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誰もが聞いたことのある「あのフレーズ」ではじまるすてきな絵本



「だ~るまさんが こ~ろんだ」
このフレーズ、聞いたことがない人はいないくらいに、子どもの頃よく聞いていた方が多いと思います。私はこの言葉を見ただけで歌の節がでてしまうほどです(笑)

絵本、読み聞かせでは定番ではありますが、今回はこちらの本をおすすめします。

https://www.bronze.co.jp/books/images/f_in_darumabox.jpg


小学校での読み聞かせでも、大型絵本をつかって読み聞かせをすると必ずみんなだるまさんと同じ動きをしたり、笑いがおこる場面が多く、「何を読もう」と悩んだ時にとても助けられた作品です。


私なりの考察ですが、息子がどこに惹かれて5歳になった今でも「読んで~」とせがむのか、この本の魅力について検証してみました。

【動きのマネ】

「だ~るまさん」のあとに、助詞が「と」「の」「が」と続くバージョンがあります。
どの本でも「だ」「る」「ま」「さ」「ん」のあとに、表紙に載っているだるまさんが色んな動きを見せてくれるのですが、子どもが同じ動きをしやすい、またマネしたくなるポージングをしているので、自然と身体が同じポーズをとっていることが多いです。
読むこと=静の状態でいることが多いので、静の状態に動の状態が加わることで読みながらも動くことができるのが、活発な子どもたちには楽しいと感じるのではないでしょうか。
子どもはマネして動きを覚えるので、マネする力の発達や身体の発達にもいい影響を与えていると思います。

【文字の書き方】

文字に興味を持ち始めた頃に、文字が一文字ずつ大きく書かれているので、それをなぞりながら発音することで、文字の形と音を一致させられるようになりました。周りの大人や子どもが話している言葉=文字や形があることに気づけることもこの本の魅力だと思います。

また、助詞がそれぞれ違うので
「と」の後に続くもの
「の」の後に続くもの
「が」の後に続くもの
がそれぞれ違い、その特徴やパターンがあることに気づき助詞の使い方の勉強にもなりました。

更に、オノマトペと絵が一致することでどの場面でどんな音が使われるかも知ることができます。

【だるまさんの形と色】

丸みがあって親しみやすく、赤ちゃんが認識しやすい赤、黄色、緑が効果的に使われています。
生後2~3カ月で赤ちゃんは赤、黄色、緑を認識するそうですが、だるまさんの赤、ばななさんの黄色、めろんさんの緑と赤ちゃんが認識しやすく好きな色がやわらかいタッチで描かれています。

生後5か月頃から離乳食で色々な食べ物を口にし始めますが、アレルギーが少なくおなかの調子も整えてくれるばななは、赤ちゃんが口にしやすい食べ物でもあります。身近な果物がだるまさんのお友達としてでるのも子どもを惹きつける魅力の一つだと思います。

【似てるけどちがう】

『だるまさんが』
『だるまさんの』
『だるまさんと』
の3作品は、「だ~るまさん」までは一緒です。
しかし助詞が違うことでその後の展開が変わってきます。
「だ~るまさん」は繰り返すのですが、繰り返しの後にでてくる場面がちがうことで、いい意味のうらぎりがありその点が子どもたちの笑いを誘ったり、赤ちゃんの目を惹きつけるのだと思います。

作者の方にも目を向けたいのが元司書の心情でして、以下で作者の簡単な紹介をします。
作者は「かがくいひろし」という方で、2005年に『おもちのきもち』でデビューしています。余談ですが、この『おもちのきもち』もとても良い本で、読み聞かせの鉄板でした。
2009年に54歳の若さで病気で亡くなっています。
ニュースで聞いた時には相当ショックでした。50歳で絵本作家としてデビューされた時に勇気をもらったからです。年々自分も年を重ねていくとやりたいことや気力に身体がついていかないことが増えたのですが、年齢を重ねているからこそ表現できるものもあるのだと、また年齢にとらわれず実現している方がいると気持ちが奮い立たされました。
まだまだ「かがくいひろし」さんの新しい作品をたくさん読み、皆さんに知ってほしかったです。

次回は、私の人生のバイブルである『童話物語 上・下』について紹介します。児童書ではありませんが、読書家の小学校中学年の児童は読んでいたので難しい内容ではないと思います。
少しでもあなたにとっていい本が皆さんのもとに届きますように。

追記:画像が出せませんでした。リンククリックしていただければとべますが、色々調べて挑戦したのですがこの結果です。至らず申し訳ありません。
詳しい方がいらっしゃいましたら、教えていただけるとありがたいです。

<参考文献>

・『だるまさんシリーズ』 3冊ケース入り(かがくい ひろし/『だるまさんが』『だるまさんの』『だるまさんと』/ブロンズ新社/2009.1)
・『おもちのきもち』(かがくいひろし/講談社/2005.12)


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