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オーストラリア日本語教師奮戦記128コアラ談義①コアラの意味は!

イマニュエルカレッジ日本語教師2年目。Year 11 日本語クラス。大学受験学年1年目の生徒たちは大学入試の語学科目を日本語で受ける。イマニュエルカレッジで日本語の勉強を始めてから、前任の先生の指導を含めて今年で4年目になる。ひらがな、カタカナはもちろん漢字の読み書きもだいぶマスターしている。少し込み入ったことになると、特に話したり、文章を作ったりするときに苦労するようだ。

今年から授業の初めの10分間、自分たちの身の回りのことを題材にして質疑応答をすることにした。テキスト授業開始前の予備練習として大いに役立つことを期待していた。私の方から話題を振ることもあれば、生徒の方から問いかけてくることもある。その中で出てくる難しい言い回しや単語などの確認などが、生徒たちの日本学習の進み行きにプラス効果をもたらすことを期待していた。今日の話題は「コアラ」。

生徒たち:S 私:K
S: ARAISENSEIWA KOARAWA SUKIDESUKA
(アライ先生は コアラは 好きですか)
K: HAI SUKIDESUYO TOTEMO KAWAIIDESUYONE
(はい 好きです とても かわいいですね)
S: NIHONNIMO KOARAWA IMASUKA
(日本にも コアラは いますか)
K: HAI KAKUCHINO DOOBUTUENNI IMASU
(はい 各地の 動物園に います)
S: KAKUCHIWA DOOIUIMIDESUKA
(各地は どういう意味ですか)
K: HAI KAKUCHIWA each place DESU
(はい 各地は each place です)
S: DOODESUKA NINKIGAARIMASUKA
(どうですか 人気がありますか)
K: KAWAIINODE TOTEMO NINKIGAARIMASUYO
(かわいいので とても 人気がありますよ)
S: NIHONDE YUUKARIWA SODACHIMASUKA
(日本で ユーカリは 育ちますか)
K: HAI KOARAGATABERU YUUKARIO SODATETEIMASU
(はい コアラが食べる ユーカリを 育てています) 
S: TATOEBADOKODESUKA
(たとえばどこですか)
K: WAKAYAMAKEN SHIZUOKAKEN NAGANOKEN NADODE SODATETEIMASU
    DOKOKA WAKARIMASUKA
(わかやま県 しずおか県 ながの県 などで 育てています どこか わかりますか)
S: ATODE CHIZUDE SHIRABEMASU
(後で 地図で 調べます)
S: ARAISENSEI YUUKARINIWA DOKUGAARIMASU SHITTEIMASUKA
(アライ先生 ユーカリには 毒があります しっていますか)
K: IIE SAHIRIMASENDESHITA HONTOODESUKA
(いいえ 知りませんでした 本当ですか)
S: HAI HONTOODESUYO DEMO TOTEMO FUSHIGIDESU KOARAWA DAIJYOOBUDESU
(はい 本当ですよ でも とても ふしぎです コアラは 大丈夫です)
K: FUSHIGIDESUNE DOOSHITEDESUKA
(ふしぎですね どうしてですか)
S: YOKU WAKARIMASEN TOKUBETUNACHIKARAO MOTTEIRUDESHOO
(よく わかりません 特別な力を 持っているでしょう)
S: ARAISENSEI KOARAWA OOSUTORARIANO DOKONIDEMO IRUTOOMOIMASUKA
(アライ先生 コアラは オーストラリアの どこにでも いると思いますか)
K: HAI OOSUTORARIAJYUUNI IRUTOOMOIMASU
(はい オーストラリア中に いると思います)
S: CHIGAIMASU KOARAWA KIMATTATOKORONI IRUDAKEDESU
(ちがいます コアラは 決まったところに いるだけです)
K: SOODESUKA HAJIMETE SHIRIMASHITA
(そうですか 初めて 知りました)
S: KOARAWA TOTEMOATUITOKOROYA KANSOONOTOKORONIWA SUNDEIMASEN
(コアラは とても暑いところや かんそうのところには 住んでいません)
K: OMOSHIROIDESUNE ATARASHIIKOTOGA WAKARIMASHITA
(おもしろいですね 新しいことが わかりました)
S: KOARANOAKACHANWA OKAASANKOARANO FUKURONONAKADE SODACHIMASU ARAISENSEIWA SHITTEIMASHITAKA
(コアラの赤ちゃんは お母さんコアラの ふくろの中で 育ちます アライ先生は 知っていましたか)
K: IIE SHIRIMASENDESHITA KANGARUUTO ONAJIDESUNE
(いいえ 知りませんでした カンガルーと 同じですね)
S: HAI SOODESU
(はい そうです)
K: ATARASHIIKOTOGA TAKUSANWAKATTE TANOSHIIDESU
(新しいことが たくさんわかって 楽しいです)

