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憧れのルリユール

「ルリユール」。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、恥ずかしながら私が知ったのは司書のお仕事を始めてからでした。


ルリユール とは

ルリユール(〈フランス〉reliure)
《「ルリュール」とも》製本装丁。特に、職人手作業でつくる、工芸品としての装丁やその技術のこと。

ルリユールとは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)

ルリユールフランス語: Relieur[1])は、主にフランスで製本装幀を手作業で行う職人を指す言葉である[2]。また、その工程自体もルリユールと呼ぶことがある[3]

ルリユール - Wikipedia

今でもその技術は受け継がれていて、約50軒ほどのルリユール製本の工房が存在しているそうです。

日本でも栃折久美子さんがその技術を伝えてくれています。

栃折 久美子(とちおり くみこ、1928年12月7日 - 2021年6月25日)は、日本の装幀家、製本工芸家エッセイスト

栃折久美子 - Wikipedia

私は本を読むこともその魅力を伝えることも好きですが、作り出してくれた作家さんも本自体もとても好きです。

司書の仕事柄、修理することも多かったですし糸で縫う直し方も知っています。しかし、表紙から全て手作りで修理したり作り出すことはできません。

以前、大学の研修中に昔の本を復元する作業を行っている現場を見させてもらう機会がありました。
ピンセットで虫食いだらけの本を一部分ずつ丁寧にはがし、細かいパズルのように組み合わせて修復する。

気の遠くなるような時間と労力をかけて1ページを完成させる。

完成させた本達は、博物館等に展示され貴重な資料として皆さんのめにふれる。

「こんな素敵な世界があったのか!!」

と鳥肌がたったのを覚えています。

正直ここで語っている夢と変わってしまいますが、この時にこの作業をみて本の修理の専門家になりたいと思いました。
今でも心の片隅にはあるので、何かの形で実現出来たら素敵だと思います。

ルリユールの魅力

そんなルリユールの魅力が存分に味わえる本が
『ルリユールおじさん』
です。

https://c.media-amazon.com/images/I/51cvlwCkMfL._SX342_SY445_.jpg

パリに住んでいる少女、ソフィー。
毎日穴のあくほどページをめくり、とても大切にしていた『植物の図鑑』がある日ばらばらになってしまいます。
自分で直すこともできずにいると「ルリユールおじさんのところへいけば直してくれるよ」という言葉を聞いてルリユールおじさんを探します。

ルリユールおじさんをみつけ、修理をお願いするソフィー。
大切な本を、ソフィーが大切にするその気持ちまで修理にこめるように一つ一つ丁寧に直すルリユールおじさん。

職人のかっこよさや粋な計らいが感じられる素敵な一冊です。

本との出逢い

この本との出逢いは、司書時代に結婚祝いとして同じ司書さん仲間たちからいただいた時でした。

繊細な絵柄とやわらかい色使い、そしてその内容。

ある意味司書も本の専門家。
惹かれないはずはありませんでした。

もちろん今でも宝物で、お家にひそかに飾っています。

私は後から入った新参司書でしたが、この本を選んでくれた司書さん達は10年以上働くベテラン司書さんばかり。本のチョイスに感服しました。

感想と次回予告

この本には、職人さんの専門性だけではなく全ての職業に通じるかっこよさがあります。

ルリユールおじさんは、ソフィーの要望をよみとりそれに丁寧に応える仕事をしました。
直接お客様を相手にする接客業やサービス業だけではなく、相手がいる仕事全てに
・相手が何をもとめているか

・それにどうこたえるか

を丁寧によみとり仕事をする、どんな職業でもこんな仕事の仕方ができると素敵だと思います。

次回は最近息子がはまっている
『日曜日の○○』シリーズを紹介します。
関西弁のユニークなキャラクターがたくさん登場する楽しい本です。
関西出身ではないので、バリバリのエセ関西弁で読んでいるので息子が変な関西弁を覚えないか心配ですが、楽しんで読んでくれているので紹介します。

<参考文献>
・『ルリユールおじさん』(作:いせひでこ/講談社/2011.4)

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