファンタジー
異変・事件 :事故死(本人に自覚はないようです)
問題・課題 :五年間現れ続ける。未練か。それは本人の問題なのか。周囲の問題なのか。不明。
決意・覚悟 :不明
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):現代もの。から現代ファンタジーにスイッチした作品です。この変化に読者が継続して読み続けるか。食らいつくか。わからん作品です。おそらくですが、山瀬は主人公ではないのかもしれません。最終的には「成仏」の話になりそうですが。主人公は新堂達が受け入れることになるので、次話以降「ムードが変わる」ことは、引きに影響がありそうです。もう一度、セットアップをし直す必要がある。

 山瀬の語りが好きだったので、ちょっと残念です。
 連載作品として見た時に、ここでムードの転換によって読者をいくらか取りこぼすんじゃないかなぁ。とは心配な読後感です。

 読者をどこまで振り回してよいか? というのは、タイトルとあらすじとムードの転換をした時に、ついてこれるか? の領域です。

 山瀬カワイイのにな。かわいそう。

 この落としたムードの中、どうやって切り返していくのか。切り返せるのか。次話があったら、読んでみて、再度のセットアップとムードの設置を読んでいきたい作品ですね。

 感想は以上です。

 感想依頼を受け付けたので、次の通り追記します。


 おお。長いですね。一番長いかも。

 上から順に回答しますね。

こんばんは。 全感想おつかれさまです。お願いせずとも感想いただけるのはありがたいです。ありがとうございま
4-18 白いドレスにスイカかよ。 の作者です。 ご感想ありがとうございました。 追加のご感想をいただけるのでしたらお願いしたいです。

依頼文より

 あい。こんばんは。100人組手みたいな脳筋の行いです。ついでの賑やかしになるならば。とこんなことしております。

 感想依頼があれば、さらなる賑やかしとなります。感想依頼を受け付けている皆さん大歓迎であると思いますよ。

1
特に褒めるところがなかったようですが、こうしたら良かったという点を教えていただきたいです。

依頼文より

 なんと自虐的。褒めるところがなかった。というより、基本的に私が「文章の巧拙」について、基本的に言及していないタイプなので。山瀬の語りカワイイ。を特筆はしなかったというだけです。
 こうしたら良かった。という話題ですか。

 作品の狙いとして「思いも寄らない! 展開! わお!」みたいな効果を狙っているのはわかりますし、実際他の会場にも同様の狙いをした作品はあります。

 タイトルとあらすじで予想していた。
「幼馴染の年上のお兄さんにあこがれている背伸びした少女の物語」を期待していたところから、ジャーマンスープレックス(しかも、結構低めの受け身とれない感じの鋭角な奴)で叩きつけられた感はあります。

 この叩きつけ方について、事前に「物語のムード」として、読者に「ジャンル変わるからな!」という事前予告みたいなものがあれば、読み手としても心構えが出来たんじゃないかな。とは思います。

 だけど、唐突な右フックを繰り出すことを「目的」とした作品でもあろうかと思うので、こればっかりは。私以外の読み手の皆さんにも積極的に感想依頼を出してみるのが良いと思います。

 似たような構成の「インパクト」で望んできた書き出し祭りの作品ってたくさんあるんです。だけど、私の中でそれが効果を発揮するパターンと。発揮しないパターンがあります。

 御作のような作品を次のように。言語化します。

「タイトルとあらすじで当初予想していたジャンルをスイッチする作品」

 当初予想していたジャンル(甘酸っぱい。憧れとかのラブロマンスジャンル)から予想は裏切りつつも、期待は裏切らない範囲にとどめないと。

 ラーメン食べれると思って、ラーメン屋に入ったのに、寿司が出てきた。ような躊躇いと落胆に近い読後感になります。

 これが。

 ラーメン屋でラーメン食べようとして、そばが出てきた。位だったら「OK。ちょっと食べてみようじゃん」位にはなるんですよ。

 人によるかもですが。この許容度の話です。

 もちろん。御作が「全体のプロット」を通せば「甘酸っぱいラブロマンスを約束するぜ!」と謳っていたとしても、本文を見る限り「ここからどうやって挽回するねん! 山瀬!」と思う位のセットアップのように感じました。

 そこの部分は結局のところ。
「読者の期待と本文の落差」でしかないので、強いてあげるほどでもないと一回目の記事ではさほど触れていませんでした。

 それも含めて「褒めるところがない」とお感じになったんですかね。

 山瀬可愛いじゃないですか。

2
人称が混じった書き方をしたのですが気になりましたでしょうか。読みづらい、不快ということは無かったでしょうか。また、文章は下手だとは思っているのですが、文章がおかしい、読みにくいというところがあれば教えてほしいです。

依頼文より

 この感想を書いている時点では、一読した時のイメージですが。特別、気になったりはしなかったように思います。
 この質問があることを機会に、もう一度読んでみました。

 読みましたが。別段気にするような部分ではなかったですね。

 一昔前の公募畑とかであれば、人称の揺れとかかなり気にする人はいるんでしょうけど。

 ネット小説ないしネット小説発の書籍などで、人称の揺れを目くじら立てて気にする人って少ないとは思います。

 あわせて「人称が移る」時も前後のシーン。注目しているキャラクターといった形で「揺れる」ことについても自然な動きのようには捉えたので、違和感という違和感はなかったです。

3
元々、情景描写を多めに入れて穏やかにゆったりと進める小説を狙っていました。 しかし六千字となり二千字削った結果の第一話でした。連載の掴みの一話として、これよりゆっくりした展開で、二話に分けるとしたらどのあたりなら二話までは読んでもらえる引きにできるでしょうか。 推しの子の第一話のように、長尺になっても無理やり最初のドンデン返しまで持っていきたかったのですが、長くてもこのままの方がよいでしょうか。

