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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)8月21日〜8月28日

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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)8月28日(金曜日)
       通巻第6632号  
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(休刊のお知らせ)小誌、8月29日─31日が休刊となります
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「中国共産党は人類の敵」と陳光誠(人権活動家)が共和党大会に登壇
   その中国は「空母キラー」を四発。南シナ海へ発射
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 8月26日、中国軍は対艦ミサイル4発を発射した。内陸奥地の青海省からDF26B(「東風26」。射程4000キロ)、沿岸部の浙江省からDF21D(「東風21D」。同1500キロ)の発射だったと華字紙が報じ、中国当局が追認した。

理由を。中国は「米軍が飛行禁止空域に偵察機を飛ばし、また艦艇を南シナ海に派遣して軍事的危機を高めているための対応であり、中国の警告である」とした。

注目されたのは、DF26Bが米領グアムを射程に収めているという格段の技術的進歩である。通称「グアムキラー」、もちろん全日本列島は射程に入る。
DF21Dと並んで空母を含む対艦攻撃が可能、ともに「空母キラー」と呼ばれる。エスパー国防長官はハワイでの演説で「中国の軍事力は世界的なレベルに達した」とした。

この日は共和党全国大会が開催中でもあり、トランプ大統領が会場に突然現れるなどのハプニング、つづいて中国の人権活動家の陳光誠が登壇し、「中国共産党は人類の敵」と演説した日でもある。

また同日、米国商務省は、「島嶼の軍事施設建設に拘わった」として中国交通建設などの国有企業24社をELリストに加えた。
ELリストは、中国のブラック企業を網羅して取引停止、禁止の制裁をするブラックリスト、これで百社を越えることとなった。とりわけ中国交通建設は、日本のゼネコン四社を合計した売り上げを遙かに凌駕する大企業だ。

 一方、中国と領有権を争うフィリピンのドウテルテ大統領は「中国の攻撃を受けたらアメリカに助けを求める」と記者会見した。

 インドネシアではアルカィーダ系の武装組織17名を逮捕する事件がおきた。かれらは西ジャワ島のチャイナタウンへの襲撃を準備していたとされる。同組織は2002年にバリ島で爆弾テロをやらかし、二百数十名が犠牲になった。

だが一方で、親中派の代表格で豪元首相のラッドが会見し、「米中戦争はリアルな問題。豪は巻き込まれた。それもこれも現モリソン政権の対中政策の失敗だ」と相変わらずの怪気炎をあげた。
ラッド元首相は「豪の二階某」といわれる。

 南シナ海に戦雲高し。
      
(休刊のお知らせ)小誌、8月29日─31日が休刊となります
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@  【知道中国 2123回】            
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港5)

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 入学手続きが終わると、洪さんが先に立って、私のために用意されていた研究室に案内してくれた。歩きながら突然、洪さんが親指を立てて「日本の歌手の天地真理はいい!」と。理由を訊くと「なにより名前が素晴らしい。天地の真理だからスゴイ!」。歌声、容姿もさることながら、どうやら彼女の芸名に惚れ込んでしまったらしい。

 洪さんは50歳前後だったろうか。それにしても香港のオッサンはヘンなところに注目するものだと、改めて感心するばかり。
当時の日本で、彼女の芸名を上下に二分し「天地(うちゅう)」の「真理(しんり)」と受け取ったファンはいなかったはず。その発想に驚くばかり。漢字に対するイメージは日本とは違う。やはり同文同種という考えは軌道修正すべし、である。当時の香港で比較的知られていた歌手は天地真理の外に今陽子。ピンキーとキラーズの「恋の季節」は、香港に進出する日本のサブカルチャーの走りだったようだ。

さて研究室だが、広さは8畳ほどで明るい。広い窓に向かって頑丈そうな大きな机と本箱が置かれていた。かくて、気分はすっかり研究者。ここで思う存分研究すべしと、先ずは決意を新たにした次第である。

 その後、中国人の先輩が何人か声を掛けてくれて遅い昼食に。色々と話しているうちに朧気ながら気づかされたことは、勉強にはカネが掛かるという当たり前の事実だった。
これは何人も否定しようのない冷厳なる人生の鉄則である。勉強は個人ができる最高の投資だ。言い方を換えるならば、まさしく学費は投資資金である。ならば手持ちの資金は多いに越したことはないはずが、投資の元手が心許ない。ローリスク・ローリターンだろうか。

入学金のみで授業料免除の特典を与えられたが、先輩たちの話を聞いていると思いのほかに生活費が嵩みそうだ。
ざっと計算して見る。日本から持ってきた資金では、倹約しても持ち堪えられるのは1年程度か。さっきまでの希望は一気に暗転し、心に憂鬱の2文字がジワーッと浮かんでは否が応でも大きさを増す。生活設計の立て直しが急務だ。

 だがクヨクヨしても始まらない。図書館などを案内してもらった後に下宿に戻り、洗面器やら歯ブラシやら生活必需品を用意することにした。
大家のTさん夫人が「少し歩いたところある中国系デパートの裕華國貨百貨公司が最適だ」と教えてくれた。

 地図を頼りに歩くこと5分ほど。店内に入って驚いた。さすがに中国系である。中国大陸は文革の真っ最中だから当然と言えば当然だが、中国製品は文革調のデザインに溢れていた。ガラスケースの中に展示された商品を見せてもらおうとしたが、店員は腕組してコッチを見ているだけ。女性店員も地味な紺の上下で色気ナシ。サービスの「サ」の字も感じられない。さすがに中国系デパートだけに教育が徹底していると感心し呆れるばかり。そこで見せて欲しい商品を指さし、「申し訳ありませんが、これを見せて下さい」。

 すると腕組した一団から一人が進み出て、ガラスケースから商品を取り出しポイッと置いて、そのまま身を翻して腕組の仲間の中へ。全く愛想ナシ。毛沢東思想の「神髄」を表す「為人民服務」「自力更生」などの文字がデザインされたマグカップやタオル、それに洗面器などを買うことにした。それらを無造作に包んでくれる。包んでくれただけでもヨシとすべき雰囲気だ。オツリは、ガラスケースの上に無言でポイッ。かくて思わず口をついて出たのは「非常感謝(ありがとうございます)!」だった。

 その後、ヒョンなことから中国系デパートの店員と昵懇になり、京劇レコードなどを店員価格で買ってもらったが、やはりブッチョウズラは店頭限定だったと思いたい。
 夜、寝床に就くが今後を考えれば目は冴えるばかり。
徹底した倹約しかないと納得した頃にドアが開く。千鳥足でご帰還のTさんの手にはビールが。「起きろ、呑むぞ!」。
《QED》

──前回の「医食同仁」は「医食同源」の誤りでした。訂正致します──
      
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(読者の声1)貴誌前号のコメント「トランプ再選キャンペーン、赤信号消える」は「眼の付け所が違うな~」と感じ、とても興味深いものでした。
また引退した大統領は伝統的にあまり選挙には口出ししないのに、そして、あまりバイデン副大統領はオバマ政権下で「貢献した」様子もなかったのに、なぜオバマ氏はミッシェル夫人まで「動員」してあれほど バイデンを応援するんだろうと私は訝しく思っていました。
ところが27日付け「産経新聞」のコラム「正論」で、渡辺惣樹氏が書いておられる「カマラ・ハリス氏登場の舞台裏」を読み、その理由(オバマゲート)が推測でき、トランプの再選が見えてきたような気がいたしました。
同時に「次期大統領の予測などはその筋の人達にお任せする・・・・」などと平然と宣う元外務省の評論家M氏や日本のマスコミの「非力さ」を痛感しました。
(SSA生)

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(読者の声2)本日(8月28日)夜放送予定の「フロントジャパン」は上島嘉郎(元『正論』編集長)と宮崎正弘さんでお送りします。宮崎さんのテーマは『日本史の死角』の予定です。深夜からユーチューブでも放映されます。
  (日本文化チャンネル桜)



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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)8月27日(木曜日)
       通巻第6631号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~トランプ再選キャンペーン、赤信号消える
   明らかに巻き返し傾向。ハリス副大統領候補は意外に不評
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 民主党贔屓のリベラルメディアだけを読んでいると、バイデンが優勢のままゴールという予測が成り立つが、民主党大会の過熱報道と、その左翼偏向ぶりを差し引くと、熱狂的なバイデン支持集団が不在である。
 民主党は分裂していて、これでは選挙戦を戦えず、またバイデンがボケ老人であることも広く認識されている。

 副大統領候補となったハリス上院議員を持ち上げたメディアはすべて左派であり、過大評価も甚だしかった。しかしキャンペーンではテレビの選挙CMで、過去の彼女がなした極左発言が執拗にぶり返されるだろう。

 24日(日本時間25日)、FOXニュースの視聴者が、710万人だった。
 ちなみにリベラル系のABCが180万、CBSが140万、NBSが170万人。
 CNNが辛うじて200万人、MSNBCが150万。これら五局をすべて合算して、かろうじてFOXニュースの視聴者数を越えているが、この比較をみただけでも、民主党優勢という上っ面の報道が作為的であることが了解できないか。

 有権者は、最期にエネルギッシュな印象をもつ候補、力強くアメリカを引っ張れるリーダーに投票し、この浮動票が共和、民主の鉄票のうえに重なるから、これまで不利と言われてきたトランプが、急激に巻き返している事実が浮かんでくる。

 問題はコロナと失業率であり、景気回復のためにあらゆる経済政策と財政政策が投入されることになり、失業が10%以下に下がれが、俄然トランプ再選の可能性が高まる。
      
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~『ヴェノナ文書』とならぶスパイ・ドキュメント、新たに登場
  KGB工作の実態、とくに実名で告発するのが『ミトロヒン文書』だ

