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フリーランス総合診療医、船医になる②『初めての船は観測船!?海の世界へようこそ!』


皆さまこんにちは!新年度はいかがお過ごしでしょうか?🌸
船医として航海に出て、帰港してからはや2ヶ月🛳️
私はといえば、4月から週に一度、訪問診療のクリニックでも勉強しています!

先日、離島医療に興味をもつ学生さんたちからインタビューを受け、若い人たちのパワーに感心し、刺激を受けた今日この頃。
遅くなってしまいましたが、これから少しずつ、船医の航海日誌をつけていきたいと思います✨🐋


1.大学病院を辞めて、船医になるまで


プロローグでもご紹介しましたが、私は学生時代から世界を旅する船医になるのが夢でした。
ブラックな大学病院を飛び出しフリーランスとなってから(詳しくはこちら▶︎伊豆大島をこよなく愛する総合診療医、フリーランスになる)、まず初めに辿り着いたのが“某庁の観測船の船医”です。

私がずっと思い描いていた船は、ピースボートのような世界を旅する豪華客船。
ただ、ホームページを探していて募集を見つけたのが、某庁の観測船でした。

観測船の航海は、約2ヶ月
大学病院に勤めるような勤務医にとって、2ヶ月間も本職を休むことは不可能。
今やフリーランスとなった私は、ついにそれが実現できる!!
応募しない選択肢はありませんでした。


では、誰でも船医になれるのでしょうか?
某庁の観測船船医の条件は、基本的には『医師免許があれば誰でも可』です!
応募の締め切りの1ヶ月以上も前に履歴書を提出した私(笑)
その後、簡単な作文と面接(コロナ禍のためオンライン)を終え、幸いなことに採用していただくことが決まりました!

某庁の観測船は、夏と冬の年2回、船医を募集する航海に出ています。
途中の寄港地として、これまではパラオやミクロネシアなど海外がほとんどだったようですが、コロナの終息が見えていなかった2022年時点では、代わりに沖縄の那覇へ寄港することになりました。

採用が決まった後、まず初めに取得したのが“船員手帳”です。
証明写真を持参して横浜にある関東運輸局まで出向き、分厚いパスポートのような船員手帳を作成!(実際に、パスポートと同じく身分証明になります。10年有効だとか)
その後は、提携している医療機関にて船員健康診断を受け、準備完了です。

船医になる際に一つ面倒だったことといえば、健康保険証の変更でしょうか。
船員として乗船する間は、某庁の職員として期間限定の公務員になります。
私はこれまで、大学病院の任意保険を継続していたのですが、それを解約して船員保険に加入→下船と同時に国民健康保険を取得しなければなりませんでした。
まぁ、これらの手続きに必要な書類は、各部署で早急に対応していただいたので、大きな問題はありませんでしたが(感謝)。

ついにゲット!✨


2.出航までの準備あれこれ


私が船医として乗船していた期間は、2023年1月末〜3月上旬までの1ヶ月半。
冬の航海なので寒いのかと思いきや、観測地点は赤道近くまで南下するため、乗船中は真夏のような暑さでした🌞

船には洗濯機があり、自由に使用することができたため、私は毎日の制服としてスクラブ(いわゆる手術着。テレビドラマでよく俳優さんが着ているあれです🚑)を3着+白衣+聴診器を持参。
それに加えてパジャマ的なルームウェアを2セット+冷房対策で上着を1着。
また、沖縄で過ごすジーンズやトレーナーといった私服を2着くらい。
(実際には、2月の沖縄は25℃以上あり、観光途中でTシャツを購入して着替えましたw)

あとは生活用品と飲料水(これは、船にも浄水器があったので必要なかったかも)、アルコール(時間外は飲酒も自由)、部屋で使用するヨガマットや筋トレグッズなども含め、荷物はスーツケース1個+段ボールが数箱程度になりました。


・・・皆さんが一番気になるのは、ネット環境ではないでしょうか。
航海中はWi-Fiがつながりますが、正直かなり接続が弱いです。
LINEは繋がりますがタイムラグがありますし、動画は重くてみられません。
もちろんYouTubeも見られないし、SNSも基本的には繋がりません。
電話なんてもっての外。(超緊急用の衛星電話はあり)

『Wi-Fiが繋がらないなんて無理!!!』と思った、そこのあなた。
これこそが、デジタルデトックス✨✨
社会の雑音から解放される絶好の機会だと思いませんか?(思わないかなぁ)

船の中には“娯楽”がありません。
前述の通りWi-Fiが弱いので、私はiPadに本や映画などをダウンロードしたり、友人にDVDをたくさん借りて持っていきました(各部屋にDVDデッキあり)。

でも。
ずっと部屋に閉じこもるなんてもったいない!
こんなに綺麗な海を、毎日、見られるんですから。

360度の水平線を毎日眺めて・・・


3.船医に向いている人・いない人とは?

基本的には、医師免許があれば誰でも船医になれるとお伝えしました(某庁観測船の場合)。
では、“船医に向いている人・いない人”とは、どんな人なのでしょうか?

まず初めに、船酔いの問題があると思います。
実は私、船酔いはほとんどありませんでした!(船員さんたちもビックリ。笑)
ただ思い返せば・・・ 初めの1週間は、特に夜間の揺れは辛かったので、酔い止めを飲んで早めに寝るようにしていました。
これまで乗船した医師の中には、『3日間くらいしか元気な日がなかった』先生もいらっしゃったとか💦
こればかりは体質と、気持ちの持ちよう(重要)なので、向いていない方もいるかもしれません。

二つ目に、孤独に耐えられるかどうか、です。
前述した通り、船にはほぼ娯楽がありませんし、家族や友人との連絡も取りづらい環境。
でも、私自身は、全く“孤独感”を感じませんでした。
船員さんたちは皆、とても親切で、優しくて、船上生活に慣れない私のことをとても気にかけてくれましたし、私が知らない海の世界について沢山のことを教えてくれました。

こうした、“普段の生活では決して出会うことのない人たち”との沢山の出会いがあったから。毎日が新鮮で、とても刺激的だったんです!

大事なのは、“非日常”を楽しめるかどうか。
石橋を叩きすぎて前に進めないより、
何事にもチャレンジして楽しむ精神を大切に!


長くなってしまいました。。。笑
次は、船医の仕事内容や船内生活について、詳しく書いていきたいと思います✨

Reiko🐋🌺

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