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「宮崎正弘の国際情勢解題」令和2年(2020)9月1日〜9月10日

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「宮崎正弘の国際情勢解題」   令和2年(2020)9月10日(木曜日)
        通巻第6641号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~九月連休が明けて、トランプのランドスライド(地滑り大勝)が視野に入った
  最初はブーム、やがて萎んで惨敗となった韓国諭のパターン再現か?
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 八月半ばまで、トランプ再選には赤信号が灯っていた。
 主因はコロナと失業である。小誌は「八月末までに失業率の大幅な改善がないと、再選は危ない」と予測してきた。

 コロナ災禍は拡がり、死者は20万人近くなり、ホテルもレストランは営業できず、失業は鰻登りだった。大不況なみに14・7%。こうなると誰であれ、有権者は現職以外を選ぶ傾向がある。

 七月から失業率が下がり始めた。株価は上昇し始めた。さらに中国バッシングが全米で受け入れられた。失業率は12・3%から8月速報は8・4%となった。
 CNNの世論調査ですら、バイデンとの差が3%に縮まった。マイケル・ムーアが予測した。『トランプ再選に備えよ』と。オッズメーカーの人気も、0・3%に縮まった。劇的である。

 2019年の台湾総統選挙を思い出す。
 蔡英文の再選は6月まで絶望的だった。国民党はむしろ勢い余って韓国諭(高雄市長)と郭台銘(鵬海精密工業CEO)の二人が名乗りを上げ、とりわけ中国の覚えめでたいき韓国諭が、飛び出した。どの世論調査でも韓国諭の圧勝を予測していた。

 劇的な状況変化は香港だった。
200万人のデモが発生し、中国共産党への抗議活動は11月になっても収束せず、民主化へのうねりが、台湾へ跳ね返った。
 2020年1月11日、蔡英文は圧勝した。

 雇用が増え続けて、米国経済が上向き傾向が続くと仮定すれば、トランプのランドスライドも視野にはいる。この可能性が25%ほどある。

 共和党の接戦州における巻き返しが遅れており、CMを撃ちすぎたため選挙資金の枯渇が見られる。そのうえ、メディアはトランプ叩きが続いているので、フロリダ、テキサスで逃げ切っても、イリノイ、ミズーリ州などでトランプの苦戦が続いており、辛勝となる可能性が50%である。

 すると残り25%は、認知症の老人が勝つ可能性がまだ残っている。

    
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@   【知道中国 2129回】               
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港11)

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 香港の現状から特別行政区は形を変えた殖民地だと思いたくもなるが、ともあれ1840年のアヘン戦争を起点として歴史が転換して以降、香港は一貫して自分で自分の運命を選べない殖民地のままだった。いったい殖民地としての香港は、どのような社会だったのか。

 大陸に近く、周囲を深い海で囲まれた無人に近い岩だらけの香港島は、スコットランド人海軍士官ネピア卿の「天然の良港になる」との予言のままに、大英帝国にとって清国市場への橋頭堡となった。先ず香港島(1842年の南京条約)を、次いで九龍(1861年の北京条約)を清国から割譲させ、仕上げとして1898年に新界を99年期限で租借する。

 一攫千金の夢を求めて欧米からやって来た野心家が支配者然と君臨し、中国からの職を求めて流れ込んできた大量の中国人を労働力として従える。
二層構造社会の香港は、大英帝国の極東経営の拠点として異常なまでの繁栄を謳歌する。南中国の沿海部に位置する香港が「金の卵を産む鶏」となり、国際社会に華々しくデビューしたのであった。

 1860(万延元)年正月、新見豊前守を正使とする遣米使節一行はアメリカ西海岸を目指し、太平洋を東に向かって船出した。幕府が海外に派遣した最初の使節である。一行はアメリカ大陸を東に進み、各地で大歓迎を受けながらワシントン入りし、やがて大西洋を横断して南回りで帰途についた。

 最後の寄港地となった香港で市中見物した一行は、周囲を現地人に取り囲まれ進めない。するとイギリス人が「鞭を挙げて群衆の人を制し往来を開いて」くれた。かくて一行の目には「支那人英人を恐るる事鱗の鰐に逢うが如し」(「亜墨利加渡海日記」)と映る。殖民地の繁栄を下支えする「支那人」は「鞭」を手にするイギリス人を前に、鰐を恐れる魚のように卑屈に振る舞うしかなかった。

それから半世紀ほどが過ぎた1911年10月に清朝が崩壊し、異民族である満州族支配が終わる。辛亥革命の報が伝わるや、清朝支配の象徴である弁髪を切り去った香港住民は、街頭に飛び出し、「漢族万歳」「西洋人を殺せ」「イギリス人を追い出せ」と叫んだ。

 さらに14年が過ぎた1925年、上海の日本紡績工場の労働争議をキッカケに中国全土を揺るがせた「五・三〇事件」が発生するや、広州の労働組織の支援を得た香港の労働者はストライキ(「省港大罷工」)による反英闘争に打って出た。
殖民地政府(香港政庁)に対し政治的自由、法律上の平等、普通選挙、労働立法に加え、家賃値下げや居住の自由などを要求したのだ。

 もちろん政庁は拒否する。だが労働者は怯むことなく反英闘争を続けた。
世界の労働争議史上最長とも言われる激しいストライキによって、交通や電気など社会インフラは大きな影響を受け、経済は大打撃を被り、企業家は甚大な損失に苦しみ、香港は「死の街」と化したほどだ。省港大罷工を仕掛けたのは、1921年の結党から間もない中国共産党だった。

 香港労働者の生活向上を勝ち取ったとされる省港大罷工が収束して1年ほどが過ぎた1927年、香港を訪れた魯迅はその印象を「再談香港」に綴っている(以下、拙訳)。

 「香港はチッポケな一つの島でしかないのに、中国のいろいろな土地の、現在と将来の縮図をそのままに描き出す。中央には幾人かの西洋のご主人サマがいて、若干のオベンチャラ使いの『高等華人』とお先棒担ぎの奴隷のような同胞の一群がいる。それ以外の凡てはひたすら苦しみに耐えている『現地人』だ。苦労に耐えられる者は西洋殖民地で死に、耐えられない者は深い山へと逃げ込む。苗や瑶は我われの先輩なのだ。(一九二七年)九月二十九之夜、海上」(『而已集』人民出版社 1973年)。なお、「現地人」の原文は「土人」である。
 私の留学時代の香港は、はたして魯迅が描いた当時と本質的な違いがあったのか。
      
 宮崎正弘の新刊予告 『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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  ──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで国を守れるのか?
  前作『神武天皇「以前」』に引き続く話題作です!

 日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
 縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
 弥生時代の渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
 とはいえ大殺戮は避けられ、国家最大の内戦「西南戦争」でも死者は一万余。
 戦後、日本からサムライ精神は去勢された。闘わない民族に明日はない 
 拉致された同胞を武力を用いて奪回する迫力もなくしたヘナチョコ
 シナや朝鮮からイチャモン、難癖をつけられても沈黙を続ける政治の腐爛
 こんな国でよいはずがない。「凛たれ、ニッポン!」
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(読者の声1)9月9日8:00 Yahoo配信で「安倍首相の成蹊大学時代の『恩師』が苦言 『首相としてもう少し知的になってほしかった』」(朝日新聞AERA.dot)という記事を見た。
 よく見ると、自分の教養学部時代のクラスメートのようだったが、最初の部分だけ読んで、残りは読む気がしなかった。
 ところが、クラスメート通信で、これを知らせてくれた方がいたので、あらためて最後まで読んだ。すると、この「恩師」どのは、最後に、次のように述べている。
 「ドイツの思想家・哲学者のカール・シュミットが、政治的な行動の基準となる二項対立を「友」と「敵」に置いたように、それも1つの政治哲学ではあります。
しかし、利害配分や言葉による説得などを用いることで敵を中立者に変え、中立者を味方に変えていくのもまた政治です。紛争の解決が政治の目的だと言われますが、紛争を起こさない解決を目指すことも政治の役割です。このあたりは、政治思想史学者の丸山真男の著書に詳しく書いてあります。安倍さんも首相を辞めたら、前よりは時間があるだろうから、ぜひ丸山真男を読んで勉強してもらいたいですね(笑)」。

最初は「黙殺」しようと思ったが、あらためて読むと、それこそ笑いたくなってきて、その後、怒りがこみあげてきた。
 「恩師」どのがここでいう「敵」とは、国内外、国内国際を問わないのだろうか? 
もし、「国際」問題も含むというのなら、今の北朝鮮、韓国、中国に対して「紛争を起こさない解決を目指す」ためには、どのような手法を採っていくべきだとおっしゃるのか、伺いたいものと思う。
 ところで、「大阪市解体案」は、近く、ふたたび投票に付されるようだが、公明党が賛成にまわったことにより、今回は可決されそうな情勢のようである。 憂鬱になってくる。 
   (椿本祐弘)


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)9月8日(火曜日)
        通巻第6640号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~<<読書特集>>
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馬渕睦夫『2021年世界の真実』(ワック) 
古森義久『米中激突と日本』(ビジネス社) 
藤井厳喜 v 坂東忠信『トランプの最後通牒 墓穴を掘った習近平』(ワック) 
樋泉克夫のコラム 
   
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~保守の保守たる所以はサイレント・マジョリティを代弁する感性だ
  尖閣諸島に中国軍が上陸すると仮定して、日本はマジな対応は取れないだろう

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馬渕睦夫『2021年世界の真実』(ワック)
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 馬渕大使の持論でもある近未来の世界地図は「トランプ vs 習近平 vs ディープステーツ」の三つ巴合戦、この仁義なき戦いは十年にわたるだろう、という基本的概念の元に詳細なシナリオが演繹される。
 なかでも契約社会という日本人にはなじみの薄かった生き方の基本的差違、これがじつは日本人の世界解釈を往々にして間違えさせる。
 例として馬渕氏は緊急事態宣言とコロナ災禍をあげる。
 現行憲法には非常事態宣言がないので、特措法をこしらえ、そのなかに緊急事態への対応を盛り込んだ。
強制力をもたないけれども外出自粛、営業自粛を「要請」出来るスキームで対応した。欧米社会では契約社会だから、罰金、罰則が強制される。ところが日本では「要請だけで都市封鎖が実現できた。これは世界では考えられないことです」。
なぜなら「日本は信用で成り立っている国であり、(ユダヤ的発想の)契約書など要りません」(123p)。
 聖書を読むと分かるが、神との契約で人々が存在していることになっている。
 さて本書ではディープステーツ論を越えて、中国の侵略主義に関する考察がある。なかでもコロナ災禍の隙をついて中国軍が尖閣諸島に上陸するというシナリオである。
 『中国軍が尖閣に上陸したら自衛隊はどこまで反撃する意思があるのでしょうか』とする問いかけは、国家の在り方、国民の国防意識、現行法制かにおける指揮系統など、様々な問題がからむのだが、国連で解決できることはない。
 馬渕大使はこう予測する。
 「中国は話し合いに応じないし、国連安保理事会では拒否権を行使するだろうから、国連は「日中間で解決してくれという態度しか取りえない」。
 つまり「尖閣諸島に上陸して居座ったら勝ち」と中国は知っているし、少なくともそうなれば『中国が実効支配している』と世界は見るわけです。中国軍を上陸させたら一巻の終わりなのです」(159p)
 「保守の保守たる所以はサイレント・マジョリティの声なき声を代弁する感性です」
 トランプにはこの感性がある。が、日本の政治家にはない。
 ところでディープステーツはトランプ再選阻止では中国と協力的だが、長期的スパンでみると、ソ連を作り用済みなるや潰したように、かれらは中国共産党支配を構築したが、すでに用済みなので、つぶす工作を始めるだろうとする。
 暗鬱なシナリオは、最期に希望に満ちた予測に変わっている。
      