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山内智恵子著 江崎道朗監修
  『ミトロヒン文書  ──KGB工作の近現代史』(ワニブックス)
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 日本の読書人はことのほかスパイ小説が好きである。
 ジョン・ル・カレ、フリーマントル、フォーサイス、古くはジェイムズボンド=007シリーズのイアン・フレミング、『月と6ペンス』を書いたサマセット・モームら、いずれも英国人、英国の情報機関で働いた経験があるからこそ、リアルなスパイ小説が描けたのだ。
 マイケル・バーゾーハーも全作品が翻訳されている。なるほど世界でも稀な読書人、日本人はスパイ小説大好き。それでいて実際のスパイが日本で想像を絶するほどの規模と地下人脈で暗躍していることには目を瞑る。
スパイ工作はフィクションで愉しむものの、実態には殆ど興味なしという特殊な状況がある。
 何たって、日本にはスパイ防止法がないし、いま中国のスパイがウジ虫のように蠢いていても、なんら防諜体制が取れない。欧米では陸続と孔子学院が閉鎖されているのに、日本では増殖中だ。
 ソ連の崩壊以前、日本でメディア工作にあたったKGB要員のスタニスラフ・レフチェンコは、日本で三十から四十名の日本人代理人を駆使し情報工作を展開していたが、或る日、米国へ亡命する。
そして1982年7月14日、米国議会で衝撃的な証言をなし、日本の政界、新聞界を揺るがす大事件となった。
 じつは評者(宮崎)、このレフチェンコの議会証言を翻訳した。四万部ほど売れた。また電話インタビューで週刊誌の取材を手伝い、あげくにはサンフランシスコでレフチェンコと会う手筈となっていたが、日程的に段取りが就かず、当時『週刊現代』の編集長だった元木昌彦氏が飛んだ。その前にも週刊文春の斎藤デスクが渡米し、独占的に長時間のインタビューをこなした。
 翌年に評者はワシントンで『今日のKGB』を書いたジョン・バノンにインタビューしたこともある。2020年1月に訪米したとき、NYにKGB博物館が出来ていた。ゆっくりと見学したが、これほど左様に米国ではKGBへの理解度も深いのである。スパイ工作に鈍感な日本とはえらい違いだ。
 レフシェンコがあげた日本人のKGB代理人たちのリストと、ミトロヒンがあげたリストが、殆ど重なることが判明している。本書のポイントの一つである。
 思想に共鳴した確信的なスパイは共産主義華やかな時代の話、戦後はカネか女で釣れた。また学者には名誉をくすぐるなどして、「無自覚的な代理人」に育てた。なかでも「影響力のある代理人」がいて、KGB工作に無自覚的に協力し敵性国家の政治プロパガンダを手伝った(いまの日本はこの構造が中国人のスパイ網に入れかっわっている)。
 これら日本人代理人は、当時暗号名しかわからず、日本のメディアはこの暗号(コードネーム)はだれそれ、あの暗号は某某と推理ゲームに明け暮れたものだった。
1991年、ソ連が崩壊した。
どっと機密文書が西側へ流れた。歯止めをかけたのがプーチンだった。KGB出身のプーチンとその側近らは、殆どが諜報の専門家であり、とくにプーチンはアンドロポフとゾルゲを尊敬しているのだ。
「柔道家」「知日家」というプーチンの明るいイメージは崩れる。
 ソ連崩壊後の機密文書の公開は「リッツキドニー文書」(ソ連共産党指導者の個人文書など)、ヴェノナ文書、マスク文書(英国政府通信学校が作成)、イスコット文書(同)、ヴァシリエフ・ノート(旧KGB文書、手書きで1115ページ)、そして、本書が取り扱うミトロヒン文書である。
KGB第一総局文書庫所蔵文書担当だったミトロヒンは、手書きでこつこつと10万ページものメモを作成していた。
「ミトロヒンは、特に非合法諜報員を使った作戦に関する文書を重視して筆写したため、非合法駐在所、非合法諜報員と彼らの作戦情報が多い」(56p)。
1992年3月、かれはこれをラトビアの首都リガにある英国大使簡易持ち込んだ。ラトビアはソ連の軛から離れたばかりだった時代である。
かくして世紀の機密文書が世に出る。中味は本書を読んでのおたのしみ。
       
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(読者の声1)2020年の米国大統領選挙は大波乱の様相を呈して来ました。8月の党大会で民主党の候補者も確定いたしましたが、その人物の強みと弱みは?
果たしてトランフ氏に勝てるのか? 勝てたとして、トランフ氏と大きく違う政治を行うのか?
そして日本への影響は? 米国政治専門家として著名な講師に解説して頂きます。多くの方々のご参加をお待ちしております。
      記
とき   9月24日(木)午後6時~8時 (受付午後5時30分~)
ところ  憲政記念館 第2会議室 (千代田区永田町1-1-1/国会正面向側)
講師   吉崎達彦((株)双日総合研究所 チーフエコノミスト
     講師プロフィル(1960年富山県生まれ。84年一橋大学社会学部卒、日商入社。米ブルッキングス研究所客員研究員、経済同友会代表幹事秘書・調査
役などを経て企業エコノミストに。日商岩井とニチメンの合併を機に2004年から現職。2017年から大阪経済大学客員教授。著書に『アメリカの論理』『1985年』『気づいたら先頭に立っていた日本経済』『オバマは世界を救えるか』『溜池通信 いかにもこれが経済』など。ウェブサイト『溜池通信』(http://tameike.net)主宰。テレビ東京『モーニングサテライト』、文化放送『くにまるジャパン極』、BS11『インサイドOUT』などでコメンテーターを務める。フジサンケイグループから第14回正論新風賞を受賞。
参加費  2,000円 (当日受付にてお支払ください。)
定員   30名 (席の間隔をあけております。出来るだけマスクの着用をお願いします)
要申込  下の申込フォームから必ず事前にお申込みください。
https://ozakiyukio.jp/information/2020.html#0820

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(読者の声2)三島由紀夫研究会事務局から公開講座のお知らせが二つ、あります。
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♪9月は新保祐司先生が「信時潔と黛敏郎」を語る
 当初、4月に予定されていて一度延期された新保祐司先生による公開講座「信時潔と黛敏郎」をきたる9月25日に開催することとなりました。ご期待ください。
       記
日時   9月25日(金)18時開演(17時半開場)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   新保祐司先生(しんぽ ゆうじ、文芸評論家、都留文科大学副学長・教授)
演題   「信時潔と黛敏郎」
講師略歴 昭和28年生。仙台市出身。東京大学文学部仏文科卒。平成19年度の正論新風賞、平成29年度の正論大賞を受賞。主な著書に『信時潔』(構想社)、『「海道東征」への道』(藤原書店)、『義のアウトサイダー』(藤原書店)など多数。
参加費  会員・学生 1千円(一般2千円)
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♪10月は井川一久氏が浪曼主義を論ずる
 やはりさる5月に予定されていながら延期されていた井川一久氏(ジャーンリスト、元朝日新聞社記者)の浪曼主義に関する公開講座を以下の通り10月23日(金)に開催します。ご期待下さい。
       記
日時  10月23日(金)18時開演(17時半開場)
場所  アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師  井川一久氏(いかわ かずひさ、ジャーナリスト、元朝日新聞社記者、編集委員)
演題  「現代日本と浪曼主義」
講師略歴 昭和9年生。愛媛県出身。早稲田大学政経学部卒後朝日新聞社入社。外報部で活躍、ハノイ初代支局長をはじめ長年インドシナ情勢を取材。現在も戦後ヴェトナムに残留し、対仏独立戦争や対米戦争で戦った日本人将兵の記録に取り組んでいる。また井川氏は日本浪曼派に興味を持ち、保田與重郎など日本浪漫派の巨人達との取材経験も豊富である。主な著書に『カンボジア黙示録』(田畑書店)、『このインドシナー虐殺・難民・戦
争』(連合出版)など多数。
参加費  会員・学生 1千円(一般2千円) 
   (三島由紀夫研究会事務局)

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(読者の声3)欧米議員 中国によるチェコへの圧力を非難する共同声明を発表
 チェコのミロシュ・ビストルチル上院議長率いる代表団が8月30日から9月4日まで訪台することについて、欧州議会や米国、カナダ、オーストラリアの68名の国会議員が8月25日、訪台を支持する共同声明を発表した。
 声明は中国が2019年2月に訪台予定だったヤロスラフ・クベラ上院議長(当時)に圧力をかけたことを厳しく批判し、民主国家指導者に対し団結を呼びかけた。声明文は、クベラ上院議長(当時)は中国大使館から外交慣例を逸脱した格式と言葉を使用したメールを受け取り、台湾を訪問すれば中国にあるチェコ企業3社の営業に大きな影響があると脅されたとし、チェコには台湾と経済・文化関係を発展させる権利があり、大統領に次ぐトップ2の上院議長が訪台することについて中国の同意は必要ないと指摘した。
  (台湾の声)

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(読者の声4)アジア自由民主連帯協議会講演会報告です、今回はチベット人チュイデンブン氏による新しいアジアの未来のための憲法私案を報告します
https://freeasia2011.org/japan/archives/5868
   (三浦小太郎)
           
 << 今月の拙論 >>
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「香港は殺される」(『正論』10月号、9月1日発売)
「手負いの竜となった習近平」(『内外ニュース』、9月7日号)
「米中激突はあと戻りできない」(『北国新聞』コラム「北風抄」、8月31日」
「次期駐日大使がなぜハドソン研究所から?」(『エルネオス』、10月号) 
「トランプ、中国征圧へ周囲を固める」(『テーミス』、10月号、9月上旬)
「台湾のモーゼ、李登輝氏」(『月刊日本』、9月号、発売中)
「憂国忌の半世紀」(『季刊文科』、夏号。「三島由紀夫特集号」。発売中)。
           


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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)8月26日(水曜日)
       通巻第6630号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ドル決済システムから中国を排除することは
  香港特別法の改正によって、法的には可能だが。。。。
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 香港が中国によって飲み込まれ、1997年の香港返還時に約束された五十年間の「一国両制度」は反古になった。
 米国はキャリー・ラム行政長官以下、香港政府のトップらを制裁するとし、中国はすぐさま対抗して、米国共和党上院議員六名と、五つのNGO団体を制裁した。

 さらに香港警察はジミー・ライ(黎智英)、アグネス・チョウ(周庭)らを逮捕したが、狙いは民主化運動の壊滅、そして頻果日報の倒産だった。香港市民は頻果日報の親会社「壱伝媒」への株式投資、大量の新聞購買、広告出稿などで積極的な支援活動を展開した。

