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長田育恵(エッセイ)アーカイブ

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2018年5月の記事一覧

「祈り」にも似た言葉 井上ひさしさんへのエッセイ

★河出書房新社 文藝別冊「井上ひさし」2013年3月発刊 寄稿  わたしが井上ひさしを「先生」とお呼びするようになったのは、二〇〇八年六月のことだ。  紀伊國屋サザンシアターで上演された舞台『父と暮せば』の開演前。先生はロビーから少し離れた衝立の向こうで、御著書にせっせと署名されていた。お邪魔してはいけないと、ご挨拶だけするつもりでそっと声を掛けた。すると先生は、わたしを衝立の内に招き入れ「過去の時間を、溶け込ませたらいいと思うんですよ……」とふいに語り始められた。最初は、