ゾゾの抱える8つの危機

ゾゾについては、ゾゾスーツ戦略の突然の軌道修正から興味を持ち始め色々調べていましたが、調べ始めた当初では想像できなかった混沌さを抱えている会社だなと感じています。

現実的な問題として、2018年3Qの決算内容が極めて悪く、経営的にも大きな岐路を迎えていると思います。

ゾゾが会社としてどのような危機を今抱えているのか、私見でいくつかまとめてみようと思います。ここには挙げきれないものも多いかと思いますが、いくつか思いつくままピックアップしてみます。

1. 経営悪化の危機

ゾゾはプライベートブランド事業を始めた2018年度から減益続きで、特に3Qについては通期の下方修正も行ったため多くのニュースで報じられたのは多くの人がご存知の通りです。

ニュースなどで語られた内容を簡単に振り返ると、以下3点になります。

・前年同期に比べて商品取扱高が18.1%増営業利益が12.4%減当期純利益が16.1%減

・PBの売上が、通期目標200億円のところ、3Qまでで22.6億円。通期達成見込みで30億円で、目標に比べて170億円のビハインド。PBは売上高が低い割に費用がかさみ、PB単体では通期で125億円の赤字の見込み

・通期の目標達成が難しいため下方修正を行う。営業利益が当初目標400億円から33.8%減の265億円当期純利益が当初目標から36.4%減の178億円。

前年に比べ取扱高は増えているが減益で、押し下げの主要因はPBの不調。PBは目標売上高の10%程度しか達成しておらず、通期でも15%程度までしか届かない見込み。費用もかさみ利益を食いつぶしており、それらを受けて通期の下方修正を発表済み。という感じです。

通期でも上場以来初めての減益ということで、これらの内容を受けて株価も急落し、2月8日終値ではピーク時の1/3(1670円)となっています。

2. 倒産の危機

経営状況は悪化していますが、これだけを見ると「本業はそこまで悪くないように見えるから今すぐPB事業を辞めれば良いんじゃね?」と思えますし、私も2Qの決算のころはそう思っていました。

しかし、財務状況は、想像を超えて悪化しているようです。

まず純資産ですが、9ヶ月間で半分くらいに減っています。

内訳として、現金の低下度合いが非常に激しいです。この9ヶ月で160億ほどの現金が失われ、以前の3割ほどしか残っていません

また売掛金が130億ほど増加しています。これはお金を回収するまでの時間が以前より長くなっている事を表しています。

そして商品及び製品が今までの2.5倍になる50億円に、原材料及び貯蔵品が今までの7倍近い13億円に、それぞれ急増しています。これらはPBの開始により商品の在庫の保管が必要になったこと、ならびに商品を作るのに必要な原材料を調達しなければいけなくなったことが要因と思われます。

以前も紹介したブログですが、ゾゾは極めて現金保持率が低い、リスキーな経営をしています。

しかし、単月の取扱高に満たない現金しか持たない状態というのは、リスキーという言葉を超えて経営危機としか表現できません。今後どうやって様々な取引先にお金を払うのでしょうか?社員に給料を払うのでしょうか?もうすでに、会社としては危険水域を大きく超えているように思えます。

一部では、ゾゾの黒字倒産を危惧する声も挙がっているようです。

また、2月14日号の週刊新潮でも、会社の存続に関する不安が書かれていました。

Web版などでは記事が無いようなので要旨だけ抜粋すると、以下のような内容が書かれていました。

・売掛金や在庫は資産として計上できるためこちらを使ってバランスシート的には利益が出ているように見せかけている。

・売掛金は不良債権化しているものが100億ほどあるのでは。

・独自に試算した限りだと、3Qは14億円の赤字。

・このままだと債務超過になる。

上記のような四半期ごとの業績の悪化に加え、2018年5月には自社株買いオペレーションによって前澤氏が個人で所有する株を高価で会社が買い取りをし、買い取るために借りた短期借入金の返済もあと220億円残っています。当然のことながら所持している現金だけでは返済できません。