***(休刊のお知らせ)明日(9月9日)、小誌休刊となります。***
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~米国の対中政策の劇的な転換が不動のものであることを再確認
  なぜ日本は中国批判を封じ込め、賠償責任を追及しないのか

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古森義久『米中激突と日本』(ビジネス社)
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 アメリカ通の古森氏の現時点での中間報告だが、この本を読むと、ああやっぱりそうか、日本のメディアは、嘘の報道をする米国メディアを翻訳しているだけなのかと改めて納得するのである。それが誤断の元凶なのだ。
 副題に「世界が中国を断罪する」と激しい内容を象徴する。
 コロナを『武漢ウィルス』を呼ばず『新型コロナウィルス』などと、中国元凶の疫病をことさら隠蔽する報道姿勢に傾いている日本のメディアは、中国政府に協力的である。
 1980年の大統領選で、古森氏は自らの誤断を反省している。
カーターが勝つと思っていたという正直に言うのだ。日本政府ははじめからレーガン当選などないものと考えていたから、レーガン陣営とコネクションがなかった。
おどろくほど似ているなぁ。2016年選挙、日本政府はヒラリー当選を殆ど信じていた。だからトランプ陣営とは一切コンタクトを取っていなかったのだ。なんという醜態だろう。情報をつねに複数源もち、人脈をプールしておくことは外交のイロハではなかったのか。
 評者(宮崎)、七月の時点まで、トランプ再選に黄信号が灯っていることを警告したが、これはコロナの所為である。その災禍が引き起こした大量失業のよって、しかも日頃のトランプ叩きに輪を掛けて米国のリベラル新聞、テレビが連日、トランプの対応の不手際を批判していたからだった。
 局面が変わったのは八月末である。失業率が劇滝に改善され、トランプ再選の赤信号が消えた。
 この書評の執筆時点で言えば、トランプ再選はよほどのことがない限り、高い確率になった。状況が変化した。トランプ支持率が急上昇したのである。
 古森氏は、こうした経過を精密に世論調査の結果も含めて克明にトレースして、日本に伝わっているアメリカ情報が不正確であると力説するのだ。
 重要な結論はこうである。
 「日本の政府や国会はいまの日本をこれだけ激しく襲うコロナウィルスの発生地の中国の責任に対して、まるで呪文にかかったかのように押し黙ったままなのである。この態度を保てば、日本がなぜこんな理不尽な国難に襲われたかの客観的な探査ができなくなってしまう。コロナウィルスについて中国に触れることは今後の日本にとっての『コロナウィルス後の世界で中国とどう接するか』という一大課題とも一体になっている。その今後の中国との向き合い方についても、日本の国政の舞台では基本からの議論がそもそも全くないのである」(235p)
 メディアはバイデン勝利を希望的に予測している。
 またトランプは勝つと、次はどういう報道をするのだろう?
     
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~大激突を前に『米国につくか、中国か』の選択をしているときか
  中国共産党は排他的独裁主義だが、かれらのDNAでもある

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藤井厳喜 v 坂東忠信『トランプの最後通牒 墓穴を掘った習近平』(ワック)
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 ご両人、ともにエンジン全開。スピーディに爽快に世界情勢を斬りまくる快著。
 国際政治学者の藤井さんは米中大激突を前に、日本が『米国につくか、中国か』の選択をしているときかと叱咤し、日本は決断するときだと訴える。
 警視庁通訳捜査官だった坂東氏は、「中国共産党は排他的独裁主義だが、かれらのDNAでもある」と本質をえぐる。
 本書はそうした基調で激論が続くのだが、言いたいことが山のようにあって、両者、機関銃のように細かな分析が次から次へと撃ち込むのだ。だから全編をつぶさに紹介するには紙幅がたりないので、ふたつほど重要箇所を抜き出す。
 藤井さんは香港安全法をいきなり強要して香港の自治を破壊し、民主運動を弾圧した習近平が『愚かな選択』をしたというより、『合理的』な選択だったのではないかとまず問題を提議する。
 なぜなら香港は江沢民派の牙城であり、「金融センターをしての香港を失うことよりも、江沢民派や民主派を潰すことのほうが優先課題だった(中略)。将来的にチャイナは閉鎖的な社会主義へと逆送し、米国をはじめとした自由主義国からデカップリング(分離)されるでしょう」と予測する。
 一方で、「米国との軍事衝突に敗れるといった決定的な敗北がない限り、中国共産党独裁体制の崩壊には繋がらない。軍とプロパガンダ機関さえおさえていれば、経済が衰退しても自分が失脚することはない ーー毛沢東の生涯を回想しながら、習近平はそう確信している」。
 この冷徹な予測はリアリストの眼である。
 現場をしりつくす坂東さんは、マスク、五毛党、医療器具、在日中国人の動向など、一般読者の知らないことを紹介しつつ、次の不思議な現象を衝く。
 中国で携帯電話の解約が急増しているというのだ。メディアの報道では、ファーウェイの販売が伸びたなどといわれているのに?
 2020年1月の解約は1447万台。それが二月には2100万台となった。
嘗て愛人が複数いるためにスマホを使い分け、あるいは詐欺の常習犯は何台も携帯電話をもっていた。当局から通話を盗聴されているので、解約した詐欺師の分も含まれているかも知れないのだが、「解約増加の背景には(コロナの)死者の人数と関係していたのではないか」。
つまり「南京大虐殺は水増しし、武漢ウィルスの死者数は減らすということをやっている」と坂東氏は指摘する。
そのうえで、坂東氏は、労働者が地方から帰る前に工場を閉める経営者が増えているという。たとえ再稼働しても賃金が支払えないことは目に見えており、訴訟ならまだしも「抗議や謀略を受け工場に火をつけられたりしたら大変です。労働争議に関しても、日本と労組とか事情はまったく違います」。
殺し合いに発展するケースとて過去に何回もあった。
だから経営者は携帯番号を変え、愛人も捨てるために解約し、そして「夜逃げしたほうがいいと考え出す」。
中国人のDNAを知ると、次に中国で何が起きるかの予測を立てやすくなる。こんな状態の中国に日本人エンジニアを戻すなどと『ブラック企業のやることだl』と二人は意見の一致を見た。
    
(休刊のお知らせ)明日(9月9日)、小誌休刊となります。
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樋泉克夫のコラム 

【知道中国 2128回】                  二〇・九・初六
──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港10)

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 ニクソン大統領訪中の間、香港の人々は中国から送られてくるテレビ映像に釘付けだった。自分たちの運命を左右することになるだろう米中両国トップの会談だから、やはり当然と言うべきだ。
だが、もう一方で新聞や噂で知ることしかできなかった文化大革命で揺れる中国社会の姿を、ニクソン大統領の行動を追ったテレビ映像の背景から読み取ろうとしたからではないか。街を歩いても、歩道にヒトが群がっているのは例外なく電器屋さんの前。誰もがテレビに見入っていた。

ニクソン大統領訪中の初日、大統領専用機到着から歓迎式典の模様──専用機に近づく周恩来、にこやかにタラップを降りるニクソン、互いに近づき握手する両者、さらに儀仗兵の閲兵など。昨日までは考えられなかった米中和解の衝撃的シーンを、テレビは次々に映像で伝えてくれる。かくて香港の街は静かな昂奮とでも言える1日を送った。

翌朝、研究室に入ろうとすると、向こうから歩いて来た事務局長の趙さんが「ニクソン歓迎式典、見たかい」と声を掛けてきた。見たと返事をすると、「儀仗兵たち、体はガッシリして大きいし、顔立ちは整っていたし、リッパだったな!」と感極まった雰囲気。てっきりニクソンの振る舞いを話題にするのかと思っていただけに拍子抜け。徹底した共産党嫌いで、過激な毛沢東批判を連発していただけに、不思議としか思えなかった。こちらの戸惑いを感じたのか、趙さんは「な、中国人はスゴイだろ」と念を押す。

 趙さんは共産党政権を嫌って香港に逃げてきた。
ならば「仇敵」であるはずの共産党政権防衛の任にあたる人民解放軍兵士を褒めそやし、なかば自慢するとは話が違い過ぎるだろう、と首を傾げた。だが考えてみれば趙さんが嫌悪するのは共産党政権でこそあれ、共産党政権下で生きる中国人ではないように思う。兵士も同じ中国人であればこそ、長く音信の絶えていた肉親が、ある日、見違えるほどに立派な姿になって目の前に現れたような感慨を、あるいは趙さんは抱いた。だからこそ日本からの留学生に自慢したかったのだろう。こう考えると、あの日の趙さんの自慢げな顔付きも納得できそうだ。

趙さんを含め1972年2月に安堵した大多数の人々も、やがて丁々発止・紆余曲折の返還交渉を経て、1985年に返還が正式に決定するとは想像だに出来なかったに違いない。
毛沢東思想を熱烈に信奉していた友人ですら「不当なイギリス殖民地を脱し、香港は中国に戻らなければならない。だが、オレの目の黒いうちはムリだろう」と言った趣旨を語っていたことを思えば、やはりニクソン訪中が大にした世界情勢に、小にしては香港の人々に与えた影響は甚大であろう。
人民解放軍儀仗兵に対する趙さんの受け取り方は、あるいは当時の香港住民の世代間の違いに求めることが出来るかもしれない。

趙さんの世代より年齢が上の人々にとって、中国は自分たちが生まれ育った故郷である。その故郷を共産党政権が押さえ、独裁国家としてしまった。
だから故郷と共産党政権とを切り離して考えることができる。だが、生まれも育ちも香港である若い世代にとって故郷は香港でしかなく、中華人民共和国を「祖国」と見做すことは出来そうにない。

誤解を恐れずに表現するなら、台湾における本省人と外省人に間の省籍対立に似た感情の違いが、知らず知らずのうちに香港でも起きていた。いわば対立とまで明確化できなくとも、世代間の感情の違いとでも表現できるのではなかろうか。こう考えると、昨年6月以来の香港の混乱の背景も理解できるように思う。

大多数の若者は返還以前の殖民地時代を知らない。だから反中のシンボルとしてイギリスやアメリカの国旗を掲げ民主化を求めることができる。だが返還以前を知る世代は若者世代のようには振る舞えない。なぜなら殖民地が彼らの人生の大前提だったからだ。
       
 宮崎正弘の新刊予告 『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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  ──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで国を守れるのか?
  前作『神武天皇「以前」』に引き続く話題作です!

