台本制作秘話「吸血鬼お嬢様と女執事耳かき」編


はじめに

なんと……この度……初のご依頼をいただきました!!!めでたい!!!!

ご依頼主は音枝優日さんと榎本温子さんです!!!
ありがとうござ………………え、マジ?????????

音枝優日さんは言わずと知れた超有名演技派 Vtuber!
そして榎本温子さんといえば、プリキュアをはじめ数々の有名キャラクターを演じる超大御所声優さんですよ!?
そんなお二人の台本を、書いて……いいのか……?私が…………??


…………全力でいくぜ!!!!!


というわけで全力で書きました。
この記事では台本の裏話やこだわりポイントを書いていきたいと思います。あ、まだ聞いてない人は是非動画を視聴してみてね!最高だぞ!!

あとこちらは私は無関係ですが、同時公開されたもう 1 つのコラボ動画も要チェックだ!最高だぞ!!!



あらすじ

お嬢様を暴漢から助けた主人公。そのお礼として、お嬢様と執事に W 耳かきをしてもらうことに。……と思ったら、なんとお嬢様は吸血鬼。暴漢に襲われていたのではなく血を吸おうとしていたらしい!食事を邪魔した罰として代わりに食料になってもらうと言われて……一体どうなってしまうんだー!?


……とか言いながら、お嬢様は勘違いとはいえ自分を救おうとしてくれた主人公のことを気に入っているので普通にいちゃいちゃしようとして来るし、執事はお嬢様の強火ファンなので主人公に嫉妬してくるし……というただただ平和なお話です。

この叙述トリックを考えた私、天才じゃないですか?褒めてください。


こだわりポイント

せっかくの二人用台本なので、二人でしかできないことを詰め込みました。特に意識したのは

  • 相反責め

  • 同時喋り

の 2 つです。


相反責め

片側から優しく、もう片側から冷たくされる。いわゆる「相反責め」と呼ばれるジャンルが存在します。このジャンル、耳かき動画ではあまり採用されたことがありませんでした。まあ、そもそも二人での耳かき動画が珍しいしね……。でも今回は二人台本!できる……できるぞ!!!

という感じで、優しいお嬢様と冷たい執事に挟まれるというコンセプトが決まりました。毎回台本を書くときは新しい要素を取り入れるように努めているのですが、今回は「相反責め」がそれにあたるわけですね。

動画のコメントに「優しさと冷たさの交互浴で整う」と言ってる人がいて、やりたいことが無事伝わったようで嬉しかったです。


同時喋り

「一人が早口で自慢げに話しててそれをそっちのけで他のキャラ同士が会話するシーン」
アニメとかでたまに見る演出ですが、耳かき動画ではまだ取り入れられていないんじゃないでしょうか。せっかく二人台本なので、これも二人にしかできないこととして採用しました。

作中では、遠くで自分の部屋を自慢してるお嬢様そっちのけで主人公と執事が会話します。お嬢様かわいい。
実はここのお嬢様の台詞、裏で小さく流れているだけなのですが、一番書くのが大変でした。理由はかなりのファクトチェックが入ったからです。

いくつか台詞を引用してみましょう。

私のベッドはすごいわよー!
本場イタリアの職人に作らせた特注品で
とってもおっきくて、ふかふかなの!

ここの台詞、もともとは「イタリア」ではなく「フランス」にしていました。フランスベッドというブランドがあるくらいだし、ベッドの本場はフランスでしょ、と思ったからです。
しかし確認したところ、なんとフランスベッドは日本の会社であり国内生産にこだわっていて、フランスは全く関係ないそうです。なんだそれ!?


というわけでイタリアに変更しました。
イタリアにした理由は、作中のお嬢様の使ってるベッドは恐らく中世ヨーロッパ風の天蓋付きベッドであること、天蓋付きベッドの発祥がローマであることなどが挙げられます。十字軍がカーテンを持ち帰ったことが始まりらしいです。へぇ~。


……あとイタリアってなんか本場っぽいのも理由です。本当は現代の一般的なベッドはアメリカが主流なんですけど「本場アメリカ」って言われてもあんまり本場感ないから……(アメリカの人ごめんね)


もう一つ台詞を見てみましょう。

それに、寝室にはアロマを焚いてるの。
今日の香りは私の大好きなダマスクローズ

ダマスクローズは世界で一番高いアロマです。5ml 瓶が 3 万円とかします。アホか。そんなアロマを日常的に使ってるところにお嬢様感が出てますね。


実はこのシーンには元ネタがあります。
Yog-Sothoth's Yard というゲームに出てくるお嬢様がダマスクローズのアロマを好んで使っているので、そこに触発されました。どうすればお嬢様感を出せるか悩んでいたのですが、まさかゲーム趣味に助けられるとは……。
(めちゃくちゃ面白いゲームだけど日本語訳されていないから注意だ!)


