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山内練について〈聖黒〉

 アンチヒーローが好きだ。主人公よりも敵役やニヒルなツンデレキャラ(当て馬にされたり、殉職)が子供の頃から好きな私が山内練を推さない訳がない。

 ↑上記は私が初見で「聖なる黒夜」を読了した際に抱いた感情であり、それから何度読み返しても練の奥深さには底が無く、また君に、恋してる(モブ組員目線)
 山内練は、及川純とはまた異なるキャラクター性が魅力だが、私が「聖なる黒夜」において及川と同じ位にズブズブになった男でもある。
けれども彼は、露出している作品が多いが故に、練という人物が未だによく分からないというのも事実だ。だが、そこも含めて山内の魅力であって、読み返す度にこの世界に心が振られる感覚が本当にたまらない。
 練のことをいつか纏めたいと思うも、結局及川と同じくほぼ私の勝手な妄想で構成されているので、陳謝すると共にご了承頂ければ幸いです。


■山内練

 1959年1月20日(19?)滋賀県朽木村(現.高島市)生まれ。
 幼い頃から母親似の柔らかな面持ちで、まつ毛は長く髪は天然の癖っ毛は日本人には珍しい栗色。肌は白くキメが細かい。成人するとその美貌に磨きがかかり、173センチという体躯で手足が長く痩身の男性へ成長する。
 父親は朽木村、母親は福井県の出身で、おそらく生家は雛子の情報から察するに朽木のあそこらへんだと予想される。三人兄弟の末っ子で姉や兄に守られ育った優しく泣き虫な男の子であった。
……というのが現在の容姿を踏まえただいたいの練の生い立ちである。
 しかし、運命の悪戯か初恋の男(七歳年上の刑事・麻生龍太郎)により1985年7月、婦女暴行未遂で誤認逮捕されてしまう。
これにより26歳まで童貞処女であった練は刑務所の中で価値観を歪められてしまうほどの体験をし、結果紆余曲折あり指定暴力団春日組の若頭へ君臨する事になる。

 ざっくりこんな感じのキャラクターなのですが、これは私の下手くそな文で纏めてある為、全然臨場感がなく大変恐縮です……ちなみに「海は灰色」は未読な為、最後彼がどんな道を歩み、どんな気色を見ていくのか楽しみで仕方ない。

 さて、唐突だが私が山内練という人間を色に例えるならば黄色だと考えている(ちなみに、及川は生成色。麻生は濃紺。誠一は赤紫)
黄色という色は、あくまでもイメージだけれども、明るくて子どもの様な屈託のなさを思わせる色だ。光に当てると白くも見え、連想される言葉を調べてみると、明るい・楽しい・のどか・イライラ・ゆるみ…等が挙げられている。
しかし、中には注意喚起の色であったり、奇抜や不安を駆り立てる色でもあり、必ずしもプラス感情ばかりの色というわけではない。
何処か大胆で突拍子もなく、気を衒った様な練は、華々しい光の黄色が似合う。練の心の底が見えないからこそ、反対イメージの連想語を持つ黄色はどこか、彼に似ている気がして仕方がない。

 練は恐らく誤認逮捕がなければ、あのまま企業に入り留学を果たして女性と結婚して家族を作っていたんじゃないかと思う。
そこに彼の性認識と自覚は追いついていかないだろうけれども、なんとなく折り合いをつけて、兄姉家族ともそれなりに付き合って、年に一回位は実家のある朽木に帰って孫を親に見せる…みたいな感じに収まっていくのでは、と。
それはあくまでも別れた道のもう一本の仮定であり、そこの道へは二度と行く事は叶わない。現実は、兄は亡くなり父母とは絶縁。二度と故郷には帰れず姉ともメールくらいでしか連絡を取らない関係だ。