 日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
 縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
 弥生時代の渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
 とはいえ大殺戮は避けられ、国家最大の内戦「西南戦争」でも死者は一万余。
 戦後、日本からサムライ精神は去勢された。闘わない民族に明日はない 
 拉致された同胞を武力を用いて奪回する迫力もなくしたヘナチョコ
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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)9月7日(月曜日)
        通巻第6639号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~米国連邦議会、アンチ中国法案が目白押し
  「台湾侵略防止法」など、制裁強化法案の討議が始まる
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 連邦議会で、中国に関しての法案は2018年に85本が提出された。
 米国では議員立法が殆どである。可決成立までのプロセスは、一つの法案を多くの議員の賛同を集めて議長に提出し、議長が審議するかどうかを決める。
上院もしくは下院で可決されても、両院のすりあわせが行われ、審議をやり直し、下院で可決後、上院におくられ、可決されると最終的には大統領の署名待ちとなる。

議会の立法状況を見ながら、急ぐ法律だとの合意があれば、他の法案と抱き合わせで成立させることもある。

 中国制裁などの強硬な対中法案は、2019年に157本提出された。
2020年には、この数を八月末時点で上回り、米国連邦議会はアンチ・チャイナ一色である。
なかには一人で15本の法案を提出したのが、ウィスコンシン州選出のマイク・ギャラガー下院議員だ。

 共和党大会初日にトップで演題に登ったのはニッキー・ヘイリーだった。
 ヘイリー元国連大使は、2024年の共和党大統領候補を噂されるが、「ペンス・ヘイリー」でチケットが組まれる可能性を早くも予測する向きがある。

 それはともかく、ヘイリーの回想録では2018年までの米国の脅威はイラン、露西亜、北朝鮮だった。中国のことは殆ど出てこない。ところが彼女のツィッタ-は、以後、中国批判がロシア、イランなどの三倍となり、しかも彼女のフォロアーは68万人となった。
     
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~なぜ不敗の横綱は、あの『邪宗』の門をくぐったのか?
  昭和史の謎に、新しい光をあてて埋もれた真実を浮かび上がらせた

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加藤康男『双葉山の邪宗門 ──「爾光尊事件」と昭和の角聖』(草思社)
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 憑依現象として片付けられる問題ではなかった。
 69連勝という破天荒な記録を誇った横綱、双葉山が、或る時から、新興宗教に取り憑かれ、そのセクトの広告塔に利用された。警察と相撲協会は、この新興宗教団体から双葉山を救い出すため、あらゆる方策をめぐらせた。
 教団は爾光尊と称した。畏れ多くも御名御璽の「爾」である。
 「角聖を救え」。作戦は開始された。
 やがて説得に応じた双葉山は多くの弟子が待つ部屋(双葉山道場は太宰府にあった)に戻る。その後、時津風親方として或いは協会理事長としての責務を果たしながらも、教祖への崇敬の念はこころから離れなかった。
 いったい、不出世の横綱に何が起きていたのか。
これまでにも加藤氏は張作霖爆殺事件に犯人捜しから、通州事件を調べ、震災時の朝鮮人問題にも焦点を当てて、歴史の真実を掘り起こすという作業を繰り返されてきた。
そのどれもが貴重な仕事である。しかし、こんかいの新作のテーマが、新興宗教団と有名人との関係になるとは想定外であり、思いもつかなかった。
 しかも爾光尊事件は、金澤が現場である。警察が踏み込んだときに双葉山が仁王様のように立ちはだかるというスクープ写真が当時の新聞を飾った(本書冒頭には珍しい写真が多数掲載されている)。
 「私が天照大神だ」となのる女性教祖(長岡良子)の周りには、熱狂的狂信的信者が囲み、もうひとり熱心な広告塔が囲碁のチャンピオン、呉清源だった。呉は中国人である。呉が双葉山のもとを訪れた時から、横綱に憑依が本格化する。
 教団の外苑には、理解者が多くいた。それも徳川無夢、亀井勝一郎、永田雅一、野依秀市ら錚々たる著名人がいた。野依は当時誰もが知っていた有名人で、GHQが戦後、良書を発禁処分としたときに一番、発禁図書指定本の数が多かったのも野依だった。大分の出身で戦後は「帝都日々新聞と主催した。
 もともと双葉山は霊感の強い人で「相撲とは神業」と発言していた。時代的に言えば、戦争が続き、大東亜戦争(加藤氏は本書で「大東亜・太平洋戦争」と呼称している箇所には疑問符をつけたいが。。)の理想が語られ、「一億火の玉」と叫ばれていた。信仰の宗教集団が雨後の竹の子のように、競い合って興隆していた。
 そのうえ天皇の人間宣言がくわわって、人々は信仰の対象を探していたという時代背景がある。
 教団は世間から白眼視され、孤立しつつも教団本部を転々と移動して、全国を流浪し、やがて消滅する。加藤氏は最期の拠点を探し当て、また爾光尊教主の墓も探し当てて本書を締めくくっている。
 「人生の大半を何ものかと闘いながら幕を閉じた双葉山と爾光尊(長岡良子)は、東京下町の一隅と霊山の山奥で静かに眠っている。そして、戦後間もない頃に起きたこの事件のことを覚えている人はもうほとんどいない」。
 邪宗といわれた大本は、時代を生き延び、今日も夥しい信徒を抱えているが、他の新興宗教は、信者数を半分から三分の一以下に激減させた。日本人の宗教観は変わってしまった。
   
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~香港治安安全維持法(所謂香港安全法)とは、
チベット侵略を合法化した「チベット十七条協定」に酷似

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ペマ・ギャルポ『中国は消防士のフリをした放火魔』(ハート出版)
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 中国は長谷川平蔵を名乗るが、じつは石川五右衛門である。
 と評者(宮崎)、ときどき講演で使うフレーズだが、なるほど中国って『消防士』を標榜しながら、じつは「放火犯」だったのか。
 疫病を拡げておきながら、世界に中国に感謝せよとマスク外交で迫った。あまりのことに世界が冷笑していると、中国に感謝しないのは怪しからんと、こんどは「戦狼外交」を展開し、開き直った。
 著者のペマさんに関しては、いまさら紹介する必要はないだろう。
チベットの名門に育ち、中国の侵略から逃れて、若き日に日本へ留学。そのまま居着いて、日本に帰化された。
ペマさんの巧みな日本語は仏教用語から哲学のタームまで、宗教家の顔、哲学者の顔、そして大学教授の顔があり、いまも八面六臂の大活躍をされている。ときどき会うが、いつも啓発される。
氏の還暦祝に駆けつけたとき、教え子達が熱心にペマさんを支えていることを知った。
本書でペマさんの警告の第一は「香港、日本がチベットと同じ運命をたどりかねない」ことである。いや、香港はすでに中国共産党の支配下に置かれ、市民は監視され、自由は圧殺された。
 日本はどうかといえば、尖閣諸島をみよ。毎日のように日本領海に侵入しているのに、地元のメディアは籠絡されてしまって批判もしない。沖縄は事実上、静かに中国の軍門に下ったかのようである。
 米中激突時代を迎えたいま、日本はこれ以上の曖昧な態度は許されない。なぜなら「中国共産党と世界は共存できないからだ」と説かれる。
 通読して、評者の独断でいうと、次の箇所が本書でもっとも重要な部分の一つである。
 香港治安安全維持法(所謂香港安全法)は、チベット侵略を合法化した「チベット十七条協定」を同じだということだ。
 香港安全法によって、「香港はチベット同様、中国政府の『植民地』となってしまうだろう。それにつづくのは残酷な弾圧である。そしていま香港を私たちが見捨てれば、次にはおなじ運命が日本に襲ってくるかも知れない」(189p)。
 ならば、その「チベット十七条協定」には何がかかれているか。
「第一条 チベット人民は団結して、帝国主義侵略勢力をチベットから駆逐し、チベット人民は中華人民共和国の祖国の大家族のなかに戻る」
「香港安全法の第一条は以下の通り。
 「高度の自治の方針を揺るぎなくしかも全面的かつ正確に貫き、国家の安全を守り、香港特別行政区に関連する国家分裂、国家政権転覆、テロ活動の組織・実施及び外国または域外勢力と結託して国家の安全を害する等の犯罪を防止し、阻止し、処罰し、香港特別行政区住民の合法的検疫を保護するため、中華人民共和国憲法、中華人民共和国香港特別行政区基本法及び香港特別行政区における国家安全維持の法制度及び執行メカニズムの導入整備に関する全国人民代表大会の決定に基づいて、この法律を制定する」
 ペマさんは指摘する。
前者が「帝国主義侵略勢力」となり、後者は「外国又は域外勢力とあって、追放し処罰する等」としている文言に注目する。
換言すれば、民主化運動は『犯罪』と決めつけているのである。
 この無謀無法残酷、人権を平気で踏みにじる中国の全体主義を、西側の一員である日本が看過することはもはや許されないのではないのか
        
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~なぜトランプはINF条約から離脱したのか
  パーシング2の欧州配備でソ連は交渉の場に現れた過去の経緯

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森本敏・高橋杉雄・編著
『新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛─INF条約後の安全保障』(並木書房)
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 8月26日、中国軍が4発の中距離弾道ミサイルを南シナ海に向けて発射した。これらは、いわゆる「空母キラー」と呼ばれ。米国にとって脅威である。
 これは中国が米軍のU2戦略偵察機が侵入したことへの牽制だが、一方で、米国防総省は「中国軍は一部の部門で米軍を凌駕している」として、射程500~5500キロの中距離弾道ミサイルを一例に挙げている。
 米国は旧ソ連と結んだINF(中距離核ミサイル)破棄条約により、同射程のミサイルを保有していない。
 だからトランプはINFを廃棄したのだ。
 この条約は6年にわたる交渉の末、レーガン大統領とゴルバチョフ書記長の間で調印され、地上発射型中距離ミサイルは欧州では廃棄された。
 ところが、アジア、中東ではむしろ拡散し、なかでも軍縮の枠組みに縛られない中国は核弾頭を含む中距離ミサイルを多数保有したため、米中のミサイル・バランスが崩れた。
 冷戦期、米ソが特定の核兵器システムの全廃を実現したことは、それまでの軍縮の歴史の中で画期的なことだった。
INF条約の起源は、1979年12月のNATOによる「二重決定」に求められる。それは、パーシング2
ミサイルを西欧に配備し、ソ連に戦域核戦力交渉を呼びかけるというものだった。
 交渉は紆余曲折を経たが、1987年に締結され、冷戦期の成功事例として評価された。当時、西ドイツの首相は社会民主党のヘルムート・シュミットだった。反核運動が盛り上がるなかでパーシング2
の配備を決定し、ソ連を交渉の場に引きずり出した。
巷では極左グループが「死よりもアカが良い」といって道路に寝ころんでの抗議をしていた。
 日本としても、INF交渉の結果、アジアにのみソ連のSS‐20が残されることは回避しなければならなかった。
ときの中曽根政権が強く働きかけたことで、欧州とアジアのINFは全廃され、当事国ではない日本が、当事者意識を持って積極的に関与したことは高く評価されてしかるべきだろう。
 ロシアによる同条約違反や中国の中距離ミサイル増強問題から、トランプ大統領はINF離脱を宣言した。
 2019年8月に同条約は失効した。米国は新たな地上発射型中距離ミサイルの開発に着手し、日本を含む東南アジアへ配備される。
「イージス・アショア」の配備が中止され、敵基地反撃能力をどうするかが問われているいま、米国の中距離ミサイルの日本配備はこんご大きな政治問題になる。
 
かくして新たなミサイル軍拡競争にあって、中国をいかにして軍備管理の枠組みに組み入れるか? 
かつての「二重決定」方式は大きな示唆を与えてくれる。日本は当事者意識をもって議論に参加しなければならない。
 本書は、そうした時代を見据え、ポストINF時代の安全保障について戦略・軍事・軍縮の気鋭の専門家が多面的に分析・検討したものである。
専門的な内容であるが、巻末に執筆者による「座談会」が掲載され、ポストINF条約時代の安全保障のあり方について総括している。


    宮崎正弘の新刊予告 『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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  ──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで国を守れるのか?
  前作『神武天皇「以前」』に引き続く話題作です!

