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スタートアップ営業組織作りの教科書

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企業向け研修サービスを提供する「アルー株式会社」の創業から東証マザーズ上場までの15年間の法人営業組織づくりについてご紹介していきます。
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#営業組織

【保存版】スタートアップ営業組織作りの教科書(Executive summary)

アルー株式会社の池田と申します。 当社の起業・経営の経験に基づき「スタートアップ営業組織作りの教科書」と題した企業の成長ステージ毎の営業組織開発ノウハウについて連載記事を書かせていただきました。 本記事は、連載の最後のまとめとして、全体を俯瞰してスタートアップ(特にBtoB向け)の営業組織作りにおける各期のポイントを総括していきます。 より詳細に各期課題について知りたい方は個別記事をご覧いただけますと幸いです。 ①アルーの成長ステージの全体像当社は2003年10月に創業後

(1)知り合いづてにとにかく営業活動を実施する(シード期)

スタートアップ「シード期」の最初の記事です。 ※シード期:一般的には「アイデアがあるが起業前」または「アイデアはあるが具体的な製品サービスがない段階」を意味します。 今回の記事は、課題(1)「知り合いづてにとにかく営業活動を実施する」です。 ①とにかく人に会う2003年に当社創業後、まず最初に行ったことは「たくさんの人に会う」ということでした。 創業直後の株式会社エデュ・ファクトリー(アルー創業時の社名)は、事業内容が固まっておらず、具体的なプロダクト(商品・サービス)も

(2)最初期は自社ドメインと関係がなくとも、得意分野でマネタイズをする(シード期)

スタートアップ「シード期」の2つ目の記事です。 ※シード期:一般的には「アイデアがあるが起業前」または「アイデアはあるが具体的な製品サービスがない段階」を意味します。 今回の記事は、課題(2)「最初期は自社ドメインと関係がなくとも、得意分野でマネタイズをする」です。 ①「自社がやりたいこと」でのマネタイズは容易ではない株式会社エデュ・ファクトリー(アルー)は、創業をした時点では具体的な事業アイデアが固まっていませんでした。 その時点で決まっていたのは「教育関係のビジネス

(6)パートナーセールスで実績を積む(アーリー期)

スタートアップ「アーリー期」の2つ目の記事です。 ※アーリー期:一般的には「事業立ち上げから、プロダクトマーケットフィットまでの軌道に載るまでの段階」を意味します。 今回の記事は、課題(6)「パートナーセールスで実績を積む」です。 ①パートナーセールスに取り組むコンサルティング案件の受託をやめ、自社事業として企業向け教育プログラム提供に舵を切った株式会社エデュ・ファクトリー(アルーの創業時の社名)でしたが、大企業との直接取引は簡単には進みませんでした。 大手インターネッ

(7)直販立ち上げのために法人営業のノウハウを学ぶ(アーリー期)

スタートアップ「アーリー期」の3つ目の記事です。 ※アーリー期:一般的には「事業立ち上げから、プロダクトマーケットフィットまでの軌道に載るまでの段階」を意味します。 今回の記事は、課題(7)「直販立ち上げのために法人営業のノウハウを学ぶ」です。 ①法人営業未経験の創業メンバー創業直後に取り組んだキャッシュ稼ぎのためのコンサルティングの案件受託をやめ、自社事業として「企業向け研修サービス」を立ち上げることを決めたのが2004年4月頃のことでした。 株式会社エデュ・ファクト

(16)営業組織には「継続的な人材採用」と「退職の最小化の努力」が同時に必要(ミドル期)

スタートアップ「ミドル期」の4番目の記事です。 ※ミドル期:一般的には「事業拡大に向けた投資を加速し、成長に差し掛かった段階」を意味します。 今回は、課題(16)「営業組織には「継続的な人材採用」と「退職の最小化の努力」が同時に必要」です。 ①成長の曲がり角2010年4月、企業研修サービス業界は大きな向かい風の中にありました。 約1年半遅れで、2008年に発生したリーマンショックによる世界的不況の影響を受けることになったのです。 リーマンショックの翌年の2009年にはあ

(17)新商品の販売はフレッシュな人材が向いている(ミドル期)

スタートアップ「ミドル期」の5番目の記事です。 ※ミドル期:一般的には「事業拡大に向けた投資を加速し、成長に差し掛かった段階」を意味します。 今回は課題(17)「新商品の販売はフレッシュな人材が向いている」です。 ①新規分野検討の試行錯誤アルー株式会社は、リーマンショックによって大きな影響を受けた2010年春の新入社員研修シーズンを乗り越えました。 当社顧客の中には、業績悪化に伴う新卒採用数を減らす会社が多くありました。新卒採用を控えると、単純にその年の新入社員研修の受

(18)専門特化営業チームを成立させるには相当の企画が必要(ミドル期)

スタートアップ「ミドル期」の6番目の記事です。 ※ミドル期:一般的には「事業拡大に向けた投資を加速し、成長に差し掛かった段階」を意味します。 今回は課題(18)「専門特化営業チームを成立させるには相当の企画が必要」です。 ①市ヶ谷オフィスへの移転アルー株式会社は、2009年末に市ヶ谷に本社を移転をしました。 前々回の記事「(16)営業組織には「継続的な人材採用」と「退職の最小化の努力」が同時に必要」の時点で、市ヶ谷への移転をしておりました。 創業前より数えて7番目のオフ

(21)インセンティブは高すぎる金額にしない(レーター期)

スタートアップ「レーター期」の2番目の記事です。 ※レーター期:一般的には「事業が安定し継続成長が実現しIPOが視野に入る段階」を意味します。 今回の記事は、課題(21)「インセンティブは高すぎる金額にしない」です。 ①インセンティブ制度の導入インセンティブは「社員の意欲・やる気を高めるための金銭・非金銭的報酬」を意味します。モチベーション向上のために多くの企業で導入されている仕組みではないでしょうか。 業績連動型報酬も広い意味ではインセンティブに含まれますが、営業組織

(22)営業生産性をベンチマークし限界突破をする(レーター期)

スタートアップ「レーター期」の3番目の記事です。 ※レーター期:一般的には「事業が安定し継続成長が実現しIPOが視野に入る段階」を意味します。 今回の記事は、課題(22)「営業生産性を業界他社とベンチマークし、限界突破をする」です。 ①営業生産性の社内常識当社のレーター期においては「営業生産性の向上」が大テーマでした。 そのためにまず行ったことは、現状把握と目指すべき水準の明確化です。 果たして現在の自社の生産性は高いのか低いのか?伸ばせる余地があるのか? 業界他社とのベ

営業ステージの転換に伴い、営業責任者は変遷していく(appendix)

アルー株式会社の起業・経営の経験に基づき「スタートアップ営業組織作りの教科書」と題した営業組織開発ノウハウとして、企業の成長ステージ毎に発生する課題に関する記事を書かせていただきました。スタートアップ起業家の方(特にBtoB)のお役に立つ内容であれば幸いです。 さて創業からプレIPOまでの各ステージの記事は前回で完結しました。 今回は付録として「営業責任者の変遷」という観点から、各ステージに必要となる人材像について解説をさせていただきます。 ①ステージ毎に営業責任者は変わ