見出し画像

オーストラリア日本語教師奮戦記135エミューとダチョウは違うの?

イマニュエルカレッジ日本語教師2年目。Year 11 日本語クラス。大学受験学年1年目の生徒たちは大学入試の語学科目を日本語で受ける。イマニュエルカレッジで日本語の勉強を始めてから、前任の先生の指導を含めて今年で4年目になる。ひらがな、カタカナはもちろん漢字の読み書きもかなりのレベルのものをマスターしている。ただ、少し込み入ったことになると、特に話したり、文章を作ったりするときに苦労するようだ。

今年から授業の初めの10分間、自分たちの身の回りのことを題材にして質疑応答をすることにした。テキスト授業開始前の予備練習として大いに役立つことを期待していた。私の方から話題を振ることもあれば、生徒の方から問いかけてくることもある。その中で出てくる難しい言い回しや単語の確認などが、生徒たちの日本学習の進み行きにプラス効果をもたらすことを期待していた。話題は3週間連続で「コアラ」。そしてその後2週間は「カンガルー」。そして「ウォンバット」、「クオッカ」。今週は「エミュー」。飛べない鳥の代表格、程度のことしか知らなかったのでどんな話の展開になるのか楽しみにしていた。

生徒たち:S 私:K
S: ARAISENSEIWA EMYUU SHITTEMASUKA
(アライ先生は  エミュー 知っていますか)
K: HAI SHITTEIMASUYO DACHOONO NAKAMADESUYONE
(はい 知っていますよ ダチョウの なかまですよね)
S: IIE CHIGAIMASU EMYUUTO DACHOOWA TOTEMO CHIGAUDESU
(いいえ ちがいます エミューと ダチョウは とても ちがいます)
K: DEMO RYOOHOO TOBENAI OOKINATORIDESUYONE
(でも りょうほう 飛べない 大きな鳥ですよね)
S: SOODESU DEMO EMYUUWA OOSUTORARIANI SUMIMASU DACHOOWA AFURIKANI SUMIMASU
(そうです でも エミューは オーストラリアに 住みます ダチョウは アフリカに 住みます)
K: SUMUBASHOGA CHIGAUNODESUNE
(住む場所が ちがうのですね)
S: HAI OOKISAMO CHIGAUDESU height TO weight WA NIHONGODE NANIDESUKA
(はい 大きさも ちがうです height と weight は 日本語で 何ですか)
K: HAI height WA SHINCHOO DESU weight WA TAIJYUU DESU
(はい height は しんちょう です weight は たいじゅう です)
S: ARIGATOO GOZAIMASU SHINCHOOWA EMYUUGA HYAKUKYUUJYUU DACHOOGA NIHYAKUGOJYUUSENCHIDESU TAIJYUUWA EMYUUGA GOJYUUKIRO DACHOOGA HYAKUNIJYUUKIRODESU
(ありがとう ございます しんちょうは エミューが 190 ダチョウが 250センチです たいじゅうは エミューが 50キロ ダチョウが 120キロです)
K: SOODESUKA DACHOONOHOOGA ZUTTO OOKIIDESUNE
(そうですか ダチョウのほうが ずっと 大きいですね)
S: HAI ASHINOYUBI KAZUGA CHIGAIMASU EMYUUGA SANNHON DACHOOGA NIHONDESU
(はい 足の指 数が ちがいます エミューが3本 ダチョウが 2本です)
K: SOODESUKA OMOSHIROIDESUNE
(そうですか おもしろいですね)
S: TAMAGONOIROGA CHIGAIMASU EMYUUGA dark green DACHOOGA creamIRODESU dark green to cream WA NIHONGODE NANTOIIMASUKA
(たまごの色が ちがいます エミューが dark green ダチョウが cream色です dark green と cream は 日本語で 何と言いますか)
K: HAI dark green WA FUKAMIDORIIRO TOKA KOIMIDORIIRODESU cream WA KURIIMUIRODESU
(はい dark green は ふか緑色 とか こい緑色です cream は クリーム色です)
S: ARAISENSEIWA OOSUTORARIANO national emblem MIMASHITAKA national emblem WA NIHONGO NANIDESUKA
(アライ先生は オーストラリアの national emblem 見ましたか national emblem は 日本語 何ですか)
K: HAI  national emblem WA KOKUSHOODESU MITAKOTOWA ARIMASUGA YOKU OBOETEIMASEN
(はい national emblem は こくしょうです 見たことは ありますが よく 覚えていません)
S: SOODESUKA OOSUTORARIANO KOKUSHOONIWA EMYUUGA IMASU
(そうですか オーストラリアの こくしょうには エミューが います)
K: NANIKA IMIGA ARUNODESUKA
(何か 意味が あるのですか)
S: HAI EMYUUWA MAEDAKENI IKIMASU USHIRONI IKIMASEN SOREWA MAENIMUKATE GANBARIMASHOO NOIMIDESU
(はい エミューは 前だけに 行きます 後ろに 行きません それは 前に向かて がんばりましょう の意味です) 
K: SOODESUKA SUBARASHIIIMIGA ARUNODESUNE
(そうですか すばらしい意味が あるのですね)

