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我々を取り巻く「善」と「悪」

平素よりお世話になっております。高島です。

MOSHIMO、鋭意制作中です。ドラムを叩いてはシンバルをとっかえ、スネアをチューニングし、楽曲が描く情景をいかに照らせるか。
たくさんの人間が知恵を絞って、考え抜いて作っていますので当たり前ですが、かなりのクオリティです。
これは是非とも、お楽しみに待っていていただきたい。常にライブ会場にいるみんなの顔を想像しながら今日もせっせと頑張っています。

ドラムの演奏において、クリック(メトロノーム)にキレイに合っている演奏が「善」とされています。

「他の奏者が演奏しやすいから」「一定のテンポの方が聴きやすいから」と、さまざま理由はありますが、まともそうに見えて自分はいい加減でだらしないところがあるので、これがあまり得意ではありません。

「ヨレている」「訛っている」みたいな言い方をしますが、リズムがブレてしまう場面が多々あり、もうこれはすべてのドラマー・ミュージシャンが生涯抱える課題だとも思っています。
(もちろんこれを意図的にできる、演出できるトンデモないプレイヤーもいるので一該に”こう”とは言えず、あくまで個人の意見・感覚ですよ)。

じゃあこれがコンピュータのない、今のようなテクノロジーがない前の時代だとどうだったろう、と考えれば「ヨレていても、カッコよければ”善”」だったろう、と想像します。
カッコ良い・悪いはもうホント感覚の話でしかありませんが、リンゴ・スター(The Beatles)に代表されるような「たとえ訛っていても説得力ハンパねぇ」みたいな、偉人も世の中にはゴロゴロいたのです。


時代が変わればルールも変わる

昔は日常的に使えていた言葉が今は放送禁止、使えない言葉になったり、時代が変われば言葉も変わります。それにしたがってルールも変わります。

たとえば僕が中高生のころには「問答無用、一律持込禁止!」だった携帯電話・スマートフォンも、今では安否確認の観点からかならずしもそうではない、と聞きます。

もう少し経てばプリントの電子化だったり、「スマートフォンの持込必須」となるかもしれません。
昨今のリモート授業で問題になっているのは経済的にデバイスを用意できず、学習習熟度の格差が拡がる、という点ですが、これは徐々に行政がクリアしていきます。

そうなれば僕がぼんやりと認識していた「スマートフォンと学校」の”悪”も打ち砕かれて、「えっ、今って授業中にスマホ使っていいの!?」なんて驚いてちゃあ「いっこーさんおっさんすぎて草」とか言われるでしょう。おじさん構文とかね。


演奏のヨレも現代では※DAWを使った修正が可能で、ポピュラー音楽においてコンピューターを使わない録音はほぼ無い、と言ってもいいと思います。
(※デジタル・オーディオ・ワークステーション(Digital Audio Workstation、略称DAW)

で、前述の自分の演奏のヨレを全部修正していくと不思議なことに、音楽が全然良くなくなるんです。
無味無臭で、なんともつまらない音楽になってしまいます。

当然といえば当然。規則正しく、絶対に間違い起こさない完璧な高島はこの世に存在しません。
そうやって作られた中に僕はいないから、文字通りウソ臭く聴こえてしまいます。

なので弊作では「ここはズレてるけどなんかカッコいいね」などと、”悪”を要所に散りばめながら制作しています。

それはドラムに限らず、ベース、ギター、ボーカルすべてにおいて。
だらしなかったり、せっかちだったり、そういった人間の弱い部分を認め合ってこそカッコ良い、愛着のある作品に仕上がっていっています。

人間を称賛するのがクリエイティブ、と前に書いた記憶がありますが、
善も悪も、すべてをひっくるめて「人間」と意味しています。


もし俺がいま学生だったらどうだろうなぁ。
勝手にどんどんルールを変えられて、一年間友達にも会えません、気になる子とのすれ違いもありません。
酒場で憧れてた大人の世界も見れません、店も閉めさせたんで外に遊びにいっても無駄っすよ、と。
で、仕方なくビール片手に路上で友達と語らってただけで、オトナがすっ飛んできて途端に悪者扱いか。
良くないことだとは分かってても、仕方ないよ。
我慢しすぎて変な方に力がいきそうなのを、自分なりにコントロールしてるんだよなぁ。

引き続き、クリックに合うキレッキレな演奏を目指して勉強して練習しますが、
それは決して「善」を目指したものでなく、あくまで自分の正義を貫くためで。
人間だから嘘をつく時もある。信号無視する時もある。悪口も言う。

やっぱり俺は”悪”を否定したくないなぁ。

レコーディング帰りの深夜の渋谷を歩きながらそう思いました。

以上になります。
それでは引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。


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