依頼文より

 なるほど。
 二話への引きについてですが。
 基本的に今のままでもいいんじゃなかろうか。と思っています。

 というのも、1の質問でもあったように。「ジャンルのスイッチ」に関する問題だったので。下手に切り分けると「一話で確定したジャンル(山瀬という少女の語りによる進行。甘酸っぱいラブロマンス)」と「二話で提示したジャンル(山瀬は実は五年前の事故でなくなっていた。成仏含めた離別の物語)」に開きが出てくるので。作品のセットアップの意味合いで考えると、現状の要素まで取り入れた形がベストだとは思います。

 一話で「どういう物語なのか」というのは示すことが大事なので。スイッチの振れ幅抜きにしても、作品のムードを確定するイベントまで取り込んだ現在の形は崩さないほうが良いと思います。

4
山瀬の語り方がかわいかったとのことですが、どのあたりだったのでしょうか。

依頼文より引用

 「あたしのこと、どのへんが好き?」

 という風に恋人初期の時機に訊ねられる感じだ。

 五年前の事故というのもあって、おそらく中二の姿のままなんでしょうね。おそらく、語り口が「大学生らしからぬ」というものでもあるし、そして「窓にうつる自分の姿を幼い」と思う程度には自覚的です。

 そんな彼女が「憧れの男性のために」ちょっと、大人びたおしゃれを励み、振る舞いに自制的になる。だけど、意中の男性の前ではおすまし顔だけど、内心ドキドキしている。

 可愛いじゃないですか。そして、そういった「愛らしさ」を表現できるのも。人称を混在させる形での描き方が効果を発揮しています。

 可愛いからなぁ。どうにか、ハッピーになって欲しいんですが。どうハッピーになるんでしょうね。

 自分が死んだっていうのを知らされると、狂乱するイメージしか湧かないのがつらいんですよね。

5
エンドは悲しい終わりではないのですが、あらすじにもっと具体的な話の流れやエンディングを匂わせる方が掴みがよいでしょうか。

依頼文より

 バッドエンドにならない方法があるんですか!?

 今回のパターンは「主人公の素性(幽霊でした)」に関わる部分を「あらすじ」では秘匿していたので。下手に情報開示できないんですよね。おそらくそこを「魅力」とも設定して、書いているはずなので。

「感情」が見えるような塩梅で情報の匂わせがあると、安心感がありそうです。

 現状は悲しい終わりになるんだろうなぁ。

 という情報量なので。「悲しい終わりになってもいいから読みたい」と思った人が読む作品になっています。

「いやいや、悲しいだけじゃない! なんかいい感じに嬉しい感情になって終わるよ!」といった情報が混じった引きないし、あらすじであれば、引き込む読者の間口は広がりそうですね。

 そういう情報があったら、私は「ここからハッピーになるんや!?」という期待と希望で、ページをめくるでしょう。

 たくさん書かせていただきましたがらお答えいただける分だけで結構です。よろしくお願いします。

依頼文より

 どうでしょうか。お答えできる分についてお答えしました。

 書き出し祭りも残り二週間切りましたからね。もっともっと、いろんな方の感想を集約して、ぜひ、連載につなげてください。

 感想は以上です。




4-19 没落聖女 GO TO HEEEEEEELL!!!!

タイトル感想

 これもわからんですね。没落聖女が「叫んでいる」のだとしたら、だいぶアグレッシブなタイトルだと思います。どの程度の地獄が展開されるのか。この勢いに負けないあらすじと本文を期待しています。

あらすじ感想

 にこにこしながら読めるあらすじでした。
 
 私があんまり足立区というのを存じ上げないのですが。大麻が横行している地域なのでしょうか?
 
 喧嘩自慢のお兄ちゃん。拳で語るタイプのお兄さんみたいです。遠くで眺めておきたいタイプです。
 
 ハードルは高ければ高いほど良いものですから。主人公には頑張っていただきたい。
 反社系ヒロインかぁ。

本文感想(44/99)

 書き手はキャラクター達に対して試練を与え続ける存在。というのを体現した作品です。
「やるなよ?」と言われたことをやる。

 お約束でした。

 そして、読んでてびっくりしたんですが。

「ああ、これTS百合もの」なんや。という驚きでした。あらすじにもあったんですが、あんまり意識してませんでした。

主人公   :本名は 田井中泡姫(アリエル)輝く名前。自称リリアン
主人公の能力:人語を解する猫。ゲーム内世界を知悉しているプレイヤーとしての手腕。兄をサポートする。ツッコミ役。
世界観   :プリンス・ウィズ・シルヴァラント という作中作乙女ゲーの世界観。異世界転生。
異変・事件 :エンディング直前で、イルマリアが結婚相手の妹と羽目を外す
問題・課題 :処刑ものの失態と向き合いつづける。
決意・覚悟 :起こしてしまった問題の隠蔽を決意する
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):常識人の妹と、企画外な兄による異世界転生ライフを楽しむ。コメディ的要素が強い。

 ある程度、時間軸が進んでいる時点での冒頭ですね。この「ゲーム内転生」という「読者達の間でおおよそ理解できる」テンプレート的な世界観が存在する前提の作品です。

 そこに「反社」的価値観をぶち込んで見ると、こんな反応になるんですね。

 面白かったです。第一話とか。第二話とかの物騒なタイトル良い効果を発揮しています。

【第2話:国王暗殺計画に続く】

本文末尾より

 あ。国王殺すつもりか。と、先がいろんなことがよぎりますよね。アリエルはプラン通りに過ごせるでしょうか。

 いや、アリエルも大概だとは思いますけどね。

 更新たのしみにしています。面白かったです。

 感想は以上です。


4-20 数秒程しか全力を出せないお侍様とスパイやります(感想依頼あり)