 八月に入って中国の金融筋トップは、米国は最終的にCHIPSとSWIFTからの中国排除を狙っていると警告は発し始めた。
香港制裁法の成立と同時に、米国は「香港特別法」を改正しており、「香港ドルと米ドルとのペッグ制を廃止することが出来る」と条文化しているからだ。もし香港ドルの米ドルペッグ制が撤廃されると、人民元はドルとの交換が出来なくなり、国際取引、貿易決済、海外送金などが不能となる。

 これを業界は「中国制裁の核兵器」に相当すると比喩した。しかし、中国経済への「最終兵器」となるばかりか、同時に米国も大きな痛手を受けるのである。

 具体的には香港安全法施行によって、米国が制裁した香港政庁トップ11名の在米個人資産凍結であり、以前にもウィグル族弾圧の責任者、陳全国の在米資産凍結という制裁を講じたものの、それは陳全国と取引のある外国銀行への罰金などである。

 一方で中国に進出した米国企業は、貿易、サービス、製造、金融セクターなどで年間400億ドルの利益を上げており、もし中国への制裁がCHIPやSWIFTからの排除となれば、米国企業の被害も甚大となる。
 
 過去にも2012年にHSBCは19億2000万ドルの罰金を支払った。メキシコへの資金洗浄に手を貸していたからだ。2019年にスタンダード&チャータード銀行は、イランへの不正送金、資金洗浄などで11億ドルの罰金を課された。
 ほかにもUBS、BNPパリバス銀行、ING,ドバイ国立銀行などが類似の処分を受けた。

 中国は最悪の場合に備えて、人民元経済圏の確立と人民元決済システムの奨励をしてきたものの、現在、人民元決済は壱に195億ドルで全体の2%以下である。

 SWIFTはベルギーに本部がありトップ役員25名(このうちアメリカ人二人、中国人ひとり)、参加銀行は世界に11000行。現在、イランと北朝鮮への送金などに目を光らせている。
 
      
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~徳川幕府を死守せよ(会津初代藩主、保科正之の遺言)を遵守した慶勝の弟ふたり
王権が優先すると尾張藩初代藩主は最初から家康政治とは逆さまの発想をしていた

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坪内隆彦『徳川幕府が怖れた尾張藩』(望楠書房)
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 副題に「知られざる尊王倒幕論の発火点」とある。
それが徳川御三家の筆頭、尾張藩だという。
「えっ。?」
 幕末の黒白を決めた戊辰戦争は鳥羽・伏見から始まり、薩長の田舎侍に惨敗した慶喜は大阪を捨てて、会津藩主、桑名藩主をともない船で脱走した。みっともない、サムライの美意識にもとると痛烈な批判を産んだ。慶喜は王権の前に怯み、偽の錦旗に震えた。
 会津藩士も新撰組も幕府軍も戦場に置いてきぼりを食らった。
 それにしても、徳川御三家の筆頭は尾張藩である。八代将軍吉宗は和歌山藩から十五代は水戸藩からでたが、尾張には将軍職は廻らなかった。だからその恨みから戊辰では最初に裏切って官軍に付いたと考えるのは短絡的であり、物事には心境の変化、情勢の激変、新状況へ対応がともなう。ましてや、思想戦の趣が濃厚だった。
 こうした尾張藩の統幕への傾斜が薩長の勝利をもたらす大きな原因となるのだが、何故か、近・現代史家たちは、この重要ポイントを軽視してきた
 その理由として坪内氏は次の諸点をあげる
 第一に薩長は自分たちが中心の薩摩史観を優先させ、徳川政治を過小評価した。
 第二に幕府と尾張藩の長い軋轢は、水戸藩ほど評判とはならなかった。
 第三に水戸は水戸学を確立していたが、尾張には尾張学がなかった。というのも慶勝が藩主となるまでの五十年にわたって幕府から押しつけ養子を強要された結果、国学が停滞した時期が半世紀のも及んだからではないか、とする。
 しかし、評者、もう一点付け加えるとすれば、武士道に悖り、侍の美意識に反すると誤解を受けたことが尾張藩の過小評価に繋がったのではないか。

 ともかく幕末の尾張藩主は徳川慶勝である。
 藩主の弟君たちは会津若松の松平容保。もうひとりは桑名藩主、松平定敬。いずれも官軍と最期まで勇敢に戦い、大砲という近代兵器に叶わずに降伏した。しかし尾張藩は徳川御三家の筆頭。その尾張藩がなぜ宗家に楯突き、西郷、木戸軍の先頭に立ったのか。長い間、維新史の謎とされたミステリーを解いた。
 著者の坪内隆彦氏は元日本経済新聞記者、マハティールとの単独会見などで知られ、現在は『月刊日本』編集長。かたわら意欲的な執筆を続け、歴史著作には『GHQが恐れた崎門学』など問題作がある。
 尾張藩主初代は徳川義直。じつは、この人物が水戸黄門様に影響を与えた。徳川義直は家康の九男である。
幼い頃から学問が好きで尊皇思想に目覚め、「王命に依って催さるる事」という基本の政治思想確立するのだから、歴史は皮肉なのである。幕府が命じようとも勅命にしたがうことが優先するという遺訓である。
尾張藩主の哲学は水戸光圀に強烈な思想的影響を与え、江戸の幕府とは「尋常ならざる」緊張関係になっていた。ただし尾張藩での国学は本居宣長、賀茂真淵らが読まれたが、なぜか平田熱胤は軽視された。平田学はむしろ薩摩藩で圧倒的な影響力があった。
 第14代尾張藩主・徳川慶勝は初代藩主の家訓を守る。
「王命に依って催さるる事」とは、幕府を自らが倒すことに繋がり、水戸藩の尊王攘夷派に同時並行した、基本政治哲学優先を貫いた。その結果が徳川宗家十五代の慶喜を蟄居に追い込み、電光石火のごとくに幕府を倒壊させる。
倒幕というより御三家それぞれの自壊作用が半分ほど官軍勝利に影響したのではないのか。
実際の倒幕に火をつけたのは水戸であり、あまりの過激さは井伊直弼を売国奴として、桜田門外の変で葬り、精鋭武士をあつめた水戸天狗党は反主流派の変節などで残酷な運命をたどった。
 若き日の吉田松陰は、この水戸へ留学し、会沢正志斉の影響を受けて攘夷思想を固めた。おなじく水戸の藤田東湖は、西郷隆盛に甚大な影響を与えた。
 水戸が維新爆発の発火点であり、尾張は最終のダメ押し、表面の事象をみれば、徳川御三家の内訌という悲劇になる。
しかし内訌は、水戸藩のなかでも、尾張藩のなかでも起きた。もっとも悲劇的な内訌は水戸藩で、「門閥派が水戸藩の実権を握り、天狗党は降伏、(中略)江戸幕府は武田耕雲斎ら二十余名を処刑、さらに諸生派が中心となって天狗党の家族らをことごとく処刑した」
その復讐戦も後日、行われ、つまるところ水戸に人材が払底する。
元治元年(1864)朝廷と幕府は長州征伐をきめるが、政党軍の総督に慶勝が任命されてしまった。
「そこで慶勝は西郷に籠絡されて長州藩を屈服させる機会を逃がした」と痛烈に批判されてきたが、当初から融和策の慶勝が、その構想を西郷とすりあわせ、長州藩の三家老斬で長州を許すことに決めていたのだ。
第二次長州征伐は慶勝が下交渉をしていた越前、薩摩の反対を押し切っておこなったため、幕府征討軍の士気がなく惨敗を重ねた。かえって大政奉還へと到る。すでに公武合体論は蒸発しており、薩長は倒幕路線に急傾斜していた。慶勝は、公武合体路線論者だったし、弟二人のこともあって、いきなり倒幕に傾いたのではなく、葛藤があった。
尾張藩では佐幕派の有力者が残っていたため偽の勅命だと言って、処断した。この「青松葉事件」によって尾張藩は倒幕で統一された。
 尾張は、家臣団四十余名を勤王誘因斑として近隣の諸藩を周り、三河、遠江、駿河、美濃、信濃、上野など東海道沿道の大名、旗本領へ派遣し、この慶勝のオルグによって、薩長などの官軍は、東海道を進軍するに、なにほどの抵抗も反撃にも遭遇せず、山梨で新撰組の多少の抵抗はあったものの、すんなりと江戸へ進んだ。
 尾張藩も、会津同様に悲運に見舞われたとしか言いようがない。
 しかし明治十年の西南戦争では、会津旧藩士が「戊辰のかたき」として官軍の先鋭部隊、斬り込み隊として闘ったが、尾張藩士には、そうした動きもなかった。
 筆圧を、その重圧を感じる一冊である。
            
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@  【知道中国 2122回】       
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港4)

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 香港最初の朝である。白川夜船のTさんを起こさないように注意して、ソ~ッと起きてベットの横の梯子を注意しながら下りた。後に知ったことだが、チョットやソットの物音ではTさんは目を覚まさない。相手を慮っての静かな行動は、いわば徒労だった。

 顔を洗って朝飯を食べにエレベーター階下へ。
 異な臭いが鼻を衝く。アンモニア臭とでも言うべきか。これまた生活を重ねる中で知ったことだが、犬を引き連れた住民がそのままエレベーターのなかで大小便をさせてしまうのだ。いやはや彼らには公衆道徳も衛生観念もないのか。「義憤」に駆られはしたものの、これまた精神上の空回り。文句を言ってもムカつくばかり。
やはり郷に入らば徹底的に郷に従うべし、である。かくて結論は巧言令色鮮し仁ではなく・・・飼犬排便無関心。

 現在は異様としか言いようはないが、当時は偉容とでも形容すべき高層ビル群の一角に、テント張りの屋台が店を構えていた。そこへ飛び込んで、さて、なにを食べるか。ふと見ると、肉体労働者と思しきオッサンが旨そうに粥を啜っていた。それを指さすと、忽ち目の前に湯気の立つ粥が。サジで掬って口に運ぶ。日本の白粥とは違って微妙に出汁が効いていて旨い。後にサジを「艇仔(こぶね)」と呼ぶことを知ったが、たしかにサジは小舟を連想させるだけに見事な命名と感心した次第だ。

