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遅筆な会社員のおたくが3つ勉・8つ勉を受けたら半日で9枚60体分のレポ絵を描けるようになっていた話

5月に砂糖ふくろうさんの「3つ勉」を、8月にストーリーアーティスト栗田唯さんと砂糖ふくろうさんの「8つ勉」を受講しました。そうしたら4ヶ月後には元々遅筆で腰が重い私が推しの現場翌日にはレポ絵9枚(人体60体分)描き上げられるようになっていました。

受講のきっかけ:レポ絵が描きたい!

私はニチアサ系特撮おたくなのですが、俳優さんが登壇する舞台挨拶・トークショー系の撮影録画厳禁なのはもちろん、最近は遊園地のヒーローショーも写真はSNSアップ禁止のところが多くなっています。自分が行ったイベントで受けたサイコーーーー!!!!の気持ち。忘れたくない。このサイコーを忘れないように刻みたい。できることなら絵で残したい!と常日頃から思いつつも
①俳優さんやガワを似せられない、描いたものに納得できなくて詰む②なので筆が遅い(1枚絵の線画まで描くのに少なくとも2,3時間)③社会人(会社員)なので忙しい、時間がない④そうこうしているうちに動機が霧散して筆を置く…といった負のプロセスで、描きたい気持ちがあっても形になる前に諦めていました。

そんな中、短時間で、イキイキと、全身をたくさん描けるようになるよ~!という砂糖ふくろうさんの「3つ勉」のツイートをRTかなにかで見かけ、今一番必要なやつ、これじゃん!!!と思い受講を決めました。


3つ勉の内容


3つ勉の内容は3日間のコースで
・ジェスチャードローイング
・フィルムスタディー
・cafeスケッチ
となっており、ジェスチャードローイングというものの考え方、描き方がほかの2つの基礎にもなっている感じです。
(*今回はレポ絵に関係していることを取り上げたいのでフィルムスタディーについては割愛します。でも構図作りに役立つすごく良い内容だった)

ジェスチャードローイング:モデルさんから受けた印象を描こう!失敗したらもう一回やろう!何度でもやろう!どうせ1分!


ジェスチャードローイングの講座は、ポージングしているモデルさんを見ながら1分~2分で「見たままの形」ではなくとにかくこのモデルさんのポーズから感じた印象を長い一本の線で引いて(ラインオブアクション)そこに付け加えるように頭、胸郭、骨盤をマルで描いた後、足がシュル~ン!とか、腕がズバッ!とかをできるだけ長いストロークで次々描いていきましょう!といった内容でした(とはいえCSIライン、ラインクオリティ、形状と視覚効果等、要所要所で専門的なトピックをわかりやすく教えてもらうこともしっかりありました)

講義だけでなく実際にこういうことをたくさんやる



失敗したら?うまくかけなかったら?何がダメだったかなあと考えて、ハイ次!ハイ次!でやり直せばいいんです。やり直したって1分だし!そうやって積み重ねた線の一本一本がほんのすこ~~~しずつですが、赤ちゃんがいつのまにかハイハイして立ち上がって歩くように、描きたいものを描けるように近づいていきますよ~!大丈夫!その積み重ねでね、80歳までにうまくなればいいんですから!

講義中の砂糖ふくろうさんの発言

こんな砂糖ふくろうさんの言葉に背中を押してもらいながら講義を受けつつ演習で1分~2分でモデルさんを何体も描く!を一日みっちりやって、自分の中では「楽しい!」「本当に一分で人間と思しきものを全身かけた!奇跡!」の成功体験になり、また砂糖ふくろうさんが実際に1分~3分で描いたイラストの可愛さ、ラフとはいえ決してガサガサ迷わずいきいきと引かれた線を見て「はやくこれになりたい!!!」になり、おすすめされた通りに毎日15分~20分程度ジェスチャードローイングをやるようになりました。

Cafeスケッチ:今そこにいる人からアイデアをもらおう!