まとめると以下のようになります。

・手持ちの現金が80億円と極めて少ない。

売掛金が増大しており、現金の回収が以前ほど上手くいってない。不良債権化しているとの声も。

在庫、原料費が増大しており、これらはPB事業を今すぐやめても負債として残り続ける。

・実体は3Qは黒字ではなく、14億円の赤字だったという声も。

・自社株買いのために借りた短期借入金が220億円あり、早期の返却が必要。

現金は少なく、事業としても直近は赤字で、現金の回収にも手間取り、かつすぐに返さなければいけない借金がある。

貯金が少なくもう少しで尽きるけど、毎月の家計は赤字で、かつクレジットカードなどで貯金の何倍もの借金がある家庭。と表現すると、やばさが際立ちます。

4Qの間に、有効な資金調達が行えなかった場合、ゾゾはどうなってしまうのでしょうか。倒産、という事も、あり得ないとはとても言えない状況かなと思います。たとえ資金調達ができたとしても、会社としては相当に不利な条件を飲むことになるでしょうから、以前のような健全経営に戻る事はかなり難しくなります。

3. 不公正な取引慣行是正の危機

ゾゾは、ファッションECサイトとしてのその独占的な地位を用いて、ブランド各社に高い出品料を強いており、そのことで会社としては高い利益率を誇っていました。

その事に加えて最近では「ZOZO ARIGATO」による割引の強制などもあり、多くのブランドの反発を招き、「ZOZO離れ」という言葉が定着するくらい多くのブランドの撤退が相次いでいます。

もっとも、IT企業が独占的な地位を用いて取引先に不公正な条件を押し付ける、という事はゾゾにかかわらずGAFAなどの会社についても問題視されており、国も手をこまねいているだけでなく対策に乗り出すようです。

公正取引委員会は近く、巨大IT企業の取引に関する大規模な実態調査に乗り出す。まず不公正な取引慣行が常態化しているとされるインターネット通販と、スマートフォンのアプリ販売の調査に着手する見通しだ。4月をメドに取引実態の調査結果を公表する。

この記事の中で、以下の部分は、意図してかどうかはわかりませんが、明らかにゾゾの事について記載しているように思えます。

ネット通販を巡っては、巨大IT企業の取引先から、利用条件の一方的な変更や、巨大IT企業が直販する商品が優遇されているといった不満が寄せられている。公取委は、こうした取引慣行について調査を進めるとみられる。

ゾゾも、ZOZO ARIGATO などの施策を突然事前通告ほぼ無しで行ったり、ECサイトにおいて自社のPB製品を過剰なまでに優遇していることが問題になっています。

これらの動きがどのような進み方をするかはこれから次第ですが、ゾゾの王様のような振る舞い、不公正と言われかねない取引慣行が、今後も通用するかというと微妙だと思います。それはつまり、今までのような利益率を維持するのは早晩難しくなるだろう、ということです。

4. 前澤氏の特別背任の危機

ゾゾが2018年5月に行った自社株買いオペレーションについては、以前から特別背任なのでは?という声が挙がっていました。

①4月末
・業績の大幅成長予想を発表
・株価の大幅上昇が開始
②5月末
・前澤氏が保有株を市場外でZOZOに売却
・ZOZOは費用として銀行から240億を借入
③7月末
・利益の大幅減と負債の大幅増が発覚
・株価の大幅下落が開始
ポジティブな予想が発表・宣伝される一方、ネガティブな実態は極力伏せられ、経営者に有利で一般投資家に不利な環境が形成されるなか、
経営者であり筆頭株主でもある前澤氏が保有株を市場外で会社に売却して利益を得たという構図に見えます。

この件については、先に紹介した週刊新潮の2月14日号でも言及されていました。

自社株買いはなんだかんだいって株主総会での決議を経ての実施なので、どこまで法律で問えるのか、特別背任で立件できるのか、は素人の私では判断できません。

しかし前澤氏が多額の現金を懐に収めた結果、ゾゾが経営の危機に陥いっているのは事実として間違い無いため、業績が低迷した今、再度厳密に追求がなされるべき事象と思います。

5. 前澤氏の株価操縦疑いの危機

Twitterでエキセントリックな活動をすることで多くのメディアやTVなどでの話題を呼んでいた前澤氏ですが、すべてのブランド各社に喧嘩を売るようなつぶやきをした翌日に、Twitterの休止を宣言しました。