 しばらく食べていると、粥のなかから赤黒いブヨブヨした気味悪そうなものが。豆腐にしては不思議な色である。だがオッサンが口にしているんだから、まさか毒ではなかろう。口に入れ噛んでみた。日本では経験したことのない食感と味で、たしかに旨い。これが後に大いにお世話になる「猪紅」──豚の新鮮な血を豆腐状に固めた食材──との最初の出会いだった。
なんでも猪紅は胃の消化を助けるとか・・・マサか、である。

 口にするモノは薬と同じ。食事即健康・医療というリクツから「医食同仁」とは言われるが、香港での経験から素朴に思ったことは「食」の方が「医」より先立つのではないか。食材に対する飽くなき好奇心と冒険心──いわば貪欲極まりない「食い気」──に突き動かされる様を繕うため、後から滋養強壮がどうのこうのと無理やり屁理屈を捏ねまわして「医」をくっ付けるのではないか。
犬、猫、ゲンゴロウ、サソリ、セミ、センザンコウ、コウモリ、ヘビ、猿の脳みそ、イグアナなどの野味(ゲテモノ)は、その最たるものだ。

 さて部屋に戻り、Tさんに連れられ新亜書院へ。この校舎の3階が研究所の事務室だと教えてくれたまま、Tさんは自分の授業に行ってしまった。そこで一人で3階の事務室へ。事務室の前の廊下に置いた机で執務している事務員に、こちらの来意を告げる。後に戯迷(京劇狂い)仲間になる洪さんだ。直ちに小太りな事務局長に取り継いでくれた。事務室の奥が研究所長室で、たまたま所長の唐君毅先生が在室だったことから、入学の挨拶を。

これが、かの高名な哲学者の唐君毅かと驚いたり、感激したり。だが先生の言うことが全く理解できない。日本でしっかりと学び中国語には些か自信があったはずが、何故だ! 後に先生から冗談交じりに、「中国人の学者で訛りのない中国語を話すヤツの学識はロクなものではない」と聞かされたが、北方出身者に真の学者はいない。北方出身学者はダメだということらしい。
そういえば先生の出身は四川省だった。

 当時の新亜研究所の教授陣について簡単に紹介しておくと、哲学は唐先生に加え牟宗三と徐復観、中国経済史の全漢昇、中国近代政治・思想史の王徳昭、『紅楼夢』を専門に研究する「紅学」の潘重規、中国古代地理学の厳耕望、東南アジア史の陳荊和など。20世紀中国を代表する学者たちが、共産党にも国民党にも与しない独自の研究路線を貫いていた。

 入学手続きも完了したが、そこで大問題に気づかされる。じつは手持ちの資金では、どう計算しても当初の目論見のような長期滞在はムリらしい・・・さて、どうすべきか。
      
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OINIONS 読者之声
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(読者の声1)8月24日(月曜日)通巻第6628号 にて私は「価値内包通貨・価値帯同(不帯同)通貨」等今までの経済学教科書では見慣れない表現を持ちだし、1971年以降の通貨はそれ以前の通貨とすっかり変わったのだと唐突に申しましたので、私が怪しげな論を唱えだしたとお思いになったことでしょう。
しかしこれは今の経済学者なら決して否定なさらない「内生的貨幣供給論」と同じ理論であるのです。そこで「富国と強兵」(中野剛志著 東洋経済)からまずは引用させていただき、内生的貨幣供給理論の具体的姿を見ようと思います。

(引用開始)イングランド銀行は、貨幣供給についての通俗的な誤解を二つ指摘している。一つは、「銀行は民間主体が貯蓄するために設けた銀行預金を原資として、貸出しを行っている」という見方である。しかし、この見方は、銀行が行っている融資活動の実態に合っていない。現実の銀行による貸出しは、預金を元手に行っているのではない。たとえば、銀行が、借り手のA社の預金口座に1000万円を振り込むのは、手元にある1000万円の現金をA社に渡すのではなく、単に、A社の預金口座に1000万円と記帳するだけである。つまり、この銀行は、何もないところから、新たに1000万円という預金通貨をつくりだしているのである。銀行は、預金という貨幣を元手に貸出しを行うのではない。その逆に、貸出しによって預金という貨幣が創出されるのである。貨幣が先で信用取引が後なのではなく、信用取引が先で貨幣が後なのである。銀行による貸出しは、本源的預金による制約を受けずに、借り手の需要に応じて行うことが可能である。銀行は、企業家に対して、理論的にはいくらでも資金を貸出すことができるので、企業家は大規模な事業活動を展開し、技術や事業の革新を実現することができる。シュンペーターにとって、この信用制度こそが、資本主義の経済発展の中核に位置するものであった。
 現代経済においては、(民間)銀行は、元手となる資金の量的な制約を受けることなく、潜在的には無限に貸出しを行うことができる。銀行は、借り手に返済能力があると判断する限り、いくらでも貸出しに応じることができるのである。それゆえ企業は、銀行から大規模かつ長期の資金を調達することができ、巨額の設備投資を要するような大事業を行うことが可能となる。現代のような複雑かつ大規模な資本主義経済が可能となったのは、その中心に、銀行による信用創造があるからなのである。逆に言えば、もし預金を元手に融資を行うという通俗的な銀行観が正しかったとしたならば、事業はきわめて厳しい資金制約を受けることとなり、今日のような成長する資本主義経済というものは、到底成り立ち得なかったであろう。(引用終わり)

既にお気づきかと思います。私が通巻6628号で述べたことは上記の「現代経済においては、(民間)銀行は、元手となる資金の量的な制約を受けることなく、潜在的には無限に貸出しを行うことができる」を「1971年以来、米国は、元手となる資金の量的な制約を受けることなく、潜在的には無限に貸し出しを行う事ができる」と書き換えただけなのだということです。つまり民間銀行がこの世に誕生以来、当たり前のように行ってきた業態(ビジネスモデル)と同じ手法を、米国が国家単位で開始したというのが、あの1971年の金兌換廃止の「意味」なのです。

この民間銀行が融資を行う際にいかなる価値の裏付けもなしに通貨発行つまり貸し出しされてきた通貨を、私は「価値不帯同通貨」と表し、(仮にですが、)銀行が「民間主体が貯蓄するために設けた銀行預金を原資として、貸出しを行っている」場合の貸し出し通貨を「価値帯同通貨」と私は呼称したいのです。そしてこれと同様に金兌換が廃止された国家の通貨についても「価値帯同と不帯同の通貨がある」とみなさないわけには論理がたちゆかないと私は考えるのです。

ここまでが現代の経済社会の実態であり、現代経済学なのです。しかしことはこれで終わらないのです。
さらに、私は今ま実施されている民間銀行や国家による、後処理、つまり会計処理・会計学には大きな問題があるということが、経済学を混乱させている元凶の一つであると言いたいのです。
(SSA生)、

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(読者の声2)元米陸軍中佐「米軍は台湾侵攻の中国軍に敗北する」 8/25(火)JBpress
https://news.yahoo.co.jp/articles/cddc8be0ac2eaf90c4e64158749cdce1514264c4
 この論評の大意は、日露戦争のように、アメリカが勝っても損害が大きいと言っている。
 好戦的なソ連(ロシア)はナポレオン戦争以来、米ソ冷戦の時にも、ガチに、正面軍事力増強を図った。
 だが、中華帝国は現在まで、武官より文官優先の国であり、外国とは国運を賭けて戦った経験がない。いかに軍事力を増大しようと、国内的に大きな矛盾を抱え、ガチに戦争になったら勝ち目がないだろう。
 勝てないから絶対、先に銃は抜かない。人口島の上空にアメリカの無人偵察機や爆撃機が現れたら、政治将校が緊急警報を発する。
 ただし銃座やミサイル発射台から遠のくよう、命令しているかも知れない。中国は自国の弱点を熟知しているから、ITで勝負し、アメリカに暴動を起こさせる搦め手で攻撃しているのが現状である。
 但し、アメリカは南沙諸島を戦域とはするが、中国本土には侵攻しないし、できる能力も無い。蛇が巣の幼鳥を狙うのは、卵の時ではない。じっと我慢し、飛び立とうとする間際に襲う。それと同じく、南沙諸島を落下傘部隊で占領し、国連の名の下で、アメリカが人口島を統治するだろう。トランプは、アメリカ人の血を流すのは、当然、その利益があるからである。
 だから軍部も、トランプの対中国外交を支持する。大陸国の中国に制海権など握れるわけがない。オバマ政権は見て見ぬ振りをしていたのだろ。だが、トランプは、大統領選挙までは、オバマ時代の深謀遠慮を秘匿するであろう。
   (斎藤周吾)


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)8月25日(火曜日)
       通巻第6629号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「誰だ。オレ様を批判するのは?」。暗愚の帝王、取り締まり強化
   習近平批判が中国国内で静かに浸透している
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 「李鵬の頭は亀ていどのIQ」と批判してもジミー・ライは拘束されなかった。一転して、香港の民主化運動を組織し、先頭に立つと、逮捕された。1997年の香港返還日、李鵬首相は、式典で江沢民と並んでいた。特別機を二機飛ばして、李鵬は自分が皇帝であることを見せつけようとし、世界から失笑を買った。

 その李鵬の娘が香港に現れ、リムジンでブランド店に乗り付け大量のブランド品の買い物をしていた。「中国一のセレブ」と言われた。習近平時代になって彼女は山奥の発電所に追いやられた。 

 2020年3月、習批判で「中国のトランプ」、「任大砲」と呼ばれた任志強が消えた。
 当局に拘束されていた。「習近平は消え失せろ、わたしは闘う」と喋ったことが漏れたからで、発言封じである。任は紅二代で「華遠地産」の会長を務め、放言のし放題だったがバックに王岐山がいたからだ。奔放な発現も黙認されてきた。最近の王岐山の政治力後退にともなって、任志強はとうとう拘束され、党籍剥奪となった。

 7月、清華大学教授の許章潤が、別荘で拘束された。「個人崇拝に急ブレーキが必要だ」(習近平が改憲し、党規約を代えて)として、終身皇帝制をしいたことを批判した。別荘にはパトカーが十台取り囲むという騒ぎだった。許章潤教授は日本でも有名らしく、日本の大学教授70名が、処分撤回を求めて記者会見を開いた。

 8月13日、共産党中央党学校の教授を四十年も務め、民主政治を講じてきた蔡霞女史が拘束された。蔡教授は習近平を「マフィアのボス」と呼び、共産党を「ゾンビ」と批判していた。
 「誰だ。オレ様を批判するのは?」と暗愚の帝王は吼え、取り締まり強化を命じたが、次から次へと習近平批判が中国国内で静かに浸透している
      
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~空前の偽造文書「田中上奏文」は『シオンの議定書』のパターンを踏襲
  しかし『武功夜話』を完全に偽造文書と断定して良いのか?

