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カナディアン・ロッキー レンタカーの旅

2017年は6月に南仏プロバンス、11月にギリシアへレンタカーの旅をした。2018年4月には、大手小売業に勤める次女が香港での海外研修を始めたので、北京から訪問して陣中見舞いを行い、ついでにシンガポール観光も行ってきた。夏には妻の友人がカナダ・トロントにいるので遊びに来ないかと誘われ、それではと、まず西海岸のバンクーバーからロッキー山脈を越え、大陸横断列車で東部のトロントにゆく計画を立てたが、1ヶ月以上もかかり長すぎる。東部やトロントは次回にして、今回はバンクーバーとロッキー山脈を車でドライブ旅行する事にした。香港で研修中の次女に声を掛けると二の返事で一緒に行くと言ってきた。またも親子3人の旅となった、2018年9月のことである。

1. 事前準備

<フライト>
南仏とギリシアへは北京発着便だったので”Ctrip"という中国の旅行社で予約をしたが、今回は東京発着便なので”Expedia"からフライトを探した。携帯にアプリをダウンロードして必要事項を記入すればすぐにネットで予約できる。東京からはトロント、バンクーバー、カルガリーの3都市へ直行便が出ているが、カナディアン・ロッキーへのアクセスが最も便利なカルガリーからの入国を選び、後半にバンクーバー観光をいれて以下のフライトを予約した。
*往便*
 9月10日 16:10成田(T1)→10:55カルガリー エア・カナダ AC010便
*復便*
 9月16日 11:45カルガリー→12:15バンクーバー エア・カナダ AC213便
 9月19日 13:20バンクーバー→(9/20)15:15成田(T1) エア・カナダ AC003便
3人分往復で¥479,070をカードで支払うとE-Ticketが発行された。一人約16万円は観光シーズンにしては安いと思う。

<eTA>
日本人パスポートの場合、カナダへの入国ビザは不要だが、2016年より空路でカナダへ渡航する際は事前に"eTA" (Electronic Travel Autoraization)と呼ばれる電子渡航認証が必要となっている。アメリカの"ESTA"と同様に出発前の事前申請が必要だ。ネットで"eTA"と検索して、氏名、パスポート番号、メールアドレスを入力し、クレジットカードで7カナダドルを支払えばすぐにメールで認証が届く。有効期間は5年間かパスポートの有効期間で、何度でも使用可能。入国後は6ヶ月間の滞在許可が降りる。

<ホテル>
南仏、ギリシア旅行でもお世話になった"Booking.com"で、フライトと車移動の日程に基づき、写真と値段を見ながら、大人3人用の駐車場付きホテルを探して予約を入れる。全て日本語で予約でき、支払いも日本円でカード決済ができる。但、現地でのチェックインやカーナビへの入力には英語名が必要なので英語版の予約票もプリントして持参する。
9月10/11日 バンフ "COAST CANMORE HOTEL & CONFERENCE CENTER" 3人二泊で¥50,240
9月12日 レイク・ルイーズ "LAKE LOUSIE INN " 3人一泊 ¥42,022
9月13/14日 ジャスパー "QUALITY INN &SUITE, HINTON " 3人二泊 ¥50,452 
9月15日 カルガリー "SHERATON SUITES, CALGARY" 3人一泊 ¥20,608
9月16/17/19日 バンクーバー "TROPICANA SUITES, VANCOUVER" 3人三泊 ¥64,452
 