 確かに練の人生は、麻生の誤認逮捕でへし曲がってしまったけれども、本当に麻生だけのせいで練が堕ちていったのかと思えばそれは違う。彼が更生(麻生の言葉で言うならば)できるタイミングは所々にあった筈だ。それなのに、その更生フラグは尽く折られてしまう訳なのだが……
まず、練に上告をしないでくれと泣きながら乞うた母親。そして出所の時点で誰も迎えにこなかった上に、300万で親子の縁を切った事。
確かにこの時点では大切な大切な長男を亡くし、失意の底に沈んでいた山内家が練に対して支えていく事は難しかったのかもしれないけれども、練だって息子じゃないか。
雛子にしてもひたすら麻生を責める描写があるが、一番彼が辛かった時に力になってあげるべき家族がいなかったのは、練の人生に浄化する事のできない泥として堆積してしまったのではないか。
もちろん、雛子は雛子なりに尽くしていたと思うし、彼女をはじめ家族が描写こそはないが何もしてこなかったとは思えないけれども、練の瞳の底に闇を宿らせたのは肉親も要因の一つであることは否めない。もし、出所した際に母が、姉が迎えにきてくれていたら練はどうなっていたのだろう。保護司に引き渡される事がなくなるので、結果印刷会社に勤める事もなく、地頭の良さを生かしてそれなりに更生できたのではないかと考えてしまう。尤も、そんな事はすべて仮の話なのだが。

 私が練に惹かれるところの一つに、あれだけの事があったというのに練は自分に課せられた運命を恨んではない。という点がある。
それどころか全て受け入れて自分の中で昇華させている。悔やんだり死にたいと思った事はあるだろうけれども、練は報復を自ら望んだりはしない。その資質は彼に生まれつき備わった性格であり、強さなのかもしれない(強さ、という言葉が相応しいかわからないが)
彼は幼い頃に父親から理不尽なパワハラを受けているも、それでも父に対して恨みを募らせていたかというと、そうでもない。この時から既にそう言われても仕方ないと認めているのだ。
その感情の根源が諦めなのか、または達観なのかはわからないけれども、もし自分ならばこんな考え方ができるだろうかと自問すれば、恐らくできない。むしろ発破をかけてくれた誠一の方に同意できる所が私はある(やり方はさて置き)
そう思えば、練の心の芯というのは一体どんな形をしていてどんな強度を持っているのだろう。それを考えれば考える程、山内の底はやはりわからなくなる。

 練は、及川純に対して「あの人は女だよ」と言わしめたが、私は練は核の部分は「男」だと思う。
逮捕されるまでは、父から受けた【男らしく】の呪縛がついてまわっていただろうが、その後は「女」として生きる事をあえて選んでいるような気もした。それは身体的な変化を望む等の話ではなくて、自分を認めた、認めた上で好きに生きる(場合によれば女も抱くし男相手でもタチにもなれる)事を選んだ、彼が長年感じていた鬱屈した力からの解放の様にも思えた。
 聖黒後、リコや花咲に対しての練はすっかり反社の男であるけれども、その底には彼の本来の優しさがやはりどうしても見える。それは練自身でも言い表す事ができない心の動きがあるんだろうな……と思うと本当にやるせない気持ちになる。
 どんな結果であれ、練が自ら納得して選び取ったと言える人生であってほしい。と願わずにはいられない。色々考えてみたけれども、やはり練の人生を曲げたというならば、やはりそれは麻生だった。その後も度重なる偶然や悪いタイミングによって練の人生は恐ろしいまでに変わってしまったのだが、では彼が今の人生ではないもう一つの道に進んだとして、それが果たして幸福に満ち満ちていたかと言うと、やっぱり分からないのだ。

練に関しては本当にまだまだわからない所もあって、今の考えや感覚も時間が経てば変化していく気がするし、変化してほしいと自分自身思っている。
そして、人生においてこんな狂おしい程夢中になれるキャラクターに二人も、一気に!出会う事ができるなんて「聖なる黒夜」には本当に本当に感謝しかない……


■「男」らしくの呪いと家

 子どもの頃から父親をはじめ、近所の子どもらや同級生に何かにつけて練の「女ぽい」という点を弄られ続けていく訳だけれども、練本人は顔以外に女子ぽいところはない。と思っている。
母は父から庇ってくれたり、姉はそのままでいいと言ってくれていたけれども、自分の力でどうする事もできなかった幼少時は、練にとって心休まる時間がどれだけあったのだろうか。
それでも練は、足がとても早かったり逆上がりなどが大得意であったりと運動面に恵まれた才能があった。けれども、喧嘩は苦手で勝てないしそもそも人を殴るのが嫌だ。という息子の優しさを父親は「弱さ」と解釈して理解なんてしてくれなかったんだろうな。
 父親が何気なく口にしてきた練に対しての「男らしくしろ」という言葉は、彼の根底に永劫燻り続けていくのだろう、と思う。