休止を宣言したつぶやきが2019年2月7日 14:15 に行われましたが、時を同じくしてゾゾの株価が急騰しました。

一般的には「投資家が前澤氏のTwitter休止に好感」という捉えられ方をしていますが、わずか数分間に数百万を超える株の出来高が発生しており、とても個人の投資家の行動だけでこのような事態が起こせるようには思えません。またTwitterのつぶやきからのタイムラグがあまりにも短い事も疑問です。

考えられるシナリオとしては以下かなと思います。

・証券会社などのアルゴトレードのアルゴリズムで、「前澤氏がTwitter休止した場合に買う」というアルゴリズムが設定されていた。

・事前に前澤氏と示し合わせ、発言をきっかけに大量の株買いオペレーションをする取り決めがされていた。

前者は、正直現実的ではないです。事実だとしてそんなナローケースでアルゴリズムを設定する意味が掴みかねます。

ですので、現実的には後者のように、前澤氏が誰かと組んで、もしくは前澤氏が単独で大量の株買いを行ったのではないかという疑いがあります。そして、それが事実だとした場合、株価操縦の嫌疑がかけられる事は避けられないと思います。

相場操縦的行為とは、本来公正な価格形成が行われるべき相場に人為的に作為を加えて、これを歪める行為を指します。これらの行為は、取引所金融商品市場の公正な価格形成を歪める行為であり、法令諸規則等により禁止されております。なお、相場操縦的行為者は金融商品取引法により、刑罰や課徴金等の罰則が科されることになります。

株価操縦の手法の中で、色々な捉え方が可能ですが、今回は「買い上がり」に当たる行為なのかなと思われます。

ある特定の株式の価格を意図的に高く又は安くする事で、あたかも相場が上昇又は下降していると他の投資家に誤解させ、取引を誘引することを目的とする行為をいいます。

この株価操縦疑惑については、株式市場の健全さを保つためにも、今後様々な人が指摘し、調査をすることになるのかなと思っています。

個人的に一番引っかかったのは、「個人がTwitterを休止するとつぶやいた」というだけのことを、NHKがニュースで報じた事です。以下のWeb記事だけでなく、TVなどのニュースでも大々的に報じられました。

この事を以て、「NHKがワイドショー的にそこまで重要でないけど世間で話題になりそうなニュースを流した」「NHKが堕落した」と捉える事もできます。

しかし個人的には、NHKがそのような安易な姿勢でニュースを報じるとは、とても考えられません。

私の私見ですが、NHKの意図として、以下の出来事を大衆に「記憶させたい」という意図があったように思えます。

・前澤氏がTwitterの休止宣言をした。

・そのタイミングで株価が不自然に高騰した(※NHKの記事中には言及なし)。

記憶させたい理由は、この件は単なる「有名人のつぶやき」にとどまらず、より大きな何かしらの問題における証拠、エビデンスであるから、だと思っています。

それが組織的な株価操縦なのか、より大きな問題なのか、は今の段階では判断できません。

もちろん、単にワイドショー的な報道であった可能性もゼロではないとは思います。その時は「NHKも堕落したな」と考えればよいと思います。

6.  脆弱な開発体制の危機

ゾゾの開発体制については、ベールに包まれていました。最近になって技術者向け求人サイトなどでも見かけるようになりましたが、それもここ数年のことであり、10年以上「自前主義」でECサイトの開発を行っている会社としては不自然だと思っていました。

そもそも配送業務はヤマトにほぼ依存しているはずで、「発送をすべて自社で手がけている」という記述は、かなり不思議な書き方だなとは思います。

そして、知人に教えてもらったのですが、ゾゾの開発、とくにZOZOTOWNならびにWEARという主力サービスのシステム構築は、基本的には外部の会社に委託しているようです。

それがこの、ナチュラルスタイルという会社です。

あれだけ自前主義を標榜しているゾゾが、外注として少しの関与しかしてないような他社に「私たちはZOZOTOWNを作ります」「WEARを作ります」「次の10年も作り続けます」と名乗らせる事は、ちょっと考えられません。