ジェスチャードローイングと似ていますが、ジェスチャードローイングのように静止したモデルを描く…のではなく、今そこにいる人、当たり前ですが1秒後には違う動きをしているそこの人…から「アイデアをいただく」つもりで脳内に残った印象、そこにあったプロップ(小物)書き留める、といった内容でした。演習ではグーグルストリートビューでたまたまそこにいた人を1分や2分であんまりじろじろ見ずに描く、ということをやりました。

cafeスケッチはジェスチャードローイングよりさらにラフ。
cafeスケッチを語る砂糖ふくろうさんと栗田唯さん



ジェスチャードローイングよりももっと少ない線で、手元のクロッキー帖にはマルと線だけの人間や毛のような線が重なっただけの道路やテーブルが量産されていきましたが砂糖ふくろうさんが「これでも厳選して残した奇跡の一枚なの!他は全部破って捨てた!」と、実際に描いたマルと線で荒く描きなぐったようなcafeスケッチの絵を見せてくれて、元気が出ました。また、cafeスケッチで描いたものはあくまでアイデアのメモのようなもので、これを下敷きにしてあまり時間をかけないで清書してイラストにする、という活用方法を学び「これはレポに活かせそう!」と思い、通勤の電車の中や待ち時間でカフェに入ったときなど小さなクロッキー帖にササっとそこにいる人をメモして後で少し書き足す…といったようなことも時々やるようになりました。

自分なりの試行錯誤


また、講座の中で、人体のパーツを簡単な図形(球体や箱)に置き換えて考える、全体の印象を大きな形でとらえる(ビッグシェイプ)、バランスが取れた顔を球を使ってシンプルに描く、といったテクニックを教えてもらったので、それを応用して俳優さんの全身の印象をシルエットでざっくりとらえる+顔のパーツやバランスを単純化してデザインする、という試みをすることにしました。まず写真をトレスしてへ〜この人は意外と面長な感じだな!この人の目って実はたれ目かも~!と気づきを得たり、輪郭の形をこういう風に書けば似るかも…単体じゃなく2人並べて描いて印象を比べて誇張してみよう…等々、もともと顔ひとつ描くのに1時間かかるような私にとっては時間コストがかかりすぎるのでやろうとすら思わなかった「試行錯誤」が今回はたくさんできました。失敗したりうまくいったり、実験みたいで楽しかったです。

写真をトレスして特徴を探したり
なるべく簡単な形で顔を描いたり
トレスしたシルエットの印象で描いてみたり

過去には漫画やアニメ、神絵師のFAを模写したりして「美形」の引き出しを増やす練習はしてきたけれど、実在している人の魅力を自分が納得できるように落とし込みつつ、単純な形で描きやすく…みたいな創意工夫は全然やってこなかった。なんか遠回りっぽいし、ゴールが見えない気がするし、失敗するかもしれないものに時間かけたくないし。けれど3つ勉や8つ勉で「見たままではなく、自分が感じた印象を描く」「失敗したら、何が足りなかったのか考えてもう1回やってみよう!どうせ1分!」の考え方が身についた状態でたくさん試行錯誤できたことは、絵を描くハードルを下げることにも直結しており、「似せられないから描けない問題」対してかなり効果がありました。5月に初めて3つ勉を受けて、8月に8つ勉を受けた後…くらいには、そこそこ自分が納得する絵柄で手短にFAが描けるようになりました。(*この「描けるようになりました、というのは上手いor下手というより、自分が納得できるか、自分が感じている印象が出力できたか、が基準です。)


毎日のジェスドロを時々ムック本の写真でやってみたり、とにかく最長でも1体10分、質より量で4カ月で1000体近く書いていました。平日は仕事があるし休日も用事や予定があるので、絵を描いていたのはだいたい1日1時間~長くて4時間くらいでした。(例:ジェスドロ20分+自由にお絵かき40分)
思った通りに線が引けると気持ちがいいし、描きたいものが取り急ぎなんとなくすぐに描けるのが楽しいので、あまり時間がなくてもストレスになることなくドローイングを量産していました。ときどきジェスドロの要領でショーレポや感想FAをtwitterにアップしたりもしました。


