いまもえコスプレの楽しみ方


 いまもえ制作委員会・ディレクターの矢野と申します。いつも いまいち萌えない娘がお世話になっております。

 さて、「いまもえさんの服は何着あるんですか?」とよく聞かれます。
 ここで「いまもえさんは世界にただ一人です」とお約束のボケをかますこともできますが、別に私は隠しません。確か大阪の食いだおれの社長さんが〝太郎〟人形の数を隠しておられなかった、と聞いたことがあり、すごく関西的でいいなァと思ったからです。

 で、その答えですが、いまもえの服は私たちの手元に6着あります。青い服は服飾専門学校の神戸カレッジオブファッションさんからご提供いただいたものです。服作りを教えてン十年の校長先生がしっかりと作ってくれました。誰かを採寸して作っていただいたわけではないので、全て既製服のMサイズです。青いウィッグ、青い靴も6セットあるので、同時に6人まで出ることが可能です。これまでイベントなどでは最高5人まで同時に出したことがあります。

 「赤とか黄色とか色を変えて戦隊モノみたいにしてはどうでしょう(笑)」と、冗談交じりによく言われます。「それを言うのはアンタで1万人目や!」…言いたいけど言いませんが…。

 上から下まで真っ青なので、1人居ただけでも目立つのですが2人、3人…と増えると更にカオスな感じになってきます。モデルさんそれぞれのお顔の違いを楽しむ(?)ことも可能ですし、双子のモデルさんに着てもらったことがあるのですが、これもまた見ると不思議な気持ちになりました。
 とにかく「全員がブルーやからおもろいんや!」としか申せません。

 ところで、いまもえ制作委員会としては〝コスプレイヤーさん〟ではなく〝コスプレモデルさん〟と呼ぶようにしています。

 モデルさんたちには最初に必ずお話しすることがあります。
 「ネットとかで写真を見た人は『いまいちだ』と書いたりすると思うねんけど、これは褒めとるってことやから気にせんでエエです。あと『いまいちなのに萌えてしまった』って書く人がいたら、それはかなり絶賛してるってことやからね」と。

 いまもえのコスプレは〝萌えの拘束服〟です。
 素で私服のモデルさんは、どなたもかなり美人です、可愛いです、萌えます。そこに全身真っ青なコスプレをすると、かなり萌えが差し引かれます。いまいちになるはずです。
 モデルさんは元の萌えヂカラが強いので、青すぎたとしてもまだまだ萌えてしまいます。更にですが、普段は出しておられない魅力も見えてきます。そして、いまもえの何だか分からない変な魅力みたいなものがプラスされて、全く新しい価値観が完成するのだと思います。

 コスプレを企画した当初、コスプレをよく理解しているスタッフから「いまもえには設定が無いから出来ない」と強く反対されました。コスプレは好きなキャラクターになりきるもの・演じるものであるとすれば、いまもえの「年齢や性格といった設定がない、決まったポーズやセリフも無い、どう表情を作ればいいのか分からない。だから出来ない」と言われました。

 結論から申し上げると、いまもえのコスプレはイラストからの二次創作であり、アートやファッション表現の一つである、と捉えていただきたいのです。
 神戸は写真を撮るのに良いシチュエーションがたくさんあるので、コスプレイベントがかなり盛んに行われています。また、神戸市としてはファッション都市ですので、いまもえの変な服装はツッコミどころにもなるでしょう。コスプレとファッションの微妙な垣根を取っ払って、どん欲に楽しんでやってみては? そういう提言です。

 確かに、いまもえのコスプレに関しては、決められたキャラクター性を演じることはできません。いえ、決まったことをやる必要が無いのです。そもそも、いまもえは萌えを考えるコンテンツです。キャラクターとしては、これをきっかけに文化を考えてもらいたい、萌えたい、萌えてもらいたい、という欲望を持っているという事こそがあれば良いと考えています。イラストに限らず、動画でもフィギュアでも歌でも、コスプレファッションで表現しても良いのです。
 もともとのキャラクターとしては最低レベルなのですから、二次創作をしてオリジナル以下になることはありません。「似てないからダメ、やめろ」と言われない、思われることもありません(笑)やったモン勝ちですね。

 ファッションモデルは洋服の魅力を引き出すことがお仕事です。奇抜なファッションをどう見せるか? モデルさんご自身が、いまもえというキャラクターのイメージをどう作ればいまもえの魅力が増すのか?という挑戦をしていただきたいです。

 同じ格好のモデルさんを並べると制服のようにも見えます。制服もモデルさんの魅力を抑える没個性アイテムですよね。しかし、逆にいろいろと平均的になるからこそ、その人だけの魅力が引き出されてくるとも思います。

 あとは、笑っていても恥ずかしがっていてもファイティングポーズだったとしても、いまもえに関して不正解はありません。

 3年で20人以上のコスプレモデルさんに袖を通していただきました。いまもえ制作委員会としては「公式モデル」を決めるつもりはありません。コスプレモデルさんによっては、ファッションモデル寄りの人もおられますし、コスプレ寄りの人もおられます。固定のイメージを決めてしまうとやはり二次創作の自由が無くなるような気がするからです。前述の通り、違いを楽しむ、そして萌えとは何なのか?を考えることが楽しみ方だと思います。

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