タイトル感想

 いいですね。スパイをやる理由とか。セットアップ自体があらすじや本文で展開されると思うんですが。力を発揮するうえで「制限があること」というのは物語の緊張感を高めてくれそうです。

あらすじ感想

【この作品にあらすじはありません】

本文感想(45/99)

主人公   :私――アンリ・エッタ
主人公の能力:お侍。マッケ・ユウのサポート。彼が飲む解毒薬を提供する
世界観   :ハイファンタジー世界観。スパイものとはいうけど、かなり剛腕。
異変・事件 :マッケ・ユウと出会う。一目惚れ。
問題・課題 :マッケ・ユウの呪いを解くための課題や試練。マッケ・ユウの好意を求める。
決意・覚悟 :マッケ・ユウの呪いを解きつつ、相手の好意を勝ち取るために物語にのぞむ。
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):そっけない主人公とヒロイン。という一方通行なバディものとしての楽しみ。

 上手な作品でした。主人公はどっちになるのか。

 4000文字のレギュレーションでエンタメ作品として、キャラを立てつつ、活躍させて、次の展開への引きまでいれて。と描けるものなんですね。

 こういった「キャラクターの活躍」に対して一定の制限を設けることで、二人が並ぶ理由になっているのは上手でした。

 短編漫画の一話として書ける情報量の作品ってあんまりないですよね。どうしても、字数が足りなくて、中途半端な所で終わる作品も多いなか。ざくっと、切り分けることができた作品でした。

 こういう切り方できる様になってみたいですね。

 感想は以上です。

 感想依頼を受け付けたので、次の通り感想を追記します。

 特別に質問や要望もないようなので。どうしましょうかね。

 こういった場合は「面白かったなら面白かった理由を、いまいちならいまいちだった理由を」といった形で、感想を追記していきます。

 この「面白かった」という部分を個人的な趣味や嗜好のラインで考えるのも大事なんですが。智子としては、書き出し祭りでの感想の目的というのが。構成とか演出とか見せ方の部分で「一般化」できる技術として、習得することです。

 普遍的に「多くの人が面白い」と感じてくれる作り方はどういうものなのか?

 という部分から、色々と考えています。

 その点で見た時にこの書き出しは「書き出し」で必要とされる要素を満たそうとした作品のように捉えています。一個ずつ考えてみます。

1:ファースト10が埋まっていること。

主人公   :
主人公の能力:
世界観   :
異変・事件 :
問題・課題 :
決意・覚悟 :
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):

 ファースト10っていうのは、上記の項目なんですが。基本的に映画とかのシナリオライティングでの考え方らしくて、それを小説関連に流用しています。

 コンテンツを構成する全体の10%以内に上記の項目を示すことで、引きを作るという考え方です。

 90分の映画だったら、冒頭の9分程度で上記の項目を埋めます。

 それをそのまま小説に適用するとしたら。

 10万文字想定の作品なら1万文字以内にファースト10を埋める。ということになるのでしょうが。小説というコンテンツは「映画」のように「受動的に視聴するコンテンツ」とは違います。「読者の能動的な読み込みによって成り立つコンテンツ」が小説です。

 よって、上記の項目のために10%も使ってはいられません。

「エンタメを目的とした小説ならば、ファースト10の要素を埋めるのは早ければ早いほど効果が発揮される」

 と考えています。

 人によっては5000文字以内に埋めるべき。とお考えの人もいらっしゃいました。

 基本的にこの項目を埋めちゃえば「この物語が何の物語なのか?」というのは明らかです。その情報さえ分かれば読者は「この作品をどういう気持で楽しめば良いのか?」といった心構えが出来ます。さらには「この作品を自分は楽しめるか?」という「コンテンツの選好」にかかる情報でもあります。ここがそもそも「わからない」と「読み続ける理由にならない」んです。

 なので、エンタメコンテンツとして考える時上記のファースト10を埋める。ないし「ファースト10を予想できる」情報を撒くことが、書き出しで求められる「一般化できる技術」なのだろうと考えています。

 その点で考えてみると。
「書き出し祭りの4000文字」というレギュレーションは「序盤のつかみ」として考えるとちょっと絞った文字数ではあります。
 よって、できるだけ絞った演出が求められます。
 絶妙な文字数ですよね。素晴らしい企画だと思っています。

 さて。

 翻って、御作の「ファースト10」の埋まり方について考えてみます。

 まずは。序盤400文字時点での情報量を見ましょう。

私は悪徳領主に仕えていたメイドでした。

(中略)

私と彼の新たな生活ーー魔神を巡るスパイ生活の始まりです。

本文冒頭より

主人公   :私(←語り手)
主人公の能力:ダーティな能力や決断力を持つメイド(←後にバディものとしての能力も発揮します)
世界観   :貴族等が登場するハイファンタジー世界。侍という文言があるので、和風のキャラクターも登場する。タイトルにもあった要素を回収
異変・事件 :マッケ・ユウと出会う。一目惚れ。
問題・課題 :彼が罹った呪いと魔神信奉者たちの悪事に対峙していく。
決意・覚悟 :スパイ生活に身を投じる決意
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):不明

 上記の400文字程度でこれを埋めてきた作品はあんまりないですよ。他にあったかなぁ。実はこの情報って「あらすじ」的な要素は近いですよね。あらすじ用にこの情報を整えて、もっと「タイトルとあらすじ」時点で、読者の選好に投げていれば、あと400文字分、本文に余裕ができただろうに。とは思いました。

 しかし、並び順(4-20)から考えるに、締切に追われたんじゃなかろうか。とも思っております。

 400文字で「なるほど。面食いでダーティだけど一途なキャラクターが語り手の作品であるのだ」という事前情報を受け入れました。

 じゃあ、この侍はどんな活躍をするのか。スパイとは? 魔神教団とは?