 そんな練の救いは、兄や姉が常に練の味方で優しかった事と金銭的な苦労がなかったことではないかな。そういった意味では(父は反対しつつも結局大学の資金と最低限の仕送りはしてくれている)ちゃんと家族の愛はそこにあったのかもしれない。
練の父親は林業を営んでいたということで、昔気質の職人気質だったろうし、素直に褒めたり愛情を傾ける事は不得手だったのかもしれない。雛子も、両親は悪い人たちではない。と言っている事に少し驚いた(練の父の様な自分の固定概念と物差しで人を無意識に支配したり、傷つけたりしている人間は一定層いるし)
 親の愛情って、離れてみてわかるものもあれば、離れて暮らしてみて良かったと思うものもあるから一概には言えないけれども、練にはもう今の時点ではまだ朽木に帰る事はできない訳で……朽木は緑豊かで本当に美しい土地なので、いつか彼がまた一人でも、麻生と二人でもいいから行ける時があればいいな、とも思う。それが練にとって幸せなことかは分からないけれど。


■誠一と練

 練を語る上で絶対に外せない人間を一人だけあげよ、というならば韮崎誠一だろう。韮崎がいなければ、練は彼の望み通り聖なる夜に消滅していたのだと思うと、とんでもない拾い物をしたのだなぁ……。そして、さらにその拾い物に初めて穴に落ちる様に、恋してしまったからなかなか人生ってわからない。
趣味で聖黒の二次創作もしているのだけれど、まだ韮崎を創作した事がない。正確に言うと、どうやって表現したらいいのか分からないのだ(一度、練と箱根の温泉デートに行く話を書き始めたものの、誠一が練と二人きりで温泉にデートって……いく?!って自問自答してお蔵入りに)

 韮崎誠一のパーソナルデータとしてわかっていることは天秤座で40代半ば。東大卒のインテリで女の愛人が三人、男の愛人を二人持ち、好みや体型、仕草などすべてが及川純と似ているという事。
少し逸れるが、韮崎の愛人といえば(愛人っていう言葉は二人とも嫌がるが)皐月ねえさんで、人間的にも勿論大好きなんだけれども同じくらいナミ先生が好きだ。二人とも自立していて韮崎からの援助は受けず、それでも彼の愛情をきちんと理解し、そして愛を注いでいた。ナミ先生に至っては、医師免許まで剥奪されても尚医者としての誇りを捨てないし、韮崎が愛した練をちゃんと彼女なりに大切にしていた事がとても立派だ。なんやかんや花ちゃんとも関係してたけど、支えてくれる人ができて、練も内心そっかー。よかったね。って思ってる気がする。
韮崎の捜査をしている際に、麻生が二人の女性から熱烈に愛されていた事を嫉妬する描写があるけれども、それは韮崎がちゃんと彼女達を一人の人間として見て、愛していたからなんだろうな。麻生が玲子や及川を愛していなかったという事ではなくて、麻生は相手に対してどこか一枚壁があるんだろうな。そういうのすっごい分かるんだけれども、誠一は会っている相手だけを見てゼロ距離で気持ちを明け渡していたんじゃないかな。
誠一は人を愛する事が好きだったのかもしれない。そして、その愛するやり方は相手によって異なるけれども、愛する事が上手かった。