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原田実『偽書が揺るがせた日本史』(山河出版社)
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 「田中上奏文」がまっかな偽物であることは猿でも知っている。
 これはユダヤが世界支配を企むとかの『シオンの議定書』のパターンを踏襲した陰謀論の延長であり、論理的整合性が薄弱であって、底意が最初から見え透いたものだった。
だが忽ち英訳され、欧米の日本敵視政策の波に乗って、大いに政治利用された。つまり偽書としての効果満点だったのである。
プロパガンダにかけては中国共産党は天才的なのである。
後に「(田中上奏分は)私が書いた」と中国の外交官だった王家禎が、その回想録で「自分が中心人物だった」と名乗り出た(本書183ページ)。
偽書には嘘の手紙、嘘の証明書などから発展し、司馬遷『史記』の時代から偽書は存在した。
 偽書とは、まず「正史」に準拠しない別説のことを言った。正史とは中国の王朝が崩壊後に次の時代の歴史家が書いたものだから、フィクションやら事実の隠蔽や大胆な改竄が混ざる。それが「正史」なのだ。この場合、「正しい」『真実』という意味ではなく、かくかく権威筋が語り、認めたということである。
 偽書はときとして政治宣伝、陽動作戦、敵の攪乱のために作られる。
 日本でも中世から戦国にかけて有力な武将らには右筆がいたが、相手の花押を偽造する天才的な右筆もいた。典型は信長が右筆に書かせた今川の有力家老ふたりの偽造文書で、織田に内応するという破天荒な偽造の手紙を、しかも意図的に信長側の忍者が、今川の領地から抜け出すかのように演出し、故意に発見され、今川義元を信じ込ませた。義元はろくに調べもせず、二人の有力家老を斬った。つまり、これで今川方は、いきなり二個師団を失ったに等しい。
 ということは政治と別の解釈、ときに真実を述べた書物がでても、正史と異なれば偽書と定義づけがなされた。
 日本の歴史学、とりわけ古代史学界がまともに取り上げない『上記(うえつふみ)』『竹内文書』『富士宮下文書』も本書では完全に偽書扱いされる。
 神代文字もなかったというからには平田熱胤学の否定である。客観を装いながらも、新しい左翼歴史学的な解釈が本書では目立つ。
 近代の考古学でも偽造書は『東日流外三郡誌』で、この売名を狙った偽造文書は日本の考古学界を攪乱状態に陥れた。
 原田氏は、『武功夜話』も偽書だという。
 伊勢湾台風で前野家の所蔵庫が水に浸かって見つかったという『武功夜話』は、とりわけ信長の謎の部分に光りがあたり、愛妾・吉乃(きつの)が信長の子をなしたことなど、濃姫以外の女性の存在も語られた。しかし吉乃の実在は証明されておらず、また信長の子供らは吉乃の子ではない。
 とはいうものの武功夜話の功績は、これまでの歴史文献には現れていない記述が多く、従来の謎が、新しい視点から照射され、解釈の幅も拡がった。そうした文脈からみると、有益な書物である。
 もとより前野家文書は非公開ながら存在しており、その異本という扱いで、1987年には人物往来舎から出版されるに及んだのである。当然ならが、評者も一冊を買い求めた。最初の感想は、やけに切支丹伴天連への理解が同情的なことだった。前野家当主は秀次に仕えたため、切腹して果てた。その怨念がこめられているともいう。
首を傾げたのは「墨俣一夜城」だった。秀吉が一晩で城を造ったという法螺話は、後世の戯作者が創作したものであり、武功夜話が描くには時代考証からも可笑しい。
とはいうものの『武功夜話』を元に遠藤周作は『反逆』『決戦の時』『男の一生』の三部作を書いた。剣豪作家の津本陽は『下天は夢か』を書いた。作家のインスピレーションを?きたてたのだ。
『武功夜話』否定論は中世から近世研究者のあいだにも目立ち、反駁の論拠は、当時の川の流れが現在と同じなうえ、地名が当時の呼び方ではなく、明治以降の町村合併以後の地名が用いられている等とした。
だが、「偽書とは言えず、有益」としたのが小和田哲夫氏らで、偽書ときめつけるのは短絡的過ぎるのではないか。
ほかにも偽書に関する考察がてんこもりの一冊。
     
 ■アンディチャンのアメリカ通信   ■アンディチャンのアメリカ通信
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バイデンとDeep Stateの関係
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 民主党の党大会で正式に大統領候補の指名を受けたジョー・バイデンは受諾演説で「私は光の味方である、暗闇ではない(I will be an ally of the light, not the darkness)」と述べた。
これで彼の選挙のスローガンは「光の味方」であることになった。トランプの政治は国を暗くしたが私が当選すればこの国を明るくすると言ったのである。
 光の味方という表現はかなり曖昧である。要するに今年の選挙の目標は「反トランプ」であり、彼とトランプの違いを「光と闇」に例えたのだろう。
しかし後で述べるように私には別の意味があると思う。
この他にバイデンはいくつかの選挙公約を述べたが、公約は選挙のつきもの、約束に過ぎない。
 バイデンは公約の第一にウイルス対策を挙げた。トランプはウイルス対策で何もできなかったが、当選すれば、第一にウイルス制御を実施すると言った。ウイルス対策の方法として全国民にマスク着用を強制すると述べた。
世界各国がウイルスの疫病対策に奔走しているがバイデンがトランプより有効な方法があるわけではない。続いてバイデンは地球温暖化と人種差別の改善を挙げたが、二つとも特に国民の共感を得るものでもなかった。
 バイデンは演説で中国の名前を一度だけ挙げた。バイデン父子の中国との癒着が既に司法部が調査に入っている。
彼が中国問題に触れなかった事は演説直後に何人かが指摘した。その次に指摘されたのはバイデンが民主党系の州と都市で起きているアンチファシストの暴動や、犯罪の増加に言及しなかった事である。
全国の民主党系都市、シアトル、ポートランドヤシカゴ、ニューヨークなどで起きている放火事件、銃砲による暴行殺人について言及しなかった。これがどうして「光の味方」と言えるのか。

さてそこで「光の味方(Ally of Light)」である。このスローガンには別の意味があるのではないか?
 バイデンは人間である。人間が「光」の味方と言ったらすぐに連想されるのはIlluinati(イルミナティ、光明会)つまり秘密結社である。彼はある秘密結社の味方だと「示唆」したのだ。
 光明会は1776年にドイツでできた秘密結社だが今は既に存在しない。しかし光が秘密結社の意味を籠めたならDeep State以外にない。私は光(LightとはつまりIlluminati、つまり秘密結社、つまりDeep State)の味方(Ally)であると述べた。つまりバイデンはDeep Stateに「味方の私を助けてくれ」という意味をこのスローガンに籠めたと思われる。
 光(イルミナティ)は既に存在しない結社だがDeep Stateも存在しないShadow Gevernmentである。
 アメリカでDeep Stateとはトランプや評論家が反トランプの実態を調査している時に呼んだもので、秘密結社ではないがFBI/DOJのコーメイ、マッケイブ、ストロークなどの「実在した反トランプグループ」である。
Deep State は私が「闇の帝国」または別人が「深層政府」と日本語に訳した、或いはもっと広い意味で馬渕睦夫元大使の説明したユダヤ系国際金融資本グループでもある。
 Deep Stateをウィキペディアやグーグルで検索しても何も出てこない。だがこれは実際にトランプのロシアゲート、さらに最近暴露されたオバマゲートの秘密組織である。Deep Stateがトランプ大統領にどれだけ敵対してきたかというと、マラー検察官のロシアゲート調査に続いて民主党優勢の国会がトランプ罷免をでっち上げ、メディアが挙って反トランプを行っているのである。
中国の言論統制が酷いと言っても、Deep Stateの反トランプも中国と同じように酷い。これが民主主義国家アメリカの実態である。
 詳しいことはケント・ギルバート氏がWill「正論」増刊号#253「トランプを支持すると殺される」で述べている。
 非常に興味深いことはジョー・バイデンのスローガンで彼は「光の仲間(Ally)」であると述べたことだ。
つまり彼はDeep Stateのメンバー(Menber)でなく仲間(Ally)でしかないと述べてDeep Stateの援助を求めている。バイデンはDeep Stateの一味ではない。ロシアゲートとトランプ罷免ではバイデンの関与はなかった。

だがバイデンは2017年1月5日にオバマがホワイトハウスに召集した仲間に入っている。
つまり彼はオバマゲートの仲間である。ジョー・バイデンは8年もオバマの副大統領だったのにオバマはバイデンをDeep Stateのメンバーに入れなかった。つまりオバマはバイデンを評価していない。バイデンもこれを知っている。
だからバイデンが選挙のスローガンに「光の仲間」を籠めた意味が理解できる。
 以上が私がバイデンの選挙演説の感想である。勝手な幻想として笑っても構わない。このスローガンに籠めた意味は民主党の元老たちとDeep Stateがこれから投票までどう行動するかで実感できる。読者の皆さんが自分で判断すればよい。
                   (アンディチャン氏は在米評論家)

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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OINIONS 読者之声
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(読者の声1)現在、20%の家庭が、NHK料金非払いのようです。
非払いの理由は様々で、
1.強制的に集金されるのはおかしい
2.見たくもない番組の為に金を払いたくない
3.特定番組だけ、要請により課金して見せるならいい
4.民間が放映している、おちゃらけ番組、娯楽番組、通常の映画やドラマをNHKが放映する必要はない
5.NHK海外放送では、美人のキャスターに敢えて日本の悪口というか評判を誤解させる放映を垂れ流している
6.ニュースの優先順位が恣意的。少なくとも、最初に、皇室の動向、次に日本政府の動向、その後初めて、それに反応する諸外国の反応を取り入れるべきなのに何故、冒頭から日本批判をする諸外国の主張を放映するのか、
7.教育番組や歴史関連番組に、偏向が著しい。
 幾らでもある。
 一番の問題は、記者の中に外国人がいること、それがまともな人材ならまだしも、反日を公言する連中もいる。半分NHKは乗っ取られつつある。それならいっそ、テレビ東京の人材で、NHKの人材を放棄する方法がないか、と妄想が進みます。    (MI生)

