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学生でクレジットを組むのはダメ! #② 【息子への手紙】

学生でクレジットを組むのはダメ! #① からの続き


例えば、今とてもお金が欲しい時、強盗で人を殺して金を取ればすぐに手にはいるが、一ヶ月後には死刑か懲役となる。 短い目では欲望は満たされても、長い目で見ると自分の人生を捨ててしまうことになり、経済的にも精神的にも肉体的にも大損である。そんなことは判っている、と言いながらこれと同じことをみんなやっている。
今回の君のクレジットがそうだ。

また、「本当に好きな女がいたら、その女の為に学校へ行かずにアルバイトして尽くしたとして、その女の愛情を得て、幸せにできるだろうか?」
「大学も卒業できずに、資格もなく、良い職業に就けるだろうか?」
「そんな自分をその子は好きになり、一緒に生きてくれるだろうか?」
「女は男より現実的な動物だよ」
「やはり長い目で見て、彼女の為に何ができるのかを考え、今できることは今やり、将来できることは今から計画して行うことが正解であろう」
「今現在の短いスパンでだけ物を見て、行動に走ってはいけない」。

極端な例を言うと、「今、大蔵省の高官や、政治家が捕まり、公務員の定員が減らされたり給料が下げられたりしているが、そんなことは1990年の9月に不動産の価格を半分にすると政府が発表した時から、私は予言していたことです。 長い目で見れば、簡単に判ることだからです。

バブルに踊る民間企業を面白くないと思った大蔵省の高官とそれに乗った政治家の考えは、最初の出足では正しかったが、不動産価格が半分になった後も下げ続ける政策をとり続けたことは間違いであった。

土地を下げ続けることはそれを担保としてお金を貸す銀行の担保価値を下げることであり、坪100万の価値を30万にしてしまったのだから、不良債権の山となり、銀行は潰れそうになり、銀行からお金を借りることができない会社が次々に倒産し、その税務調査から公務員の接待の証拠がでてきて高級官僚が捕まり、政治家が捕まり始めたのだ。

このまま行くと当然の成り行きとして、日本経済が苦しいのだから、税収が少なくなって国家財政が苦しくなり、年金が減らされ、公務員の数も給料も減らさねばやっていけないのでそうなる。
民間が苦しくなることをやれば、その結果が公務員自身にも跳ね返ってくることは当然のことだったのである。

私は今年57歳になってしまったが、50歳を過ぎた頃から終わりが見えてきた。急に自分の一生の全体が見えてきたのである。だから、若い時ああすれば良かった、あの時こうすれば良かった、と思うことも多い。

ところで、君は今19歳。今の君には好きな彼女のことしかなくて、1年先のことさえ見えていないようだ。若い時はそれもいいだろう。しかし、それだけでは人生を誤ってしまう危険もある。
だから、せめて1ヶ月先・6ヶ月先・1年先・3年先・5年先・10年先・20年先の自分を想定して、夢を描き、それを目的化して紙に書き記して、いわば自分の人生の地図を作る必要がある。

だって知らない所に行く時は前もって地図を見て自分の行く方向を確かめてから行くだろう。自分の一生だって同じことで、「人生計画書」無しに生きて行くつもりか? それでは行き当たりばったりの人生になってしまい、良い人生が過ごせるわけないだろう?
そうやって目的に向かって計画を立てて進んでも、人生は失敗の連続です。 それでも失敗の経験をすることは人生の肥やしになります。失敗をして、又計画を練り直し、プラン・ドゥ・チェックを繰り返すのが人生成功のカギになります。 

話が長くなったが、「今現在の目先のことだけでなく、長い目で見ながら、今やるべきことをやり切ること」 そのことを君に伝えたかったのです。 生きて行く上で一番大切なノウハウを、今、君に伝授し終わった、と思う。後は自分の人生だから好きに生きなさい。 健闘を祈る!

(1998年 3月26日 記)


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