<レンタカー>
ホテルの予約画面からレンタカーの予約ができるようになっており、自動的に "Rentalcars.com"の画面に入り、全て日本語で予約できる。フランスでは"Sixt", ギリシアでは"Avis"のお世話になったが、今回は北米なので世界的に有名な”Hertz"にしようかと探していたら、系列会社の"DOLLAR"が車種も豊富で値段も安いのでこちらにした。9月10日、カルガリー到着後空港でピックアップして、9月16日、出発前に空港で返却する、最も時間を節約できて便利な方法で予約をする。車種は中型SUVのオートマを希望したら、トヨタ・RAV4、または同等車となった。値段は6日間で¥50,562  1日八千円ほどで日本と同じレベルだ。バンクーバー観光にも車が必要なので、9月16日から9月19日の3日間、空港ピックアップの空港戻しで予約を入れる。車種は市内観光で荷物もないのでで小型車を希望したら、トヨタ・カローラ(または同等車)が出てきたのでこれで予約した。3日間で¥25,663、小型車にしては少し高いが、最近のカローラは排気量も多いので中型車扱いになっているのかもしれない。全て日本語で予約完了したが、現地空港カウンターでの手続には英語版の予約票が必要なので、別途英語版をプリントして持参する。

<国際免許証>
現地でレンタカーを借りるのに日本の免許証と共に必要なので、事前に準備しておく。パスポートと写真一枚を準備して最寄りの『府中運転免許試験場』へ行って、3階の窓口で手数料(¥2,350)を払うとその場で発行してくれた。有効期間が1年間しかないので注意を要する。

<モバイルWi-Fi>
現地のレンタカーにカーナビはついているが、英語表記と英語説明なのでちょっとしんどい。今回も自分のiPhoneで”グーグルマップ”を起動して、日本語のカーナビとして使う為に、海外用のモバイルWi-Fiルーターをレンタルしていく。ネットで調べて”ワイホー”という格安海外Wi-Fiレンタル会社で予約する。カナダ9日間、500MB/日で¥7,766をカードで払い込むと受付番号が発行された。出発当日に成田空港の出発ロビー(4F)南、QLライナーのカウンターで番号を提示すると受取り可能となる。帰国時も成田空港到着ロビー(1F)で返却できるので便利である。この他、iPhoneをレンタカーのダッシュボードに取付けるアダプターと、車で移動中iPhoneとモバイルWi-Fiを充電する為のシガーライター用充電器と接続ケーブルもいつもの”三点セット”として持参する。

<成田空港駐車場>
東京の自宅から成田空港は遠い、リムジンバスに乗ると一人3,000円で3人が往復すると18,000円であり、新宿のバスターミナルまでのタクシー代も入れると往復3万円以上かかる。これでは自宅から自分の車で行った方が便利だし、ガソリン代と高速代を払ってもお釣りが出る。ネットで調べると、1日500円以下の”成田ABCパーキング”と言う格安駐車場があり、早速申し込んだ。出発日の9月10日から帰国到着日の9月20日までの10日間の駐車代金¥4,968、現金払いだ。駐車場から成田空港までバスで約15分、荷物と一緒に無料送迎してくれる。帰国時は電話すればバスが迎えにきてくれる。安くて便利だが長時間のフライト疲れや時差ボケの影響で眠くなるので安全運転に注意せねばならない。

<地球の歩き方>
現地での観光スポットや観光案内、道路地図や交通情報と距離、フェリーボートや海上交通情報など、車の旅に欠かせない重要な情報が網羅されているので手放せない。今回もダイヤモンド社発行の『地球の歩き方』シリーズの”カナダ” (2016〜17年版)を持参した。本紀行文の地名や数字、説明などは本書を参考にしている。

9月9日 次女が海外研修を終えて香港より帰国するので、羽田空港へ迎えにゆく。20:25 JL026便で到着、久し振りに親子三人で東京自宅で過ごすのも束の間、夜バタバタと荷物の整理をして、いよいよ旅の出発である。

