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インプラントメーカー「ストローマン」について

ストローマン社は、2010年頃にノーベルバイオケア社を抜いて、現在世界シェア1位のインプラントメーカーです。2019年10月時点で調べた結果、東京都内でストローマンのインプラントを使用した場合、平均36.5万円ですから、ほかのメーカーと比較しても大きな差はありません。しかし、その信頼性は大きく評価されています。

ストローマン社の沿革・歴史

ストローマン社の誕生は1954年のスイスに遡ります。創業者であるReinhard Straumann氏は、時計業界で働いていましたが、スキージャンプで転倒、入院してしまいます。それをきっかけとして、時計業界で研究していた金属の結晶構造という研究を、骨の有機的構造および年齢に伴う変化といった研究テーマへ拡げいきます。

この研究は医療分野にも及び、まず骨折による骨接合術用インプラントで使用されました。その後さらに研究を進めるために、わずか従業員20名で「Forschungsinstitut Dr. Ing. R. Straumann, Waldenburg」を設立。有害物質を含まず、耐摩耗性に優れた合金の開発に成功しています。

1960年代からは、大学病院と提携し、歯科用インプラントの研究・開発を実施。現在では最適なインプラント形状と表面性状を獲得したストローマンインプラントは、組織学的に骨と緊密に結合していることが、多くの研究で証明されています。

ストローマン社の製品

ストローマン社のインプラントには、補綴の方法に合わせたソリューションシステムや手術に必要となるサージカルセットなど、さまざまな製品があります。ここでは、ティッシュレベルインプラントとボーンレベルインプラント、そしてそれぞれに使用されているサーフェスなどの技術について、ご紹介しましょう。

ティッシュレベルインプラント

ティッシュレベルとは、インプラント体とアバットメントの接続部が骨の上にあることを指します。手術は1回法でおこなわれます。ストローマン社はこの方法に適したインプラント体を数種類発売しています。「スタンダード」では、標準的な1回法手術に最適であり、あらゆる適応事例において予測可能な治療成果が得られるもので、アバットメントとインプラント体は八角形のネジでシンプルかつ柔軟に接合されています。

「 スタンダード プラス インプラント」では、粘膜のうすい領域に最適な審美性を踏まえたデザイン。低いネック部分は軟組織の管理にも柔軟性を発揮します。

「テーパード エフェクト インプラント」は、テーパーのついた根尖形態により抜歯窩にフィットするデザイン。抜歯即時埋入に適しています。

ボーンレベルインプラント

ボーンレベルとは、アバットメントとの接続部が骨内にあることで、審美性が高く現在の主流になっています。このボーンレベルのインプラント体としては、パラレルな形態により、柔軟性に富んだインプラント埋入が可能な「ボーンレベルインプラント」。そして、「ボーンレベル テーパード」では、テーパードデザインにより、抜歯即時埋入の抜歯窩で優れた基本安定性を示します。

歯槽頂部骨保存に最適なBone Control Design

歯槽頂部骨の保存と軟組織の安定性は機能的にも審美的にも重要な要素です。ストローマン社はこれを最大限得るためにBone Control Designを開発しました。この技術はスムーズサーフェスとラフサーフェスの最適な位置、マイクロギャップコントロール、骨伝導性、そしてすぐれた疲労強度と生体力学インプラントデザインによる最適な力の伝達という、生物学的な5つの基本原理によって構成されています。

高い治療予知性を備えたSLActive

SLActiveはストローマン社が開発したハイパフォーマンスなサーフェスです。オッセオインテグレーションは3週間から4週間短縮されるという研究もあります。また、抜歯即時埋入による10年後の残存率は98.2%となっていて、高い予知性が期待できます。そのほかにも障害がある部位の骨再生がみられるなど、優れたパフォーマンスを発揮します。

ストローマン社の活動

ストローマン社は世界中で多くの活動を展開しています。特に歯科医師を対象にした講習会、シンポジウムなどには積極的で、日本でも月に数回のセミナーが開催されています。ストローマン社はグループ会社として南アメリカに拠点を持つインプラントメーカー「ネオデント」、マウスピース矯正の「クリアコレクト」を傘下に持ち、それぞれのブランドでセミナーを開催しています。世界シェア1位の自社製品の適切な使用方法を多くの歯科医師に理解してもらうのが目的です。また、国際的なインプラント学会であるITI(The International Team for Implantology )との関係も深く、学術大会のスポンサーとして出資をしたり、共同でセミナーやシンポジュウムを開催したりしています。

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