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毎年3月満月に近い土日に開催していた蚕祭り

つまり、この法則でいくと今日が前夜祭。が、しかし、コロナ以降は蚕祭りは開催せず、映像や画像で皆様に楽しんでいただこうと毎年試行錯誤してきた。さて、今年はどうしようと色々考え、括り手と織り手を引き連れてアンコールワットへお礼参りでもするかと思い立ち、比較的軽い気持ちで当日を迎えた。撮影の為ではなく、あくまでも日頃の感謝を伝えるためのもの。


アンコールワットにて

私がアンコールワットに到着した時には、すでに職人達は到着していて橋の向こうで待っていた。彼女達はどこにいるのかと探しながらひたすら歩くと、なんか異様な雰囲気を醸し出す集団発見。そして、その横を通る人々が彼女達に視線を向けていた。観光に来た外国人からしたらとても珍しかったのだろう、立ち止まり、撮影する人々もいたほどだ。


職人達にはIKTTでストックしてある歴代の職人達が制作したサンポットの中から、自分の好きな布を事前に選んでもらっていた。そしてその布を纏い、いよいよ中へと進んでいった。しばらく動画を撮影しながら職人の後を追っていると、IKTTを辞めていった職人、田舎へ帰った職人、すでに亡くなってしまった職人達の事が急に頭をよぎった。

一気に鳥肌がたった。

IKTTの歴代の職人達、それは織り手、括り手だけではなく、染め場チーム、養蚕チーム、糸チーム、これ以上に沢山の職人達の手を通り抜けて出来上がった布だ。それを現代の職人達が身に纏いアンコールワットにいるという事実が、私を興奮させた。


IKTTは1996年に設立され、もう28年。その間に本当に多くの職人達が布作りをしてきた。名前も顔も全く知らない職人の方が多い。でもなんとなく、森本さんを先頭に、皆で列になって歩いてるという妄想が映像となって私の頭の中で繰り広げられていった。

それはもう、激アツだった。

そして、10年、20年経ったIKTTの布の美しさに改めて感動した。これらの布のほとんどはファッションショーでも使用される為、何度も何度も「使って」「洗って」「アイロンかけて」を繰り返してきた布だ。そんな布が職人達の身に纏われ、アンコールワットの日差しに照らされ、ひときわ美しく輝いていた。

映像や画像をUPすると、すぐに反響があった。

何度もIKTTの布を購入している海外の顧客からは、この布は売っているものか、IKTTのストックなのかという問い合わせがきた。私が「これはIKTTで10年以上昔に作られた布で、IKTのストック分なので販売する事はできない。」と返信すると、「抜群の美しさです。感謝します」と、なんとも嬉しい言葉をいただいた。

先日、伝統の森に海外からのお客様が訪問された。話しを聞くと昔から世界中の布をコレクションしているコレクターの方だった。もちろんカンボジアの布にも詳しかった。彼を案内し一通り見学が終わりそろそろ帰るというタイミングで、最後の締めくくりのように話し始めた。

「私は多くの国の布作りの現場を見てきた。しかし今、IKTTのような布作りをしてるところは少ない。アジアの中だけではなく、世界中でだ」

と、冷静に何度も伝えてくれた。「わかってるな、君はわかっているな、そんな貴重なとこ無くすなよ」とでも言われているような錯覚に陥った。勝手にね。

なんとなくその現状は分かりつつも、この世界を熟知している方に言われるとなんだか背筋が伸びた。今IKTTがやっている事を色々な方面から評価してくださる方は沢山いる。それはとても有難い事だ。しかし評価されるとかされないとか、偉い人が来てくれるとか褒めてくれるとか、でっかい展示会にお呼ばれするとか、しないとか。

そんな事よりもお客様が布を気に入ってくれて購入してくれて、愛用してくれる事が私自身にとっては何よりも嬉しい事だ。

だからこれからも、IKTTの布が一人でも多くのお客様のお気に入りになれるよう、努力していこうと思う。その上で多くの方から評価されるなら、ちょー嬉しい。

まだ正式にUPはしていませんが、6/29(土),30(日)に東京 代々木上原hako galleryで開催予定の展示販売会には私(IKTT Midori)も一時帰国予定です。一人でも多くのお客様にお会い出来る事を楽しみにしてます!お顔見せていただくだけでも嬉しいので、お時間あればぜひ来てくださいね💚



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