2. バンフ

9月10日 11:00 自宅を出発、マイカーに荷物を積み込んで成田空港へ向かう。慣れた車で走り慣れた首都高速3号線から都心環状線、レインボーブリッジを経て東関東自動車道(湾岸線)へ入る。ちょうど2時間、13:00に成田ABCパーキングへ到着、荷物を卸して10日間の駐車料¥4,960を現金で支払う。キーは座席に置いておくように指示があり、少し不安あったが、順番に奥の方へ移動するらしいので従うしかない。14:00 大型バスに乗り込む。市営バスの座席を改造して荷物スペースを多く取っている。3組ほどの客がいたが多くのスーツケースですぐに通路が塞がった。14:20成田空港ターミナル1に到着、まずは”南QLライナー”に直行、予約番号を提示してモバイルWi-Fiを受取る。次にエア・カナダのカウンターで搭乗手続を行う。”スターアライアンス”のメンバーなので全日空のマイレージカードを提示すればマイルを貯めてくれる。
16:10 AC010便が離陸、カルガリーへ向かう。機内で三度の食事、9時間半のフライトだが、日付変更線を越えて15時間の時差がある為、到着時刻は同じ日の午前10:55、時間が戻って得をした感じになる。
eTAの事前申請をしていたので入国審査もスムーズに完了、税関を出て、まずは銀行で現地通貨を両替、1万円出すとカナダドル・CA$93をくれた。米ドルより少し安い感じだ。次はレンタカー、”Dollars"の看板を探すと直ぐにカウンターが見つかった。スタッフに英語の予約表を提示するとテキパキと処理してくれ、出てきたのはシボレーのセダン・”マリブ”だった。予約したトヨタ・RAV4がないのは仕方ないにしても、「ロッキーの山を登るのにSUVではなく、セダンで大丈夫か?」と尋ねたら、「道路は全て舗装されているので問題ない」との説明で渋々納得。保険フルカバーの確認、カーナビ、燃料種類(ガソリン)などの説明を受けて契約サイン、キーを受け取って荷物を積み込む。

<"Dollars"で借りたレンタカー、シボレー”マリブ”  4ドア、セダン 2.0 AT>


12:30 ”マリブ”に乗込み、iPhoneをダッシュボードに取り付け、グーグルマップとモバイルWi-Fiを起動、行先の"キャンモア”(Canmore)のホテル名を入力すると、日本語・女性の声で案内を開始した。あとは案内通りにハンドルを動かすのみだ。ロッキーへの入口は”バンフ”(Banff)なのだが、小さな町で秋のシーズンに世界中から観光客が集まる為ホテルが満員、町中のホテル予約が取れなかったので、20Kmほど東郊外のキャンモアにホテルを取った。車があれば20−30Kmの移動は全く問題なく、安くて広いホテルが取れる、レンタカー旅の大きなメリットでもある。目的地まで100Km, 国道1号線を快適なドライブ2時間で 14:30 "Coast Canmore Hotel & Conference Centre" に到着した。
英語の予約票を見せてチェックイン、飛行機の長旅の疲れもあったので部屋で少し休憩して、夕刻19:30にマリブに乗り込んでバンフの町の下見兼夕食へ繰り出す。距離20Km、30分ほどドライブするとバンフの街に到着、国道沿いにずらりとホテルが並んでいる。駅前の繁華街にはレストラン、土産屋が続く。川縁の駐車場に車を停めて、美味しそうなレストラン"The Bison"に入る。カナダで最初のディナーなので地元の野牛”バイソン”のリブロース・ステーキを頼んだ。エスカルゴとサラダにガーリックパンがついていて、他にもバイソン肉料理を頼んで3人で合計CA$99だった。

<バンフ;”The Bison"でのバイソン肉リブステーキとエスカルゴ>

9月11日 AM03:30に目が覚めた、時差ボケである。二度寝をしてAM10:00起床、10:30にホテルからキャンモア市内へでかけ、お洒落なコーヒーショップを見つけて、バケットパンにバターやジャムがついたコーヒーセットで朝食を取る。
近所に”Safeway"と言う大きなスーパーを見つけ女二人は早速買物を始める。特に次女は日本の大手スーパー勤務なので市場調査も兼ねている。
12:00 にキャンモアを出発、バンフ観光へ向かう。昨晩、下見で来ているので道路もよくわかる。まずはバンフの町を囲んでいる”ゴート山脈”(Goat Range)の一部、"サルファー山"(Salphur Mountain)へ行き、”バンフ・ゴンドラ”(Banff Gondla)と呼ばれるロープウェイに乗る。標高2285mの山頂には360度の大展望台があり、バンフの町並みが一望できる。