 線路から引き上げられ、強引に連れて行かれた後、紆余曲折あって練が韮崎の元から独立を果たすも、自由にすると言いつつ韮崎は練のする事にあれこれ口を挟む様になる。この頃には既に練に惚れてたんだろうな……と思えば、誠一は練に対して庇護欲と、支配欲、それに加えて強烈な独占欲があったのだと思われる(囀る鳥は〜の竜崎※推しです。も矢代に対してねじれた庇護欲があったな…)
ただ、韮崎と練のめんどくさかった所が二人ともめちゃくちゃ意地っ張りで頑固だったという事。
これで練がもっと弱くて韮崎の庇護がないと生きていけないという人間であったならば(そもそもそれだと練に惚れていないかもしれない)韮崎も練を素直に護っただろう。けれども、練は韮崎の庇護なんてたとえ一円でも受けない!という跳ねっ返りさを見せつけた為に、お互い素直になれない…好きなのにっ!…という、ややこしくも純粋な関係になってしまったのである。

 また、練と誠一は色々とねじ曲がっているが、誠一は練を愛するがあまり、練に対してまあまあめちゃくちゃな事をしている。
まず、世田谷事件に関わり練に対して不利な結果を生んだ人間を悉く制裁した。
やり方は、精神攻撃であったり物理的な事故。その他担当検事はこぞって姿を消している。全くもって誠一の恐ろしさの片鱗を見た気がしたが、それも誠一にしてみればすべて練を生き返らせるためにした事であり、なんでもやってあげたかったんじゃなかろうか。練の、惚れた人間のために。
 誠一は練が好きだった。愛していた。それなのに愛情と嫉妬を自分の中でうまく消化できずに傷つけたり泣かせてしまっていたが、殺されかけても警察に助けを求めないどころか、また元鞘に収まる所を見ると、練も本当に韮崎を愛していたんだなあ。


■龍太郎と練

 聖黒において、昇華できないクソデカ感情を持て余しているどうにもならないカップルがこちらです。ちなみにもう一組は龍太郎と純さん。どっちにも麻生が関わってるから麻生、お前はほんとに、な……(肩を通りすがりに軽く叩いてやりたい)
 二人の出会いは「歩道」を読んでみると練が24歳の頃だと伺える。その時麻生は31、及川は33歳。出会いといっても、練のバイトしてた世田谷の喫茶店に客として麻生がやってきた、という位の事だ。練は初見で既に麻生の事を気にかけているも、対する麻生は二年通っていても練があそこのウェイターだって事は今でも気づいてないんじゃなかろうか。所轄刑事の顔覚えるの苦手って言ってた男が、一介の喫茶店の店員を覚えてる可能性はほぼないだろう。それでも、練は話したことも殆どない、偶にやってくる麻生にはじめての恋をする……んんんんん〜〜〜練!!!!いじらしく、そして悲しい。
そして、この練の気持ちを知っているだけに麻生がアパートに訪ねて来た時、彼はどんな気持ちを持ったのかと思うと……つらい。つらく、そしてこれからの練を思うと地獄以外の何物でもなく……愛おしさが振り切れてきまう。
 余談だが、及川にしても練にしても麻生に対しての愛情があまりにもデカすぎて、別れてもずっと好き。っていう気持ちがほんとに凄い。及川と練はそれぞれ麻生への好きの形が勿論違ってて、麻生も二人に対してちゃんと愛情を持っていた。だからこそ、麻生が練を選んだのは(聖黒以降)少し驚いた。驚いたし、その時の純さんは……なんて、思ったのよ……
刑事を辞めた事だって相当ショックだっただろうけど、その辞めた理由が反社の練っていう……私が及川だったら、ちょっと一回待ってもらっていいですか……ってなってしまう。ならざるを得ない。そしてその日ばかりは若イラの胸で泣きたい。泣いてもいいよな、なぁ…龍太郎(混乱)

