見出し画像

「糸」

ん?中島みゆきか?と思ったそこのアタナ。鋭い。

ここ最近、森本さんの古くからのご友人やお知り合いに会うことが増えてきた。そして当時の話や森本さんとのエピソードを聞かせていだだく。その方だから知っている事なども多く、皆さん懐かしそうに当時のお話しをされる。自ずと、私も森本さんとの思い出をよく思い出すようになっていった。

森本さんとIKTT Midori

7月3日、森本さんのご家族から亡くなったと知らせを受けた時には、なんとなくわかっていた。その日の早朝のことだった。ふと目が覚めると全身がゆっくり温かくなっていくのをはっきりと感じた。最後には顔や頭のあたりを誰かにさわれらている感覚。あ、亡くなったんだなと、なんとなく思った。皆さんも虫の知らせのような経験があると思うが、私は、あそこまではっきりとした感覚は初めてだった。

森本さんらしき気配をはっきりと感じたのは後にも先にもこれだけ。IKTTのスタッフはよく森本さんの夢を見ているようだが、私の夢には一度も現れてこない(笑)

森本さんが亡くなってからもう随分とたつ。時の流れとともに、森本さんの事をあまり知らないお客様が増えてくるのも必然で仕方のない事。それは、森本喜久男という存在が薄くなっているのではなく、IKTTへの入り口が変わったというだけのこと。以前は森本喜久男という存在を知り、IKTTを知り、布を知る人がほとんどだったと思う。しかし今は、布から入り、IKTTという存在を知り、森本喜久男に辿り着く人も多くなっている。特にカンボジア人に関してはほぼ100%が布から入る。

2023年 展示販売会

これは森本さんが亡くなってから、私がIKTTで一番に押し進めてきた事だ。

じゃないと生き残れないと思っているから。

そして森本さんの言う「良い布を作る」というIKTTの本質の部分を私も職人達も共有している。

カンボジアでお客様のご案内をするときによく例に出して説明することがある。

「森本喜久男は永遠に続くタテ糸。そして、その時代にIKTTで働く者達がヨコ糸となり、その時代の新しい模様を織り上げ、IKTTのカラーを出していく。こうしてIKTTの芯となる部分はブレることなく、その時代その時代の布を作り、次の世代、またその次の世代へと受け継がれていく。」


2024年 3月 最新作の絣

ちょっと文章でいきなり書くと、クサすぎてなんだか恥ずかしいが、伝統の森でお客様にたっぷり説明した後にこれを説明すると、ほとんどの方が理解してくれる。NO知識で先生方に連れられてきた高校生や大学生の団体もよく来てくれるが、彼らもまた理解していると思う。皆それぞれが自分の置かれている環境と重ね合わせ、色々と感じてくれている。

伝統の森にきた学生達

3/16,17(土日)に大阪で開催する展示会の会場のオーナーである鶴身さんとは、出会ってからまだ日が浅い。しかしとても熱心な方で、展示会をするなら実際にカンボジアに行って自分の目で現場を見たいと言うことで、ご多忙の中カンボジアまで来てしまった。すごい行動力。そして伝統の森に数日滞在し、そのほとんどの時間を工房で過ごし実際に作業まで体験していただいた。

「何も知らないで会場だけ貸すという事はしたくない」

と言った彼女の言葉が今でも頭に残っている。ありがたいことだ。

今回の滞在で、内部の人間だと見えない部分も、彼女だからこそ見えたり、感じたりしたことも多いと思う。

黙々と手を動かす鶴身さん

今回の展示会では、鶴身印刷所のオーナー鶴身さんとお会いして実際にお話しを聞いてみたら面白いと思う。

あ、もちろん今のIKTTの布も楽しみにしていてくださいね!!!
と、いうわけで、告知でーーーす♫

[Information]
------------------------------------
日程 3月16日(土),17日(日)
時間 12:00 - 17:00
会場 鶴身印刷所
場所 大阪府大阪市城東区新喜多1丁目4-18
アクセス https://tsurumi-print.com/access/
------------------------------------
今年最初の展示販売会は大阪京橋で開催いたします。会場は鶴身印刷所というところ。かつて石版印刷の工場だった場所を改装しワークショップなどを開催している、さまざまな方たちが顔を合わせる、いわばコミュニティスペースです。今回ご縁をいただき、開催させていただくことになりました。皆様のお越しをお待ちしております。

鶴身印刷所HP
https://tsurumi-print.com/

インスタ
@tsurumi_print


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?