<バンフ:サルファー山のバンフ・ゴンドラ、 2285mを登る>

山頂から町のはずれに大きな湖が見えたので、山を降りて早速車で行ってみる。
カーナビに”ミネワンカ湖”(Lake Minnewanka)と入れると10Kmほどドライブして到着した。岩肌の見える灰色の高い山と深緑の湖が対照的に美しい。湖上を観光するクルーズ・ボートが出ているので1時間ほど船上でうっとりとして景色を眺めた。

<バンフ:ミネワンカ湖、クルーズボートが出ている>

日も暮れてきたので、バンフ市内へ戻り、マリリン・モンローの映画『帰らざる河』のロケ地となった”ボウ滝”(Bow Falls)の白い渦を見て、山腹にあるヨーロッパ古城を思わせる壮大な建物 ”フェアモント・バンフ・スプリングス” (The Fairmont Banff Springs Hotel)を遠目に見る。カナダを代表する高級ホテルだ。


<バンフ:ボウ滝(手前)と山腹にそびえるフェアモント・バンフ・スプリング>

ボウ河を渡って”カスケード・ガーデン”(Cascade Gardens)に入る。夏には色とりどりの花が咲き乱れるらしいが、残念ながら秋の夕暮れ時で花は見れなかった。日も暮れてきたので国道1号線を走ってキャンモアのホテルへ戻った。

3. レイク・ルイーズ

9月12日 11:00 ホテルをチェックアウト、キャンモアからバンフを通り過ぎていよいよロッキー山脈へ入っていく。最初の町は”レイク・ルイーズ"(Lake Louise)でホテルも予約しており一泊の予定だ。国道1号線を進むと途中で"ジョンストン渓谷"(Johnston Canyon)がある。駐車場から山中へ1Km歩いて"ロウワー滝"(Lower Falls)、更に1.6Km上流へ歩くと”アッパー滝”(Upper Falls)が目に入る。高さ30mもある絶壁の上から見る滝の景色が美しい。

<ジョンストン渓谷:アッパー滝>

ジョンストン渓谷を過ぎると右側にロッキーを代表する山が見えて来る。”キャッスル・マウンテン”(Castle Mountain)で、茶色の岩肌が西洋の古城を思わせ、悠然と天空を突き上げる姿が美しい。山の麓にドライブ・インがあり美しい山を見ながらサンドイッチとコーヒーの昼食を取る。

<レイク・ルイーズ: キャッスル・マウンテン 標高2862m>

ロッキーの山道を更に北へ進むと町の名前にもなっている美しい湖、”ルイーズ湖”(Lake Louise)がある。ビクトリア女王の娘ルイーズ王女にちなんで名付けられた、不思議なエメラルドグリーン色の湖水の向こうに標高3464mのビクトリア山がそびえ立ち、湖に向かって氷河が落ちてきている。

<レイク・ルイーズ:ルイーズ湖、奥はビクトリア山>

この湖と氷河を対面の山の上から眺める”レイクルイーズ・サイトシーイング・ゴンドラ”という冬場はスキー場となるゴンドラに乗りに行ったが、生憎雨の為、営業中止だった。そこで町中のもう一つの有名な湖、”モレイン湖”(Moraine Lake)に行く事にした。レンタカーだとこうした行動変更が素早く取れるのが有難い。
”テン・ピークス”(Ten Peaks)と呼ばれるロッキーの山々に囲まれた、青空と白い雪、青い湖とのコントラストが美しい湖なのだが、残念ながら雨の中、殆ど景色は見えなかった。夕刻町中へ戻りホテル "Lake Louise Inn"へチェックイン、そろそろ洋食にも飽きてきたので、近所の中華料理店を探して麺類と野菜炒めを食べた。世界中どこへ行っても、日本料理はなくても中華料理だけはあるので有難い。

