All These Things
ナノミーターズ・レパートリー紹介は Tamarinda の歌う「All These Things」。これ名曲です。
ピコではすでに歌ってますが、ナノミーターズでは今回が初出し。
トゥーサンの曲にしては珍しくド直球なラブソング。メロディーがとにかく良いんです。語りもあります。
オリジナルはネヴィル兄弟のお兄ちゃんアートが1962年に吹き込んだシングル盤。
アート兄さんが海軍での兵役を終え業界に復帰したばかり。兵隊へ行く前にアート兄さんが所属していたスペシャリティというレコード会社に吹き込んだ音源を、当時インスタント・レーベルを立ち上げたジョー・バナシャクが買取り、インスタントから出したそうです。
このバナシェクという人は、60年代の初めのニューオーリンズの音楽業界を引っ掻き回した人で、1959年にミニットというレコード会社を作った時、アラン・トゥーサンを雇い入れ初期の名曲を世に出した人です。ミニットは西海岸のインペリアルというレコードと提携し業績を伸ばしたけど、だんだん自由が利かなくなり、インスタントを作ったんです。
All These Things はもともとB面曲でしたが、NOLA界隈でそこそこヒットし、カバーもいくつかされたそうです。作曲者クレジットのナオミ・ネヴィルはトゥーサンの母親の旧姓で、当時変名として使ってたものです。ネヴィル兄弟とは関係はないそうです。
アートの弟、アーロンは7年後の69年にマーシャル・シホーンとトゥーサンのプロデュースで吹き込みベル・レコードからリリースし、76年にはミーターズが再びアートの歌で録音しています。
トゥーサンもライブで歌っています。2004年のジャズフェストではそのころ発売されたハリー・コニック・ジュニアのアルバムにカバーが取り上げられたのが嬉しかったのか、そのことを歌の途中で紹介してました。
そのハリーのバージョンはとにかくリハーモナイズがカッコいい。
そしてその2年後、トゥーサンとエルヴィス・コステロとのアルバムではコステロが歌ってます。
トゥーサンは誰かがカバーすると、自分のライブでも歌うということがありますw あ、こんな曲、そういえば作ってたなあ、みたいな感じでしょうか。
近年のカバーではスタントン・ムーアがトゥーサン集で取り上げていますが、歌っているジョリンダ・キキ・チャップマンが素晴らしい。いろいろな人のアルバムでちょこっと歌ってる人ですが、早く自身のCDを出さないかな。
(2023年4月)
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