ハエ

 飲食店でハエが元気に飛び回っている時がある。

 まぁハエも生きているんだし、仕方がないのだが、美味しいと評判のお店に満を持して行ってのハエ、には勘弁願いたい。
 この前行った店には、ハエが仲良く2匹も飛んでいて、時折ハエを払いながらの食事だったこともあり、料理のことはあまり覚えていない。一緒に行った妻にも「あのハエが2匹いた店」といえば通じるくらい、ハエしかも2匹。のインパクトはでかい。
 そう考えてみると、ハエが飛んでいたことを帳消しにするような料理というものは、存在しないのではないだろうか。どんなに美味しい料理が出てきても、やはり「ハエさえいなければなぁ…」と思ってしまうはずだから。

 さて、今日、行ったうどん屋。
 カウンターに座ったのだが、ちょうど目線の先カウンターの配膳台の上に、一匹ハエが止まっていました。できれば向こうに行ってほしいので、フッと何度か息でどかそうと試みたが、どかず。
 何度も試みるうちにバカらしくなってきて、ま、実際、食べるときになったらどうにかなるだろう。と思って見逃すことにした。
 しばらくして、店員が、お待ちどう!と私の天ぷらうどんをカウンターの上に置いたところ、予想通り、ハエがふっと飛び去ったかと思いきや、私のどんぶりのふちにペトッと止まって、それからどこかに飛んで行った。
 んー、ハエがいたことは無かったことにしよう。と、できるだけ気にしないように食べたのが功を奏して、食べ終わる頃には、ハエがいたことをほぼ忘れかけていたのだが、ちょっとおつゆをいただこうかと思ったとき、口をつけようとしていたあたりが、ちょうど彼の着陸点だったことを思い出して、つゆを飲むことを断念。最後の最後に、そういや、汚かったなぁ。という気持ちで食べ終わった。

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