9月13日、本日の予定は国道93号線を北へ向かい、途中”ボウ湖”(Bow Lake)、"ボウ峠"(Bow Pass)、"ペイトー湖"(Peyto Lake)などを見て、ロッキーの北出口"ジャスパー"(Jasper)郊外に予約している次のホテルへ向かう、約300Kmの行程だ。張り切って早起きして09:00に出発したのは良いが、なんと9月の中旬というのに雪が降っている。しかもロッキーの入口まで行くと交通警察がいて、降雪による路面凍結で危険なので引き返す様にアドバイスされた。止むなく町中へ戻りガソリンスタンドで雪道用のチェーンを探したがどこにも売っていない。そもそも国立公園内では路面保護の為に冬場の雪道走行にチェーンなどは装着しない習慣の様だ。道路封鎖まではしていないようだが、このまま雪が止むのを待つか、強行軍で山に入って雪道を進むかの判断となった。家族と相談してじっとしているよりとにかく先へ進もう、最悪は戻って来れば良い、との判断に至り、11:30に再出発、マリブ・セダンを運転してロッキーの山中、雪道をそろりそろりと進んでいった。山中には観光客の車が沢山いて渋滞していたが、大量の車の排ガスとタイヤの熱で少しずつ路面の雪が溶け始めていた。幸い警察に止められる事もなく、ノロノロ運転しながら、14:15 予定より大幅に遅れながらも中間点の”コロンビア大氷原”  ( Columbia Icefield) へ到着できた。総面積325Km2もの巨大な氷河で国道沿いの駐車場から雪上車に乗って氷河まで行き、氷河の上で遊ばせてくれる"グレイシャー・アドベンチャー”(Glacier Adventure)と言う人気のアトラクションがあるので早速エンジョイする。

<コロンビア大氷原の雪上車、6輪駆動の大型バスで迫力満点>

大氷河の後は、”グレーシャー・スカイウォーク” (Glacier Skywalk) と言う高さ280mもの断崖絶壁の上に作られた遊歩道、通路の下部は透明ガラスで出来ており下を見ると吸い込まれそう、座り込んでしまう客もいた。高所恐怖症の人にはお勧めできないスポットだ。

<コロンビア大氷原;スカイウォーク、高さ280m断崖絶壁の遊歩道)

ここから先は雪も降ってなく快適なドライブとなり、”サンワプタ滝”(Sunwapta Falls)と”アサバスカ滝”(Athabasca Falls) を見て、夕刻ジャスパー郊外のホテル、"Quality Inn & Suites, Hinton"  にチェックインした。約300Kmを7時間で走ってきた。近所にスーパー"Safeway"があったので赤ワインとベーグルサンド、生ハムなどを買ってホテルで夕食を取った。

4. ジャスパー

9月14日、10:30 ホテルを出発、110Km離れた山奥にある"マリーン湖"(Maligne Lake) へ向かう。最大幅22Km, 広さ2066ヘクタール、最大深度96mのロッキー最大の氷河湖である。遊覧船でのクルーズがあり湖の一番奥まで行くと"スピリット・アイランド" (Spirit Iland)と呼ばれる小島があり、直立する緑の針葉樹が青い滑らかな湖面と周りを囲む雄大な山々との絶妙なコントラストを成しており、カナディアン・ロッキーを代表する最も美しい風景の一つである。

<ジャスパー:マリーン湖のスピリット・アイランド>

マリーン湖からマリーン川に沿って下ってくると、湖水が干上がり始めた”メディスン湖”(Medicine Lake)を過ぎて、”マリーン渓谷”(Maligne Canyon) に出る。ロッキー最大規模の渓谷で、轟音を響かせて流れる川に6つの橋が架けられており、最大50mまで落ちる滝を遊歩道の上から覗き見ることができる。

