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公共インフラの水道民営化について

2018.8.27記
水道民営化法案が、出されては否決を繰り返していたが、今期の国会で成立しそうである。

水道は、食料及びエネルギーと併せて住民の生活に必須であり、自治体が責任を持って管理すべきインフラである。

水道管が全国に普及してから、昨今は更新時期に入っているが、どの自治体も財政及び人材の事情により、一気に更新ができない。

これを民営化の手法の法案によって解決するという論理であるが、外資の規制がなく、株式会社は利益を生み出し、株主に配当することが原則であるため、自治体直営と比較して水道料金の上昇が懸念される。

現行、安城市の水道水は1立方メートル=1000リットル→約140円。
ミネラルウォーターは、2リットル約140円で購入できるが、500倍味が違うかというとそうではない。

現に、愛知県西三河水道事務所がH30.8.25土に主催した親子向けのシールド工法説明見学会で、川の水の凝集沈殿実験を行い、愛知の水道水と市販のミネラルウォーターの飲み比べを行ったところ、ほとんどの子供たちが水道水の方が美味しいとする方に手を挙げた。(同温度に冷やした結果)

水道水の安全の歴史は、大正10年が転換の時期である。

それまでも水道インフラは整備されていたが、乳幼児死亡率が高かった。
劇的に乳幼児死亡率を下げたのは、大正10年に水道水の塩素消毒を始めたからである。

【以下、竹村光太郎氏(元建設省・現在の名称は国土交通省)の日本史の謎は「地形」で解ける(PHP文庫)から部分引用】

水道の塩素減菌には液体塩素が必要でだが、その液体塩素は大正7年に開発された。
〈現・保土谷化学工業株式会社(当時は株式会社程谷曹達工場)の社史から〉
シベリア出兵は大正7年(1918年)に開始された。この歴史の中で、液体塩素が誕生していた。
塩素ガスは猛毒である。敵を殺傷する兵器として以前から注目されていた。
大正10年、(日本の)陸軍がシベリアから撤退と同時に、液体塩素は水道水の殺菌のために転用されている。
いったい誰が、この毒ガス兵器を民生に転用したのか?
後藤新平だった。
大正12年、関東大震災が首都を襲った。彼は震災後の壮大な東京復興計画を立案し政府に提案したことで有名である。
彼は大正9年、東京市長だった。大正10年に東京市で最初に水道水を塩素殺菌したときの市長であったのだ。コッホ研究所で医学博士号まで獲得している。北里柴三郎と並ぶ細菌学の権威であったのだ。
大正7年に外務大臣としてシベリアへ行っていた。

【引用ここまで】

水道民営化はグローバルスタンダードだと耳にするが、パリ・ロンドン・アトランタでは、民営から直営に戻っている。

(了)

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