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オーストラリア日本語教師奮戦記132カンガルー談義②夜の運転注意!

イマニュエルカレッジ日本語教師2年目。Year 11 日本語クラス。大学受験学年1年目の生徒たちは大学入試の語学科目を日本語で受ける。イマニュエルカレッジで日本語の勉強を始めてから、前任の先生の指導を含めて今年で4年目になる。ひらがな、カタカナはもちろん漢字の読み書きもかなりのレベルのものをマスターしている。ただ、少し込み入ったことになると、特に話したり、文章を作ったりするときに苦労するようだ。

今年から授業の初めの10分間、自分たちの身の回りのことを題材にして質疑応答をすることにした。テキスト授業開始前の予備練習として大いに役立つことを期待していた。私の方から話題を振ることもあれば、生徒の方から問いかけてくることもある。その中で出てくる難しい言い回しや単語の確認などが、生徒たちの日本学習の進み行きにプラス効果をもたらすことを期待していた。話題は3週間連続で「コアラ」。そして先週、今週は「カンガルー」。かわいいばかりではないカンガルーの裏話に大いに驚かされるとともに、ちょっとしたオーストラリアの歴史を教えてくれた生徒たちに感謝している。

生徒たち:S 私:K
S: ARAISENSEI James Cook O SHIRIMASUKA
(アライ先生 James Cookを 知りますか)
K: HAI SHITTEIMASUYO NYUUJIIRANNDOTO OOSUTORARIAO HAKKENSHITA HITODESUNE
(はい しっていますよ ニュージーランドと オーストラリアを はっけんした 人ですね)
S: HAKKENSHITA WA EIGODE NANDESUKA
(はっけんした は 英語で 何ですか)
K: HAKKENNSHITAWA discovered DESU
(はっけんした は discovered です)
S: HAI James Cook WA OOSUTORARIAO HAKKENSHIMASHITA
(はい James Cook は オーストラリアを はっけんしました)
K: SOREWA ITUDESUKA
(それは いつですか)
S: SENNANAHYAKU NANAJYUUNEN DESU
(1770年です)
K: SOODESUKA SOREWA MINNAGA SHITTEIRUKOTODESUKA
(そうですか それは みんなが 知っていることですか)
S: HAI MINNA SHIRIMASU REKISHINO JYUGYOUDE NARAIMASHITA
(はい みんな 知ります 歴史の 授業で 習いました)
K: James Cook GA DOOSHIMASHITAKA
(James Cook が どうしましたか)
S: James Cook TO KANGARUUNO HANASHIO SHIRIMASUKA
(James Cook と カンガルーの 話を 知りますか)
K: HAI SHITTEIMASU James Cook GA KANGARUUOMITE AREWA NANDESUKA TO ABORIJININI KIKUTO KANGARUUTO KOTAETASOODESUNE 
(はい 知っています James Cook が カンガルーを見て あれは 何ですかと アボリジニに 聞くと カンガルーと 答えた そうですね)
S: HAI SONOHANSHIWA YUUMEIDESU
(はい その話は 有名です)
K: SOSHITE KANGARUUWA SHIRIMASEN TOIUIMIDATTASOODESUNE DAKARA KANGARUUWA SHIRIMASEN TOIUDOOBUTUNANDESUNE OMOSHIROIDESUNE
(そして カンガルーは しりません という意味だったそうですね だから カンガルーは 知りません という動物なんですね おもしろいですね)
S: ARAISENSEI SOREWA TUKURIHAANASHIDESUYO TUKURIHANASHIWA EIGODE NANDESUKA
(アライ先生 それは 作り話ですよ 作り話は 英語で 何ですか)
K: TUKURIHANASHIWA fake story DESU AASOODESUKA DAREKAGA JYOOKUDE HANASHIO TUKUTTANODESUNE
(作り話は fake story です ああそうですか だれかが ジョークで 話を 作ったのですね)
S: HAI SOODESU
(はい そうです)
K: HAJIMETE KIKIMASHITA SOREWA SHIRIMASENDESHITA
(初めて 聞きました それは 知りませんでした)
S: ARAISENSEIWA KANGARUU SUTEEKIO TABETAKOTOGA ARIMASUKA
(アライ先生は カンガルー ステーキを 食べたことが ありますか)
K: IIE ARIMASEN DOODESUKA OISHIIDESUKA
(いいえ ありません どうですか おいしいですか)
S: so-so DESU so-so WA NIHONGODE NANDESUKA
(so-so です so-so は 日本語で 何ですか)
K: so-so WA MAA-MAA DESU KONDO TABETEMIMASU
(so-so は まあまあ です 今度 食べてみます) 
S: ARAISENSEIWA DORAIBUWA SUKIDESUKA
(新井先生は ドライブは 好きですか)
K: HAI YASUMINOHINIWA TOKIDOKI DORAIBUSHIMASU
(はい 休みの日には 時々 ドライブします)
S: TOOKUNIIKITOKIWA YORU CHUUISHITEKUDASAI
(遠くに行くときは 夜 注意してください)
K: DOOSHITEDESUKA
(どうしてですか)
S: KANGARUUHA KURUMANO RAITONI TOBIKONDEKIMASUYO
(カンガルーは 車の ライトに 飛び込んできますよ)
K: SOODESUKA KOWAIDESUNE HAI KIOTUKEMASU
(そうですか こわいですね はい 気を付けます)

