箱《小説》
小さな箱に、いらないものを詰めた。
まだ、入る。
小さな箱に、嫌いなものを詰めた。
まだ、入る。
小さな箱に、悲しいものを詰めた。
まだ、入る。
小さな箱に、死んだものを詰めた。
まだ、入る。
まだ入るから、大丈夫。
箱の蓋が、急に開いた。
いらないものと嫌いなものと悲しいものが、
どどどと溢れてきた。
びっくりして、蓋を閉めた。
手についたイヤなものを、
洗い流そうとした。
全部びしょびしょになった。
蓋を開けてみたら、
入れた時のまま、底に残っていた。
大きな箱を探した。
見つからなかった。
これ以上入れるのが怖くなった。
まだ入れるものが見つかったら、
どうしようか。
また溢れてきたら、
どうしようか。
大きな箱はありませんか。
小さな箱を、棚にしまいなさい。
その人は言った。
抱えていると重くなるよ。
棚の上に、一度置きなさい。
小さな箱は、小さいまま。
小さくても大丈夫。
中身が溢れてきそうな時は、
棚に上げたり、押し入れに仕舞うの。
言われるがままに、
棚に上げた。
ついでに扉もバタンと閉めた。
時折、上手に片付けるのを忘れて
あわあわしてしまうけれど、
箱はそこにあるけど
見えないから
ありがとう。
なんとか生きています。
小説………?
☆ヘッダー、お借りしました。ありがとうございます。
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