<ジャスパー:マリーン渓谷、深い渓谷に吸い込まれそう>

夕刻にはジャスパーの南西にある標高2464mの”ウィスラーズ山”(The Whistlers Mountain)の麓へ行き、山頂まで登れるゴンドラに乗る。周囲に美しい氷河湖が点在するジャスパーの町を一望できるはずだったが、山頂は雪が降っており白銀の世界、何も見えなかったのは残念。山を降りてジャスパーの市内を見学後、日没前にホテルへ戻り夕食を取った。時間があれば更に西へ20Km走って、標高3954m、カナディアン・ロッキー最高峰の”ロブソン山”(Mount Robson)へ行きたかったが今回は時間切れ、遠くから見るのみとなった。

9月15日、11:30 Hinton のホテルを出発、本日は約500Kmのドライブで今晩中にカルガリーまで戻る予定だ。まずはジャスパーで給油、満タンの後、国道16号から93号に入り、三日前に来た道を戻ってゆく。中間点を過ぎて、来る時は雪のせいで見れなかった”ペイトー湖”(Peyto Lake) を見る為に”ボウ峠”(Bow Pass) の展望台に登ったがまたしても雪景色、一面真っ白で、神秘的な青色の湖面は見れなかった。カナディアン・ロッキーは7−8月の夏に行くに限る。まぁ、現地には行ったのでどんなに美しいかの記録として観光案内の写真を載せておく。

<ペイトー湖:神秘的な水の色が時間と共に変化するらしい>


少し先に”ボウ湖”(Bow Lake) があるが、こちらは道路のすぐそばから見れるので、休憩を兼ねて駐車場からコーヒーを飲みながら、広々とした湖面と氷河をまとった険しい岩山の雪景色を眺める。

<ボウ湖:ボウ氷河から流れ出した水からできた氷河湖>

夕刻、カナディアン・ロッキーの南側出口、バンフに到着した。来る時は気が付かなかったが、国道から町へ入る場所に大きな等身大の木の看板でバンフ( Banff)と書いてある。面白いので記念写真を撮る。

<国道1号線からバンフへの入り口にある等身大の看板>

20:00 カルガリー到着、ジャスパー/Hintonから480Kmを9時間かけて走ってきた。東京ー大阪とほぼ同じ距離、同じ時間だ。ホテルは少し贅沢な"Sheraton Suites Calgary" にチェックイン、付近のステーキハウスでビールに牛ステーキとバーガーの夕食を取って、大きなスイート・ルームで運転疲れを癒した。

5. バンクーバー

9月16日 09:30 ホテルを出発、カルガリー空港へ向かう。先ずは"Dollars"営業所の駐車場でレンタカーを返却、荷物を卸して出発カウンターに移動、搭乗手続きを行う。11:45カルガリー発バンクーバー(Vancouver)行きエア・カナダ AC213便に乗り込む。約30分ほどのフライトで12:15に到着、先ずは空港内のDollars営業所へ行ってレンタカーの英語版予約表を提示する。日本車トヨタ・カローラを希望していたが韓国車のヒュンダイ・ソナタが配車された。まだ新車でひと回り大きなセダン、初めての韓国車のハンドルを握るのも良い体験と荷物を積み込む。

<バンクーバーでのレンタカー:ヒュンダイ・ソナタ、2.4GL ,AT>

市内のホテルへは40分ほどで到着、"Tropicana Suites Hotel, Vancouver"にチェックインする。繁華街のビルの合間にあって裏の空き地が駐車場になっている。部屋に荷物を放り込んで早速市内観光に出てゆく。
メインストリートの"ロブソン通り"(Robson Street)に面しているホテルから裏手に回って、海岸通りへ出ると”コール・ハーバー”(Coal Harbour)が見えて来る。ロッキーの山から降りてきて久しぶりの海を見る、多くのヨットが停泊している海岸からの風がなんとも言えぬ心地よい。

<バンクーバー:コール・ハーバー>

ソナタを運転して、"スタンレー・パーク"(Stanley Park)を通り抜け、"ライオンズ・ゲート・ブリッジ"(Lions Gate Bridge)を渡って”キャピラノつり橋” (Capilano Suspension Bridge)を目指す。キャピラノ川の深い渓谷にかかる高さ70m, 長さ134mの吊り橋が観光名所となっている。ゆらゆら揺れてスリル満点である。