日本の動物園で、大きな優しい目をして、ピョンピョンとユーモラスに走り回る姿しか知らなかったカンガルー。アデレード市の郊外の大自然の中で彼らを見かけたときは「本物のカンガルーだ!?」と感激したものだ。ジッと目を凝らすようにしてこちらの車の方を見ているカンガルーの立ち姿に「風格」のようなものを感じた。

1700年代当時のイギリスは自国の領土を次々と広げていた.1688年にイギリス人はすでにオーストラリア大陸に到達していたが領有宣言は行われていなかった。1776年、イギリス政府は「キャプテン・クック」の名前で有名なイギリス人海軍士官 ジェームズ・クックを船長とした船をオーストラリアに向かわせ、領有宣言を行って、オーストラリアはイギリス領土になった。

オーストラリアの東海岸に到達したクックの船が陸に乗り上げ大破、修理に要した7週間の間にクックとその部下たちは近辺の探索を行い,現地の住民である「アボリジニ」たちと接触する。そして探索中に、おなかの袋で子供を育てる謎の生物を発見する。クックたちは、アボリジニたちに「あの動物は何と言うのだ?」と尋ねると「あれはgangurru(ガングルー)だ」と答えたという。gangurruは現地語で「飛び跳ねるもの」という意味で、それがそのまま英語の「kangaroo(カンガルー)」に変化したという。

クック船長はその答えを動物の名前としてうけとったのだが、『カンガルー』という言葉は現地で『あなたの言っていることがわからない。』という意味があって、それがその動物の名として誤解されたまま世界中に広まったいう話があるが、これは伝説・作り話だという。

野生動物の宝庫オーストラリアでは、様々な動物が道路に飛び出してくるが、一番遭遇率が高いのがカンガルーだ。カンガルーには集光性と呼ばれる光に集まってくる性質がある。郊外の夜道に街灯がほとんど設置されていないのは、夜行性のカンガルーがこの街灯の光に集まってきた時に車との接触を防ぐためだという。しかし、夜道を、車のヘッドライトを点灯して運転しているとしばしば衝突してしまうことがある。このような事故から車体の損傷を抑えるために特殊なバンパーを取り付けている車をよく見かけるが、このバンパーを通称ルー・バー (Roo Bar) と呼んでいる。

カンガルーはしばしば食卓に登場する。年間約300万匹のカンガルーが狩猟され、その肉はオーストラリア国内での消費のほかに、約55カ国に輸出されている。スーパーマーケットにはカンガルー肉がビーフやチキンとともに売られている。肉は脂肪分の少ない赤身で、高たんぱくなことからアスリートの食事にも人気があるという。


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