つまり、ZOZOTOWNならびにWEARは、このナチュラルスタイルという会社がシステムを構築している、ということなのだと思います。

それ以外にも、「ゾゾの仕事をした」「ゾゾのあの機能の開発をした」という言葉を知り合いのSIerやベンダーの方々から聞きました。それなりに外部に依存をして開発をしていることは、まず間違いないと思います。

もちろん多くの企業において、外部の企業に開発を委託することはそれほど珍しい事ではありません。しかし、その状況を以て「自前主義」「すべてを自社で手がけている」と宣うのは、ちょっと理解に苦しみます。

この事が表しているのは、「ゾゾは自前主義と言っているがあれは嘘だった」という瑣末な事ではなく、ゾゾは自社でシステムを構築したり、ビジネス上の様々な問題を解決していくだけの技術力、組織力を自社で保持していないのでは、という懸念です。少なくともZOZOTOWNとWEARについてはこの懸念があります。

プライベートブランドについても自前主義で開発とはとても表現できる状況ではなく、たとえばニットについては島精機製作所のホールガーメントの機械に体型データを流し込んでいるだけのようです。

外部に開発を委託する事でビジネスが回るのであればそれで良い、という考え方もあります。しかし近年のIT開発においてはその考えは一般的には否定され、多くの会社で内製化が進んでいます。一番の理由は、自社でノウハウを確保できない、失敗から学ぶことができない、結果として組織に力がつかない、という事かと思います。

そして、自分たちで課題解決ができない、外部に委託しすぎている開発体制では、危機に直面した際に自力で乗り越えていくという事が想像できず、自力改善の期待値は客観的に見て極めて低いです。

7. セキュリティの危機

自社で開発をしていないのだろう、と、少なくともZOZOTOWNについて思わせる事例として、セキュリティの意識があります。

一部の人の間では有名ですが、ZOZOTOWNでは常時SSLに対応していません。ブラウザでZOZOTOWNに接続すると、以下のように「保護されていない通信」という表示がされます。これが常時SSLに対応できてない証拠です。

常時SSLがなぜ必要なのかわからない、という方も多いと思いますが、以下のサイトに書かれているように、現在個人情報を扱うようなECサイトを含め、ほぼすべてのサイトについて常時SSLは常識となっています。

特に、ECサイトにおいては、個人情報だけでなく決済情報も扱うわけですから、セキュリティについての対策が、ショップ自体の信頼性につながるものであり、ひいては売上にも大きな影響を及ぼすことになると思います。
そのため、積極的にSSL対応などのセキュリティ施策に取り組むことは、ECの重要な課題になっているといえるのではないでしょうか。

ゾゾほどの資金力がある会社が、「お金が無いから対応できない」ということはありえないと思います。もちろんお金の有る無しにかかわらず、あれだけの大きなECサイトを運用しながら常時SSLに対応しない、というのは、全く言い訳ができない状況です。

このような状況が会社で許容されているのは、やはり自社でZOZOTOWNのシステム構築を行っておらず、社内の人たちが技術的な意味や深刻さを理解できないのが原因なのではと思います。

開発を委託されている外部の会社は、発注元に依頼をされない限り、自分たちは「マズイな」と思っても予算の都合もあり対応はしないでしょう。

自社で開発をしない事で開発体制は脆弱になりますが、そのしわ寄せが一番寄せられるのが、このようなセキュリティの問題です。

常時SSL未対応というのは表に見える問題ですが、裏側のデータの管理の仕方全般においても、おそらく同じような意識で考えている会社なのではないかと思います。

ZOZOTOWNで商品を購入しようとするとどうしても住所などの個人情報や、クレジットカードなどの秘匿情報をゾゾに預ける事になりますが、秘匿情報を預けるのに適切な会社なのかどうか、疑問に感じます。

ハッキングの技術が高度化している世の中であるからこそ、常時SSL対応すらできない会社にはよりいっそう不安を感じます。

8. 大量に雇ったエンジニアのリストラ危機

ここまで来て「ゾゾは最近大量にエンジニアを採用しているじゃん、彼らは何しているの?」という疑問が浮かびます。私も全く同じ疑問を抱いていました。ZOZOTOWNやWEARはナチュラルスタイルという会社がシステム構築しているのに、なんで他に大量に技術者が必要なのだろう?と。