エミューとダチョウは同じ仲間かと持っていた自分が少し恥ずかしかった。細かな違いを教えてくれて、また何よりもオーストラリアの国章にエミューが描かれていて「前ぬ向かって進もう」という意味が込められているという生徒の説明に大いに感動した

エミューは二足歩行する飛べない鳥。オーストラリアの非公式な国鳥で、オーストラリア大陸全域の草原や砂地などの拓けた土地に分布している。日本を含め、オーストラリア国外でも、観賞・愛玩用や食用として飼育されている。

体高は約1.6m-2.0m、体重は40kg-60kg。鳥類の中では体高、体重ともにダチョウに次ぐ。見た目はダチョウに似ているが、ややがっしりした体躯。頸から頭部に掛けても比較的長い羽毛が生えている。足指は3本、先に丈夫な爪が付いている。幼鳥の羽毛には縞模様があるが、成長すると縞が消える。成鳥はオス、メスいずれも同様に全身の羽毛が灰褐色。所々に色が剥げたり濃くなったりしている箇所があり、泥で汚れているように見える。

翼は体格に比べてきわめて小さく、深い羽毛に埋もれているために外からはほとんど見えない。最も退化した形で、長さは約20cm。先端には1本の爪が付いている。卵はアボカドのような深緑色、長さは約10cm、重さは約550gから600g。

性格はヒトに対しては温厚だが、雷・金属音・子供の甲高い声などに反応し走り回ることがある。犬などの動物に対しては警戒心が強く、場合によっては蹴りで相手を攻撃する。繁殖時期になると多少警戒心が強くなる。性別でみると、オスの方が比較的おとなしい。鳴き声はオスとメスで違い、オスは「ウォー」と低い鳴き声、メスは「ボン……ボボン」とドラムのような鳴き声。

雑食性、主に昆虫、果実、種子、下草などを食べる。産卵期は日照時間の短くなる5月から10月あたりで、3日から5日の間隔で一度に1個ずつ産卵。産卵数は、期間中に10-30個程度。抱卵は10個程度の産卵後にオスが約2ヶ月間飲まず食わずで行う。孵化後2-3ヶ月間はオスが雛を外敵などから守るが、飼育時にはメスも参加することもある。

オーストラリアにおける生息数は安定している。砂漠化しつつあるような土地でも生息可能。繁殖力も強く基本的には丈夫な鳥だが、農地を荒らす害鳥として駆除の対象となったため、ダチョウ目の他の種と同様、頭数が激減している。

肉は赤身肉で美味で、皮下脂肪は動物油の中でも抜群に優れており、先住民アボリジニがブッシュ・タッカーとして長く愛用し続けている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?