 日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
 縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
 弥生時代の渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
 とはいえ大殺戮は避けられ、国家最大の内戦「西南戦争」でも死者は一万余。
 戦後、日本からサムライ精神は去勢された。闘わない民族に明日はない 
 拉致された同胞を武力を用いて奪回する迫力もなくしたヘナチョコ
 シナや朝鮮からイチャモン、難癖をつけられても沈黙を続ける政治の腐爛
 こんな国でよいはずがない。「凛たれ、ニッポン!」
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OINIONS 読者之声
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(読者の声1)ユーチュブの【ぼくらの国会・第23回】ニュースの尻尾「自民党総裁選挙について」では、二階幹事長が、即座に菅義偉氏を総裁候補に推薦したのは余りにも早すぎた。
 ゆえに、麻生、細田、竹下派が二階派を排して合同で記者会見を行った。三派は二階幹事長を衆議院議長に祭りあげるのではないか。二階氏が幹事長にこだわれば、合同三派は一気に、岸田を担ぐかもしれないという。
 ある筋では、菅義偉氏が、いずれは二階派を引き継ぐだろうといわれている。それほど、菅&二階は近いという。板挟みに遭う菅義偉氏は、苦境に立たされているのではないか。
さらに、安倍首相の本心は岸田氏にある。ゆえに、未だ予断を許さないと言った。
 岸田氏は、外相時代も弱いと言われて来た。だが今は国難の時にある。全方位和の精神の岸田氏では、勤まらない。脅かせば、青菜に塩となってしまう。
韓国の文在寅大統領のように、米国と中国からバッシングを受けるのではないか。さらには、マスコミや韓国からも攻撃される。衆議院選挙では惨敗がなくとも、大幅に議席を減らす可能性がある。維新が躍進するであろう。
安倍首相や三派がいくら強くても、この国は一党独裁の国ではない。衆議院選挙に勝てなかったら話にならない。「令和おじさん』の方が知名度があり、菅義偉氏はほぼ揺るがないだろう。
トランプ再選も見えて来た。二階今井の親中派にとっては逆風である。幹事長代理を三派から起用し、二階氏を事実上棚上げするか、名誉幹事長にするか、衆議院議長になるかであろう。
 菅氏は2
世議員の石破氏や岸田氏とは、覚悟が違う。たたき上げで、何度も苦難をくぐり抜けてきた。それこそ、腹を切ろうとした事が何度もあっただろう。差し違える覚悟で勝負にでていると思われる。
  (斎藤周吾)

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(読者の声2)チェコ代表団9月4日帰国 ビストルチル議長「民主主義は台湾とチェコの共通の価値」。ビストルチル上院議長らチェコ代表団一行は6日間の訪台日程を終え、9月4日夜10時50分の中華航空チャーター機にて帰国の途に着いた。桃園空港には游錫?(ゆう・しゃくこん)立法院長、??燮(ご・しょうしょう)外交部長が見送りに駆け付けた。
ビストルチル議長は搭乗前に挨拶し、以下のように述べた。
 「お別れの時間になったが、そう遠くない将来に再会したいと願っている。家に帰りたいという気持ちと、ここを離れたくないという気持ちが混在している。
我々は自由と民主主義のために大きな貢献をした。我々は一つのチームとして協力したので、チームという形でお別れしたいと思う。私はかつてこんなにも多くの
自由思想をもち、創意精神に溢れた人々が共に集うのを見たことがなかった。感染症との戦いという要素もあり、みなが共に心を合わせなければならないということ
もあって、互いの友情が強まったのかもしれない。台湾政府と台湾の人々の心のこもったおもてなしに対して感謝する。民主主義はチェコと台湾が共につながる
価値観であり、今後、みながそれぞれの分野で協力関係を深めていくことを願っている。台湾を訪問し正しいことをするということに、さまざまな障害もあった。重要なことはチェコと台湾が共に自由と民主主義を実践し、自由と民主主義の価値を世界と分かち合うことだ。」
   (台湾の声)

    
 ■宮崎正弘の新刊予告
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宮崎正弘 v 渡部惣樹『激動の日本近現代史 1852~1941』(ビジネス社)
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 ソフトカバーで装いも新たに登場します。9月19日発売予定

 同日発売! 
渡邊惣樹『英国の闇 チャーチル   世界大戦を引き起こした男』(ビジネス社)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)9月6日(日曜日)
        通巻第6638号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~主人(あるじ)が病気療養中は「番頭」が取り仕切る
  安倍晋三、三度目の復活を視野に入れての辞任ではないのか?
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 桂太郎は三回、政権を担った。長州の武士出身で、軍人としても活躍し、安倍晋三が記録を更新するまで歴代最長の内閣だった。
 伊藤博文は四回、政権を担った。

 ふたりとも長州という出身地が強運をもたらしたが、安倍首相も、その長州(山口県)が選挙区である。

 戦後も吉田茂は退任後、また返り咲いて、安倍晋三の先例となった。吉田への毀誉褒貶も多いが、GHQを相手にしたたかな粘りの政治だった。外交官時代に国際感覚を磨いたのだろう。吉田は土佐っぽ、明治維新の原動力とはなり得なかったが、薩長土肥といわれたように、ある意味では佐賀鍋島藩のエリートを出し抜いた。
 しかし武市瑞山、坂本龍馬、中岡慎太郎ら先達の犠牲があった。

 だとすれば、安倍晋三が三度目の復活をねらって、しばし表舞台から身を引いても、捲土重来の可能性は大いにあるだろう。

 主人(あるじ)が病気療養中は「番頭」が取り仕切るのは常識であり、安倍晋三首相、唐突な辞任表明のあと、自民党内はいきなり五派閥が「とりあえずは、管でいいか」となって管を支持した。あまりにも早い決断なので、つい裏詠みしたくなるのである。

 意表を突くほどのスピーディな、しかも短時日で次期後継が決まるというミステリーをみていると、三度目の復活を視野に入れての辞任ではないのか?
     
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~日本人の多くが忘れてしまった武士道に
  なぜ李登輝は人生を賭けるほどに惹かれたのか?

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早川友久『李登輝  いま本当に伝えたいこと』(ビジネス社)
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 李登輝元台湾総統が逝って、はや40日近い。日本の仏教で言えば、まもなく四十九日、納棺の儀が近付いた。李登輝氏はキリスト教徒ゆえに、別の葬送スタイルが取られるのだろう。ちなみに李登輝がキリスト教に入信したのは38歳の時だった。
 本書は、李登輝総統の日本人秘書として、八年間、そばに仕えた早川氏が記録したメモをもとに、李登輝名言集あるいは格言集である。
 なにしろ生前から本書は企画され、李登輝自身の序文が用意されていた。また読者には生前の李登輝が語った坂本龍馬についての未公開音声が配信される。 
 前置きはこれくらいにして、いかなる名言を残したか?
 「リーダーは信仰を持て。信仰がないなら信念を持て。孤独なリーダーは、すがることのできるものを持つのだ」
 「リーダーは『七割で良し』の心構えを持て」
 「謙虚さこそがリーダーシップ」
 「リーダーは悪役に徹しろ」
 「決断は素早く、そして柔軟な発想で」
 これらが第一章の「リーダーシップ」の箇所で語られる。
 以下、信念の章では、
 「これまでの制度を打ち破ってまったく新しいものに改める。それが『脱古改新』である」
 「教養は万能ではない。実践がともなってはじめて意味をなす」
 「『公明正大』こそ部下の努力を引き出す」
 「未来に対する『理想』と『主張』をはっきりさせよ」
 『知略』の章では、
 「情報は常に複数の情報源から」
 「権力の放棄もまた資質である」
 「希望」の章では
 「私は権力ではない。権力とは借り物だ」
 「指導者は『誠実自然』である」(李登輝は揮毫を求められると、よく「誠実自然」と書いた)。
 どれもこれも胸に突き刺さる言葉である。つねに武士道の精神を重視し、日本人よ、もっとしっかりしろと叱咤激励し続けた、あの情念、迸る熱情の源泉は、これらの信条、信念、そして信仰から産まれたのだ。
 李登輝思想の肯綮にある武士道について、早川氏はこう言う。
 「武士道とは死ぬることと見つけたり(葉隠)という言葉こそ、日本人の精神性を最も表したものだという。日本人、とくに武士にとって『死』は日常生活と隣り合わせであり、常に死を意識しながらの生活であった。その死が念頭にある生活のなかで、如何にして人間は『生』の意義を最大限に発揮にしていくのか、それが日本人の精神性に大きく影響している」(182p)
 座右の銘となる言葉ばかり、日本の政治家は、本書を座右に置くべし。

            
 宮崎正弘の新刊予告 『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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  ──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで守れるのか?
 ご高評いただいた『神武天皇以前』から一年、同系列の新作です!

 日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
 縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
 弥生時代の渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
 とはいえ大殺戮は避けられ、国家最大の内戦「西南戦争」でも死者は一万余。
 戦後、日本からサムライ精神は去勢された。闘わない民族に明日はない 
 拉致された同胞を武力を用いて奪回する迫力もなくしたヘナチョコ
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 ■アンディ・チャンのアメリカ通信 ■アンディ・チャンのアメリカ通信
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QANONとは何か?
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 投票日まであと二ヶ月を切ったいま、QAnonと呼ぶグループが民主党を脅かしている。これまではDeep StateとかAntifaなどの暴力団体がメディアで反トランプ情報を流していたが、QAnonはあまり聞いたことがなかった。
ところがこのグループにはかなりの参加者がいて、しかも彼らは反トランプ陰謀を批判する匿名の集まりだった。最近は公然と「Q」と書いた旗を掲げてデモンストレーションをするようになった。
 QAnon(キュー・アノン)は明らかな団体ではないが、Qと名乗る人物の主張に賛成する人たち、そして自らQグループを作る集まりである。簡単に言えば彼らは「反Deep State」または「反左翼エリート」であり、反トランプ陰謀の一味徒党を批判する論壇グループである。
 別説ではQAnonがキリスト教の福音教会派と関連があり、未成年者のセックス商売をする左翼集団が世界の(アメリカの)滅亡を謀っていると警告、反対しているグループと言う。
実態がハッキリしないが、ある新聞はQAnonは反ユダヤ主義者(つまり反Deep State)の集団であると解説している。QAnonがトランプ支持を表明し、8月のトランプの選挙講演会でQと大書した旗を掲げてデモンストレーションしたので、FBIは彼らがテロ行為をするかもしれないと注意するようになった。
ある人はQAnonが一種のカルト集団ではないかと心配する。だが彼らはインターネットの自由論壇で反Deep Stateの論文を発表し、多くの賛成者がトランプ支持をしているグループである。
QAnonの名前はQ -Anonymous(匿名のQ)と言う意味で、インターネットの自由論壇、Imageboardに匿名で投稿している人たちのことだと言う。Imageboardとは匿名の論壇で、投稿者の本名や身分は知ることができない。
「Q」とはジェームスボンド(007)映画の中で奇抜な武器や装置を発明する一風変わった技術者のことで、QAnonはこの名前を引用したものだ。
Imegeboardの一つで「4Chan」と呼ぶ論壇にある人物が「2017年10月28日にQ」と言う匿名で「Calm Before the Storm (嵐の前の静けさ)」と言う論文を発表したのが始まりと言われている。
「4Chan」は日本の「Futaba Channel」を模倣して作られたアメリカの論壇で、投稿の内容はアニメ、漫画、音楽、文学、政治など多岐を極めている。Q氏はここでDeep Stateとは反トランプの秘密団体で世界の秩序を壊すと言う陰謀論を紹介し、多くの読者がこれに賛成し追従するに至った。
最近では1日に9万通の投稿があり読者は24万人に達すると言う。彼らがトランプに投票するとなれば大きな影響を与えるのは間違いない。
 Q氏は政府の公務員でしかもトランプ政権の機密資料にアクセスできる人物と自己紹介したそうである。NBC Newsの報道によると今では三名の匿名の人物がQを主宰して、複数のメディアで多くの賛成者を集めていると言う。このため最近では別のグループ、FBIAnonとかHLIanon(HLIとはハイレベル インサイダーのこと)の論壇が出来だと言う。
 QAnonはヒラリー・クリントン、オバマ、ジョージ・ソロスなどがアメリカの民主制度を破壊する陰謀の首魁だと主張しているが、この他にもハリウッドの俳優、民主党員や政府公務員などの反トランプグループを攻撃目標としていて、トランプの「ロシアゲート疑惑」をでっち上げたFBIのコーメイやマラー検察官の一味を名指しで攻撃している。
つまりQAnonとは反Deep Stateで反ユダヤ国際資本、反サヨクの理論を掲げるグループである。
 最近はQAnonグループが8月から公然とトランプの選挙運動に参加して民主党を脅かすようになった。彼らのスローガンは#WWG1WGA(Where we go one We go all、一人が行けば皆が行く)である。
 FBIはQAnonグループが国内でテロ行動を起こすかもしれないと懸念していると言う。だがいまのところQAnonの活動は主にツイッターで主張発表をしているだけだ。このため、ツイッターは今年7月に数千のQAnonメンバーの投稿を禁止した。Facebookも多数のQAnon投稿を禁止する動きがある。
 民主党側はQAnonをオカルトグループとかテログループと警告している。
 数日前の記者会見でトランプ大統領はQAnonについて「詳しいことは知らないが、私を支持していることは良いことだ」と答えた。
左翼メディアは早速トランプがQAnonに賛成したと攻撃したが、ホワイトハウスのKayleigh McEnany報道官は「大統領はQAnonを賛成も支持もしていない。QAnonの支持があるのは良いことだと言ったに過ぎない」と否定した。
ペンス副大統領や何人かの共和党員もトランプがQAnonグループを支持する発言を控えたほうが良いと述べた。QAnonは仲間がトランプの選挙活動に参加してもQを表明しないよう呼び掛けている。
 アメリカの三大テレビとCNN、大都市の新聞、ツイッター、ファイエスブックなどはみんな反トランプである。それでもQAnonが選挙に大きな影響力を持っていることは否定できない。
これからQAnonがどんどん紙面を賑わすようになるかもしれない。
                 (アンディ・チャン氏は在米評論家)
            