一番最初に思いつくのは、かなり多くの新規採用技術者をプライベートブランドの開発に投入しているのでは、ということです。

ゾゾの子会社のゾゾテクノロジーズという会社で採用情報が記載されていますが、こちらにもプライベートブランド関連の応募が目立ちます。

「プライベートブランド」という職種は自明。「ファクトリーオートメーション」は、おそらくプライベートブランドの工場における生産の自動化を目指す組織でしょう。AndroidiOSの開発もプライベートブランド関連でしょう。

ZOZOTOWNWEARのエンジニアを募集している理由はよくわかりませんが、ナチュラルスタイルとの橋渡しの役割ということかもしれません。

もともと、ゾゾテクノロジーズという会社の成り立ちは、以下のようなもののようです。

株式会社ヤッパをゾゾが買収し、2015年に「株式会社スタートトゥデイ工務店」と社名変更

株式会社Vasily及び株式会社カラクルをゾゾが買収し、2018年にスタートトゥデイ工務店と吸収合併。会社名も「株式会社スタートトゥデイテクノロジーズ」と社名変更

・親会社がスタートトゥデイからゾゾに社名変更したタイミングで、「株式会社ゾゾテクノロジーズ」に社名変更。

つまり、ゾゾがIT企業の買収を繰り返して継ぎ接ぎあわせた会社の集合体を、「ゾゾテクノロジーズ」と呼んでいるようです。

そして彼らが行っている開発は、一部ZOZOTOWNやWEARも含まれるように見受けられますが、基本的には「プライベートブランドを開発する組織」ということなのだと思います。

ゾゾにおけるプライベートブランドの開発責任者と思わしき人が、元ヤッパの社長であることからも、そのことが伺えます。

エンジニアだけでなくパタンナーなど服飾に関わる人達や、生産管理など工場業務に関わる人も採用されているようですが、特にエンジニアの採用には力を入れているようです。

さて、ここまで来て気になるのは、大量に雇い入れたエンジニアの今後です。

この記事の冒頭にも書いた通り、ゾゾのプライベートブランド事業については極めて難題を抱えています。

ゾゾスーツの採寸の精度の低さや服のクオリティの低さ、それらも相まっての売上の不調、コストの増大。会社全体の経営的にも現金が極めて不足しており、倒産の危機に面していると言っても過言ではありません。

その際に、まず最初に手を付けるのは何でしょうか?一番考えられるのは、リストラです。それも、不採算部門のリストラです。

プライベートブランドは通期で125億円もの膨大な赤字を生み出す見込みの、不採算部門の最たるものです。赤字が多いだけでなく、通期でも30億円程度しか売上の目処が現状立っていない収益化が難しい部門です。経営層や株主から経営改善を求められた際に、一番最初に見直しが求められる部門です。

ではプライベートブランド部門を縮小、もしくは事業を撤退するとしたらどうなるでしょう。ZOZOTOWNやWEARの事業では不要な人材からリストラがされるでしょう。リストラまでいかなくとも、減給や、ボーナスカット、福利厚生の剥奪などが想像されます。

パタンナーや生産管理などの方々もそうなのですが、プライベートブランドの事業開発のために雇われたエンジニアの方々も、その対象になることは容易に想像できます。

そのことを最初から想像してなのか、ゾゾテクノロジーズという会社は、外部の企業をいくつか買収し、継ぎ接ぎして作られた会社で、会社組織としても分離されていますし、ゾゾの中では完全に外様な会社として組織されています。つまり、「この会社の社員はいつでも切れる」という状況に置いておきたかったのだと思います。

社長の私欲に駆られた行動で傾いた会社の経営、そのしわ寄せを最初に受けるのは彼らのようなプライベートブランド事業に関わった人になる可能性が高いと思っています。

夢をもってゾゾに入社したエンジニアも少なからずいると思います。しかし彼らを待っている現実は、決して明るいものでは無いように見えます。そんな彼らを救う事は可能なのでしょうか。彼らが本当にリストラされたり、社内で評価されず不遇な立場に置かれてしまった時に、多くのIT企業の方々はぜひ彼らに救いの手を差し伸べてほしいなと思います。


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