見出し画像

フリーランス総合診療医によるもしものための話し合い①『アドバンス・ケア・プランニングとは?』


だいぶ秋らしい季節になってきましたね(とはいえあっという間に11月)。
私は10月末に遅めの夏休みをいただき、奄美大島へ泳ぎに行ってきました🐋
奇跡的にずっと晴れて、Amami Blueにとっても癒されました💙

奇跡的に晴れ、美しい奄美ブルー
ご褒美の夕陽


さて、今回は、私の本業とも言える“アドバンス・ケア・プランニング”のお話。
去る11月12日、伊豆大島の大島町役場で、毎年恒例の島民向け講演会『もしものための話し合い より良い人生を生きるために 〜もしバナゲームをやってみよう!〜』を開催しました。

皆さんは、ACP、人生会議、という言葉を聞いたことがありますか?


1.もしものための話し合いとは?

もし、あなたや、あなたの大切な人が突然事故に遭ったり、大きな病気にかかってしまったら・・・
もし、ガンにかかっていることが分かったり、認知症や老衰が進んで、限られた余命しかないとわかったら・・・
どんな医療・ケアを受けたいですか?どこで、誰と、どんなふうに過ごしたいですか?

もしものための話し合いとは、
人生の最終段階に受けたい医療・ケアについて、
家族等や医療スタッフと 事前に繰り返し話し合うこと
を言います.

専門用語では“アドバンス・ケア・プランニング(ACP)”と呼ばれ、
一般の人向けには“人生会議”と愛称が付けられています.

H30年に、厚生労働省が『人生の最終段階における医療・ケアに関するガイドライン』を作成し、ACPを一般の人に広めるために、人生会議という愛称をつけました。
しかし一般の方を対象とした調査では、国民の約95%がACPについて知らない・よく知らないと回答しています。

私自身、医師として現場で働く中で、ACPをもっと一般の人に周知しなければと痛感する悲惨な状況を何度も目の当たりにしてきました。
そこで、2021年1月、信頼できる多職種の仲間と共に、“もしもプロジェクト”というプロジェクトチームを立ち上げたのです。


水温も高くて、トロピカルなお魚がたくさん見られました🐠


2.なぜ、もしものための話し合いが重要なのか?

誰しも、突然の事故や、命に関わる急病にかかる可能性があります。
誰しも、いずれは歳を取り、認知症になったり、老衰を迎えます。
昨日まで元気だったのに、ある日突然、ガンが発覚することもあります。

突然の事故や急病では、すでに重症の状態になっていることが多く、話し合う時間がありません。
また「その時になって考えればいいや」と思っているうちに、いつの間にか高齢になり、話すきっかけがないまま、認知機能が低下して話し合えなくなってしまうことも。

人生は一度きり、自分が主人公の物語。
そのクライマックスを、より自分らしく、納得して、満足して過ごすために
話せるうちに、時間のあるうちに、大切な人と話し合う
ことが重要なのです。

場所によって海の色が全然違う


自分の大切な人が、余命残りわずかと言われたら
誰だって、『助けるためにどんなことでもやってほしい!』と思うのは当然です。
ましてや目の前で急に具合が悪くなったら、誰でも慌てて救急車を呼ぶでしょう。

医療は100%ではありません。私たち医者も、神様ではありません。
残念ながら、時には助けられない命もあります。
そして、高齢になればなるほど、治療や検査自体が、かえってご本人の負担となり寿命を縮めてしまう可能性もあります。

『どんな治療でも乗り越える』というご本人の強い意思があればいいのですが、
痛みや呼吸の苦しさを感じながら、機械や点滴に繋がれて意識のない状態で、病院で亡くなるのか
あるいは、苦痛緩和の治療をメインに、清潔の保たれた状態で、最期まで家族の傍でその時を迎えるのか
どこで・誰と・どんなふうに過ごしたいか、“もしもの時”に備えて、事前に話し合っておきませんか?

日本では特に『死』をタブー視することが多いので、なかなかACPが広まらないのが現状。でも、私は、ACPは死に方ではなく“より良く生きるための話し合い”だと思っています。
そして、きっかけさえあれば、話し合うのに早すぎることはありません。

私たちは人間ですから、気持ちは常に変わりゆくもの。年齢や環境の変化に応じてどんどん変わって当然。
だからこそ、その都度、いつでも、何度でも、話し合いを繰り返すことが大事なのです。


高校の同級生が作ってくれた、ロゴマーク


3.もしもプロジェクトとは?

私は兼ねてから、信頼できる仲間たちと『何か大きなプロジェクト活動をしたい!』と思っていました。
フリーランスになり時間もできたことで、ACPの重要性をより一般の人に広めるため、もしものための話し合いを広める“もしもプロジェクト”を設立しました。

メンバーには、医師、看護師、診療看護師(NP:医師の指示のもと、ある程度の診療行為を許された看護師)、救命士、社会福祉士など多職種で構成され、私が心から信頼している人たちです。
みんな私に感化されて、伊豆大島が大好き!🌴(なはず笑)。
現在は伊豆大島での活動がメインですが、今後オンラインなども活用しながら、色々な地域や施設で活動していきたいと考えています。
もしもプロジェクトのホームページはこちら(最近更新をサボり気味です…)



次回は、ACPについてもう少し詳しく説明していきたいと思います✨

つづく


Reiko🌺

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?