それとは別にファクトチェックも行いました。
私の母がアロマの有資格者なので、恥を忍んで
「お嬢様が使ってるアロマって何だと思う?」
と聞きました。これもリアリティのため……
……まあおかげで、そこはかとないお嬢様の質感が出せたと思います。


というわけで、裏で小さく流れているだけの台詞ですが実はめちゃくちゃこだわって書いてます。2 度目に聞いた時に「ああ、こんなことを言ってたんだ」と楽しめるような台本を目指しました。



こだわり台詞

こだわりポイントとは別に、こだわり台詞も沢山あります。いくつか引用してみましょう。

お嬢様:
そうよ。あなたには責任をもって私の渇きを満たしてもらうわ。
あなたはここで、毎日私に血を捧げるペットとして一生を暮らすの。
執事:
そういうことでしたら、躾は私におまかせください。
お嬢様に血を捧げるからには、徹底的な生活管理をさせていただきます。
健康的な食事、睡眠、運動……
お嬢様:
あとあと、毎日のお茶会の相手でしょ?それから休日は買い物の荷物持ちもしてもらうし……
執事:
…………お嬢様?それはいささか、ペットの役割を越えているのではありませんか?
荷物持ちでしたら私が致します。

吸血鬼であることをカミングアウトした後の台詞。
餌にされると思いきや、なんかめっちゃ良い暮らしじゃん!?
というシーンです。

内心主人公のことを気に入っているお嬢様と、主人公に嫉妬している執事という、両者のキャラクターが同時に表現されている良いシーンですね。
会話内容も、一瞬ヒヤッとしてからのコミカルなやり取りが楽しいです。

台本を考えるとき、最初にこのシーンが浮かびました。
これを書きたいがために他の部分を考えたまであります。


お嬢様:
……ああ、あと耳かきが好きなんだったわね?
そのくらい、いくらでもしてあげるわ。
私は……気が向いたときしかしないけど
してほしくなったらいつでもジルに言っていいわよ。

執事:
お嬢様!?

いきなり全部執事に押し付けるお嬢様。自由奔放で可愛すぎる。
主人公には終始優しいのに執事のことは雑に扱うのがいいですね。
執事は普段からこういう風にお嬢様にいじられているんだろうなあ、という二人の関係性が見えてくるのが良き。


お嬢様:
……全然ダメね。
もっと恋人にするように、優しく愛おしそうにするの。ほら、もう一回。

嫌がる執事に無理やり耳ふーさせた後のお嬢様の台詞です。鬼畜か!
この急な冷淡っぷりにお嬢様のド S 具合が垣間見えますね。
この後、悔しさと恥ずかしさに悶え死にそうになりながら耳ふーする執事は必見です。

あ、でもここ、別に本気でいじめているわけではありませんからね?
執事はお嬢様にいじめられるのちょっといいなと思っているし、お嬢様もそれを分かったうえでいじめています。信頼の上のじゃれ合いということですね。
(ここまで私の妄想)


お嬢様:
どう?どっちの方が上手だったかしら?
……ふふ、当然よね。
きちんと正解を選べて、お利口だわ。

どちらの耳ふーが上手いか、主人公に聞いてくるシーンです。
絶対執事の方が上手いのに、圧で自分を選ばせるお嬢様!
しかも、嫌がる執事を無理やり耳ふーさせておいてからのこの仕打ち!
執事の尊厳を踏みにじるド S の所業!!!
分かりますか?この趣きが!!!!!

榎本さんが同時視聴配信で「ここたまらなく好き」って言ってて「分かっていらっしゃる……」ってなりました。伝わって良かった……。



おわりに

というわけで、初の依頼台本でした。

最初に提示いただいた設定やキャラクターが魅力的で、書いていてとても楽しかったです。こんなに楽しい依頼があっていいのか……?

お二人の演技が素晴らしく、音声編集やイラストも素敵で、最高の作品になっていると思います。関わっていただいた全ての人に感謝……

全人類、聞いてくれ。


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