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渡独36日目

 時間がかかったが、やっと人間関係が落ち着いてきた気がする。お互い初めまして、出身、専攻はどちら?などと表面的な情報を交換しあっていた段階から、仲の良い数人同士が固まってきたような。1ヶ月の言語コースが終わり授業が始まるようになってそれも変わっていくのだろうが、その期間で程よい自己主張をし誰とやり過ごすか周囲を見渡す感じが非常に苦手だったのでほっとしている。

 授業後の昼ごはんなど、よく一緒にいるのは台湾人と韓国人の女の子だ。たまたま席が近いのでよく話すようになったが、お互いヨーロッパ勢ほど英語が早くなく、アジア圏で共有する価値観があるので過ごしやすい。学食のアジア風料理に悪口を言ったりする。彼女達が各母国出身の留学生仲間と旅行に行くことが多いので、あまり休日は誘えない。やはり母国同士で固まるものかと些か残念だったが、天気がよければピクニックにでも行こうという話が持ち上がったので、流れさせないよう予定を聞こうと思う。友人関係に腐心するのは私の常ではないけれど、異文化交流にこの位の戦略は必要かと思う。普段が無頓着が過ぎるので。

 そんなこんなで休日は日本人の女の子と過ごすことが多い。私以外の日本人留学生は同じ大学から来、同じ寮に住んでいるのでそちらと楽しくやると思っていたが、私を気に入ってくれたようでよく誘ってくれる。ありがたいことだ。彼女の大学から来た大半とは言語コースも別れたのであまり距離感が掴めていないが、付かず離れずやっていけばよいか。

アパートでは風呂トイレキッチンを共用し、各々に小部屋がある。最近新しく入ってきたドイツ人の彼女が明るい質で、私のドイツ語の練習に付き合おうとありがたい話を振ってくれた。それまでは英語でお互い話しており、私がドイツ語を学んでいると明らかになってからのことだ。

 ごく簡単に物理の基本的な概念を説明する読み物を大学の本屋で見つけ、読解練習がてら読んでいる。多少学術的な(専門的なという意味ではない。例えば「〜が導かれる。」「〜ことが明らかとなる。」のような文章の上での話。)書き方には慣れておきたかったし、物理なら解説を求められる人がいるし、いい話題になるし。今日遂に辞書では引けない複合語(意味の推定はできるが、学術的な用語だった場合単純な意味の足し合わでは理解ができない。)に当たって彼女に聞いたので、この本を読んでいる経緯を話すことになってしまった。ではドイツ語で話した方がいい?と尋ねられた時に、大いに困ってしまった。いつか自分から頼もうとは思っていたけれど、まだ英語も覚束無いので先延ばしにしていたのだ。まあ、ドイツ語に切り替えても大いに英語で質問する場面があるので結果としてはよかった気がする。

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