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本の紹介「日本の医療崩壊をくい止める: コロナ禍の医療現場からの警鐘と提言 」本田 宏・和田秀子 (著)

2・21都立病院なくすな集会スタッフから、「日本の医療崩壊をくい止める」という本の紹介文をもらいましたので、掲載します。

2月5日に東京東部地区で開催されたジャーナリスト北健一さんの講演会会場で、前埼玉県済生会栗橋病院院長補佐・医師の本田宏さんと一般社団法人ままれぼ出版局代表の和田秀子さん共著の本書を購入しました。素晴らしい内容で、コロナ禍で闘うすべての人に読んでほしい一冊です。
 一点目は「この本が現実の闘いを元につくられている」ということです。大部分がインタビュー形式でどれも説得力があり、インタビューされている方の向こうに闘う人々の姿が見えるのです。読み終えるとドキュメンタリー映画をみたような気持ちになります。
 二点目として、以前から政府の「医療費亡国論」に警鐘を鳴らしてきた本田医師は、医師不足の問題や医療現場がコロナ以前から崩壊していたことを暴いています。2019年の〝働き方改革〟で時間外労働の上限が月45時間、年間360時間と改められたにもかかわらず、〝医師の改革案〟では年間1860時間(「過労死ライン」の2倍!!)まで認められていることを弾劾しています。
 小児科医の夫を過労死で亡くされた中原のり子さんのインタビューが紹介されている3章には、怒りや悔しさで読み進めることが困難になるほど壮絶な状況が克明に記されていました。これほどまでに過労死が社会問題になっているのは、中原さんのように過労死を許さない家族の闘いがあるからです。私たちもしっかり学んでいかなければならないと改めて思いました。
 三点目として、船橋二和病院労働組合のストライキがどれほどコロナ禍で闘う人々の勇気や希望になっているか、ということです。委員長や書記長のインタビューも収録されていますし、何より本田医師が「船橋二和病院のストライキは、現場の貴重な動きで心から感謝しています。……そもそも医療労働者がストライキをやるなんて言おうものなら、『診療ができなくなる』などと医師が反対する。その点で船橋のストは医師が参加しているというのが貴重です」と書いています。私は、これまで本田医師も職場の仲間とストライキをしたかったのでは、それを今回二和労組が実行してくれたという思いで感無量だったのでは、と思いました。
 この本には展望が詰まっています。徳島県で国立病院の統廃合を地域の住民運動で止めた実例も紹介されており、都立病院の独立行政法人化も必ず止められる!と希望が持てます。参考資料も多く、仲間と学習会をしてもいいと思います。ぜひお読みください!!

Amazonでの紹介文
行き過ぎた資本主義と新自由主義的な政策は、医療現場をも蝕んできた。勤務医として約20年間、絶対的な医師数不足などの医療危機を訴えてきた本田宏が、新型コロナ禍で崩壊しつつある日本医療の、根本的問題を豊富なデータで解き明かす。
医療や福祉の予算を抑制する新自由主義的な「医療費亡国論」の呪縛を解き、日本を安心して生きられる社会にするために欠かせない1冊。北海道、東京、千葉、大阪、兵庫、徳島などコロナ禍の医療従事者17人が訴える「医療崩壊」現場の実態も取材。それら医療従事者と本田宏がコロナ後の医療再生の方策を提言する。『人新世の「資本論」』の医療版。

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