いろいろな人に見ていただけたりもして嬉しかったです。

推しの現場(リバイスFS大阪)に行く


そんなこんなで先日、リバイスファイナル初日、大阪公演に行ってきました。この日のために修業(?)を積んできた…とはいえ公演中は公演に集中したいのでメモを取るようなことはしません。そんなことするより一分一秒長く舞台を見ていたい。その代わり公演の間に入ったご飯屋さんで休憩しながら小さいクロッキー帖にボールペンで思い出しながら走り書き。

ジェスドロよりもっとひどいマルと線と汚い字

マルと線です。お恥ずかしい。でもメモなのでこれで十分です。

帰宅後半日で清書


3公演存分に楽しんで、台風が接近する中なんとか家に帰ってゆっくり風呂に入ってしっかり寝て(重要)長時間観劇と長距離移動と気圧の疲れがとれたら、昨日のメモを見返します。マルと線と殴り書きの文字でも「そうそう、このめっちゃ最高だったときこんな感じの動きだったな…」「この立ち方がかわいかったんだよな…」等々、メモをフックにして自分の見た思い出が結構鮮明によみがえってくるので、それをもとにジェスドロの要領でどんどんラフを描き、少しだけ清書しました。(本当はいきなり清書に近いラフで描き切って完了したい。1万体くらい描いたらできるかもと言われています。)この日は休養のため予定を入れてなかったので、疲れるまで午前中に4時間、夜は夕食後に3時間くらいざくざく手を動かして(途中部屋の掃除もしたし昼寝もした。)
2公演分計9枚、人間約60体分のレポ絵ができました。

1年前にはレポ絵1枚に5時間くらいかかっていた頃から考えると
異常事態です。

↑去年5時間くらいかけて描いたレポ絵。それでも当時としては頑張って急いで描いた方。

まとめ


レポ絵が描きたいけど遅筆で悩んでた私が3つ勉、8つ勉でジェスドロ、cafeスケッチを学んだところ…
cafeスケッチからは「その瞬間見た人からアイデアをもらってメモする力」
ジェスドロからは「メモにその時自分が感じた印象を重ね、爆速で描き起こす力」がつきました。

冒頭の負のプロセスについても
①俳優さんやガワを似せられない、描いたものに納得できなくて詰む
→自分の中で納得いくまで何度でもいろんな方法で試行錯誤できるので詰まない。

②なので筆が遅い(1枚絵の線画まで描くのに少なくとも2,3時間)
→1体1~5分、最長10分の基本ルールでたくさん描いてるうちに手が短時間でスルスル動くことに慣れた。

③社会人なので忙しい、時間がない
→1日20分練習のジェスドロやるだけで無理なく気持ちいい~~~ので、続けられ、そのうちに本番のレポ絵も1枚1時間程度でざくざく描けるようになっていた。社会人の可処分時間で無理なく楽しめた。

④そうこうしているうちに動機が霧散して筆を置く
→動機が熱いうちに出力できるから満足するしまた次もやりたくなる

といった感じに解決されました。
少しFAなら描ける程度だけど、あんな一瞬で動きが変わるライブやショーのレポなんてとても無理…な人かつ、誰が何をしているのか伝わる絵が描ければちょっとラフでも十分!というタイプなら3つ勉・8つ勉はかなり効果的かもしれません。年に何度か開催しているようなのでご興味のある方は「砂糖ふくろう」で検索するのをおすすめします。

※11/16追記
この記事の補足が以下の記事になります。↓
実際に作業時間1時間の時にどんな風に描いてるか、ジェスドロをはじめるにあたっての参考資料、受けた講座などまとめました。

(2022/12/12 追追記)
今年5月から自分がやっているジェスドロの記録をPIXIVFANBOX(無料全体公開)にまとめて載せました。何年も趣味でイラストやってるくせに笑っちゃうほどガッチガチで何描けばいいのかもよくわかってない最初の1体からのせてます。実際どんな感じのもの描いているのか、続けるとどう変わっていくのかご参考とか絵を練習している人の励み(?)になれば幸いです。↓


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