  ♪
(読者の声1)アメリカの失業率が14%台から8%台に落ち着き、トランプ再選の可能性が高まりました。
 貴誌は以前に「トランプ再選、赤信号が消えた」と書かれましたが、その後、どういう分析をされていますか?
  (JJセブン)


(宮崎正弘のコメント)8月末までに失業率が10%を割り込むと、バイデンのような迫力のない候補者が霞む。コロナとの共存時代をアメリカ人は広く認識するようになり、落ち着きを取り戻しつつあります。
 注目は政治のオッズメーカー(ODD MAKER)です。三日前、トランプとバイデンの差が0・5%にまで縮まりました。楽観は許されませんが、トランプ快調が甦りつつあるとみて良いのでは、と思います。
    
 ■宮崎正弘の新刊予告
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宮崎正弘 v 渡部惣樹『激動の日本近現代史 1852~1941』(ビジネス社)
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 ソフトカバーで装いも新たに登場します。9月19日発売予定
 同日発売! 
渡邊惣樹『英国の闇 チャーチル   世界大戦を引き起こした男』(ビジネス社)
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 予約募集をまもなく開始


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)9月5日(土曜日)
        通巻第6637号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~コソボって、何処にある? バルカン半島の最貧国
  米国、セルビアとの関係正常化に意欲。コソボvセルビア首脳会談を仲介
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 コソボの首都はプリシュティナ。意外や美しい街で、人口は表向き60万人。近くに世界遺産の教会が二つ。いずれもセルビア正教である。
{?} 
 コソボを囲む国々はセルビア、モンテネグロ、北マケドニア、アルバニア、要するに海の出口がない内陸国家。2008年までセルビアの自治州だった。住民の92%がアルバニア人なので、以前から独立気運が盛ん、武装組織がセルビア正規軍を襲撃する事件があとを絶たず、治安が悪かった。

 治安はいまも悪く、外交承認した米国は、大使館を開設したが、厳重な警戒態勢を敷いている。

 コソボの慌ただしい独立は、セルビアの衰弱が遠因にある。
その前に、ユーゴスラビアが冷戦終結とともに崩壊を始め、セルビアが西側から眼の仇にされたためミロセビッチ、カラジッチというセルビア・ナショナリズムに基づく指導者に、国民は熱狂的なナショナリズムを期待した。
だが、欧米の外交の前に無力で、次第にNATOの空爆、そのうえ米国が上空5000メートルから空爆を始めて、ベオグラードの官庁街、とくに国防省ビルを破壊した。米軍機はついでにベオグラードのスパイ本部だった中国大使館も空爆した。

 潜伏して医者を務めていたカラジッチも、数年後には密告により国際法廷に引っ張り出された。セルビアは、嘗ての愛国的指導者を見捨てた。カラジッチは獄中で詩を詠み、そして三島由紀夫を愛読している。

 さて、欧米の積極支援により、コソボは独立した。といっても面積が岐阜県ほど、人口は180万だが、すでに20万人のセルビア人は退去、そのうえ、若者らは外国へ出稼ぎにでて不在。経済は鈍化する。自衛軍どころではなく、治安はNATO軍が進駐し、通貨はユーロだ。
これでは独立国とはいえないのではないか。

 外交的承認は米英独、日本など96ヶ国(一時は110ヶ国が承認)。ロシア、中国、スペイン、ギリシアなどは未承認である。だからプリシュティナの街を歩いても、中国人観光客がいない。

 米国はセルビアとコソボの首脳をホワイトハウスに招き、経済関係の活性化を話し合う場を提供した。トランプは「これは歴史的な事件だ」と自画自賛したが、セルビアはコソボの国家承認は絶対にないとしている。
 コロナ災禍と大統領選挙を挟んだ時期を選んで、こうした外交の乗り出したのは、米国にはなにがしかの理由があるのだろう。ペンス副大統領、クシュナー補佐官らが、ホワイトハウスで交渉を見守った。

 コソボの北、旧ユーゴスラビアの最北端はスロベニアである。イタリアは目の前、物価が安いので、イタリアからおびただしい買い物客がある。
旧連邦のなかでは、もっとも豊かな国である。トランプ大統領夫人のメラニアは、このスロベニア出身である。
     
  ♪
樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@   【知道中国 2127回】              
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港9)

  △
 スクリーンの中の田中新兵衛が等身大の三島だったのか。三島が田中に乗り移ったのか。
生前の三島が「役者は何回も死を演ずることが出来るから羨ましい」と呟いたと記した文章を読んだ記憶があるが、田中を演じている三島にとっては、どこまでが幻だったのか。

おそらく大方の日本人なら、スクリーンに映る田中に扮した三島の一挙手一投足に、『人斬り』の撮影前後から11月25日までの三島の軌跡を思い描いたはずだ。

だが会場に集まった香港の若者の大部分は、おそらく三島演ずる田中の振る舞いに戸惑うしかなかっただろう。その戸惑いに文化──《生き方》《生きる形》《生きる姿》──に対する彼我の違いがあるように思う。やはり判らないものは判らないとするしかない。「異文化理解」など、所詮は理解し合えないことを認め合うしかなさそうだ。

ここで、当時、日常的に接していた香港の新聞事情を振り返って置きたい。
 漢字紙をみると、『星島日報』、『明報』、『工商日報』、『成報』、『快報』、『天天日報』、『華僑日報』、『香港商報』などは地場資本で、論調は反共・嫌共か中立系。敢えて色分けするなら『明報』はインテリ向けで、『香港商報』は労働者や個人経営者向けだったように思う。『大公報』、『文匯報』は「毛沢東思想万歳、万歳、万々歳!」の共産党系で、これに対し『香港時報』は国民党系で当然ながら徹底した反共・憎共路線を貫いていた。

 英字紙を見ると最も権威があり確かな中国情報で知られたのが1903年創業の英字紙『South China Morning Post』で、当時はJardine(怡和洋行)やHSBC(匯豊銀行)などイギリス系資本が経営に当たっていた。現在までの資本構成の変遷は、共産党が示すメディア支配の執拗なまでの姿を物語る。この問題については、いずれ言及したいと思う。他に『星島日報』系に属す『The Star』と『Hong Kong Standard』があった。

現在でもそうだが、香港においては新聞は主に歩道の一角で雑誌やら新聞を並べている屋台で購入する。習慣的に自宅で朝飯を食べることの少ない香港では、道端で買った新聞を読みながら飲茶の品々を食べることが一般的だった。レストランで朝食を済ませると読み終わった新聞の皺を伸ばし丁寧に畳み、再び新聞屋台へ持って行く。

いましがた読み終わった新聞を定価の3分の1程度で引き取ってくれる。昼近くになると、屋台のオヤジは売れ残った新聞に買い取った新聞を2紙ほどを組み合わせ、格安で売り出す。だからしばらく待っていれば、1紙分ほどの料金で2、3紙の新聞が読める。かくして最初の購読者も、2番目も、割安で新聞が手に入る。加えて屋台のオヤジも仕入れのロスを極力減らすことが出来るから、じつに不思議で合理的な商法だ。「互利互恵(ワーク・シェアリング)」を目指す生活の知恵に驚くばかり。

当時、「香港情報」といえばニセ情報、インチキ情報の代名詞であり、新聞とは名ばかりで、日本で喩えるなら『内外タイムス』や『東京スポーツ』に近いものもあった。国民党系紙から「毛沢東死す」とか「毛沢東暗殺か」といった「衝撃的なニュース」が流れようが、一方で共産党系紙が「文革大勝利」「毛沢東思想で今年は空前の大豊作」などと報じようが、市井の人々は眉にツバし、冷ややかに記事を追っていた。
言い換えるならフェイク・ニュースの類をフェイク・ニュースとして大いに楽しんでいたと思う。

だが1972年2月のニクソン米大統領訪中のニュースだけは違っていた。

香港の将来を左右し、自らの人生に大きく関わりかねないだけに、誰もが真剣に新聞を読み、テレビに釘付けになった。あの時、固い反共の信念の持主も、中国人であることに誇りを持ったらしい。毛沢東がニクソンを自らの書斎に迎え入れたという奇跡の一瞬から米中雪解けムードを直感し、殖民地の将来に一筋の曙光を見出したのだろう。
文革がどのような経緯を辿るのか不安は消えないものの、香港の街に安堵のムードが漂ったように感じられた。
      
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~世界で赤狩りが始まった、日本はどちらにつくのかナ
  米英仏、そして豪、NZにカナダ。もちろん台湾でも

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黄文雄『親中派の崩壊』(徳間書店)
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 日本の新政権(もう管できまりだが)の要に親中派の親玉が陣取っている(ちなみにアルバニア人の姓名にも「ニカイ」って政治家がいるが。。。。)
米国の有力なシンクタンクCIISが最新報告書で、親中ラインと規定したほど、ワシントンでも「ニカイ+ イマイ」が「注目の的」(?)になっている。
与党の連立相手の政党はと言えば、親中ラインに輪を掛けて北京にべたべたと媚びる連中ばっかり。財界を見渡せば、中国とうまくやっていけば、まだまだ稼げるという拝金主義の手合いが目立ち、こうなると、同盟国アメリカと日本とのデカップリングたるや、米中のデカップリングどころのレベルじゃないのでは?
 しかし冷静に世界を見渡せば、どう見ても西側世界はアンチ・チャイナに傾きつつあり、EUもギリシア、伊太利亜、ドイツなどを除くと、ぞろり親中路線を捨てつつある。
 象徴的な出来事がビストルエル(チェコ上院議長)ら90名のチェコ使節団が台湾を訪問し、台湾は大歓迎、猛反発した北京は王毅外相が『チェコは一線を越えた』と恐喝的言辞を吐いて報復を示唆した。
 これまで西側ではパンダハガー達が中国との連携を強め、いろいろな工作(つまり悪事)を働いてきたが、その手口も殆どばれてしまった。世界でいま始まっているのは親中派狩りである、と黄文雄氏は力説するのだ。
 しかし西側で日本だけが例外である。
スパイ防止法は、人権に悖るなどと野党とリベラル新聞が騒ぐため、なかなか制定へ漕ぎ着けられない。
 五年前に起きた李春光事件を思い出す、と黄文雄氏はいう。
 中国大使館一等書記官だった李春光は不正に取得した身分証明やら、虚偽申告の銀行口座を持ち、ウィーン条約で禁止されているスパイ活動を展開した。彼は『人民解放軍の諜報部に在籍した過去があり、しかも松下政経塾に入り込むことにも成功し』、当時の農水有力議員に接触、多くの機密文書が漏洩した。
 結局、日本にはこのスパイを拘束する法が未整備のため、李春光は堂々と中国へ帰国してしまった。
 本書を読むと、なるほど日本はスパイ天国と言われる所以が120%呑み込める。
         
