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西尾市公共施設再配置の今回の問題点と課題について整理しました。

末尾の動画ではわかりやすく映像化されていますが、西尾市のHPから引用等をしていますので、固くて長い文章はご容赦ください。

1、 西尾市公共施設再配置の定義

公共施設の現状と課題を調査、分析して、公共施設のより効率的・効果的な維持・管理・運営方法及び施設配置を実現すること。

(西尾市公共施設再配置基本計画から)

再配置計画では、いわゆるハコモノの357施設、887棟の建設と維持管理が対象です。

西尾市では、その上位に公共施設等総合管理計画があり、ハコモノ、インフラ(道路等)、プラント(ごみ処理施設、水道・下水道設備等)を含んだ計画を策定しています。
最上位計画の西尾市総合計画には、西尾市方式のPFIによる再配置の記載はありません。

【コメント】

元々は平成23年度の西尾市、一色町、吉良町、幡豆町の合併により、余剰となった公共施設を統廃合し、維持管理及び修繕を計画的に行って経費を節減する公共FM(ファシリティマネジメント)の考え方が根本にあります。

2、 西尾市方式PFIとは

公共施設再配置ための手法のひとつ。西尾市では、地元一社の特別目的会社(SPC)である民間業者が160施設の維持管理(一部建設含む)を一括して受注します。このうち、事業期間が最長29年となるのは83施設です。

契約金額は30年間で税込み約353億円。この地元業者への大規模長期間の民間委託契約が西尾市方式PFIです。

【コメント】

PFIの手法はごみ処理施設建設運営等の資金調達の手法として以前から国の提示があります。税金からの支出を一度にではなく、年度ごとに平準化して支払うことができるのが自治体の予算上のメリットです。民間業者が長期に継続し、信頼できることが条件です。

ちなみに廃棄物処理施設技術管理者の研修では、廃棄物処理施設でのPFIの導入実例では業者が途中で廃業するなど、成功実例はないと報告されています。

西尾市方式の大規模長期間の契約は全国でも実例がないため、そもそも成功例はありません。

3、 西尾市方式PFIの問題点

次の順に解説します。

・経費節減になっていない

・市民の十分な理解が得られていない

・契約の中身など、不明なことが多過ぎる


・経費節減になっていない

SPC一社に一括発注をしますが、結局はそこから各業者に個別発注をします。

いわゆる直接発注よりも、SPC一社分の経費が上乗せされます。

建設及び維持管理の分野が多岐にわたるため、共通した項目を除き、個別の施設でのスケールメリットはありません。

「安かろう・悪かろう」の業者に発注すれば見た目の経費は節減てきるでしょうが、施設に問題があれば、被害を受けるのは利用者である市民です。

法令に基づく厳しい建設基準の仕様をクリアしてきた地元の建設業者の多くは、今回の西尾市方式による性能発注での金額では、安全性の確保に不安があるとしてSPCに参入しない意思表示をしています。

(性能発注とは、細かい仕様を定めず、施設の機能を示して発注することです。当然ながら、建築基準法を始め、関連法令の基準を順守しなければなりません。)

それにも関わらず、本来は必要な施設の提案を受けるべきはずが、スケートボードパークなど「おまけ」と呼ぶには税金がかかりすぎる施設の提案があります。

建設費が回収できるほどの経済効果があればよいのですが、西尾市の財政には限りがあるため、当然この経費の残りで市内インフラやプラントの整備、そして行政サービスをすることになります。

・市民の十分な理解が得られていない

寺津地区近辺の5地区の小中学校のプールを廃止し、別の場所に温水プールをつくる業者提案があります。

バスで温水プールに移動するため、当然ながら時間に制約のある水泳部の部活動は平日できないでしょう。

一部の部活動の例を取りましたが、学校給食を含め保護者に十分な理解を得たとは聞いていません。

本来、官民協働の事業は市民と行政が時間をかけてつくりあげていくものであり、一部の有識者との案を元に、市民に説明して終わりでは、余りにも性急過ぎないでしょうか。

・契約の中身など、不明なことが多過ぎる

民間業者と行政の事業は、法令等と契約に基づき実行されます。これがすべてといっても過言ではありません。

今回のSPCとの契約内容は、6月議会の議決の後に決めることになります。

税込み約353億円の負担行為(契約金額を決める行為)の議決は3月議会で既に可決されているため、金額が決められたなかで中身について契約することになります。

一般論として、契約金額を先に決めてしまえば業者が主導権を握るのは目に見えています。

行政側も当然努力はしますが、分が悪いことに変わりはありません。

そのほかの問題点は別の機会にするとして、このように問題が多い西尾市公共施設再配置の計画は、白紙撤回すべきです。

行政の実状を踏まえ、市民ニーズをきちんと把握して実施すべき計画が、今回は契約金額を先に決め、契約内容はこれから精査するというのでは、順番が逆です。

西尾市議会には、良識ある判断が求められます。

市民の方も、市と議会が決めることが全くその通りだと思っていただけるなら構いません。市の職員は議決されたことについて粛々と業務を進めます。

少しでも疑問がある方は、是非、地元や接点のある市議会議員の方に、本当に大丈夫かと尋ねてみてくだい。

西尾市職員組合も市の進め方に疑問を持ち、5/22日の午後2時から西尾市文化会館大ホールで「西尾市方式PFIの白紙撤回を求める市民集会」を市民団体と共催します。

【参考】
西尾市の公共施設再配置の計画では、下記の動画の市民運動が起きています。

一部不適切な表現があるかもしれませんが、わかりやすいためそのままリンク先を記載します。

【施設の統廃合で経費節減のはずが、なぜ?】

https://www.facebook.com/ikyonosuke/posts/621458678003058

【市民作成動画による集会案内】

https://www.facebook.com/583700825131524/videos/584202165081390/

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