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小説のような

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詩のような、短い空想と妄想と雑念。
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2024年2月の記事一覧

手向けの酒 «小説»

手向けの酒 «小説»

祖父母の家に遊びに行くのが
子供心に楽しみだった
叔父貴と顔を合わせること以外は

親戚が集まると
目出度かろうがなかろうが
たいていは呑みの席があり
叔父貴はいつもベロベロだった
酒臭い息で絡まれるのが嫌いで
逃げ回った記憶しかない

祖父の会社を任された
ちょうどその頃だったらしいと
俺が理解したのは
数十年後
叔父貴が死んだ時だった
叔父貴とも実家とも長く疎遠だった

アル中になって
会社も

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