(宮崎正弘のコメント)NHK民営化の議論も、いつの間にか沙汰止みとなっているのが不思議です。      

( 反日中国公共放送の泥棒NHK🔨 なんて要らない。NHK ブッ壊れろ‼️ 🐧 )


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)8月24日(月曜日)
       通巻第6628号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~中国の社債残高は4・1兆ドル。年内の償還は5290億ドル
  泰禾集団(最大の不動産デベロッパー)、八月に2・2億ドルのデフォルト
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 危機が目の前に来た。
 中国の社債市場はすでに4・1兆ドル(邦貨換算430兆円。以下括弧内は同じ)規模だが、年内に償還期限がくる社債は5290億ドル(55兆5000万円)になる。
債務不履行(デフォルト)が目立つようになったのは2019年からで、コロナ災禍で加速された。不動産は表向きの堅調報道とはことなり、買い手が「蒸発」している。
まったく売れず、ダンピングが続いている。

 中国有数の不動産開発企業として知られる「泰禾集団」(TAHOE集団)は、福建省が拠点で厦門開発から出発し、上海、北京など中国全土で不動産開発ばかりか、娯楽、金融サービス、はては米国ナスダック上場企業を買収と、まるで孫正義のように買収につぐ買収で企業を膨張させてきた。
 すべてが借金で賄われるから、負債は天文学的に増える。

2018年あたりから息切れが目立つようになっていた。
直近でも、償還期限のきた22億ドル(2300億円強)の返済が出来ず、ついにデフォルトとなった。この社債は金利が7・5%だった。

向こう一年間に償還するべき同集団の社債の残高は、8億4000万ドル(882億円)である。格付け機関のフィッチとムーディズは「投資不的確」に格下げをしている。

さすがに強気だった中国の不動産関連、ならびに金融業はデフォルトが連続するような事態の到来に、すっかり投資マインドも萎縮、先行きに怯えている。
     
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2121回】 英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港3)

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 じつはTさん主催の歓迎宴に向かう途中に、やがて香港生活における一方の柱となった香港第一日文専科学校(略称「第一日文」)に立ち寄った。それというのも、同校共同経営者の1人で教務責任者であったD先生に香港到着の挨拶をするためである。

 同校はD先生にY先生、それにT先生の3人で創立し、当時の香港では最も古い日本語学校だった。DとYの両先生は中国生まれの日本人、T先生は日本の陸軍士官学校に
学んだ中国の元軍人 先生方については、いずれ詳細を綴りたいと思うので、いまは先を急ぎたい。とはいえ後に知ることになるが、複雑微妙に絡み縺れ合う日中関係史、国民党と共産党の熾烈な戦いぶり、加えて共産党に連なる不可思議な人脈を物語っている先生方の人生から、じつに多くを学ばせてもらった。やはり歴史の証人とも言える先生方に日常的に接する機会を得たことは、我が留学の予期せぬ成果だと改めて感謝したい。

尖沙咀の中心を貫く弥敦道(ネーザン・ロード)を、外国人観光客向けのホテルや土産物店が並ぶ繁華街に向かって左側の歩道を歩く。石積みの側壁の手前の商店街を左折する。山林道と名づけられた脇道を50mほど先に進んだ左手に、第一日文はあった。

昼は16世紀末から17世紀初めにかけて明朝宮廷で活躍したイタリア人イエズス会士のマテオ・リッチ(中国名は利瑪竇)に因んだ校名の利瑪竇書院(女子校)で、夜になると第一日文に変身する。とはいえ利瑪竇書院と第一日文に教学でも経営のうえでも結びつきがあるわけではなく、単に大家と店子の関係に過ぎない。つまり第一日文は夜の空き校舎を借りて日本語教育を行っていたのだ。

 利瑪竇書院は生徒のいない夜間でも家賃が稼げる。第一日文は自前の校舎を持たなくても身軽な経営が可能となる。面子を捨て、1つの校舎を昼と夜の双方にフル活用すれば固定費削減につながる。両者にとっては共に費用対効果は抜群だ。これぞ「双贏(ウィンウィン)関係」だろう。

さて、たった2人ながら大いに盛り上がった歓迎宴を終え、アルコールを仲立ちにして一瞬にして「旧知の間柄」になった2人の若者は千鳥足でご帰還である。

近道ということで小さなバーが軒を寄せる裏通りを歩いた。店の入口にはケバケバしい化粧のお姉さん方が屯し、行き来する米兵にヤリ手婆と思しき風体が纏わりつく。田村泰次郎の『肉体の門』を思わせるような光景が目に入ったが、当時、ヴェトナムでは戦争続行中であり、香港の沖には休暇兵を満載したアメリカの艦船が定期的にやって来ていた。

 さて下宿先ではご主人(ということは大家さん)のSさんが、新婚間もない奥さんと2人で出迎えてくれた。当時、Sさんは30代半ばだったろうか。生まれは広州で、大学では数学専攻だった。高級中学時代に共産党の政治に疑問を持ったとかで、1957年に展開された反右派闘争に引っ掛かり、共産党政権下では生きられないと腹を固め、1958年に毛沢東が猛進させた大躍進によって引き起こされた飢餓地獄から逃れ、命からがら香港に辿り着いたという。

 やがてSさんを頼って香港に脱出した元紅衛兵の若者と知り合うことになるのだが、それまた中国の伝統的な通俗小説形式に倣うなら「要知端祥 且停下回分解(続きは次回のお楽しみ)」ということで。

ここで下宿の「レイアウト」を紹介すると、頑丈な鉄製の、次に木製のドアを開けると、8畳ほどの広さの居間があり、右手が3畳ほどの台所、その隣が風呂とトイレ。居間の向こうにドアが2つ並んでいる。
左側がSさん夫婦の寝室で、右側が我らの部屋だ。4畳ほどの広さに机が1つと鉄製の2段ベット。もちろん机もベットの下の段も先住者であるTさんが使っているから、残された上の段が「我が根城」である。
たった、これだけ。
 かくて留学1日目の眠りに就く。ともかくもTさんの鼾が凄くて、タマラナイ。
《QED》
      
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌6626号、楽山の大仏のくだりで「楽山崖仏は……崖を削っての難事業で、創始者は途中でなくなったが、付近の人々が崖を掘り続けた。なぜそれほどの情熱をこめたかと言えば、洪水をなくす祈りの場所でもあったからだ。」とあります。
「祈りの場所」ということばから思い出しましたが、この大仏周辺には漢代から六朝の時代までのお墓がたくさんあります。宮崎さんのお好きな考古学の世界です。
大仏に向かって右側の崖には六朝のものと思われるレリーフが見られます。開いた穴がたくさん見えます。崖墓といいます。崖を穿って作られたお墓です。穴を入っていくと、広場のような場所に出ます。何でも昔は、ずっと昔ですね。お墓まいりに来たひとびとがここで宴会?を開いたとか。
秦の始皇帝が侠客荊軻に襲われるレリーフもありました。前世紀の初めに鳥居龍蔵が踏査し、大仏を写真に収めています。
30数年前にここを訪れましたが、当時はまだ外国人には旅行許可証が必要でした。旅の途中、ミン江を横切る渡し船のなかで楽しそうに自分のノートを見ている若い人が目に留まりました。何がそんなに楽しいのかと、盗み見しました。すると、ノートには古墳の遺構のようなモノがかかれていました。
船をおりて、目的地のお役所にゆくと、その若者がいました。何とこの役所のお役人でした。あの時代のことです。楽山は成都からはほんとうに遠い片田舎でした。成都もまた遠いとおい地方都市でした。中国沿海の町から見れば。でも自分の好きなことをやっている。そういうことなんです。あの眼の輝きは。四川大学考古系の卒業生でした。もちろんこの若い人です。祈りの場所、大仏、古墳、片田舎で活き活きと考古学活動に勤しむ若者。楽山大仏の周辺は風水のいい場所なんですね。きっと。        (浪子)

(宮崎正弘のコメント)そうでしたね。あの頃の中国は。地方都市へ行くというのはたいへんでした。北京はネオンもなく、自転車の洪水でしたから。
 上海だって渋滞はなく、どこへ行くにも時間がかからず、しかも外国人旅行者優先でしたね。上海に地下鉄がなかった!

  ♪
(読者の声2)本論要旨を申し述べます。それは中国経済の今後のシナリオを1971年の米ドルの金兌換廃止という環境の激変に即して考察するものです。中国
通貨が示すものは、人民に「価値を追求させるのではなく、富やマネーを追求することを許します。ただしその引き換えに中国共産党の支配を認めなさい。あなたがどの程度服しているかは、ITによるスコア制度で監視する」というものです。端的に言えば、人民をして、価値ではなく富だけを求めさせるべく、永久に働かせるようなシステムを構築しているのであり、中国の「経世在民」には、人類が普遍的に希求する「価値」は含まれていないのです。

A.人民元が通貨の(交換・移動・保管)機能を果たせる限り、通貨増発により(人民の真に必要とする価値ではなく)ただ富を求めるための勤労意欲の惹起をジョージ・オーウエル的な監視社会体制をフルに活用し達成するというもの。

B.軍備のさらなる極大化と、「ジョン・ロー的」巨大インフラプロジェクト計画を次々と実行し、人民の勤労意欲を刺激し続ける。

C.人民元そのものが実は価値を内包してはいないと云う事が人民に認知され、交換・移動・保管機能に対する信用が減耗しだす(つまり通貨増発に伴う人民のそれまで獲得した価値が実質は奪われている)ことを人民が気付き、それに反発しだした段階では徳政令・新通貨の発行のなどが実施される。

