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T1/4は、畳をもっと地域に根ざしたものに変えていくかもしれない。

 ある時、鏡さん(山形・寒河江の畳店4代目)に何気なしに聞いてみた。「本当に山形ではい草が育たないの?」

「い草は、高温多湿を好むから、山形のような雪国ではとても無理ですよ。」そんな答えが返ってくるのだと思っていたら、「いや、昔は田んぼの畦に自生していたらしいです」とあっさり予想を覆された。

い草の長さは、100〜150センチ。長ければ長いほどいいい草だそうだ。中心部の、色や太さが安定した部分を使えるということだろう。たたみ一畳の寸法は、い草の長さから自然とそうなったのか、畳の大きさに合わせてい草が改良されたのか。それはわからないが、八代のい草農家(日本産い草の95%を生産)でも畳のサイズに満たない発育不良のい草の処理に困っているのだそうだ。

もともとは山形のような寒冷地でもい草が自生した。い草を編んで暮らしの道具をつくっていたのかもしれない。調べてみると、北陸の小松市でも「北限のい草」が育てられていて、「小松イ草」というブランドさえあるくらいだ。

以前から、畳屋さんがさまざまなものに「依存して」仕事をしていることが気になっていた。い草は八代産か中国産、畳本体の藁床は千葉はじめ他県産、さもなければボードなどの工業製品、畳の縁は岡山産という具合。もっとそれぞれの地域に根ざしたオリジナルな畳ができないものだろうか?

「1/4サイズの畳用だったら、山形でもい草が育つのではないか?」何気なく投げかけたぼくの発言に不意をつかれた鏡さんは、その日の夜は会社の若い職人相手に深夜まで「山形でい草をつくる」夢を語っていたそうだ笑。そろそろ今年あたり、実験的に山形でい草栽培が始まるかもしれない。

畳縁こそ、その土地オリジナルなものが生まれる可能性は高い。というより、その気になるかどうかだけだろう。現状では、8色展開の岡山産帆布生地の縁でT1/4をつくっているが、サクランボの木や紅花で染めた山形オリジナルの畳縁も試作してみた。いつか、山形オリジナルの畳縁ができるだろう。全国に17店舗あるTATAMI-TOメンバーの畳屋さんたちが、その土地ならではの畳縁をつくることだって夢ではない。

実際に、屋久島の中島タタミ店さんが「屋久杉染めの畳縁」をつくってくださったけれど、薄茶色のそれは、ムラに染め上がっているのがかえっていい味になっている。山形で草木染めをお願いした織物屋さんが「日焼けが心配だ」と言っていたけれど、見方を変えれば「それもまた良し」となるかもしれない。

漠然と「日本産」を謳うのではなく、もっとローカルな価値付けをした畳。T1/4にはそれを生み出す可能性も潜在的にあるのだ。



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CMディレクターとして、これまで数多くのTV-CMを企画・演出してきました。2012年より、東北芸術工科大学デザイン工学部映像学科教授。映像にとどまらない、モノや地域のブランディングに活動の幅を広げています。
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