 といったように、読者の興味を埋めていくように本文がつながっていきます。

 上記の400文字は「あらすじ的なアオリ文」としての効果を発揮しています。

 ということは、次の一文から「書き出し」となります。

金庫の中身を漁っている時、潜入先の主の声が我々の背後から降りかかりました。

「やはり、君たちだったか。ここ最近、魔王国を騒がすスパイ共は……魔法も使わずこの屋敷で堂々と活動するとは。とんでもないな」

私たちは金庫を前で硬直。さあ身バレです。

本文より引用

 スパイの一番の要というと「潜入」じゃないですか。初っ端から身バレして、動きのあるシーンから展開しています。そして、このあと制限のある侍とメイドのやり取りであったり、二人の関係性などを描き、侍の能力を発揮する(その際にメイドのサポートなど)といったように、ファースト10の要素を上書きしながら、アクションが展開されていきます。

 ラストは次の展開への引きといった部分で、終了です。

 正直、この情報量とイベントを一話で畳みつつ、引きができる作品があるんだなぁ。と驚きながら読んでいました。

 おそらくですが。スパイものというよりは、もっと剛腕で押し通していくコメディの要素強めの作品としてのムードを感じ取りました。

 二人の自己紹介とも取れる書き出しから始まり、今後は「物語」のための魔神教団や、マッケが抱えている「制約」に関する呪いの話題とか。色々と展開していくことが期待できる作品でした。

 基本的に面白かった作品として考えるとしたら、上記の「ファースト10」がめちゃんこ早い。というのは、一般化できる技術の範囲かもなぁ。と思いながら読んでいました。

 こういう風に要素を押さえて、ナラティブを見せる演出の書き出しを私も考えてみたいです。

 とまあ。こんな感じで「御作はどうして面白かったのか。そして、それを再現できる技術はどこか?」という部分で考えてみました。

 感想は以上です。


4-21 救いの女神よ、どうかこの世界を

タイトル感想

 タイトルを途中で切っているのは。逆説的な意味合いを予想させてくれます。世界は嫌われてるんでしょうか。
 女神とか。神の話題を展開するとファンタジー色がでてきていいですね。

あらすじ感想

 神様とのネゴシエーションが始まりましたね。ナラティブをぶち込んできました。面白そうです。
 タイトルでも予想していたように「反語的」要素のある切り取り方でしたね。

本文感想(46/99)

 てっきり。神様に対峙する側の話だと思ったんですが。違いました。
「私」が救いの女神と思われてるんですね。


主人公   :私
主人公の能力:不明
世界観   :異世界転移(私のパーソナリティが不明なので、異世界から異世界転移なのかも)
異変・事件 :異世界から「女神」と言われながら召喚される。
問題・課題 :生き残っている人間とエルフからの侵略が課題
決意・覚悟 :不明(主人公の目的も、世界観に関しての「エルフ側」とされる情報も見えてこない段階。良い状況に好転することは望んでいるよう)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):小出しにしていく謎や、セットアップの情報。そして「ミステリアス」な「私」による世界への干渉自体を楽しむ作品でしょうか。

 狙いとしていることもわかりました。なかなか、面白い試みの書き出しですね。女性としての姿を起因とする、不穏さなどについての描写等もありました。

 地に足のついた感のある、生々しい描写から、シンプルな能力の発揮によって、物語が好転するタイプの作品ではないことは汲み取れました。

 このスピード感やムードを飲み込んだ方は次話で「謎の男」から与えられる情報を読むために、ページをめくる作品でしょう。

 この時点で「どんな話なの?」とは説明ができないのは、苦しいかもしれません。

 半年間の付け焼き刃。

 もしかしたら、異世界に転移ないし召喚されること。一つ課題をクリアしたら、また次の異世界に。といったようにセットアップが常に変わり続ける作品なのでしょうか。気になる情報量でした。

 感想は以上です。


4-22 時計仕掛けの都市(感想依頼あり)

タイトル感想

 キャラクターの物語じゃなくて「世界の話題」を展開しようとしているタイトルなのかも。

あらすじ感想

 不思議な世界観のファンタジーですね。面白そうです。もう、暗号は解かねえぞ。
 物語の目的が明確でよかったです。ジャンルとしてなにか分類できるか。というと、わからんですが。今回この作品に限らず「ハイファンタジー」が増えてる気がします。なにか流行しているんですかね。

本文感想(47/99)

 ツイートでも感想を述べたように。必要とされる情報を満たした書き出しでした。

主人公   :アイネ
主人公の能力:時計屋の店主。時計の修理を可能とする。
世界観   :ハイファンタジーの世界観。
異変・事件 :街中の時間が自分以外止まってしまう
問題・課題 :不明(あらすじで補足。時計塔の修理を行う)
決意・覚悟 :原因への探求を決意(あらすじで補足。時計塔が原因であることはまだわかっていない)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):アイネという主人公が街を助けるために奮闘する物語。

 すごく感想が書きやすい。ここまでシンプルにいけるのっていいですね。楽しみ方が明確。最高です。

 上記のファースト10には書いていないんですが。やはり、時計塔についての絵本自体が「予示」として、効果を発揮できているのもいいですよね。

「その絵本をフックに街の謎を解いていくんだね!」

 と、読者に期待感をもたせる良い役目でした。

 これから展開されていく情報や、魔術師と塔の関係など。期待しながら読み進める事ができる書き出しでした。

 感想は以上です。

 感想依頼を受け付けたので、次の通り追記します。

こんばんは、4-4-22「時計仕掛けの都市」作者です。
まず最初に、全感想お疲れ様です。そしてnoteでのご感想、ありがとうございます。めっちゃ元気出ました、やはり感想は心と身体に良いですね。