D.最後の手立てで、一番手ごわい戦略は(特定者しか兌換の対象になり得ないなど)監視社会だからこそ可能な選別制をベースにした「金兌換への復帰」であろう。これが実現できればこれから先も人民に労働へのインセンティブを与え続けることができ中国は富国強兵への道を驀進し、世界の覇権を握ることができるだろう。何よりも人民元に金との交換性を付与することは、現在の米ドル基軸通貨体制への痛撃となり世界経済は、米ドル機軸通貨体制から人民元基軸通貨体制への移行による中国の覇権奪取に結び付く可能性を包含する。
そこで、上記への思考回路を2回に分けて述べてまいります。
1.武漢ウイルスショック後は誰のどの経済学説を頼ってゆけばよいのでしょう?「歴史の真贋」(西尾幹二著)を再読し、私はニーチェの考えに浸っていたのですが、なぜか通貨を経済学という限られた範囲で語ろうとするかぎり通貨がわかるようにはならないと感ずるようになりました。そもそも経済行為の目的は富や豊かさではなく、価値そのものの追求であるにも係わらず、経済学では価値を通貨と同一とみなしてしまい、すべてを通貨で語ろうとしていることが、逆に経済をわからなくしている原因ではないかと考えました。

最近出された「大分断」エマニュエル・トッド著 PHP新書にそのことが指摘され、通貨ユーロがうまくいかない理由として、通貨とは各国の文化と結びつく
ものであり、それを無視してユーロという単一通貨を作ること自体がドット氏には考えられないことであり、うまくいくわけがないというのが彼の論旨です。「砂漠の地域と洪水の地域では価値の異なるはずの水の価格は、在る特定の時点では、どこでも一定」として経済学は成り立っています。私は世界各国の通貨も、それぞれ異なる民族の価値観を把握するための手段として位置付けることが、必要だと言いたいのです。

経済が真に人間に求められるのは富やマネーではなく「価値」そのものであるはずです。それゆえ私は民族ごとに異なる価値観と通貨の関係にフォーカスしてみては
どうかと思います。
なぜ今それが必用なのか?
それは通貨は商品貨幣説や信用貨幣説の如く曲がりなりにも通貨は価値を内包しているとみなして経済学は組み立てられてきたと言えるのに対し、1971年以降は
兌換廃止で「公的に、且つ国際的に」それ自体が価値を持つものではなくなり、通貨は価値から分離し、手段となったからです。ところがこの大変化を単なる政策・制度上の変更とみなしてきたことが、昨今の経済学の混乱を惹起していると私は考えます。そしてこの通貨が価値から離脱したことが、中国経済の動向に大きく関係しているばかりか、中国にさらなる武器を与える事になるかも知れないのです。


先の投稿に於いて、私は「1971年以降は兌換廃止で「公的に、且つ国際的に」それ自体が価値を持つものではなくなり、通貨は価値から分離し、手段となった
からです。」と申しました。
これは「1971年8月15日に、もはやドルは価値を失い、ドルは手段となりました」とアメリカ合衆国が世界に宣言したと云う事です。人類が貨幣を生み出して
きてから「一心同体」であった通貨における信用と価値が分離したのです。つまり貨幣における「信用」の有無と、「価値」の有無はもはや異なります。前者は通貨が通貨の(交換・移動・保管)機能を果たせるか否かで決まり、後者は通貨が経済社会で既に価値を帯同しているか、価値の裏付けがあるかで決まる。従い後者は「価値帯同通貨」と「価値不帯同通貨」の2種類の概念を必要とするようになったのです。

ところがMMT論者が好んで言うように、米国は「税金を通貨で払う」ことを変更してはおりません。と云う事は「米国は価値のない通貨で国政を賄うことが出来
ます」と宣言したか、「ドル発券に際して価値保証はしませんが、税金は『価値帯同ドル』で納税しなさい=価値の帯同されていないドルに、価値を帯同させて納税してください=価値を”乗せる”ことができる入れ物(通貨)を提供するので、それに入れて価値を持ってきてください」と言っているはずです。さすれば、「通貨は価値を帯同することができる機能と、価値を創造するための触媒機能(呼び水機能)からなる」とみなさねばならなくなりましょう。

2.トッド氏に習えば、経済のメカニズムを理解する為には「通貨を経済学だけで語るのではなく、価値と通貨の関係を見なければならない」のです。私が先に
「歴史の真贋」を再読し、通貨を経済学ばかりで語ろうとするかぎり通貨がわかるようにはらないのではないかと思うようになりました」と申しましたのは、そこに
「神は死んだ」と似たような動き「価値内包型の通貨は死んだ」を感じたからかもしれません。私が言わんとしてきたことは、「1971年を以って通貨から価値が
分離されたのだ。このことを踏まえて経済を問い直さなくてはならない」と云う事です。これを現実の世界に当てはめれば、「通貨が持つ『価値創造機能』が価値量の増大を促す重大な任務を担うようになった。この通貨の価値創造への触媒的機能がイノベーションに繋がり、経済成長をもたらすのだ」と云う事だと思います。MMTは旧来の経済学を乗り越えた理論だと評価はできますものの、通貨そのものが今でも価値を内包しているとみなしている所が、決定的な誤りではないかと私は考えるのです。

中国の経済成長についての分析は「人民元が米ドルペッグになっているから。つまりドルの信用が裏付けになっている装いをした制度が功を奏した」という解説が
多いようです。しかしこれは人民元もドルも、価値を内包しているという旧来の「教義」を基にした説明です。マイケル・ピルズベリーの「CHAINA 2049」を読み返してみると、中国が如何にしてアンフェアーな手段を弄して急激な経済成長を達成してきたかが、詳細に述べられているものの、その文中には「1971年のドル兌換廃止」が如何に重大な影響を与えたのかは述べられていません。

かって私は中国の経済体制を「中国は人民元を国際基軸通貨たるドルの“疑似ドル化”させ、あたかもドルが中国の国内通貨であるように装う事で、ドルの有する
価値を最大限利用してきた。この『疑似ドル=人民元』は潤沢に中国国内に行き渡り、『富』を生み出した。つまり中国共産党の裁量で実施できる人民元の増刷は、
ドルの増刷を米国の許可なしで中国が実施しているようなものなのである。中国の経済は、通常の経済発展とは異なり、内的資本・内的技術・内的イノベーションで
発展してきたのではない。
ドルという国際的価値を最大限装った“疑似ドル=人民元”によってもたらされたのである。極言すれば米ドルであればこそ生み出せる価値を中国国内に於いて生み
育てさせることで“富国強兵”に邁進することが可能となったのである。然るに、中国の脅威を削ぐためには、『体制を打倒する最善の道は通貨を台無しにするこ
とだ』と断じた革命家レーニンが教えた通りのことをすればよいのである」と総括していました。しかし今はこの思考回路は不十分であり、この思考の低層には
「人民元の『保証人』である米ドルさえも1971年以降は価値を内包していないという重要な要素」が抜けていることに気付きました。それは大量に増刷されているドルも人民元も、価値不帯同通貨なのだという事実です。価値不帯同なれば当たり前ですが、債権債務の問題はおきようがありませんので、財政赤字の話はお門違いであり、「結果論」ではありますが、その部分ではMMTは正しいことになります。

レーニンの頃はまだ通貨は価値内包型通貨でしたので、「体制を打倒する最善の道は通貨を大なしにする」こと、(例えばドルと人民元の交換を禁ずるなど)で
目的に近付くことができたかもしれません。しかしこれがこれからも通用するのでしょうか?私には疑問が広がります。米中対立の激化に伴い巨額の不良資産・不良
債権が貯まりつつあり、国家的破綻も遠くはないといわれますが、それは通貨が価値を有している経済体制下でのストーリーであって、通貨から価値が遊離してし
まった環境下では通用しない理論ではないかと感じているのです。問題は、通貨が価値を創造する触媒の機能を保持できるか?
そしてその機能が国民の労働・勤労意欲を刺激し、内的資本・内的技術・内的イノベーションを十分発揮させ、新しい価値を創造することができるか?ではないかと思うのです。其処にこそ経済成長なるモノが実現するはずなのです。1971年までは存在する価値を通貨にて確認する作業に追われました。しかし爾来我々は、民族・国家などそれぞれ異なる新しい価値を創造するための呼び水(手段・道具)としての機能を、それぞれの通貨に求める時代に移ったのではないでしょうか?
中国はこれからいかなる選択をするのでしょう?これまでの私の思考回路をベースにすると、冒頭に申しましたA~Dの方策が浮かんできます。そしてそのキーワードはジョージ・オーウエル的な情報統制、つまり監視社会適合型の経済刺激策であると云う事です。
(SSA生)

   ♪
(読者の声3)関西方面の愛読者の皆さんへ。中国コロナ禍で予定が変わりましたが表記例会を下記要領で実施致します。
 今回は日本を取り巻くチャイナ、朝鮮、ロシアのリスクと日本核燃料サイクルの実現と課題などをテーマにしました。
 内容 ・チャイナリスク/武漢バイオハザードにみる習近平の一帯一路政策と核武力の背景──シルクロード悲劇の実態
・朝鮮半島リスク/南の反日政治運動と北の核武装
・ロシアリスク/ 核兵器開発の実態
・反原発運動に見える日本国内で暗躍する工作員と連携日本人・野党政治家たちの暴挙
・エネルギー基盤を確立する核燃料サイクルの実現
・化石燃料大量消費と列島のオーバーヒート、原発停止で疲弊する日本経済
・対馬市長選挙にみる高レベル放射性廃棄物の深地層処分誘致の運動と国境防衛
           記
1.日時:令和2年8月29日(土) 14:00~17:00
2.内容:  1400~1530 講演 : 札幌医科大学名誉教授  高田純先生
演題 : 日本を取り巻くリスクとクスリ ーーチャイナ、朝鮮、ロシアのリスクと日本核燃料サイクルの実現と課題  1530~1600  質疑応答
3.場所:たかつガーデン(大阪府教育会館)地下 「オリーブ」会議室 
TEL:06(6768)3911    〒543-0021 大阪市天王寺区東高津町7番1号
地下鉄千日前線(又は谷町線)谷 町9丁目下車(北東へ)5分
4.会費: 講演のみは1,500円(当日参加2000円)
 (但し不足分カンパ要請、又コロナ対策あり)学生は無料
5.会館側要請事項:マスク着用、体温(37.5℃以下で参加下さい)、消毒液(主催者用意)、密を避けて着席
6.主催: 弘志会 幹事 福井成範  fukuima@tree.odn.ne.jp
TEL090-3090-5452