生徒たちはニコニコしながら楽しそうにコアラのことを話していた。さすがに小さいころから慣れ親しんでいる、オーストラリアのシンボルなのでコアラに関するいろいろな知識を持っているようだ。私の知らなかったことがわかるかもしれないという期待感があった。10分はあっという間に過ぎてしまい、コアラのことは次週からも何回か連続で話そうということになった。

オーストラリアを代表する動物コアラはずんぐりとした丸っこい体型、愛嬌満点の人気者。おっとりした性格で、のんびり寝ている様子見ているだけでほのぼのとさせられる。可愛さ150%といったところか。

コアラは1日のほとんど、約18~20時間を木の上で寝て暮らす。食料のユーカリの葉には活発に活動するための栄養が少なく、エネルギーの消費を極力抑えるためにあまり動かないといわれている。また、コアラは半夜行性のため、動物園に行ってもいつも寝ている姿ばかりを見ることになる。

コアラの食料、ユーカリの葉は毒素が強く、これを食べられる動物はほとんどいない。しかし、コアラは体内にその毒素を分解する独自の酵素を持っていて、それを分解するのに時間がかかるため、エネルギーの消費を抑えなくてはならないという。

コアラは有袋類で、哺乳類ではないという人もいるが、乳を与えて子を育てるので哺乳類という定義に当てはまる。胎盤が不完全で、お腹の袋で子を育てるため有袋類と呼ばれる。哺乳類が地球上に姿を現した早い時期に分岐した有袋類は、ゆっくりとした速度で異なる進化を遂げてきたので、原始的な生き物だと言える。

「コアラ」という言葉はアボリジニ語で「水を飲まない」という意味だという。しかしまったく飲まないわけではなく、少量の水でも生きていける動物で、普通はユーカリに含まれる水分だけでもOKだが、足りないと感じたら水を飲むのだという。

コアラは意外と暑がりで、非常に暑いところや乾燥しすぎたところは苦手だという。どちらかというと寒いところのほうが得意。コアラの毛はモコモコとしていて弾力がある。顕微鏡で見ると、コイルのようにくるくると細かく縮れている。コイル状になっていることで、毛と毛の間にたくさんの空気を含ませる事ができて、寒さ暑さを凌ぎ、雨を弾き返すこともできるという。

コアラはオーストラリアならどこにでもいると思われているが、西オーストラリア州とノーザンテリトリー、カンガルー島など一部のエリアを除く南オーストラリア州、タスマニア州、そしてクイーンズランド州やニュー・サウス・ウェールズ州内陸部も、本来コアラの生息域ではない。ケアンズのある北部エリアにも、野生のコアラは生息していない。

南オーストラリア州カンガルー島では、野生のコアラが島のユーカリを食べつくほどの勢いで猛繁殖中だという。本来南オーストラリア州に生息していたコアラは、1920年代の、毛皮採取のための行き過ぎた狩猟で絶滅してしまったという。現在、カンガルー島に生息するコアラ達は、ビクトリア州から移入された後、繁殖した子孫達だという。



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