依頼文より

 丁寧な挨拶ありがとうございます。なかなかねぇ。まだ、一週間経ってないし、第四会場だし。感想があまり出てこないから心配になりますよね。

 感想は心と身体に良い。

 特殊な言い回しですね。ゲスパー智子が発動しますよ。あなたは誰だろうなぁ。

さて、本題です。追加の感想依頼をお願いしたくこちらを送らさせて頂きました。
noteでも仰られていた様に、構成自体は結構シンプルに〝物語として分かりやすい〟事を念頭に置いて執筆しました(もしそう感じて頂けたなら非常に嬉しいです)。 それを今回の私自身の課題として書いたのですが、故に単調になっている気がしていまして……

依頼文より

 わかりやすい演出と、シンプルな描写が効果を発揮したタイプの書き出しです。
 これは他の方の感想でも触れているんですけど。「描写諸々のすべてを読者の知性(読者が保有している。物語リソース。想像力)に委ねる」という書きぶりです。

 私は自分の作品を何度でもこすりますが。
3-19 オソガル少年の嫁取り物語 ~乳のデカい女をもとめて~』においてもそうですが。「描写は極力排除する」というかなり過激派な書き手です。

 私に訊くのは、あまり参考にしづらい要素かとは思います。

 とは、申しましても。「単調さ」について、心当たりはあります。ご自身でも客観視できているようですが。言語化までは至らないようですね。参考になるかわかりませんが。頑張ってお答えしてみましょう。

そこで「もっと物語へと引き込むには」「気になった改善できる点」、あと単純な興味ですが「良かった点」辺りのご意見をお聞きしたいと思いました。 良ければ宜しくお願い致します。

依頼文より

 単調さ。物語への引き込み。気になった改善できる点について、まとめて回答します。

 この作品は「メロドラマ」的な構成になっています。

 メロドラマってなに? というと「外的な課題偏重の構成」としています。

 外的な課題とはなに? 物質的に迫りくる喫緊の課題です。

 今作の場合は「時間が止まってしまう」という、目に見えて分かる課題です。

 基本的に物語というのは「外的な課題」によって、環境の変化が起こり、その変化に抗うないし受け入れるといった形で物語が展開していきます。

 今回の場合は「抗う」としている物語構成です。皆の時間を取り戻す! といった明快さが本文にもありますし、あらすじにも明記しています。

 この作品は「外的な課題」は明確なのですが。

「内的な課題」が不在の作品です。

「内的な課題」とはなにか。
 というと「主人公の精神的な課題」です。

 外的な課題と内的な課題の二つが両立して初めて、物語に「ドラマ」が産まれます。

 現状の作品の情報量は「物質的な課題」に偏っています。

 私も色々、うがった目で読み続けましたが。内的な課題を連想できる描写や、精神的な孤立や、不満など。アイネが何かを抱えている様子は見受けられませんでした。

 なにか、例示できるような作品があれば良いんですがねぇ。

 外的な課題と内的な課題は「一見リンクしていない」ように見えて、つながってることが、珍しくありません。

「時計塔の異常」と「アイネの不満との対峙」がそのまま、事件の解決につながるような「演出」までを含めて、書き出し本文に描く事ができれば「単調さ」などから、脱却できるのではないでしょうか。

 内的な課題まで含んだ、書き出しにすると「描写」に対して「どこに注力するべきか」というのは、自然と浮かび上がってきます。

 他の方の作品を例に出しても仕方ないですから。自作を通して、例としてみましょうか。

 ええ、何度でもこすりますよ。

3-19 オソガル少年の嫁取り物語 ~乳のデカい女をもとめて~』についての外的な課題と内的な課題について考えてみましょう。

 外的な課題は明白です。

「乳のデカいお師匠の言いつけ通り、乳のデカい女をもとめて、少年が旅に出る」ことです。

 それじゃあ、彼はどうしてこの「外的な課題」を持ったのか。

 村の嫌われ者であった姉が、結婚相手を連れて、村で結婚式をあげたら。いっぱしの大人づらをしている。「僕も村人に認められたい!」という「内的な課題」を序盤に表現しました。

 この「村人に認められる」という承認欲求のために「女性を伴侶としなくてはいけない」という価値観や、お師匠のスポイル的な指導方針にあらがう。といったことが物語上のメインストーリーと設定しています。

 これが上手な例かどうかはわかりませんが。

 外的な課題と、内的な課題を並べた例です。

 この視点で書き出し祭りの作品を並べてみた時に三種類分かれます。

 外的な課題偏重の作品。
 内的な課題偏重の作品。
 どちらのバランスもとれた作品。

 この感想を通して、参考となるかはわかりませんが。ご自身でも他の作品を読み解いていくとき、この考え方は作品の要素を整理するときに、一定有効な方法だと思います。

 さて。良かった点についてですが。

 一回目の感想でも触れてはいるんですが。

「物語を回そう」という意識のあるシーン選択が展開しているようには感じました。絵本のシーンもそうですが。

 時間が止まるという変化を描くためには「ハイファンタジー」世界での「日常」を描く必要があります。そして、その日常のなかに「予示」(フォーシャドウィング)としての「からくり時計の修理依頼」などが挟まれることで、登場人物の紹介や、主人公が「どこにいるのか?」というバックボーンや背景まで「シーン」で言及できていることが良い点だと思います。

 シーンや演出で「内的な課題」にかかる「日常の不満点」とか、精神的な不和を描くのって難しいんですよね。こればっかりは、練習ですね。もりもり物語書いて、もりもり物語に触れましょう。