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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)8月21日(金曜日)
       通巻第6627号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~モディのお膝元、ニューデリーに中国のスパイ組織
  僧侶らを買収し、ダライラマ亡命政権の情報を収集していた
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 イントの税務当局は8月11日、中国国籍のルオサン(音訳不明)らを地下銀行経営、不正送金、ならびに資金洗浄の闇行為をウィチャット(WeCHAT)等を駆使して行っていたとして逮捕した。
 組織の暗号名は「ハワラ・スキャン」と呼ばれた。

 とくにダライラマ法王と、その側近らチベット亡命政府の行動を、買収した僧侶などから情報を得ていた。インドが、いきなりTIKTOKのアプリ59種を禁止した直接の原因は、この事件だったようである。
 買収された僧侶は合計九名とされ、印度当局が取り調べに当たっている。

 かれらは数十の銀行口座を巧妙な団体名などで偽装し、送金などのやりとりした金額は判明しただけでも1億3400万ドルにのぼる(『サウスチャイナ・モーニングポスト』、8月20日)。
 また主犯格とされるルオサンはインドのパスポートも保有しており、偽造団の存在も浮かび上がった。

 ダライラマ政府の場所には、チベット料理レストランや土産店が並び、外国人観光客が頻度激しく訪れるため、この周辺でスパイ活動は比較的可能である。このためチベット亡命政府は、中国人の出入りを厳重に監視し、警戒する情報システムがある。

在印中国企業団体は、「われわれはインドの法の下に合法な商業活動に従事しており、ルオサンらの団体とは無縁である」との立場を表明した。
     
  ♪
樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@  【知道中国 2120回】             
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港2)

  △
 中学生の頃に中国に興味を持ち、いずれ将来は中国と関わった人生を送ることになるだろう。こんな風に漠然と考えていただけに、大学入学以前から中国世界──中国、台湾、香港、それともシンガポール──への留学という人生コースは、すでに心の片隅で計画が進んでいた。そこで大学4年間は留学資金調達に明け暮れたというわけだ。

 当時は所謂「70年闘争」に向けての助走期であり、大学内外には政治の暴風が吹き荒れ、学内はアジ演説と内ゲバで騒然とし、講義など落ち着いて聞いてはいられない。

 教室で正規の授業を受けたのは1年と2年次前期の合わせて1年半。とはいえ、この間も過激派学生の授業妨害が常態化していたから、マトモな授業は極めて限られた回数しか経験していない。そのうえ世界中の若者が既成の秩序や政治体制に異を唱え街頭に飛び出した「1968年現象」の煽りを受け、大学が過激派学生による街頭行動のための出撃拠点と化すに及び、大学当局はキャンパスを封鎖してしまった。
学問の自由もヘッタクレもない。

 2年次後期から卒業までの2年半は、自慢じゃないが、授業は完全にナシ。だから、学部生活4年間のうちの3年前後は通常の大学生活とは無縁の日々だった。定期試験も変則的で、卒業試験は指定期日までに書き上げたレポートを郵便ポストに投函して完了だった。それでも卒業できたのだから大学当局も、文部省も、それに世間も鷹揚だった。
現在、新型コロナ禍に悩まされ、リモート授業とかでやる気が失せている若者に、当時の我われが「享受」したイイカゲンさの万分の一でも味合わせてやりたいものではある。
 
 かくして有り余るほどの自由時間を留学資金造りに全面転用し、実入りの良かった肉体労働に勤しんで、100万円ほどの留学資金を調達した。
 
 いざ留学先を決める段になると、第一希望の中国は文化大革命の真っ盛りであり、こちらから願い下げ。台湾には国費留学のルートもあったが、蒋介石独裁下であり、毛沢東万歳の中国大陸と五十歩百歩の不自由さは1968年夏の短期語学留学で体験済みだったから、パス。シンガポールは中国大陸から離れ過ぎているから、意欲が湧かない。

「四捨五入」して香港へ。だが今から振り返れば、留学先選びは大正解だったと思う。

あちらこちら奔走し、親友の手助けも受け、香港の新亜研究所から入学許可証が届いたのが半世紀前の今頃、ちょうど1970年の夏だった。

 当時は外貨持ち出し制限があったので、100万円のうちの80万円ほどをウチから一番近かった埼玉銀行浦和本店で米ドルに両替し、パスポートの最終ページに持ち出し米ドル証明印を捺してもらった。

 東京駅の丸の内側にあった日本航空で購入した香港までの片道航空券は、たしか8万円ほど。鉄道の初乗り料金は当時の国鉄が30円で、現在のJRは140円。つまり単純計算で4.6倍。ということは、これまた単純計算だが航空券は37万円ほどで、80万円は現在の370万円ほどの大金となる。
我ながら、よく働いたものだ。

 かくて羽田空港へ。もちろん当時は成田空港はなかった。両替した80万円分の米ドルとパスポートの最終ページを税関で提示し係官の許可が下り、やっと機内へ。昼頃に羽田を発って、香港着は薄暮の頃だったような。

 今とは違って香港では入境も税関も検査係官は憎たらしいほどに厳格ではあったが、新亜研究所の入学許可証は威力抜群だった。 

 無事に空港ロビーに出ると、これから下宿を共にするTさんがニコニコ顔で出迎えてくれた。双方、事前に写真を送っていたから相手を探すのに問題はなし。そのままタクシーを奮発し向かった先は、佐敦道碼頭(ジョーダン・フェリー)の前に聳える高層住宅群の一角の文蔚楼。その24階の部屋の一角に荷物を置いただけでTさん主催歓迎宴へ。とは言え2人だけ。
尖沙咀の路地奥の小さな上海料理屋。共にビールのピッチは上がるばかり。
 この瞬間、いわばTさんと二人三脚の「酒浸り留学生活」が始まった次第である。

      
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OINIONS 読者之声
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(読者の声1)朝日紙が大東亜戦争の小説を連載しているというので、感想です。
(1)時代の意識を切り替えるべき
 毎朝、半世紀以上も昔の話しをするのはどうなのか。半世紀も前に自由中国人から日本社会の風潮について、大きな問題があるのに、まだ過去の戦争を引きずっているのは、のんべんだらりだと批判し、意識を切り替えるべきだという忠告があった。これは現実の危機から読者の目をそらすためではないかと思う。NHKも同じだ。
(2)国際政治が不可欠
 近代史は国際政治を知らないと意味が無い。米国の戦争映画はいきなり真珠湾から始る。日本海軍が突然奇襲した、意味不明という。そんな事実はあるわけがない。かならず当時の世界情勢を解説すべきである。
(3)キリスト教
 日本人にはキリスト教の誤解がある。キリスト教には修養を説いたイエス派と教会派があり、主流は教会が支配する教会主義だ。だからキリスト教信者同士の戦争は中世から現代まで沢山あるわけで、キリスト教は平和とは関係が無い。
(落合道夫)

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(読者の声2)朝日新聞連載の池澤夏樹作小説についての、小生の投稿について、丁寧なコメントをいただきありがとうございます。
 Wikiで調べてみると、池澤氏は1945年7月生まれですから、私と同世代のようです。 ただ、Wiki の中で、「2014年10月、過去に元従軍慰安婦の偽証言を報じた北星学園大学非常勤講師植村隆の解雇に反対する『負けるな北星!の会(マケルナ会)』を結成」と述べられている経緯、内容について不知であったこと、日経新聞に連載されていた「ワカタケル」という小説も精読していたわけではなかったことから、あえて、「私は、この池澤夏樹という作者のこれまでの著作、言動については不知です」と述べた次第でした。
 なお小生は、古事記、卑弥呼、邪馬台国等の問題については、小路田泰直氏(こじた・やすなお、奈良女子大教授、専門は日本近代史)の著作に共感するところが多いのですが、小路田氏は『神々の革命 「古事記」を深層から読み直す』(かもがわ出版、2012年)の「はじめに」で、次のように述べています。
 「・・・・多くの古代史家がやるように、記紀をほとんど無批判に8世紀の作り話とみなすことは、もうやめなくてはならないのである。
 歴史書と文学書の違いは、書かれていることに筆者の主観が混じっているかどうかではない。さらにはフィクションが混じっているかどうかでもない。その筆者の主観を表現するのに、史実の描写という方法をとるか、虚構の構築という方法をとるかの違いである」
と述べておられます。
 既に紹介したように、池澤氏は、「また会う日まで」という「小説」連載にあたっての「作者の言葉」で、「ファクトを尊重しながらその隙間を創作で埋める」と述べています。
「また会う日まで」については、完全に精読したいと思っているところです。
  (椿本祐弘)

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   (休刊のお知らせ)小誌は明日(土曜)と日曜を休刊とします
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 ●宮崎正弘の新刊● http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
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『CHINAZI(チャイナチ) 崩れゆく独裁国家・中国』(徳間書店)
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『地図にない国を行く』(海竜社)
『日本が危ない!  一帯一路の罠』(ハート出版)
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『明智光秀 五百年の孤独』(徳間書店 定価1650円)
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『西郷隆盛 ──日本人はなぜこの英雄が好きなのか』(海竜社、1650円)
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宮崎正弘 v 石 平  『ならず者国家・習近平中国の自滅が始まった!』(ワック)
宮崎正弘 v 西部 邁 『アクティブ・ニヒリズムを超えて』(文藝社文庫)  
宮崎正弘 v 渡邊哲也 『コロナ大恐慌中国を世界が排除する』(ビジネス社)
宮崎正弘 v 田村秀男 『中国発の金融恐慌に備えよ!』(徳間書店)) 
宮崎正弘 v 川口マーン惠美『なぜ、中国人とドイツ人は馬が合うのか?』(ワック)
宮崎正弘 v 高山正之 『世界を震撼させた歴史の国 日本』(徳間書店) 
宮崎正弘 v 河添恵子 『中国、中国人の品性』(ワック)  
宮崎正弘 v 宮脇淳子 『本当は異民族がつくった虚構国家 中国の真実』(ビジネス社) 
宮崎正弘 v 藤井厳喜 『米日露協調で、韓国消滅!中国没落!』(海竜社)
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