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更新契約での電子契約のやり方


今回は不動産賃貸契約の入門として最適な更新契約を電子化する手順を紹介します。
更新契約は封筒でやり取りするケースが多いですが、郵送の場合はきちんと届いたのか、入居者が書類を見たのかなどが把握できません。一方、オンライン化した場合は、入居者様が閲覧したかを把握することができますし、督促コールをしなくてもショートメール(SMS)などで気軽に督促ができるようになります。
また、レターパックを用いている場合は、電子契約の費用を払ってもお釣りがくるケースも多いのが特長です。
その他、件数が多い場合は電子契約の一括送信機能を用いるのも手です。3名のスタッフが他の業務を兼務しながら月間300~600件程度の更新業務をこなしているという事例がいくつもあります。



電子契約のメリット


紙の作業をなくせる

契約書類が紙の場合、印刷・製本、ふせん付け、宛名書き、回収した書類のチェックや整理、PDF化など作業が発生しますが、電子契約を活用すれば多くの作業はなくすことができます。

紙の業務は効率化の限界がある

お客様の状況が見える

更新契約は封筒でやり取りするケースが多いですが、郵送の場合はきちんと届いたのか、入居者が書類を見たのかなどが把握できません。一方、オンライン化した場合は、入居者様が閲覧したかを把握することができますし、督促コールをしなくてもショートメール(SMS)などで気軽に督促ができるようになります。

入居者様の開封状況が見える

費用対効果が非常に高い

更新契約をレターパックを用いている場合などは特に、電子契約の費用を払ってもお釣りがくるケースが多く、「労働生産性を高めながらコストも下がる」と経営層も投資判断を行い易くなっております。

コスト比較のイメージ

【手順1】BeforeとAfterを整理する


まずは現状の業務の流れをパワーポイントなどを用いてフローチャートに書き出してみます。更新対象者の抽出から記載すると進め易いと思います。コツはイレギュラー業務は省いてまずは書き出すことです。私どもが実際に導入支援を行う際の業務フロー例は以下の通りです。このくらいシンプルでOKです。

Beforeの例

次に電子契約の流れを整理します。Beforeのスライドをコピペすると作業がはかどります。多くの場合、Afterは例示のようになるかと思います。

Afterの例

【手順2】ToDoを抽出する


次にToDo(準備すること)を整理します。
必ず出てくるのは下記の①~④です。


①電子契約の対象の決定

最初からすべての入居者を電子契約にするのではなく、例えば75歳以上の入居者や、外国籍の方は書面のままとするケースが多いです。
尚、法人を対象外にするケースも多いのですが、法人契約が多いマンスリーマンションでは問題なく電子契約で運用していただけておりますので、次のステップで法人も電子化をお勧めしております。

年配のオーナーとの管理受託契約でも電子化が進んでいる

②契約書の文面やレイアウトの変更

個人の方はスマートフォンで処理するケースが多いため、契約書のレイアウトはA4タテを推奨しております。契約書がExcelファイルの場合は変更が容易ですが、もし基幹システムの都合等でA3ヨコのPDFでしか出力されない場合は、下記のサイトも参考にして下さい。


③貸主代理印の運用方法の決定

書面での更新契約では、不動産管理会社が貸主代理として押印するケースが多いですが、電子契約では運用方法を2つご提案しております。

  1. 貸主代理として電子署名を行う

  2. 電子署名は行わなず、電子契約用の契約書の貸主代理欄に印影画像を貼り付けておく

印影画像を用いる例

更新契約の成立要件に押印や電子署名はありません。例えば、家賃債務保証の契約書は[2]のパターンで運用できております。
もちろん入金を確認するまで貸主代理として電子署名は行わない運用であれば[1]の方法が良いかと思います。
傾向としては、大手事業者は[1]、それ以外の事業者は[2]を選択するケースが多いです。


