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インプラントのメーカー選びの重要性

インプラントを考えているなら、ぜひ「どのメーカーを使ってるか」を一つの基準にしてみてください。インプラントメーカーは世界に数百あるといわれていますが、どのメーカーを使うかによって結果が変わるかもしれません。

インプラントの役割

インプラント治療で最も重要なことは、オッセオインテグレーションの獲得です。オッセオインテグレーションとは、顎骨と、埋められたインプラント体(フィクスチャ)の強固な結合のことで、金属のなかではチタンだけが骨細胞と顕微鏡下でも一体化することが確認されています。
現在使用されているインプラントフィクスチャのほとんどはチタン合金製ですから、適切に使用されれば治療の失敗はほとんど発生しません。

しかし、フィクスチャのメーカーによっては若干の差異がある可能性もあります。インプラントのメーカーは世界に数百あるといわれており、日本だけでも30社以上が製品を製造・販売しているのです。

もちろん、お口の中の状況や顎の状態によって歯科医師が適切なフィクスチャを選択していますが、フィクスチャの機能で治療結果が変わる可能性も非常にまれですがあるようです。

なお、費用に関しては、メーカーごとの費用やシェアを、東京の240クリニックを調査してまとめたので、気になる人は参考にしてみてください。

フィクスチャの種類はさまざま

インプラントフィクスチャの形状や表面加工にはさまざまなものがあります。

例えば、太さです。3.8mm、4.4mm、5mmなどの太さがあり、太いものほど安定します。しかし、骨が足りない患者さんに太いものは入れられませんから、さまざまな状況を考えながら選定していきます。

長さも同様に7mm、10mm、16mmなど、フィクスチャのメーカーによってさまざまな規格があり、歯科医師が患者さんの状態をよく観察して決定していきます。

表面加工について

インプラントフィクスチャは、ただの金属の部品ではありません。オッセオインテグレーションを効率的に獲得するためにさまざまな加工が施されています。

近年では表面に骨再生を誘導するためハイドロキシアパタイトを焼き付けたものも多くありますが、今回は大きく分けて滑面と粗面加工についての性能を比較してみましょう。

滑面とは一見してなめらかな表面を持っていますが、微細な線状加工が多く入っているものです。粗面とは、化学的にエッチング処理されているものや、機械的にサンドブラストなどで研磨されているものもあります。この表面加工は同じメーカー内でも違う加工を施した部品があり、メーカーごとにいろいろな種類があります。

表面性状とオッセオインテグレーションの獲得

インプラントフィクスチャでは、多くの研究者が表面形状によって、どのような骨形成がなされるかを研究してきました。その結果、多数の論文では、粗面であるフィクスチャのほうがオッセオインテグレーションを獲得する可能性が高いことがわかっています。

これは粗面フィクスチャのほうが骨との接触率が高いことかが考えられます。そのため、骨密度が低い部位や初期の固定が得られにくい場合でもオッセオインテグレーションが得られやすいといわれています。また、動物実験などの結果も出ているように、粗面フィクスチャでは、オッセオインテグレーションが早期に獲得しやすいというメリットもあります。ある研究では3倍程度早まるとの結果も出ています。

インプラントフィクスチャは治療に影響を与えるが、リスクも考慮する必要がある

インプラントフィクスチャの表面加工はオッセオインテグレーションに影響を与えますが、だからといって必ずしも粗面フィクスチャのほうが有利とは限りません。

ある研究では5年程度経過した粗面フィクスチャは、骨吸収(歯を失い、歯を支えるという役割を失くした歯槽骨が、退化してなくなってしまう現象)が大きい症例があったことを報告しています。これは、動物実験でも確認されていて、インプラント周囲炎によってインプラント周囲の骨吸収が過度に促進されてしまったと考えられています。

このように、フィクスチャにはさまざまな条件下でリスクも発生します。今回ご紹介したような表面加工やフィクスチャメーカーごとの特性がありますので、気になる場合には、担当する歯科医師に十分確認してみましょう。


参考文献
日本口腔インプラント誌 2004年6月号
インプラントの表面性状と骨吸収

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