 冒頭だけ。という前提で、映画を10分見て、外的な課題と内的な課題を書き出してみる。という、趣味と実益を兼ねた遊びをしてたりします。

 もう、練習しかありません。お互いがんばりましょう。


 感想は以上です。



4-23 紫薔の暴君

タイトル感想

 暴君というタイトルから。ファンタジーっぽさがあります。あらすじ読まないとわからんですね。

あらすじ感想

【この作品にあらすじはありません】

本文感想(48/99)

 誰かを主人公と見るのは難しい作品のように思います。というのも、読後感のカタルシスのために「ハウェル」という男性の真意について、意図的に描写を省いている要素もあります。

 こういったアプローチの作品にとって、ファースト10は馴染まないのかもですね。やってみます。

主人公   :ハウェル・グランクト
主人公の能力:商家としての財力及び公爵としての地位
世界観   :ハイファンタジー。聖人等もあるので、宗教的な要素も加味したそれになりそうです。
異変・事件 :グランクト婦人の死亡
問題・課題 :レコルドルの聖歌に加えるための申請などを許可するマギニトとの対峙。
決意・覚悟 :不明(ここが一番のカタルシスの予定になるんじゃなかろうか)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):悪評のある男がどうして、妻のために手続きをするのか。その真意は? といったように、謎でもって誘引し続けるタイプの作品です。


 マギニトという宗教的な指導者としての立場がある彼女も、それらの真意を汲み取るために足を運んだ所はあるでしょう。

 この「隠された真意」に対してのアプローチ自体を楽しむ作品であり、それを汲み取った読者は興味をもって、投票できると思います。

 しかし、どうして「あらすじ」を持たせなかったのか。これはかなり気になります。あらすじがあったほうが、効果的な作品だったようには思います。
 第四会場の後半ということもあって、時間に追われた作品なのかもしれませんね。

 ハウェルの真意が気になる塩梅の作品でした。

 感想は以上です。



4-24 失せ物探しの明石さん(感想依頼あり)

タイトル感想

 占い師の話題でしょうか。失せ物探しっていうと、そういうものな気がします。

あらすじ感想

 良いあらすじです。最初から最後まで。そして、彼女自身がメンターとなるまでの動きが示されています。安定感があります。ぜひ、読んでみたいあらすじでした。
 
 私は約束されたあらすじほど魅力に感じる傾向があります。

本文感想(49/99)

 月9ドラマ的な安定感を感じます。わざわざ高柳についてとの距離感にも言及しているあたり、そういうことなんだろうなぁ。と期待してしまいます。

主人公   :私(苑恵)
主人公の能力:第六感がある。
世界観   :現代ファンタジーか。ファンタジーというほどファンタジーではない気もします。
異変・事件 :明石さんと出会う
問題・課題 :不明(明石さんの助言により失せ物を探す)
決意・覚悟 :不明(その試練や旅の果てに、彼女自身も導きを与える存在になる)
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):潜在的に占いを信じる「私」と占いに対して懐疑的な視線を持っているヒーロー(バディかな?)の両立によって、対立も楽しみつつ、「私」がスピリチュアルな力に目覚めていく流れを楽しむ作品です。

 上手な作品です。やはり、コンフリクトを予想させるキャラクターの設置は見事です。これだけで、作品の誘導ができます。

 明石さんがメンター。私が主人公。高柳が「試練、仲間、エネミー」の役割を展開してくれるバディです。

 しっかりしたあらすじがあると、今後の展開についての安定感がありますよね。読者としてもパンフレットが充実した気持ちで読めるので、本文自体が「ターニングポイント」までとどかずとも、ムードさえわかればあらすじが、補完してくれる。そういう力のある書き出しでした。

 智子好みのドラマになりそうです。

 続きをもりもり書いて、楽しませて欲しいです。

 感想は以上です。

 感想依頼があったので、次の通り追記します。

たくさんの感想ありがとうございます。そして、お疲れ様です。

依頼文より

 ねぎらいのお言葉ありがとうございます。修練のために感想100本みたいな、脳筋の考えでやっておる活動です。

 さくさくと読んで、サクサクと感想をかけるような力を身につけたいです。

感想の追加依頼を募集中という事なので、もしお時間がありましたら以下の作品の追加感想をお願いします。
4-24 失せ物探しの明石さん

依頼文より

 書き出し祭りは感想依頼出して、露出増やして、多くの人からフィードバック集めてなんぼですからね。賑やかしのためにもおおいに活用してください。

 本作は書籍想定で書いた会社員の女性が主人公の、現代ファンタジーです。
・現代の風景が容易に想像できる事
・キャラクター小説である事
・「もしかしたらあるかもしれない」と思わせられるようなフィクション を目指して書きました。
 しかし、個人的には未だに納得のいく冒頭ではありません。

依頼文より

 理想が高いですね。本文を読んだ限りですが、その三点のお力は、十分発揮できているとは思います。

 どうしても「作品としての輪郭がぼんやりとしている」「日常演出をしているとはいえ、インパクトが足りない」という印象を受けてしまいます。
 他者の目からはどう見えているのか、ぜひ智子様のご意見をお聞きしたいです。

依頼文より

 先ほどの部分でも申し上げたように。3つの要素を満たした冒頭ではあると思いました。

「作品としての輪郭」というのがなにを指しているのか。でしょうが。後に続く「インパクト」の話題も交えて考えてみます。

 基本的に「タイトルとあらすじ」で、作品の「梗概」としての効果が発揮されたタイプの作品です。

 故に「インパクト」とか「強い引き」とかキャッチーな要素にこだわらずとも、読者がついてくるタイプの情報量で展開されている作品だと捉えています。

 物語の目的や次の誘導は分かります。
 あらすじにも書いていますし、本文にも触れていました。

「日常の世界」に潜んでいる「物語の予示」を提示しながら「特別な世界」への旅立ちを表す書き出しです。そして、その「特別な世界」への導き。主人公が旅立ちに対して、抵抗感を持っている。とか、持っていないにしても。その「特別な世界」を踏み出すための「賢者(メンター)」としての性質を、明石さんが持っていることは明白です。

