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ピース・オブ・マインド/東京佼成ウインドオーケストラ

年末爆買いシリーズの1枚。
今年は頑張って佼成出版の廃盤になってしまったCDをコンプリートしたいと思っています。
1991年に収録されたこのタイトル、フェネルは77歳という年齢になりながら、こうしたコンテンポラリーな作品をパッケージするそのエネルギーに脱帽。TKWOも緊張感とエネルギーが上手く昇華されていて、あまり聴いたことない音をしています。

1.ピース・オブ・マインド(D・ウィルソン)
2.管楽器と打楽器のための「情景」(V・レイノルズ)
3.舞踏組曲(J・ホロヴィッツ)
4.シンフォニックウインドアンサンブルのためのシンフォニア第4番(W・S・ハートレー)
5.吹奏楽のための「斜影の遺跡」(河出智希)
6.冬の始まりのための「モーニング・アレルヤ」(R・ネルソン)

D・ウィルソンの作品はサドラー賞とオストウォルド賞の2冠を取った作品。神秘的な前半と強烈な音の塊が奏でられる中間部のコントラストが際立つ3楽章のフィーリング。須川さんのソロがとても素晴らしいです。4楽章のビーイングは東洋的でロックやジャズのギターソロを彷彿とさせる技巧的なメロディーが印象的。作曲者の学生時代に触れたジャズやロックの要素が上手くマッチして他の曲にはない強烈な魅力を兼ね備えています。
ホルン奏者としても有名だったⅤ・レイノルズの作品は金管楽器が超絶技巧を擁しますがTKWOの金管メンバーが大活躍。スリリングな作品をしっかりと聴かせてくれます。
このCDの中では清涼剤のような存在の舞踏組曲。古典的な音楽様式の中でも師匠譲り?(G・ジェイコブ)のユーモアさと打楽器を上手く使い、現代のウインド・ミュージックとして見事に表現されています。
イサカ高校というアメリカの名門スクールバンドの委嘱で書かれたハートレーの作品は、アマチュアが演奏する内容としては充分すぎる内容。技術的な部分のグレードは抑えつつも音楽の内容は他の曲と同様。イサカ高校の指揮者は全米でも屈指のバンドディレクターであるフランク・バティスティ。彼の委嘱だと知ると納得です。
第1回の朝日作曲賞の受賞作品で吹奏楽コンクールの課題曲となった「斜影の遺跡」。吹奏楽界の巨匠、兼田敏先生を師匠にもつ河出さん。様々な箇所で三善さんの深層の祭りを彷彿とする響きが。難曲をしっかりと吹ききっています。
最後の曲は、R・ネルソンのモーニング・アレルヤ。個人的に大好きな曲です。フェネルが実際に体験した11月の広島での早朝に出くわした眩い朝日の感動をネルソンに伝えて作られた曲です。この盤の前に大井さん×TKWOのライブ盤を愛聴していました。その盤よりも元気でエネルギッシュな演奏です。どちらも甲乙つけがたい良い演奏です。残念ながらネルソンさんは昨年末に亡くなってしまいました。これからも残された作品を沢山聴いていきたいと思います。願わくば「Heritage」を盤で手に入れたいものです。

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