音楽と感情

私が音楽を聴くのは、車の中だけだ。数年前まで乗ってた車は、ラジオとCDとMD(!)しか無かった為、もっぱらラジオかボーカロイドのCDを聞いていた。ちょっと変わったのは、5年前に車を買い替えた時。スマホと連携できたのは、なかなか画期的だった(まあそれまでも機器を使えば出来た筈どけど、面倒くさかったのだ)で、スマホに保存した音楽を楽しみ始めた所、実家の母が病気になった。

脳梗塞+初期のアルツハイマー、この判定が出るまで1ヶ月以上かかった。年末だったのもあるけど、病院嫌いの母を病院に連れて行くまで、非協力的な父と何度も衝突した。この後も「あの時、すぐ治療してれば」と何度思った事か…
そして、そのドタバタの時だった。急に邦楽が聞けなくなったのは。

ちょうどAmazonMusicを始め、若い頃好きだった曲を聞き始めた頃だった。ラジオのトーク番組が全然面白くなくて、ふと渡辺美里さんの曲をかけたら、彼女の歌う「君」が母と重なり苦しくて聞けなくなったのだ。ちょっと前までは、若い頃のラブソングなんて聞けないわ〜って思ってたのに、誰かを想う歌が、こんなに刺さるとは思わなかった。

暫くは、何の音も鳴らさず車を走らせていたものの、少しずつ落ち着いてくると、洋楽は聴けるようになってきた。歌詞が分からないからか、次第にバラードも聴けるようになりアデルに傾倒した。父と衝突したり、無理難題を言われた帰り道は、必ずアデルを聴いていた。

そして去年、やっと母を施設に入れる事を父が承諾。その後父が入院、1ヶ月超の自宅療養、そして再入院…その頃は、80年代ロックを聴いていた。夏にはポップス。母の事が落ち着いてからは、アデルを聴くと、あの頃の気持ちを思い出しそうで聴けなかった。

そして今、父の葬儀から半年。AmazonMusicがディスカバリーで作ったプレイリストも、感情たっぷりの邦楽を、聴けるようになった。不思議だ。まだ去年の事を夢に見て起こされる時もあるのに、音楽は許容できてる。

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