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 宮崎正弘の新刊予告 『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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  ──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで守れるのか?
 日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
 縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
 弥生時代の渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
 とはいえ大殺戮は避けられ、国家最大の内戦「西南戦争」でも死者は一万余。
 戦後、日本からサムライ精神は去勢された。闘わない民族に明日はない 
 拉致された同胞を武力を用いて奪回する迫力もなくしたヘナチョコ
 シナや朝鮮からイチャモン、難癖をつけられても沈黙を続ける政治の腐爛
 こんな国でよいはずがない。「凛たれ、ニッポン!」

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(読者の声1)三島由紀夫研究会の公開講座のお知らせです。
       記
日時   9月25日(金)18時開演(17時半開場)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   新保祐司先生(しんぽゆうじ、文芸評論家、前都留文科大学副学長)
演題   「信時潔と黛敏郎」
講師略歴 東京大学文学部仏文科卒。平成19年度の正論新風賞、平成29年度の正論大賞を受賞。主な著書に『信時潔』(構想社)、『「海道東征」への道』(藤原書店)。
参加費  会員・学生 1千円(一般2千円)
       (三島由紀夫研究会)
    


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)9月4日(金曜日)
       通巻第6636号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~インドは米国とのタンデム(二人乗り自転車)に乗るつもりか(中国外務省)
  TIKTOKに引き続き、118の中国アプリを禁止
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 9月3日、インドは中国製アプリ、118種を禁止するとした。さきにTIKTOKなど59のアプリを禁止したばかり。インドでは中国製品不買運動がつづき、同時に中国のインド投資案件の許可が遅延している。国境で中国軍が侵略を繰り返しインド兵多数が殺害されたことが発端である。

 アプリは動画投稿やゲームなど、インドは「国家安全保障に深刻に拘わる」としているが、具体的に何がどう作動しているのかは明らかにしていない。
 米国は早くからファーウェイのスマホの使用禁止など、データが盗まれ、盗聴されているおそれありとして、ELリストはいまでは中国企業が百社を超える。

 香港安全法の強硬により、さらに態度を硬化させた米国は、近未来の金融制裁の具体的措置の検討にも入った。
 ポンペオ国務長官は「年内にすべての孔子学院の撤去を望む」と発言した。すでに米国では一部の孔子学院が廃校されたが、「全部」「年内」という強硬措置にエスカレートした。

 さらにあたらしい発言が加わった。スティルウェル国務次官はASEAN諸国に警告を発し、「メコンデルタ流域に中国がダムを建設しているが、これはラオス、カンボジア、ベトナム、タイといったメコン河経済圏の水利支配をもくろむもの」と断定し、メコン河の全長4350キロ、流域住民6000万人の生活に甚大な影響をもたらす」とした。

 メコン流域の国々ではすでに河川が干しあがって漁業などが立ちゆかなくなっており、各地で反中抗議集会、デモが繰り返されてきた。
     
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ソ連の命脈は共産革命以来、74年だった
   中国共産党体制の崩壊も、74年が寿命とすれば、あと三年だ

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島田洋一『3年後に世界が中国を破滅させる』(ビジネス社)
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 全体が歯切れのよい文章で貫かれ、しかも分析と予測が断定調だから、読む速度も速くなる。
 米中激突に至った経緯を、著者が実際にアメリカで、あるいは中国で接した体験を通して判断し、真実に肉薄している。その内輪話の視点が、大手メディアの報道とまったく異なるので面白いのである。
 日本にはまるで伝わらないアメリカにおける黒人暴動の裏に蠢く、その左翼集団の陰謀的な暴力の実態を知れば、メディアが伝えている反トランプの動きとはおよそ無縁の、極左集団の政治戦術が背景にあることがわかる。
 またボルトン回想録も、日本では反トランプの色合い濃く報じられていたが、実際のボルトン(前大統領安全保障担当補佐官)とは、いかなる人物かを、著者は何回も会見した経験があるので、独自の見立てを展開する。
 とくに著者が拉致被害者家族会や国基研の活動を通してなしてきた、アメリカの要人との会話は、多くのメディアが報じてこなかった陰の部分であり、真相に近いニュアンスをもたらしている。

 さて評者(宮崎)、この本の中で一番印象が深いのは西側スパイ網と、旧ソ連崩壊へ至った舞台裏の出来事を論じた箇所である。
 アンドロポフ急逝後、耄碌じじぃだったチェルネンコがしばし政権を担ったが、守旧派の代弁をしただけで、政治的成果はゼロ。そのあとに登場したのがゴルバチョフであり、グラスノスチ、ペレストロイカは西側の注目するところとなった。1989年、マルタ沖合のヨットでブッシュ大統領とゴルバチョフが会談し、冷戦は終わった。
二年後、ソ連が崩壊した。
この状況を現代の中国に置き換えれば、習近平はチェルネンコで、いずれ、中国版のゴルバチョフが登場する可能性があり、それは三年後ではないかと島田氏は大胆に予測する。
ところで、ソ連崩壊の裏側には、西側の諜報工作、二重スパイが絡む技術インテリジェンス戦争が密かに展開されていた。
フランスの諜報機関はソ連側に「フェアウェル」という暗号名の協力者を得た。その人物、じつはKGB大佐だった。かれが四千件にも及ぶ機密文書をもたらし、1981年の米仏首脳会議で、情報の「共有」が秘かに申し合わされた。機密ファイルはCIAに引き渡された。
 「ソ連の産業スパイ部隊X戦線の手は、レーダー、コンピュータ、工作機械、半導体など広範囲に伸びており、収集予定リストの内、三分の二以上がすでに確保済み」だった。
 そこで米国は、偽技術情報を、意図的にX戦線に掴ませる。
「初期段階の製品検査も通るが、一定期間が経過すると異常な働きをする、要するにウィルスを仕込んだバージョンである」
 かくして「誤作動をおこすコンピュータチップがソ連の軍事施設に組み込まれたり、欠陥タービンが天然ガスパイプラインに取り付けられたり、偽の設計図に従って化学プラントやトラクター工場が建てられ、不良品を生産したりなどの『成果』が挙がった」(195p)
 イランの核施設のコンピュータシステムにウィルスを仕掛けて機能を麻痺させたように、 ソ連はマヒ状態に陥った。そのタイミングにレーガンはスターウォーズ計画をぶち上げたのだ。
 この裏話、次の中国の運命を予測するに多大なヒントを含んでいないのか。
 つまり同じ秘密工作をすでにアメリカは手を打ったと考えると、やがて中国の生産活動、とりわけ軍事技術現場はマヒ状態となるのではないのか。
         
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 宮崎正弘の新刊予告 『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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(読者の声1)管「新」首相は臨時国会で、所信表明演説を終えたらば、まっすぐに靖国神社に参拝すべし。さ管(流石)といわれるように。
  (DF生、千葉)


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)9月3日(木曜日)
       通巻第6635号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ペンタゴン報告「中国の軍事力 2020」の注目点
  中国は海外に軍事兵站基地を12ケ国以上設置していると警告
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 日本の報道は、中国の核戦力が、今後十年で二倍以上になるという驚異的なペンタゴンの予想に焦点をあてた。

 9月1日にペンタゴンが発表した同報告は、主眼をINF(中距離核戦力廃棄条約)におき、米国がIN条約破棄に至った理由を裏付けるように、中国のミサイル保有を1250基以上とした。

 核戦力は米国が、旧ソ連時代からのSTART条約により、3800発、ロシアが4310発と制限してきた。この隙に核戦力を拡充してきたのが中国だった。
また中距離核ミサイルを米ロが廃棄したため、中国の台頭によって、ミサイルのバランスに欠陥があることが判明し、米国はINFに中国の参加を呼び掛けたが、拒否されたため、再び中距離核弾頭の配備をすることになった。

 さてペンタゴン報告の報道に関して、インドのメディアが力点を置いたのは、むしろ中国の海外基地、あるいは偽装された軍事拠点、兵站ルートの構築ぶりである。

 第一に、すでに明らかになったようにインドを囲むパキスタン、スリランカ、ミャンマーに中国は多大な投資をなして軍事拠点を構築した。ミャンマーについては英国インテリジェンス筋が、ラカイン州の西海岸の山の中に空港を建設したとしている。

 第二に、夥しい中国の近隣諸国への兵站建設は、表向き「一対一路」の経済回廊プロジェクトとされている、その偽装ぶりを指摘している。

 第三は、インド包囲網ばかりではなく、中国の軍事拠点は、その世界戦略のもとに、地政学的に巧妙に計算された地域に構築されたか、あるいは構築中だとしている。
とりわけペンタゴンは2017年のジブチを皮切りに(中国はジブチに軍事基地を構築し、人民解放軍一万人が駐在している)、すでに兵站基地があるとして、ナミビア、バヌアツ、ソロモン諸島をあげた。
また近隣諸国ではタイ、シンガポール、インドネシアに何らかの拠点があるとした

 さらにペンタゴン報告では下記の国々に中国の軍事設備、兵站支援拠点、通信基地などの設置が計画されているとした。
 タンザニア、セイシェルズ、ケニア、アンゴラ、タジキスタン、UAE。。。
     
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「歴史が繰り返すことはない。しかし歴史のパターンは絶えず繰り返される」
 『腐敗の時代』『文化の時代』『正義の時代』のエッセンスを編集し直した

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渡部昇一『時代を見抜く力』(育鵬社)
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 本書は渡部教授が熱意を込めて書かれた、生前の力作エッセイ『腐敗の時代』『文化の時代』『正義の時代』の三部作から、エッセンスを編集し直した編著である。
 肯綮にある格言とは「歴史が繰り返すことはない。しかし歴史のパターンは絶えず繰り返される」ということだろう。ちなみに副題は「渡部昇一的思考で現代を斬る」となっていて、納得がしやすい。
 評者(宮崎)の氏との想い出は別の機会に書いたので省略するが、いつも本を(それも原書)読んでいる人、ところがしゃべり出すと話題が豊富で止まらない人。論争でも相手をやりこめる詭弁ではなく、堂々たる反論は科学的、合理的だった。
 さて、本書のすべてを小欄で網羅するとなると、おそらく三部作の一冊はおよみになった読者が多いと思われるので、一箇所だけ、あらためて紹介しておきたい。
 清濁併せのんで繁栄をもたらした政治家が日本にもいた。
 田沼意次ほど「腐敗の権化」を悪評さくさくの政治家はいない。だが、この歴史的評価は、はたして正しいのか?と渡部氏は問題をしてきた。
 最初に田沼を評価した作家が村上元三氏と評者、早や合点してきたが、じつは 徳富蘇峰の『近世日本国民史』(講談社学術文庫)は、わざわざ一冊を「田沼時代」として田沼の政治をやや冷ややかに評価している。

 ▼田沼意次時代とは日本史においてどういう意味を持つのか?