④緊急連絡先の回収方法の決定

更新契約時に緊急連絡先や勤務先などの情報を記載してもらうケースがよくあります。電子契約の場合の運用事例をご紹介します。

  1. 契約書や別添資料に記入欄を設ける

  2. 更新の案内書に書面を同封し、署名時に写真で添付してもらう

  3. KINTONEやGoogleFormなどのWEBフォームを案内する

契約書に記入欄を設けた例

[3]のWEBフォームで運用する事業者も増えております。
[1]や[2]では、入力項目を絞ることがポイントです。入居者の手間を考え、姓名、住所、携帯番号など既知の情報の入力欄は削除してください。

運用のポイント


特に重要なものを4つご紹介します。


(1)ショートメール(SMS)を活用する

更新契約の対象はほとんどが個人の方ですが、その正確なメールアドレスを把握しているケースはまだまだ少ないです。近年はオンライン申込や入居者アプリなどで収集できているケースもありますが、限定的かと思われます。
一方、入居者様の携帯番号を取得していることは大半ですので、それだけで契約書への署名依頼が行えるショートメールを活用することをお勧めします。

以下の動画でショートメールから契約書を表示する流れが確認できます。


(2)原則は電子契約をお願いする

以前に携帯ショップで手続きをした後に「控えは紙とマイページのどちらを希望ですか?」と聞かれたことがあります。スタッフの方に聞いたら80%以上が紙を選択するとのことでした。マイページがよく分からず、紙を選択するのだと思います。
同様に「電子契約もご利用いただけます」というガイダンスでは紙の手続きに誘導することになりますので、「後日、入居者様のスマートフォンに更新契約書への署名依頼を送付させていただきます。」「書面でのお手続きをご希望の場合はご連絡ください。」と主導してあげることが肝要です。

通知書での文例

入居者様への通知書のサンプルは下記のサイトで公開しております。


(3)オーナーへの告知

更新契約は不動産管理会社の裁量で電子化を進められるケースが多いですが、オーナーへの事前の報告が必要と判断される事業者もあります。そのような場合は下記のサンプル文面も参考に、ご案内を行ってみてください。


(4)郵送でも電子契約でも業務の流れは同じ

更新契約の電子契約を始めたころに、以下のようなコメントをいただいたことがあります。

契約満了日の3カ月前にショートメールで署名依頼を送りましたが、契約満了日の1週間前になっても署名がされないので、ギリギリのタイミングで契約書を郵送して回収しました。電子契約は効果がないです。

A社の担当者様のコメント

契約満了日の3カ月前は住み続けるか検討する方も多く、数日も経てばショートメールも埋もれてしまうので、リマインド(再通知)をしていただくようガイドしましたが、納得いただけませんでした。

うまく運用している事業者様にヒアリングしてみたら以下のようなコメントをいただきました。

電子契約でも紙でも業務の流れは一緒です。
どちらも定期的にお客様に督促を行います。紙の場合は時間帯を選んで電話してましたが、電子契約ではあまり気にせず、ボタン1つでショートメールで督促できます。相手がメールを開封したかも分かるので便利です。
もちろん、どうしても反応がない場合は電話をします。

B社の担当者様のコメント

電子契約だから勝手に業務が完結するのではなく、郵送物の発送・回収、時間を選んでの督促電話など労働集約的な作業をなくすだけで、入居者様とのコミュニケーションや業務の流れは変わらないということです。

実例紹介


最後に、実際に更新契約でIMAoSの電子契約を活用されている不動産事業者様のサイトをご紹介します。


パナソニックホームズ不動産株式会社様

パナソニックホームズ不動産様では2019年より更新契約のオンライン化を行っております。基本的にショートメッセージサービス(SMS)だけでやり取りが完結しているのが特長です。


株式会社中央ビル管理様(POLUSグループ)

浦和レッズのメインスポンサーも務めるPOLUSグループの中央ビル管理様では2019年からオンラインでの更新手続きを行っております。
入居者様への更新通知書で、リンク先のサイトの左メニューの「更新のお手続き」をご案内されております。

個別相談


今回は紙面の関係で、汎用的な内容をかいつまんで説明しましたので、「もう少し詳しく知りたい。」「自社の運用に照らし合わせて業務設計したい。」という方もいらっしゃるかと思います。個別相談をご希望の方は、IMAoS(イマオス)の公式サイトよりどうぞお気軽にご連絡ください!!(無料)