<バンクーバー:キャピラノつり橋、渡るとゆらゆら揺れる>

バンクーバーには"チャイナ・タウン"があり中華料理店も多い、夕食は”老山東麺荘”という麺専門店へ行って炸酱面(ジャージャン麺)と牛肉面を食べたら美味しかった。食後は個性豊かなマーケットやバーが立ち並ぶ”グランビル・アイランド”(Granville Island)へ行ってショッピングを楽しむ。

9月17日 朝食後11:00 ホテルを出発、ジョージア海峡を渡ってバンクーバー島の南端にある州都”ビクトリア”(Victoria)へ向かう。先ずは車で海を越える為にフェリーに乗らねばならない。市中心部から南へ30Km、小一時間のドライブで”トゥワッサン”(Tsawwassen)の”B.C.フェリー・ターミナル”へ到着した。切符を買ってフェリーに乗り込む為の行列に車を並べる。一旦並べてしまうと車を離れてコーヒーショップで時間までくつろぐことができる。

<バンクーバー:南部トゥワッサンのフェリー・ターミナルで乗船待ち>

フェリーは13:00に出帆、1時間半の航海の後14:30にビクトリアの”スワーツ・ベイ” (Swarts Bay)へ到着した。大きなフェリーで船上からジョージア海峡に点在する島島の美しい景色を堪能した。

<バンクーバー→ビクトリア行きBCフェリーの船上>

船は半島の北端に着くが、ビクトリア中心部は南端にあるので30Kmほど車で走らねばならない。バスで行くツアーもある様だがレンタカーの方がずっと便利で早い。観光本によればバンクーバー中心部(カナダ・プレース)からビクトリア中心部(インナー・ハーバー)へ直接着く"水上飛行機"もあるらしい。
先ずは州都の象徴、”州議事堂”(The Parliment Building)を見る。1898年に建てられ、広場にはエリザベス女王の銅像が立っている。ドームの上には島の発見者ジョージ・バンクーバーの像がある。

<ビクトリア:州議事堂、イギリス建築家フランシス・ラッテンベリー設計>

ビクトリア最高級のホテルが”フェアモント・エンプレス”(The Fairmont Empress)、南に州議事堂、西にインナー・ハーバーを見下ろす好立地にある。イギリスの古城を思わせる優雅な外観は観光客の記念写真スポットである。

<ビクトリア:フェアモント・エンプレス、イギリス様式の建築美>

州議事堂周辺を馬車で回るサービスがあり、イギリス貴族になった気分が味わえる。イギリスと言えばアフターヌーンティーだが、季節の花の色彩と香りに包まれた庭園で満喫できる”ブッチャー・ガーデン”(The Butchart Gardens)が有名なので島の西北部へ車を飛ばしたが、到着が午後5時過ぎた為に閉園、間に合わなかった。他にも”ビーコン・ヒル公園”、”エミリー・カーの生家”、”クレイダーロック城”などの観光スポットも見れなかった。フェリーでの日帰りでは時間制限が厳しく全ては見れない、次回はビクトリアに一泊してじっくり回りたい。夕刻にはバンクーバーへの戻りのフェリーに乗る為、またスワーツ・ベイへ戻る。夜は便数が減って21:00が次の便だった。車を行列に並べてコーヒーショップで一休みする。22:30 フェリーから降りて、トゥワッサンから市内のホテルへ戻った。

9月18日 旅の最終日、車を置いて歩いてバンクーバー市内観光に回る。ホテルが面しているメインストリートのロブソン通りから中心部の”ロブソン広場”( Robson Square)まで歩いてウインドウ・ショッピングを楽しむ。広場にはギリシア神殿を思わせる重厚な石作りの”バンクーバー美術館”(Vancouver Art Gallery)がある。