 しかし十九年間に及んだ田沼政治は、安倍晋三政権の二倍の長さである。権力が長くなれば政治は弛緩し、腐敗も産まれる。気分も開放的になり、社会はいくぶん放埒になる。 創意工夫が産まれ、芸術が花盛りとなる。
 事実、華やかな江戸文化は田沼時代に興隆した。
 明和四年から天明六年に至る十九年間、田沼は宰相として政策を決定し、賄賂もはびこったが、それは当時の時代の掟のようなものだった。徳富蘇峰は、むしろ田沼意次のオランダ癖に焦点を当てて、そのオランダ学への熱狂的傾斜が日本において蘭学を恢弘させたとする。
杉田玄白の『解体新書』がでたのも田沼時代、大槻玄澤の『蘭学階梯』もそう。夥しい蘭学者を輩出したこと、また平賀源内の活躍を助長したのも田沼だったうえ、黄表紙本から、狂歌、川柳の興隆、世界に衝撃を与えた日本の芸術=浮世絵の黄金期は田沼政権時代に重なる。晴信、春章、歌麿が輩出した。意外に国学が栄えたのも田沼時代だった。塙保己一の『群書類従』、そして蕪村が活躍した。
 逆に田沼失脚のあとに登場する松平定信は、質素倹約を旨とするカタクルシイ時代がやってきて、贅沢もいけない、創意工夫のいけない、高級な菓子も、浮世絵も、女性の装身具にカネを使ってはいけない。そのうえ、学問の統制まで行ってしまった。
統治に都合の良い朱子学以外の学問を認めなかった。その反動から、武士は昼、儒学、夜に陽明学に親しんだ。
 松平定信をからかった狂歌が残る。
 「白河の清きに魚も棲みかねて、もとの濁りの田沼恋しき」。
 松平定信は白河藩主だった。かれの緊縮財政によって、日本経済の繁栄は終わり、松平定信が日本経済に不況をもたらし、「大量の失業者ができ、言論が不自由で、出世の見込みはなくなり、人の世がつまらないものになった」(61p)。
 当時から田沼の悪評も聞こえたが、経済が繁栄すれば、田沼政治批判より、目先の利益を追うだろう。
それを道徳的観点からだけで、腐敗の権化にしてしまった元凶を、渡部氏は松浦静山とみる。平戸藩主にして『甲子夜話』の作者だが、松浦海賊の末裔だ。
「日本人は田沼を嫌い、定信の登場に喝采し、家斎に飽きて水野忠邦の登場を歓迎し、政党政治を軽蔑して清潔武断の軍人政治を喜んだ」
             
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 宮崎正弘の新刊予告 『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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 ───岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで守れるのか?
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OINIONS 読者之声
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(読者の声1)宮崎正弘先生の独演会のお知らせです。
演題は『米中激突、鎖国ニッポン、さようなら習近平』
https://www.kokuchpro.com/event/a802defef41c3c2d09302832ba5314d0
        記
【日時】9月5日(土)14時30分~16時30分(開場:14時)
【会場】文京区民センター2F 2-A会議室(文京シビックセンター向かい側)
東京都文京区本郷4─15─14(都営三田線・大江戸線「春日駅」A2。徒歩10秒、
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」5番出口から徒歩3分)
【参加費】事前申込:2000円、当日申込:2500円、事前申込の大学生:1000円、高校生以下無料
【申込先】9月4日21時迄にメール又はFAXにて下記で受付(当日受付も可)
     FAX 0866-92-3551
 E-mail:morale_meeting@yahoo.co.jp
【主催】千田会 https://www.facebook.com/masahiro.senda.50
        (千田会)

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(読者の声2)「李登輝先生を偲ぶ会」のご案内です。アジアの誇る大政治家、日本精神を説く先生に日本人はどれだけ勇気つけられたでしょうか。偉大な政治家を偲び、日台関係の明日を考える会です。
     記
とき   9月5日(土曜日) 1830-2030
ところ  文京シビックセンター 26階スカイホール
講師   宮崎正弘「李登輝先生を語る」
     柚原正敬「李登輝先生とともに歩んだ歳月」
     藤 重太「李登輝先生の遺志を継ぐ人たち」
参加費  おひとり千円
主催   英霊の名誉を守り顕彰する会
連絡先  (090)6709-9380(佐藤)


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)9月2日(水曜日)
       通巻第6634号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~チェコ上院議長ら90名が台湾訪問、蔡英文総統と会見、国会で演説
  その陰に隠れたがオランドで起きている中国排斥の激烈
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 ヴァーツラフ・ハヴェブは詩人だった。
 実家は名家だったが、共産党に全財産を没収され、工員の苦労をしながら文学、演劇に親しみ、88憲章を起草した。ソ連崩壊の端緒となったチェコのビロード革命の震源地である。

ヴィーツラフが獄中から釈放され、広場を埋めた数万の群衆の前に現れたとき、チェコ国民は歓呼の声で迎えた。1968年夏、プラハは突然のソ連戦車の出現で自由が圧殺されて以来、チェコは全体主義の無謀な政治の下に呻いた。まさにこのパターンに逆行しているのが、香港である。だから香港の学生らはジョン・レノンの壁を随所につくり、メッセージを書き込んだ。レノンの壁運動はチェコの首都プラハのカレル橋の河畔に誕生した。

1989年、民主化されたチェコでヴァーツラフは最初の大統領に選ばれた。
かれは自由の重要性を説いた。言論弾圧、表現の自由、人権、法治を訴え、チェコ国内が落ち着くと世界行脚の旅に出た。とくに力点を置いたのが台湾だった。

 そのチェコで一月に急死した前上院議長が決めていた使節団の台湾訪問を、後継のビストルチル上院議長が引き継いで、90名の代表団を率いて台北入りした。台湾各地で大歓迎を受けた。台湾立法院(国会)で演説し、蔡英文総統とも会見した。
 猛烈な抗議を繰り返した北京政府は在プラハの中国大使を召還した。

 さて、チェコの台湾関係報道に隠れたが、オランダでも対中関係で「画期的」な状況が進行している。その焦点となったのはASMLだ。

もともとニコン、キャノンが開発してきた半導体製造の露光技術で、オランダが世界シェアの98%を握るようになったのも、同社が研究開発資金を大胆の投じてきたからで、株式の15%は米インテル、台湾TSMCが5%、韓国サムスンが3%と、合計23%株主は多国籍である。

ASMLは米国シリコンバレーにも開発部門がある。中国人スパイによって基本設計図が盗まれたのは2015年、サンノゼ裁判所は、この技術盗難を重視して、罰金刑を科した(ブルームバーグによれば8億4500万ドルの罰金だったという)。

半導体の自製化を「2025中国製造」の目標に掲げる中国がASMLを標的とするのは当然であり、2019年には一台一億円以上といわれる半島隊装置が中国向けに出荷されようとしていた。


▼最先端ハイテクが中国に渡る寸前だった

輸出直前に米国の圧力によってライセンス発行を拒否(オランダ政府が輸出許可を出さなかった)。この決定直後にポンペオ米国務長官がハーグを訪問した。以後、ASMLの半導体装置の対中輸出は中断されたままである。

この異変がおきたのも、以前にオランダは大失敗をやらかしたからだ。半導体製造のNXPセミコンダクターは次世代通信5Gの中核技術を誇った。この企業を中国のファンド=AJCキャピタルが買収し、オランダは半導体ビジネスから撤退していた

そうした経緯をふまえたオランダ政府は、新興の半導体製造「スマート・フォトニクス」に2370万ドルの出資を決めた。くわえて政府支援のコンソーシアムを形成し、起業資金を調達する。つまりオランダ政府肝いりで次世代半導体の製造に乗り出す。台湾、韓国、日本などと競合することになる。

日本の半導体の衰退は、米国の妨害に起因し、日本政府の支援がなく、東芝メモリーはようやくにしてキオクシアに衣替えして、秋に上場を果たす。ルネサスは苦戦の最中、オランダ政府のやり方とは対照的である。

2020年8月26日、王毅外相が急遽ハーグを訪問したが、オランダ政府の立場は変わらなかった。
     
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2126回】                   
 殖民地だった頃・・・香港での日々(香港8)

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 正面が観音開きの頑丈そうな鉄製網戸で、その両側に石造りの門柱。門柱に林泉別墅と刻まれている。門柱のベルを押す。遠くの方で「リーン」と来訪者を告げる音が響くが、シーンとしたまま。
しばらく待つと、遠くの方から「来了、来了(はい、はい)!」と声がして、50代半ばと思われる小太りの女性が階段を駆け上ってきた。来意を告げる。

 彼女の後から曲がりくねった階段を下りると、小川に囲まれた洒落た山小屋風の大きな家があった。広い芝生の前庭を小川が囲み、周囲は高い木々に覆われている。見上げると目に入って来るのは青空と緑濃い木々のみ。清浄な空間が森閑として広がる。活気と喧騒、猥雑さと人慍が混然一体化したような香港のイメージからは想像もできない。別天地だ。

 出迎えてくれた教授と夫人に改めて挨拶をして、4人の子供と初対面。だが物陰に隠れていて出てこない。
じつは彼らが日常的に接するのは両親と兄弟。他人と言えば、今しがた門を開けてくれた住み込みの「小姐(お手伝いさん)」と定期的にやって来て庭の手入れをする「花匠(庭師)」、加えて中国語の女性教師。だから子供たちが日常的に接する大人は両親と3人ほどの他人。学校に通っていないから、同世代の他人に接したことがない。

 9歳のシャイな長女を頭に、悪戯盛りの長男、おちゃめな次女、それにオシメのとれない次男 他人との間合いの取り方に戸惑う4人を前に試行錯誤である。「慣らし運転」が終わる頃、日本の小学校の全教科の教科書が届く。
「二十四の瞳」ならぬ「八つの瞳」を相手の寺子屋式の授業が始まった。悪戦苦闘で悲喜交々の模様は後日ということで。

 家庭教師の口が見つかって暫くすると、第一日文のD先生から、体調の優れないY先生の代役を仰せつかった。どうやらこれで、香港長期滞在のための最低限の財政基盤は確保されたことになる。

 香港生活を初めて最初の衝撃的事件は、やはり「三島事件」だった。
 当時はインターネットもSNSもない。テレビはあったが経済的に贅沢に過ぎる。やはり頼るのは新聞しかない。

 事件翌朝の新聞は「日本軍国主義の復活」やら「帝国主義的反動文学者」といった批判に溢れていた。共産党系・中立系・国民党系のいずれであれ、事件に対するメディアの最大公約数的反応は「危険な日本軍国主義復活」「日本反動化の兆候」。研究所の先生方も先輩たちも、おしなべて「ノーベル文学賞有力候補ほどの文学者が、なぜ自衛隊に押し入ってハラキリをしたのか」「野蛮すぎる」「日本人はワケが分からない」だった。

 事件を報じた新聞の切り抜きや事件を特集した数冊の週刊誌が、2週間ほどで実家から届いた。自衛隊員に対する三島の最後の呼び掛けを収めたソノシートがあり、早速、聞いてみる。ヘリコプターのローター音や自衛隊員のヤジに立ち向かう三島の心の叫びを聞きながら、なにが三島を行動に駆り立てのか。思想が秘めた衝撃力を考えさせられた。

 半年ほどが過ぎた頃と記憶するが、住宅、町工場、小さな商店などが密集していた下町の紅?にあった映画館で「三島由紀夫を考える」といった趣旨の映画シンポジュームがあった。上映されたのは『人斬り』(1969年)で、三島が「幕末の四大人斬り」の1人に数えられる田中新兵衛役で登場すると、300人位の若者で埋まった会場に緊張が奔った。

 幕末の京都で姉小路公和暗殺現場に残された刀が田中の愛刀だったことで、田中は襲撃を疑われる。犯行を問い詰められながらも弁明を拒絶し、取り調べ役人の一瞬のスキをついて自裁して果てた。
その瞬間、会場全体がアッと驚き息を呑む。おそらく、一切の弁明を拒否し決然と自死を選んだスクリーンの中の田中に現実の三島が重なったのだろう。だが次の瞬間、会場の一部から笑いが起こる。なにが笑いを誘ったのかは不明だが、会場の反応から文化(ヒトの生き方)の違いのようなものを思わざるを得なかった。

(宮崎正弘のコメント)あれから五十年、11月25日には「第五十回 憂国忌」が開催されますが、そうですか、香港での衝撃は、日本とはまた異なった次元だったのですね。


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)9月1日(火曜日)
       通巻第6633号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あのマイケル・ムーアがまた予測した。
  「民主党よ、トランプ再選にそなえよ」。
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 マイケル・ムーアを言えば、極左の映画監督。ジャーナリストとしても多くの作品があるが、社会活動にも熱心で、反トランプの旗手でもある。若者に人気があり、彼のツィッターは数十万の拡がりをもつ。