 こういった。「物語のテンプレ的構成」や力の話なので、それに則った書き出しでした。

 この形で「ある程度完成している」という演出なので。足りないもの。として、私は感じなかったです。

 この点については、複数の方に意見を積極的に訊いてみるのが良いとは思います。

 推測に推測を重ねてみましょう。

 もしも。演出上のインパクトを与える。ということであれば「ホットスタート形式」から始めてしまうのが手っ取り早い。とは思います。

 しかし、それをすると。作品の目的である。

 「もしかしたらあるかもしれない」と思わせられるようなフィクション

依頼文より

 この効果が薄れる可能性があります。「あるかもしれない」という領域。のために「日常」に関する描写を提示して、読者との「一体感(アイデンティフィケイション)」の効果を存分に発揮しながら、物語を進行している作品です。

 なので、三つの要素を保ったまま。インパクトを欲しいとするならば。非常に難易度が高いですが。智子はすごい奴なので。うんうんひねって考えました。

 思いつかないから、一晩寝ました。夕方7時に就寝だなんて、もう自分でもびっくりです。
 ぐっすりです。
 寝たら、良いこと思いつきましたよ。

 もしも。今の形式を崩さずにインパクト重視とするなら。

「アクションに対するリアクション」まで含めることが、もっと強い誘導につながるとは思います。

 現状は「日常生活」を通して、感じ取っていた予示を描写し、それらの「物語の予感」を積み重ねて、最後の一押しとする「明石さんの助言」というアクションを受け止めて「真実だ」と内心で判断する。という所にとどまっています。

「貴女が昔から、そして今も抱いているその『感覚』は、気のせいでもなければ偶然でもありません。お祖母様が亡くなった今、早く欠片を一つにしなければ――命に関わりますよ?」
 雨音より強い鈴の音に柔らかな口調で告げられた物騒な言葉には、まだあまり実感が掴めない。しかし私の直感は、彼女の言葉を「真実だ」と言っていた。 

本文末尾

 物語が動き出したシーンはどこか? というと、明石さんからの助言なんですよね。それまではあくまでも「準備運動」です。主人公のバックボーンを提示し「ドラゴンボール」みたいに、何か集めるんだよ。という「セントラルクエスチョン(物語の中心的課題)、失せ物を見つけて、主人公は死を回避できるのか?」という読者の疑問のための描写を繰り返しています。

 これはこれで、楽しいんですよ。だけど「物語に慣れてしまった。感覚過敏な消費者達」にとっては「死」ですらも、コンテンツのフックとしか捉えません。

 大事なのは「死」の宣告をされたあと「主人公がどう動くか」にキャラクターの「行動動機」が宿ります。

 そこまで、踏み込んで描くとインパクトのある引きになったかもしれないですね。

 このあとの展開やプロットのラインを知らないので。推測ですが。

 もしも、明石さんが旅に同行して三人で動く。という形式ならば、彼女はメンターとして「高柳」に対しても導きを示す存在になるでしょう。

 もしも、明石さんが「安楽椅子探偵」よろしく、その場所から絶対に動かない人であるとしたら。物語の要所要所で助言を与える存在になるでしょう。であれば、物語のメインストーリーで動き回るのは高柳というヒーローと主人公の二人です。であれば、旅に乗り気じゃない高柳を引っ張り出す「主人公」の動きまで含めるのも。インパクト十分でしょう。

「スピリチュアル否定過激派な男性同僚・高柳」がその旅に同行していくことで、新たな葛藤が生まれるでしょうし。その誘い方次第で、主人公が「高柳」との関係性や、その後の行く末についての情報の提示にもなります。

 とまあ。最後の「アクション(←このアクションというのは、物語が始まるきっかけ。主人公が大きな決意、決断を示すためのイベントの始まり全般)とリアクション」までを明確に描くことで、多少のインパクトの後押しになるんじゃないかなぁ。

 と、ぐっすり眠った智子は考えます。

 どうでしょうか? なにか、推敲の足しにでもしていただければと思います。

 何度も申し上げますが。そもそもの段階で。

「この演出の狙いは成功している」という作品です。多くの人にたずねても「全く物足りなかった」という人はそんなにいないんじゃないかなぁ。とは思っています。執筆お励みください。

 感想は以上です。




4-25 貧乏令嬢の花婿探し ~なぜか、悪役令嬢に溺愛されるなんて聞いてませんけど!?~(感想依頼あり)

タイトル感想

 令嬢が花婿を探すんだけど、悪役令嬢に溺愛されている。ジャンル百合作品なのかもしれません。

あらすじ感想

 飲み込めました。世界観が飲み込めました。悪役令嬢側が「プレイヤー」としての知識を有しているのですね。百合です。
 今回の作品は百合が多いですね。
 
 智子は別に百合を嗜まない(カワイイ娘がキャッキャしてるのはそれはそれで需要として感じ取っていますが)タイプです。
 
 タイトルからも百合要素。あらすじからも百合要素。と安定感があるので、想定読者には届いた作品であろうかと存じます。

本文感想(50/99)

 バチバチの百合ってわけじゃなかったですね。ヒーローも登場するので、百合オンリーというわけじゃなかった。

 貴公子との結婚に関して「金づる」と見ているその価値観が潔くて好きです。
 男に甲斐性を求める価値観自体が失われつつあるらしいので、創作だけでもそういったキャラクター達を見るのが嬉しいです。

