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親切な読者という問題(「アートとコピー」第2回感想戦だ!)

前回のヘッダーはピンクの薔薇。花言葉は「感謝」、アートとコピーという素晴らしい場を設けてくださったことへの感謝。今回は、白のマーガレット。花言葉は「信頼」。そう、信頼が大事なんだって!

信頼されるために。

ということで書き始めようと思うんですが、いや、書きにくい。めっちゃ書きにくい。初回を終えて初コンビを組んで頑張って制作して出した課題を講評される機会がこの第二回だったわけだけど、私と相方の出した作品全然評価されてないんだもん。この状況でなんか書くのめっちゃ怖い。

ちょっとまだ咀嚼がいるだろうなと思うから、今回ゲスト講師として講義&講評にきてくださっていたアートディレクターの副田高行さんのお話の引用は最小限にとどめます。ただ全体を通じて一番印象に残っているのは、結局、運命って自分が握ってんだな、ってこと。もちろんそんなことは散々いろんな本に書かれているし言われているけど、それを体現した人のエネルギーを感じられたのが良かった。副田さんは今でこそ「日本の広告史を切り拓いてきた大御所」、でも最初はなーんもなかった。どこかのスゲー代理店に所属して〜、とか、最初から才能を見出されて〜、とかではなくて、その都度色々とオリジナリティのあるトライを繰り返して今の場所までたどり着いている。そのこと自体が希望だな、と思った(まぁこんな田舎の主婦に希望にされても困るだろうけれど笑)。評価されなかったのは悔しいしその夜は一睡もできなかったよ、でも最後には、ま、明日からも楽しくやってみよう、という明るい気持ちになっていたりします。心を凹ませたままトライをやめちゃうことの方が問題だ。

で、そんな副田さんの言葉を一つ。「まず、パートナーの信頼を得ろ。」

副田さんの過去の話を聞いていると、一見だいぶとんでもないコピーを投げられても「これをなんとかしてやろう」とビジュアルをつけていったものが結果的にすごい広告になっているというケースがかなりあるなと思った。それができる人だと周りに信頼されているから「アイツに面白い球投げてみよう」って継続的に思われるんだろう。(その辺は『巧告』という本に載っているので受講生以外の人で気になる人はぜひ。)もちろん、副田さんの話はコピーライターもその周囲の方々もすごくレベルが高い現場で起きている話で、私レベルだと「そのコピーだめだよ」って相方に言ってもらいながら試行錯誤する方が良いものができそうな気もするけど、面白いものを投げてもらえるのも、受け取ったコピーを信じてそれを活かすのも、「これじゃだめだよ、もっと良くしようよ」と率直に突き返すのも、全部信頼関係の中でこそ起きることだし、それを本気で繰り返すことでまた自分への信頼も高まるのだろう。

私と初回の相方は、信頼し合えてはいたと思う。多分。コピーに対しても「本当にこれでいいのかな?」って何度も言ってくれて、ずっとやり直しを繰り返して制作できたし。でも基本的には相方の方が力量が高く視点も鋭く、私は切り口出しの場面からかなり引っ張ってもらっていて、そこに乗りながら二人で高めていった感がある。結果、あまり評価されないという着地をした。それを振り返ると、相方の観点や感性が好きだからこそ「それ面白い!」という気持ちだけに持っていかれないように、対案出しにも倍くらい注力すべきだったんじゃないかという反省があります。それができたら、仮に結果は同じでも、私は相手にとってもっと信頼される人間になれたかもしれないな、と。繰り返すけれど私が一回目で組んだ相手、すごい人ですよ。賢くて努力家で優しくて鋭い。相手の才能と感性にもっと注目が集まって欲しかった。そう思うから悔しいし申し訳ないんですよ。

不親切になろう。

そしてもう一つ、生徒同士が作品を評価し合う場面と、副田さんと阿部さんに評価される場面とで、票が集まる作品が結構違ったことについて、「あー、なるほど」と思ったことがありまして。

広告をやっている人だと、「広告を解釈しよう」という親切な読者になっちゃってるんだよね。この少ない言葉の裏にはきっと・・・!とか、この写真を持ってきたのにはきっとこういう意味が・・・!とか(笑)一般の読者はそこまで親切じゃないってことを忘れちゃうんだよね。これを親切な読者問題と名付けよう。

でもさ、ほんのちょっとだけ考えて解釈して「分かった!」ってなると、気持ちいいってのは人としてあるじゃないですか。えー感じのカタルシスというか。これ自体は広告をやっていてもやっていなくても人間として共通するところはあると思うから、別に全否定しなくてもいいと思う。問題はその程度とセンス、そういうちょっとした気持ちよさを狙いながらも基本は「素直にストレートに」という骨格がちゃんとあることなんだろうな。そして広告をつくっている時に、ちゃんと「不親切な目」を忘れないこと。つくり手でありながら両立するのって難しいけど。

うーん、自分で書いておきながら、ハードル高いなぁ。そもそも私みたいに卑屈で理屈っぽい人間にはなんと不可能なことだろう。退場しようかな?いやいやいやいや。せっかく今ここで勉強できるなら、今までの私とは違うことをやってみたい!ハイ再入場。ま、なんだろう、「ハーイ、うまくいってる〜?」って早見優さんにざっくり聞かれてる意識を持ちたいわね、常に。私つい細かいこと気にしちゃうからさあ、まずはざっくり、デカいところでの良し悪しを考える目。さらにいえば心の中にみちょぱを住まわし、「で?」って言ってもらおう。そうしよう。

具体的な行動として。

最後に、初回のコンビを通して自分が実際に起こした行動を一つ。

日経新聞(紙)を契約しました。

・・・いつも、隣に住んでいる義父母の家がとっている地方紙を斜め読みしているだけだったけど、やっぱりちゃんと読もう。世の中のいろんな話題に興味を持ち、知識とファクトをためておこう。やっぱそこサボってたな、って思ったから。

相方がちゃんと新聞読んでたんですよ。相方、日本で育ってないのに、日本語で新聞読んで、日本語で議論して、日本語で広告やって戦ってた。それで私のことまで引っ張ってくれてた。私何してんだろ、って思うじゃんね。

いざ購読すると、ニュースだけじゃなくて、チラシも入ってくるし広告も目に留まる。「凶悪事件の隣に並んでもおかしくない新聞広告ってどんなんやろ?」みたいなことも考える。私が一生のうちに新聞広告をつくることなんて、ないかもしれない。でも別にそれでいいんだと思う。

ということで、感想戦第二回、終わりっ!最後に一つ同期に伝えたいことが。私が今(=二つ目の課題に向けて)組んでいるコンビの相方が一つ目の課題で出した広告のアートワーク、あれ、全部手作りらしいよ!?素材買ってきてないんだって!え、すごない?やばない?美術賞ーーー!!!!!!!

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