若イラという子
「聖なる黒夜」の作中でたった二行だけ明記される存在が、この若イラ君(名前はまだない)なのだが、彼の情報として読者に与えられているのが
■及川純と同棲している恋人
■若い(36歳の練から見ての情報の為、恐らく二十代ではないか)
■職業はイラストレーター
以上。
これだけである。しかしながら、情報がないと嘆くのは尚早であり彼についての情報がないからこそ、若イラ君は妄想する人の数だけ夢があるんじゃないかと思うわけです。
若イラ君は本人の情報こそ開示されていないけれども、ここで彼の存在感を際立たせているのが、及川純(警視庁捜査四課/警部)の恋人だという事。及川の性格はざっくり大まかに言えば、几帳面で神経質。大学時代に付き人だった麻生龍太郎が「及川の望みを完璧にこなすのは大変だった」という様に気難しい部類には入るのかも。なので逆に言うと、及川が恋人にする(生活を一緒にできるレベル)人間とは一体どういう感じなのかな?と思うと、一気に妄想の幅が広がる気がして俄然夢を抱いてしまう。
それから彼の仕事である「イラストレーター」であるが、ここも彼を妄想できる大きな余地。学生時代からゴリゴリの運動部を歩いてきた及川と、絵が好きでほんわか柔らかな(ここは妄想です)雰囲気の文系美青年(ここも妄想です)とはまずもって、土台の感覚に天地ほどの開きがあるのではなかろうか。けれども麻生が「及川は恋人と暮らし始めて随分丸くなった」と言っていたように、いくらか若イラ君に感化されている分はあるんじゃないかな。夫婦は似てくるっていうし……
そんなわけで、及川にとってみて若イラ君は今までの人生においてあまり触れ合った事のない種類の人間だった筈。ヤのスケをどつきまわして告発されそうになった及川純を、鉄パイプで及川無双をした及川純を、ヤの口の中にチャカを突きつけた及川純を、丸くしたという功績があるのはかなり凄い。
なんとなくちょっとぼんやりしていそうな雰囲気を想像してしまうけども、個人的にご当地Tシャツとかたくさん持ってそうなイメージがある。作業着にしてるんだけど、及川的に「どこで買ってくるんだよ」って最初は思ってたけど、気づけば部屋の中限定で着せられていそうなところがある。なんだかんだで及川は恋人にゲロ甘そうなので(麻生は殴るけど、若イラには絶対に手を出さない)「純さんもよかったら着てみて。はい」って言われて渋々着てあげたのかな……あと、普段髪の毛とか適当に前髪ひとくくりに縛ってたりしてかなりいい加減なんだけども、及川と出かける時はビシっと決めてめちゃくちゃ男前になる。そんな恋人が及川は好き。惚れてる(妄想ではない)
出会いはおそらくどっかのバーとかなんだろうけど(かなり強固な妄想)若イラから10000%ナンパしたと信じている。それはもう本当に信じてます。(とか言いつつ、及川からアクションを起こしたというパターンも気になる)及川とデートにこぎつけるも大変だったろうね……しかも及川の心の中には永遠にあの男が居るしさ。それでも三顧の礼よろしく、はじめてデートするってなった日には天にも登る気持ちで、夕方の約束なのに朝からあれこれ服を取っ替え引っ替えしていたんじゃないかな……いじらしい。すき。
本のカラーにかいたやつ。下のノンブル消し忘れてますね。
でも及川にとって、若イラの存在ってすごく大事なんだろうなと思う。麻生とは別枠で大事だし好きだし惚れてる。ずっと走ってきた人生の中で及川の休める場所にはじめてなってくれた人なんじゃないかな。そんな妄想を最近ずっとしています。罪な男だね、及川純〜〜〜〜〜