龍太郎と練の事を思うと、どうしても及川の事も考えてしまって、地獄みたいな気持ちになるのだけれども(好きです)逆に、麻生は練の何処に惚れたのかな。と思うと、やはりあの世田谷の取り調べ室だったのだろうか。
龍太郎はゲーゲー吐いて指をしゃぶってた練にやられた、と言っていたけれどもあの取り調べ室で練を堕とした際にしたキスの意味はなかなか難解だなぁ……練は、あの時既に麻生は自分が好きだったと言い切っているから、無自覚の恋だったのかな。どうにかして救ってやりたくなって、キスで黙らせたのかは麻生しかわからないのかもしれないけど、自分でも言っていたように練は麻生にとって居心地がいい存在なんだろうね。
お互いの汚さを知ってるから、背伸びする必要もないしかっこつけなくてもいい。
練は、麻生に対してずっと恋慕していたのかわからないけど気持ちがあったのは確かで、それを誠一にバレていたからこそややこしくなった。誠一は練すら気づいていない麻生への恋の形に気づいていたのかもしれない。
誠一は愛人とすると、練にとって初めての恋人って麻生なんだろうね。初恋の人と一応は結ばれるけれども、この二人は別れてからの方が本当に辛い。どちらも相手に対して全然心があるしなんなら付き合ってる時よりも感情がデカくなっている。それに、練は麻生がリコを抱いた時にはっきりと「返してくれ」って言い放っているので、練の中では別れたってゆって簡単にそれでサヨナラできる関係ではないんだろうな、麻生は。むしろ、前よりもっと好き!みたいなね。
麻生にしても、やっぱり練の事をずっと気にしてるし嫌いで別れた訳じゃないというのが辛い。龍練はめちゃくちゃ愛おしさが溢れるのに、なぜかそのゴールに幸せが見えない所もまためちゃくちゃ愛おしくなる……バッドエンドになってほしいという訳でなく、この二人の歩いていく先には普通の人間が求める幸福の形は多分ないんじゃないのかな、という。

 それでも、龍太郎と練は間違いなく心を通わせていて、互いに生きてくれてたら。みたいな気持ちを持っている気もする。
麻生がリコにノロケたところはめちゃくちゃ可愛いしめちゃくちゃえもい。たしかにあの石橋の龍が恋バナって!!ってなるよ。龍太郎にしか見せない練の素顔って絶対あっただろうし龍太郎も練にだけ見せる弱さっていうのはあった気がする。練が龍太郎の子どもを産んでみたいっていうのって、龍太郎を確固たる証で自分から離れない様にする為なのかな、という気持ちと好きな男との証がほしいっていう愛情からなのか〜と思うと、練可愛いなぁって思う。いじらしくて、可愛い。そこらへんは練の女の部分だろうな。料理作ったりわかりやすく好意を形にして見せるっていうのは。
アレキサンドライトの話でもあったように、練は山内練という人間を丸っと含めて見てほしかったんだろうな。過去とか現在とか関係なく、今の、麻生の目の前にいる自分をちゃんと見てほしい。理解してほしい。けれども、麻生は口を開けば盃を受けるなばかり言うから、ずっと平行線なんだと思う。それでもやっぱり龍太郎が好きで、好きで離れられない練を思うと、難儀な二人だ。及川と麻生も難儀だけど、海は灰色が楽しみで仕方ない。


■「聖黒」以降の練

 今更だけども、リコシリーズを読んでから聖黒を読めばよかったと10000回位後悔してるし、ピンポイントで記憶を消して再読したいという気持ちがずっとある…
恐らく、リコから読んでたら大分山内練のイメージって変わっていたんじゃないだろうか。割とそれなりな事をそれなりにしてるし、正直もうリコシリーズ以降の練を更生させるのは不可能だろうと思う(練がそれを望む以外)
斎藤も「若がカタギになる事は絶対ない」と言い切ってるし、良くも悪くももうあの場所が練の居場所であって、それを麻生がどうこうできる事ではない気がする。
それでも、練はやっぱり根底にある性格は優しいし子どもの様な奔放さも持っている。聖黒の最後に、練が胸の内で誠一に語りかけた「もし生き残ったらあんたの望みを叶えてやる」って言う言葉に則ってかはわからないが、練は盃を受けた。それが練が誠一にできる恩の返し方だったのかな、とも思う。生きてる時に、大好きだった。愛していた、と言えなかった分の。

 練はこれからどこへ向かっていくのかはわからないけれども、間違いなく言える事が今の練は自分で選んだ道を歩いているという事だ。令和3年で計算すると、練は62歳になる。今の彼がどんな事をしてるかわからないけれど、やっぱり麻生を愛しているだろうし、それなりに楽しく生きてくれてたらいいな、と願わずにいられない。