<ロブソン広場:バンクーバー美術館>

広場から海岸方向へ歩くとバンクーバーのシンボル的存在の”カナダ・プレイス”(Canada Place)に出る。1986年カナダ万博の政府館だった記念建築物で、現在は国際会議場となっている。バラード入江に突き出す埠頭の上に船の帆とマストが連なって見える外観が印象的。

<バンクーバー・カナダ・プレース>

海岸線に沿って東へ行くと、バンクーバー発祥の地と言われる”ギャスタウン”(Gastown)がある。歴史を思わせる建物が並び土産屋、レストランが多く、石畳のウォーター通りには、昔を思わせる高さ5.5mの”蒸気時計” (Steam Clock)が15分毎に汽笛を響かせている。

<バンクーバー:ギャスタウンの蒸気時計>

カナダ旅行の最後の夜は地上177mのビル、”ハーバー・センター・タワー” (Harbour Centre Tower)の最上階にある展望レストラン”バンクーバー・ルックアウト”(Vancouver Lookout)で夜景を見ながらの夕食にした。1時間で一周する回転展望台から、ワインを飲みながら地元のサーモン・ステーキを食べ、バンークーバーの美しい夜景を360度見ることができ、良い思い出となった。

<バンクーバー・ルックアウト:最上階展望レストランからカナダプレースの夜景が美しい>

9月19日 10:00 ホテルを出発してバンクーバー国際空港へ向かう。途中でレンタカーに給油、満タンにして返却せねばならない。カルガリー空港もそうだったが、空港入り口に”レンタカー会社・駐車場”の案内看板が出ているので便利だ、ターミナルなどを迷わずにすむ。直接、"Dollars"の営業所・駐車場へ入って車を止め、荷物を卸して担当者にキーを渡せばすぐに完了だ。
11:00 エア・カナダのカウンターに向かいチェックイン手続をする。
13:20 バンクーバー発成田行きAC003便に乗込み、9時間のフライト開始。
日付変更線を越えて、翌9月20日の15:15に成田第一ターミナルへ無事到着した。到着ロビー出口でレンタルWi-Fiを返却し、出発前に車を預けておいたABCパーキングへ電話すると10分ほどでバスが出迎えに来た。駐車場でキーを受け取って荷物を積み込み、東京の自宅までマイカーを運転して帰る。リムジンバスよりは便利だが、9時間のフライト疲れと時差ボケで睡眠不足、更には高速道路渋滞で3時間もの運転は少しきつかった、危うく居眠り運転するところだった。

エピローグ

日本帰国後、次女の新しい住居が千葉の幕張に決まったので、東京の自宅で保管していた家具や荷物を発送した。海外研修から帰国して新しい職場も決まり、一段落したと思ったら、今度は長女が9月末から産休期間を利用して、フィリピン・セブ島へ親子英語研修旅行へ出発した。昨年生まれた1歳半の長男と今年の6月に生まれたばかりの次男、二人の息子を連れて3ヶ月間の語学研修だという。フィリピンには経験豊富なベビーシッターがいて、ママ達がお勉強中にはベイビーの面倒を見てくれるらしい。ちょうどこの時期、北京にいる87歳の岳母が体調を崩して郊外の養老院へ入った為に、10月末に北京へ行って岳母を見舞い様子を見たが、元気になったので11月末にはまた東京へ戻った。

<2018年11月の岳母、87歳、養老院へ入ったが元気だった>


東京で孫との再会を楽しみにしていたが、長女達はまだフィリピンにいて、現地で元気にしている写真を送ってきて、「じいじ達も年末にこちらに遊びに来て」とのお誘いがあった。旅行好きの親子の血筋は争えないもので、年末には長女と孫達を訪ねてのフィリピン・セブ島への旅へ立つこととなった。また新しい旅行記を書かねばならない。

<フィリピン・セブ島での孫達:満4ヶ月を迎えた次男(中)と1歳半の長男(左)>

2022年12月10日 於東京

(完了)






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