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高額賠償事故への備え (第2回) 自転車保険とは?

 身近な自転車が凶器となり、高額の賠償事故になる可能性があります。後遺障害が残ってしまうと、後々の介護費用や逸失利益など、賠償額は高額になる傾向があります。そこで43の都道府県が自転車保険への加入を義務、努力義務としました( au損保調べ 2024年4月現在 *1)。東京都における義務化の内容が警視庁HPにあります。(*2)


*1 au損保HP https://www.mlit.go.jp/road/bicycleuse/promotion/pdf/situation.pdf
*2 警視庁HP https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/bicycle_insurance.html


自転車保険とは


 自転車保険とはどんな保険でしょう。楽天損保の自転車保険を例にご紹介します(*3)。年間保険料 3,000円から加入でき、本人だけでなく家族も、自転車事故に限らず日常の賠償事故を、上限1億円まで補償されます。また、本人の交通事故によるケガについて、死亡・後遺障害、入院、手術に保険金が支払われます(追加保険料を支払い家族を追加することも可能)。

*3 https://www.rakuten-sonpo.co.jp/family/tabid/997/Default.aspx

示談代行サービス


 そして、この保険には示談代行サービスがあります。相手方と「あなたも車道に飛び出しましたよね?」など過失割合の交渉をしたり、「医療費はいくらかかりましたか? 仕事を休むことで収入は減りましたか?」など損害額の確認をしたり、当事者間で交渉するなんて、考えただけでいやになりませんか? 相手がケガをした場合のお見舞いなど、道義的な責任は果たす必要がありますが、過失割合や損害額については直接話をしないほうがスムーズに進むものです。事故の大小にかかわらず、このストレスから解放されるのも自転車保険の大きなメリットです。

保険料が安すぎない?


毎月3千円じゃないの? と思いませんでしたか? 間違いではありません。その理由は、自転車事故で高額の賠償責任を負う確率はとても低いからです。そんなに確率が低いなら保険に加入する必要ある?と思うかもしれません。気持ちは分かりますが、約1億円という高額賠償を命じられる事故を起こす可能性がゼロでないのであれば、このリスクは保険に転嫁することを検討すべきです(リスクの転嫁については後日ご説明します)。そして保険料が年間 3,000円からと比較的安いのであれば、万一の事故でも高額の賠償金を支払う心配から解放される、保険に加入するのが合理的な判断です。

個人賠償責任保険

 一般的に「自転車保険」と言われる保険でも、自転車事故に限らず日常生活における偶然な事故を対象とするものが多く、この場合、正確には「個人賠償責任保険」であることが多いです。加入を検討する際は、補償の範囲を確認してください。そしてこの保険は「個人賠償責任特約」として、自動車保険や火災保険にセットすることができます。

単独では売られていなかった

 今まではこの「自転車保険」「個人賠償責任保険」を単独で販売する保険会社は多くありませんでした。こんなに重要なリスクをカバーする保険なのに、なぜでしょう? それは保険料が安いので、単独で商品化すると保険会社がペイしないからでした。保険証券や保険約款(契約のしおり)を作成する費用、郵送する費用、契約を管理するコストは1件あたりほぼ同じなので、保険料が安いと足が出てしまうのです。

今ではwebやコンビニで簡単に加入できる

 今では多くの保険会社が単独の商品を販売しています。なぜ? それはコストダウンが可能になったからです。webで加入手続きが完結して保険証券や約款は郵送せずwebで確認してください、コンビニのマルチコピー機で加入手続きが完了するなどがその例です。webで複数保険会社の自転車保険を簡単に比較検討することができます。(*4)

*4  価格.com https://hoken.kakaku.com/自転車保険/

  自転車事故に限らず、日常生活における偶然な事故で賠償責任を負うケースが増えています。かつては菓子折りを持ってお詫びすれば「お互い様」と許してもらえたケースでも、賠償に関する意識が高まる中、「通常求められる程度の注意を怠ったのでは?」とか、「スマホ見ながら歩行中の事故は重過失では?」などと話し合いが難航するケース増えているようです。このことについては、改めてアップします。

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