 嘗てはブッシュ vs ゴアの一騎打ちで、辛勝したブッシュに対して「ブッシュよ、アメリカを還せ」と叫んだ。映画製作では日本映画に相当な影響を受けており、ゴジラが好きだとか。またヒロシマを訪問し、記念館を四時間かけて観察したことでも知られる。本人はカソリックの信者である。

 そのムーアが世論調査の結果より、底流に流れる変化を分析し、バイデンの頭一つ程度のリードに根本的な疑問を投げた。
 「みよ。トランプの基盤の支持者は600万人。それも熱狂的である。比較せよ。バイデン陣営に熱狂はあるか?」
 
 このムーが発現はただちにフォックス・テレビ、ガーディアンなどが大きく報じた。
 全米の空気が変わっていることを小誌でも報じたが、リベラルなメディアは、前回同様なミスリードをしていることを、ムーアはそれとなく示唆したのだ。

 2016年選挙でも、全米のメディアは、FOXをのぞいてCNN主導で固まっていた。
 なにしろヒラリーが絶対勝つと報じていたではないか。主観が混在すると、記者の独断と思考が、予測の客観性を妨げる。
 そのおりにもムーアは予測した。「今度はトランプは勝つぞ」。そして今年の十一月。ムーアは「トランプの再選」を予測する。
     
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 日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
 縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
 弥生時代の渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
 とはいえ大殺戮は避けられ、国家最大の内戦「西南戦争」でも死者は一万余。
 相手を先に忖度し、譲歩を重ねるという日本人の性格は「和」が尊ばれるからた。
 ──しかし、その代償とは?
 土地の値上げに関心があっても、その土地を守ることに関心のない国民
 理想を失って些末な政策論議に堕落してしまった国会
 くだらない揚げ足取り、本当の議論を避けてきたのが日本というムラ社会だった
 拉致された同胞を武力を用いて奪回する迫力もなくしたヘナチョコ
 シナや朝鮮からイチャモン、難癖をつけられても沈黙を続ける精神の腐爛
 こんな国でよいはずがない。凛たれ、にほん!

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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@  【知道中国 2124回】    
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港6)

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 喧嘩は売られても買わないが、アルコールが目の前に現れたらゼッタイに逃げない。拒否しない。遠慮しない。そこで2段ベット上段からソロリと降り、先ず一献。この先、Tさんとの共同生活は1年ほど続いたが、深夜の酒盛りは半ば常態化していった。

 翌朝、ヴィクトリア港を横切るフェリーで香港島へ。海底トンネルも地下鉄もなかったから、九龍と香港島を繋ぐ公共交通機関はフェリーだけだった。佐敦道碼頭のフェリーは上下2層になっていて、上層でヒトを、下層で車輌を運んでいた。晩秋の海風が、昨夜というより今朝方のアルコールで火照ったままの顔面に心地いい。

 香港島の上環(セントラル)の一角の国際大廈にあった日本総領事館へ。在留届を提出し、留学に関する手続きは総て完了した。当時の香港にどれほどの数の日本人が長期滞在していたかは不明だが、留学生もそれほどに多くはなかっただろう。

大学は香港大学と中文大学の2校だけで、中文大学を構成する崇基書院、聯合書院、新亜書院の3書院、新亜書院の上に置かれた大学院に当たる新亜研究所と指折り数えても、10人をそう多くは出てはいなかったと記憶する。最も多かったのが新亜書院に学ぶ亜細亜大学からの交換留学生だった。彼らは3年次に編入され、新亜書院卒業と同時に亜細亜大学卒業の資格も取れたから、今風に表現すればダブル・ディグリーということになろうか。

各学年3人で計6人。基本的に大学キャンパス内の学生寮に住んでいた。この制度が現在も継続されているかは不明だが、亜細亜大学の名に相応しい先進的な制度だったと思う。
その夜も山林道の第一日文へ。Y先生への挨拶のためだった。「中国語の勉強にもなるから」と誘われて教室へ。後ろの方の席に座る。日本語授業の初体験である。頭の中で日本語を中国語に、中国語を日本語に訳す。学生が話すのは広東語訛りの中国語だが、簡単な日常会話だから聞き取れないわけではない。
そこで最初に口をきいた李さん、黄さん、呉さん、邱ちゃん・・・半世紀続く付き合いの始まりだった。

授業が終わる。文蔚楼の隣の文昌楼(だったはず)に住まわれるY先生と一緒に帰路に。
帰宅するや、「今度の日曜日に第一日文の学生を呼んで歓迎会をするから」と、大家のSさんから有り難いお誘い。断るまでもない。二つ返事である。じつはSさんは香港に逃げてきた後に日本語に興味を持ち、当時は第一日文で先生をしていた。日本には行ったことがないと言うが、見事な日本語だった。さぞや努力を重ねたことだろう。その努力の一端を思い知らされることになるが、それは後々の話ということで。

待望の日曜日である。朝、台所に行くと可愛らしい子犬が飛び跳ねていた。さて、犬を飼ってはいなかったはずだが・・・。昼頃に台所を覗くと、皮を剥がれた子犬がタイル張りの床に仰向けに転がっていた。夕方、李さん、黄さん、邱ちゃんたちがやって来た。Tさんも参加し、総勢10人ほどで囲んだのが「香肉(いぬにく)」の鍋料理である。湯気の立つ鍋の中身は、あの子犬。コップのビールは進むが、流石に箸が進まない。

とはいえ「不要客気(えんりょせず)!」と声を掛けられれば、やはり鍋に箸を突っ込まなければ申し訳ない。友情だ! 気合いだ! 鍋の中の野菜だけでは失礼と思い、恐る恐る肉を口に。トロ~リと溶けるようで、旨い。香肉との長い付き合いの始まりである。

本当は中国語の個人レッスンを受けたいが、なにせ緊縮財政。そこで「国語片」(台詞が中国語の映画)を見て覚えようと思いつき、第一日文近くの倫敦戯院(ロンドン・シアター)へ。当時の流行りの「功夫片(武侠モノ)」を何回か見て気づいた。魯迅の『孔乙己』ではないが、セリフは「之乎者也」で終わる。これを訳せば「・・・でゴザル」だから、の日常会話の役には立たない。映画館通いは早々に止めた。

 では、どうする。窮すれば通ず、である。幸運にも大スポンサーが現れた。  可愛く聡明な4人の子供たちだ。

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【知道中国 2125回】             
  ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港7)

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 誰が考えても、4人の子供が見ず知らずの日本人留学生に同情し資金援助を申し出てくれるわけがない。もちろん大スポンサーは子供らの両親である。
 香港での生活が半月ほど過ぎた頃だったと記憶するが、家庭教師のアルバイトを紹介してくれる人が現れた。是非にもお願いします、である。先方から指定された場所に出掛けると、現れたのは中文大学で数学を教えるアメリカ人教授だった。

 軍靴風の編み上げ靴、洗いざらしのズボン、肘の部分を皮で補強したカーキ色のセーター、細面に鋭い光を放つ目、短く刈り込んだ髪──質実剛健のオーラを痛感した。これが本物の数学者の佇まいというものだろうか。風貌は哲学者のヴィトゲンシュタインを彷彿とさせる。もっとも、ヴィトゲンシュタインは写真でしか見たことはないが。

 先ずは自己紹介だが、ドギマギするばかり。すると教授が少し顎を突き出しながら話し始めた。「あの~ッ、ムスメも、セガレも、英語は話せません。あ~ッ、日本語で~ッ、日本を教える。日本語だけ話す。1週間のウチの何日か一緒に生活して~ッ、子どもらに日本人の生活を教える。イイですか」と。余りにも印象が強烈だっただけに、初対面のシーンは半世紀が過ぎた今になっても、脳みその奥のド真ん中に深く刻まれたままだ。

後で知ったことだが台湾製の日本語学習レコードで独学した日本語というだけに、発音にクセがあり、「セガレ」などと懐かしい響きの日本語だった。世の中には不思議な人がいるものと感動頻りだったが、ともかくも面接は合格だ。これでヒト安心である。

数日後、指定された健康診断書とレントゲン写真を持参して、新界のお宅を訪ねた。
 いまは尖沙咀の先端で赤煉瓦の時計塔を残すのみの九龍駅だが、往時は九龍と広州を結ぶ九広鉄路の始発駅であり、英国殖民地盛時の名残が感じられる荘厳な造りだった。ガラーンと広く薄暗い駅構内に入ると、中央に六角形(だったような)の切符売り場があり、駅員は大型ソロバンを横に置いている。座席は軟座(特等)と硬座(普通)に分かれ、切符を売る毎にソロバンの球を弾く。軟座は定員まで珠を数えたら切符販売終了となる。アナログ式販売方法は、素晴らしく簡便な生活の知恵だ。そのステキな曖昧さに感心頻り。

駅のホームは日本のように高くはなく、せいぜいが30センチほど。些か老朽化していたとはいえ濃い緑色の車輌に乗り込むと、日本では見られない広軌だから内部は広く、ゆったりしていた。この先、どれほどお世話になったことか。もっとも大部分は無賃乗車だが。

 始発の九龍の次が旺角で、やや走ると獅子山(ライオンロック)トンネルに入る。トンネルを抜けると眺望が開け、大圍を過ぎて大きく右にカーブし、沙田駅に近づく頃には右手に小型トロール船が遊弋する沙田湾が見えてくる。

しばらく進むと左手の丘陵が中文大学の広大なキャンパスだ。駅名はズバリ大学。当時、ホームは浪打際にあった。開学数年後で整備途上であり建物は少なく、それが濃い緑のなかに点在し、ステキな雰囲気を醸し出していた。
ここが2019年6月からの反逃亡犯条例をめぐる大混乱の際に学生と警備部隊による激しい攻防現場になるとは、悲しくも寂しくもある。時の流れを痛感させられた。

 しばらく進んだ右手の海が、端午の節句に行われる龍舟賽(ドラゴンレース)の会場だ。大学の次の大埔墟で下車。この先の沿線事情は、いずれ墓地探訪の際に。
大埔墟の駅を出て少し進むと幹線道路にぶつかる。道路を越えると映画館があり、映画館裏手の公園の一角がバス停だった。目指す林村行きのトラック・バスに乗る。

九広鉄路沿いに進みガードを左にくぐってしばらく走ると、道は大きく左にカーブし山間部に入っていく。
一帯には春節飾り用の桃の若木を栽培する農家が多い。蕾の先がほんのり色づきはじめた春節前の時節だったから、辺り一面が淡いピンクに染まっていた。

終点でバスを降り土の坂道を5分ほど上ると、一家が住む林泉別墅が現れる。

      
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OINIONS 読者之声
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(読者の声1)28日放送の「フロント・ジャパン」(宮崎正弘vs上島嘉郎)は下記でご覧になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=8D9yViC_r2M
  (日本文化チャンネル桜)

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(読者の声2)とびっきりの講演会のお知らせ

演題 「国際情勢の読み方-北朝鮮、中国、米国」
講師 元駐米特命全権大使・中曽根平和研究所理事長 藤崎一郎 先生
日時 令和2年9月24日(木)PM6:00~
定員 先着80名(要予約)
会場 神奈川県民サポートセンター3F 304号会議室
(JR横浜駅徒歩3分ヨドバシカメラ裏手)
問い合わせ先 045-263-0055
※コロナ対策の為マスク着用厳守

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<< 宮崎正弘のロングセラーズ >> 
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『CHINAZI(チャイナチ) 崩れゆく独裁国家・中国』(徳間書店)
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『地図にない国を行く』(海竜社)
『日本が危ない!  一帯一路の罠』(ハート出版)
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