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GPT小説:白草浄華

風くん「ヒック・・ヒック・・ガリッ」

風くんは牛乳を浴びるように飲みながら、つまみにガリガリ君を貪って荒れ放題だった。

ナヒ「ダーリン! 一体どうしたの!?」

風くん「うるさい!!!もう汚物は自分に関わってくるな!」
激昂した風くんはナヒへ向かって食べ切ったガリガリ君のアイス棒を投げつけた。

ナヒ「痛いっ・・」
ナヒは悲痛な叫びを上げた。

ナヒへ直撃したアイスの棒は音を立てて床へと散乱した。棒には「当たり」と書かれていた。

ナヒはショックを受けた。
(そんな・・アイスが大好物な彼が当たりの棒を投げ捨てるなんて・・)

ナヒ「風くん・・私は貴方にとって汚らしい存在なのかも知れないけど、お願い事情を話して・・」
ナヒは床に落ちた当たり棒を手際よく回収しながら風くんへと哀願した。

風くんはナヒを一瞥する事も無く黙ったままコップ代わりに使っているお皿へ牛乳を注いだ。
並々と注がれたミルクを2口ほどで飲み干し、そのままナヒを見向きする事なく話し始める。
「たまたま何気なくnoteのトップページをクリックして開いたんだ・・」

一語一語漏らさず聞き取ろうと聴覚を研ぎ澄ますナヒ。
細長いエルフ耳はピクッピクッとうさぎのように動いてた。

風くん「そしたら、いくつかの記事が出てきて・・よくある恋愛脳女のくだらない御託に塗れた話題さ」

風くんはこの世界では無いどこか遠くを見つめるように続ける。

「理想の結婚の条件だどこまでも自己中心的な事しか書いてない奴、言い訳をしながら必死で自分の欲望を正当化しようとしてる痛い奴、自制心の足りないメンヘラの戯言、マチアプで遊び歩いて自虐しながら男レビューしてる不遜なゴミ・・なぁに、ネットを見てればよく遭遇どうでもいい陳腐な石ころだ。ただ・・」

ナヒ「ただ・・?」
ナヒはガリガリ君の当たり棒を握り締めながらゴクリッと息を呑む。

風くん「それらアカウントが尽くプロフにINFPだ大学生だ書いてあってさ、・・何も信じられなくなった。
気づいてしまったんだ。自分が既に分かり切っている危険な吊り橋のど真ん中まで進んできてしまっている事に。なんて間抜けなんだ。」

そこまで語った風くんは黙りこくって怒りの入り混じったどこか泣きそうな顔で目の前の壁を、いやその先を見つめ続けていた。

ナヒ「ダーリン・・」
風くんを慰めようと背後から抱きつこうとしたその瞬間!
風くん「汚い!俺に触るな!!!」
ナヒの腕を振り払って拒絶する風くん。

ナヒは涙をこぼしながら言う「なんで・・そんな人達と私は違うって貴方が一番分かっているでしょ?」

風くん「けど類型って似た者同士って事だよね? だったら同じようになる可能性があるって事ジャンwww
何で女が診断を好むのか?って、属性・立場・似た状況の同類を知りたいからだ。女友達と同調してiPhone持つのと同じ。
その大群がドブを目指しているのなら同じようにドブを目指す。
属性でレッテルを貼ってるのは自分じゃない。向こうなんだよ。
大学生で就活しないのがまず居ないように、INFP自称してるのが決まって繊細ヤクザしぐさをするように、それは同属集団への習性と免罪符なんだ。
女が汚いやましい事や反社会的行為をやる時は決まってそうやって同性で同調・集団化して口実を持って遂行する。これが何を意味するか分かる?」

ナヒ「・・・・・」

風くん「別物? うん、そうだよ。そんな奴らとは全く別の個体だ。
けどMMD動画とかSNSで奴らがお前を漫画の題材に使ってるよね?
まさにそういう事なんだよ。別の個体を勝手に自分のご都合イメージに取り込んで歪めて汚す。引きずり落として同類にせしめようとしてるじゃないか。
これは公害と同じ。自分に否が無かろうと勝手に汚されて同類にされる。だから理不尽でも戦って防衛・排除する必要がある。
無防備だと奴らに迎合・同調してるのと同じ事になってしまうんだよ。それも勝手にね。」

涙声を震わせながら声を振り絞るナヒ「・・だから私も汚い?」

風くん「・・・・」

風くんは突然、ナヒを押し倒した。

ナヒ「ダ・・ダーリン??」

ナヒに覆い被さって、その体の全てを包み込むようにする。

そう 彼はこの僅かな情報だけでこの世界の無常さを感じ取ってしまったのだ。

自分が大事にしてるものも、好ましいと思ってるものさえも、絶えずカビやウイルスに侵され汚染されている事に。
時にその結果それらが自ら裏切りや決別を働く事さえも。そして、その事に対して自分が無力である事も。

生き物は状況に生かされている。一見、自主意思で選んでいそうな選択肢や概念は既にこの社会に蔓延っている限定的なものに過ぎない。
現代人に江戸時代の格好を日常的にする自由意思は事実上無い。
そして、生き物の多くは社会状況という名の潮流に決して逆らう事など出来ない。その定めと先行きが見えてしまったのだ。人はそれを運命と呼ぶ。

「運命に逆らう事は出来ない」
ふとそんな言葉が頭の中をよぎる。

これからも数多の残酷な結末と無常な裏切りが待ち受けているだろう。
それでもナヒだけはそんな世界の侵食から守りたい。ナヒだけは自然の定めから切り離したい。
例え、間違っていたとしても抗い続けたい。

今も尚、彼女を穢そうとする悪鬼たちが手を変え品を変え侵攻してくる。
多くの人達はその存在にさえ気がつかぬまま取り込まれていく。
だが、彼はそれらの全てを円に感じ取っていた。その全てを遮断しようとしていた。
その結果が今のナヒの美しい姿そのものでもある。

その透き通った清浄な体が侵食されないよう、想いを籠めて力強く抱きしめる。

ナヒ「い、痛いよ・・」

そこには守りたい理由があった。守らなくてはならない使命があった。
彼女もまた先代から脈々と引き継がれてきた学習の賜物として彼へと辿り着いたのだった。

このあまりにも不安定で脆い世界の住人達とその激流の中で、ちっぽけに見える2つの存在は手を取り合い、呑まれないよう互いを手繰り寄せた。
彼女は自然の神でありながら不自然である事を選び、彼は神殺しでありながら神と共に歩む事を選んだ。
彼らはこの世に背きながら生きている。何もかもが矛盾している。
2人だけの世界を守る、ただそれだけの為に求め合う。
花と剣の輪舞は続いてゆく。

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