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昭和の名曲にみるシンセ・電子楽器の名機たち(最終回)

シンセサイザーなどの電子楽器の登場で70年代から80年代にかけて様々な音楽ジャンルが誕生し、沢山の名曲を支えた事を兼ねてより綴ってまいりましたが今回で最終回、前回に引き続き世界中のアーティストから愛され、様々な楽曲に使用された以上に、電子楽器業界の歴史が変わったといって過言ではない2つの《名機》を紹介したいと思います。

プログラマブルポリシンセの先駆け「Sequential Circuits Prophet-5」

様々な音色が作れ奏でる事ができるシンセですが、一度作成した音色は操作パネルの各ツマミの値を暗記するかすべて紙に書き写し再現するしかありませんでしたが、70年代後半に登場した「Prophet-5」は当時希少だった和音演奏が可能で従来より小型化しただけでなく、作成した音色の設定を保存できボタン一つで呼び出す事ができる画期的なシンセだったのです。この登場により後の各メーカーのシンセは音色保存機能は搭載されるようになりいうなれば後のシンセのお手本となったモデルなのです。
その「Prophet-5」は世界中のアーティストから愛され、使用した楽曲もたくさんあり正にプログラマブルポリシンセの名機中の名機なのです。

※初期デュラン・デュランのMVにはローランド「Jupiter-4」に加え「Prophet-5(Rev.3)」が確認できます。ニック・ローズ自身、過去使用したモデルで上位に来る名機と雑誌のインタビューで答えていました。

《DX一強》の時代に終止符を打ったデジタルシンセ「Roland D-50」

以前ご紹介した1983年シンセ業界を大きく変えたデジタルFM音源シンセ「YAMAHA DX7」そのまったく新しいサウンドは一世を風靡し「DX」サウンドを耳にしない日はないぐらいでありました。しかし、80年代後半になり高額だったサンプラーが低価格で登場するようになり、その技術を応用した全く新しいデジタルシンセ「D-50」が登場しました。その特徴はサンプラーと従来のアナログシンセのいいとこどりした新しいサウンドで、かつ、臨場感をアップさせる《リバーブ》エフェクト搭載シンセの先駆けとなりました。この斬新な仕様のサウンドは半ば「DX」に飽きていたといわんばかりに大ヒットし、4年におよぶ《DX帝国》が崩壊しその歴史の1ページとなったかのようにも感じました。

こぼれ話

「D-50」の成功は斬新な仕様や機能に限らず、用意された《プリセットサウンド》にあり、それらのサウンドを手がけたエリック・パーシングの存在なくして語れません。デジタルシンセらしい美しい音色の《Fantasia》やシネマティックな《Digital Native Dance》など、従来の既成楽器の代替としてきたシンセがより楽器として見いだされたのではないかと思います。

まとめ

今回に限らず今までご紹介したシンセ、電子楽器の各モデルは《名機中の名機》なので愛用者が多く、ご紹介した楽曲以外にも多数使用されています。
80年代中頃まで電子楽器がナウでヤングでかつ高額で珍しいものだったので、LP同封の解説には使用したモデル名が記載される事がよくあったのですが、徐々にシンセは低価格化し珍しいものでなくなったともあってか?モデル名の記載をみかけなくなりましたが、昭和の名曲に使われた様々な電子楽器モデルを知る事で新たな発見や違った角度でその楽曲の良さを知る事ができ少しでも楽しんでいただければと思います。
これまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。また機会ありましたらよろしくお願いいたします!(^▽^)/

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