気持ち悪い話

  私はひどく自分に自信がない。
根拠は色々あるけど、何かしら成し遂げ、それを褒められるまでの成功体験に乏しいのは大きいと思う。
  だから堂々と、テキパキと、自立した精神のある人を好きになれない。なんだかその姿勢を見ていると惨めになる。私も頑張るぞ、この人に釣り合いたいなんていう精神的な上昇志向はカケラも生まれない。一緒にいると、確かにその自信という光には憧れる。だがふと後ろを振り返った時に見えた自身の影の濃さに気付き、そう背を向けたまま後ろへ歩き出す感覚だ。
  そして確信したのは、私はかわいそうな人しか好きになれない。何か欠けていたり、不安を抱えていたり。穴埋めを求めて泣いている人しか愛せない。私自身の弱さが生み出した言わば呪いのようなものだと思う。
  人には人の地獄があると思うが、その上で光を放てる人は私みたいなのを必要としないだろうという驕りと恐怖を持つ。足掻いて泣いている人には、驕りと安心を持つ。私はそういう生き物なのだろうと推察している。惨めを共に苦しむという不幸を幸せだと思える人にしか寄り添えない、気持ちの悪い人間になってしまった。それをポジティブな方へ変える一歩にすら自信を持てない、どうしようもない生き物である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?