シャーピン

お祭りがあったので、シャーピン(餡餅)屋台を探しに出かけた。

シャーピンとの出会いは確か巣鴨。
会社員時代、巣鴨には四の日といって、毎月四がつく日に屋台が出て賑わうという情報を得て、現地調査に行ってきます!と、サボっていたときだった。
 シャーピンなんて、初めて見る単語だったが、妙に惹かれて、買ってみたらすごく美味しくて、シャーピンという意味不明な単語のインパクトもあり、頭に深く刻み込まれた。
 だが、巣鴨にもそれ以降、用はなかったし、そもそもお祭りが好きじゃないので、以降、食べる機会はなかった。

 この前の七夕祭りの時に、久しぶりに見かけたのだが大行列で、そんなに人気がある食べ物なのか!と驚きつつ、並ぶのが面倒なので、素通りしてしまった。

 そんなことを思い出したら、妙に食べたくなって、散歩がてらお祭り会場で探してみることにした。

 人が多くて、自由に歩けない。
 こんなに人が多いなら、朝早くに散歩して、どこにどんな屋台があるかだけ下見しておくべきだったと深く後悔。
 
 それにしても、屋台の人のガラ悪くないか?
 以前も思ったのだが、年々悪くなってるような気がする。私の子供の頃からこんなにガラが悪かったのか?子供の時はそういうことを気にしていなかっただけなのか?昔は、なんというか負の部分をカバーするだけの活気やら元気があり、いらっしゃい!美味しいよー!という勢いに、こちらもまぁ祭りだし!みたいに乗せられて気にならなかったのだろうか。
 食べ物の扱いが雑だなぁと思って店主を見ると首筋にタトゥーがあって、あぁ。と思ったり、美味しそうなお好み焼きなんだけど、街で出会ったら絶対に距離を取りたいような人相の人がつくってて、お好み焼き代が、直接この人の稼ぎになると思うと、なんかいやだなぁと思ってしまったりした。
 人を見かけで判断してはいけない!とは思うものの、客が来ないからって電子タバコをスパスパやってたり、千円のお面を売りながら、つまらなそうな顔されれば、こちらも萎えますよ。客商売なんだから、もうちょっと気を遣えばいいのになぁと思う。
  …いかん、シャーピンが全然見つからない。

 人通りが多いので、遠くを見通し、シャーピンがないことを確認して、裏通りへ逃げる。
 裏通りのお神輿の待機場が、これまたすごかった。なんてったって、見た目がその筋の人たちばかりなんだ。普段はその素性を隠して過ごしているが、お祭りということで、反社全開!
 人を見た目で…。とは思うが、他人の人相や風貌を見て、危機回避してきた私からすると、集団の人相もさることながら、その振る舞い、独特のファッション、着こなしからして、ほぼ間違いない。これは危険だ。
 なにしろ、裏通りということで、人通りも少なく、一般人が目立つ。「おい、アンちゃんなんか用か?」と,呼び止められるのではないかと、ビクビクしながら通り過ぎる。

 そんなことをやっていたら、疲れてしまい、こんな思いをしてまで、食べるもんじゃない!とシャーピンはあきらめることにした。

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