主人公   :私(アーシェ・エトワル)
主人公の能力:本人は無自覚であるが、世界の命運を握る「ヒロイン」としての力。
世界観   :乙女ゲーライクの世界観で展開される。レベリングシステムがあるようなアグレッシブなゲームじゃない気がします。
異変・事件 :イザベラ公爵令嬢からのアプローチ
問題・課題 :不明(目的としていた金づるは達成できそうだから、結ばれる事ができない理由がまだ見えてこなかった)
決意・覚悟 :金づるとなりうる男性令息を捕まえること
ナラティブ(読者に約束する楽しみ方):無自覚のヒロインとして、存在するので。物語をリードするのは公爵令嬢であり、どのようなカタルシスを提供してくれるのかは。まだピンとは来ていない。三人の関係性を元に楽しんでいく作品のように捉えました。

 智子のTwitterをご覧になっている方はおわかりかと思いますが。現在進行系で「乙女ゲー」関連のアニメを見終わったばかりなので。

 乙女ゲーセットアップ色々あんだなぁ。とうなりながら読んでいました。

 ゲーム内キャラクターオンリーの視点の作品もあるんですね。

 楽しみ方自体は明確なので、物語をリードする「プレイヤー」としての公爵令嬢がどのように活躍してくれるのか。どのように、主人公の目的である「金」を満たしてくれるのか。どんなイベントがあるのか。楽しみになりながら読み進める作品でしょう。

 感想は以上です。

 感想依頼を受け付けたので、次の通り追記します。

書き出し祭りの追加感想を、お願いしてもよろしいでしょうか。

依頼文より

 ええ。受け付けておりますよ。開催期間も長いですからね。何かしら、こういう風に感想依頼を受け付けたほうが賑やかしにもなるってなもんです。

04-25 貧乏令嬢の花婿探し ~なぜか、悪役令嬢に溺愛されるなんて聞いてませんけど!?~

 締め切り直前に勢いで書いた話なので、読み手の方が思う「楽しみ方が明確」のあたりを、もう少し詳しくご説明いただけないでしょうか。 どうぞよろしくお願いします。

依頼文より

 実は、私はこの依頼文を読んで驚きました。

「え、狙いすましての25番目じゃないんか」

 おおよそですが。最初と最後を狙ってお出しになる方もけっこういらっしゃるので、この作品もそういった類だと思っておりました。

楽しみ方自体は明確なので、物語をリードする「プレイヤー」としての公爵令嬢がどのように活躍してくれるのか。

記事文中より

 ここの部分を仰ってるのだと思います。

 もっと言葉を尽くすならば。「悪役令嬢を含む乙女ゲーライク」の異世界恋愛を主体としたコメディ作品であると読み取っています。

 で、この「乙女ゲーライク」な作品って、ありふれています。むしろ、このジャンルを好む人達は「ありふれている」ことこそ「安定した物語」として期待しています。

 私が説明をするまでもなく「乙女ゲーライク」な作品に求められるテンプレ要素として。「プレイヤー」として「世界観を理解している」キャラクターによる、様々なNPCキャラクター(今回の場合は主人公のアーシェも含む)への介入などを「物語のテンプレ」として機能しています。

 であれば、今回の話は「プレイヤー」として悪役令嬢のキャラクターが登場するのであれば、彼女がリードすることで物語上の「イベント」や「困難」に対しての誘導があるんだろう。と予想しています。

 しかし「乙女ゲーライク」とは申しましても、色々あるようです。基本的には「ヴィジュアルノベル」形式のゲームが基本のようですが、ものによっては「RPG」を基点として、戦闘のシステムがあったりします。バトルを前提としたものによる物語の誘導だったりと「ゲームシステム」を提示して、そのシステムの中で「活躍」をしていく。というものもあります。

 この作品が「他の乙女ゲーライクの作品達と比較して、どのような差別化を行っているのか?」という部分で見てみます。

 基本的にそんなに「乙女ゲーライク」の作品にたくさん触れているわけでもない。コンテンツの消費者としてですが。

「NPCの視点」によるもの。ヒーローとヒロインどちらからも「溺愛」されるという設定をウリにしているようです。

 個人的にはもう少し「興味深い」と思った点は。主人公アーシェの「男を選ぶ」理由が、金づると言ってのけて憚らない世界観の女性であるため。その価値観自体が「作品上の魅力」としても設定できる所はあります。

 なので、この価値観を前提とした「物語」の展開も期待できる要素だと思っています。

 今後の展開について。楽しみ方が明確。という部分を考えたときに。

「イザベラ公爵令嬢からのアプローチ」が妙に的確であり、主人公が断ることが出来ない位に先回りしているとか。面白そうですよね。

 金に困窮している。というのであれば、プレイヤーが札束で主人公の頬を叩くアプローチも可能でしょう。

 現状まだ、情報でわかっていないのが。ヒーローである王子と主人公は「ゲームシナリオの強制力」とでもいうのか、ほの字になるのでしょうが。そこら辺も次の展開等で興味深く読まれるところじゃないでしょうか。

 丁寧に三角関係を形成して、イザベラからの「溺愛」の関係まで描写できたら初めて「セットアップ」が完成して、この三人ないし他の攻略対象の男性陣が登場する。など、賑やかになっていくことを読者としては期待しています。

 さいきん、乙女ゲー関連のコンテンツばかり触れていたというのも、多分に影響があります。

 時間に追われていたとのことですが、着目点や、NPCである「主人公(ヒロイン)」の価値観への描写など、丹念な力を感じます。是非とも、書き上げて欲しいと思っております。

 感想は以上です。

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