愛猫へちまを想う。
昨年の秋に、割と長いこと勤めていた会社が潰れた。
会社の雲行きが怪しいことがわかってから
本当にあっという間に、潰れてしまった。
在籍中の数年間は激務も激務で、とにかくやることが多かった。
忙しい人だけが忙しく、忙しい時にだけ忙しいという
典型的なワンマンプレイ集団の集まりみたいな会社だった。
私はそこで専属の案件を抱えながら、暇な時は何にもやることがなく、
忙しい時はトイレに行く時間もないレベルに忙しかった。
しかし、うちには老猫のへちまがいたのでなんとか意地でも
終電には家に帰っていた。
「猫を一人で留守番させていますので✋」
といつも言っていたので
周りも理解があった。
私が会社に入社した当初、へちまは既に老猫…というか
長寿猫で22歳だった。
でもへちまはピンピンしていたので、それに甘えて残業も、
土日の欠員も人が嫌がることはなんでも引き受けた。
有給休暇もほとんど取らなかった。
(※ちなみにその分の金はまだもらってませ~ん💢)
なぜなら、将来へちまは寝たきりになり、付きっ切りの介護が必要になると
思っていたので、会社で人が嫌がる仕事を率先して引き受け、
休みを削り、有給を貯め、徹底的にへちまに何かがあった時のために
休めるようにという万全の体制でいた。
しかし、結果的にそのせいでへちまに
「家でずっと一人で留守番させる」という
とてもさみしい思いをさせてしまっていた。
ただでさえクソ忙しい中で、ある時人の仕事を手伝うことになった。
自分の案件もさばきつつ、人の案件もこなす。
もうあまりにも忙しくて身動きが取れず、ひとまず22時または
終電で切り上げ、そのままPCを持ち帰り、電車の中と帰って
きてからずっと残りの仕事をする。
しかし帰ってきてから、へちまの投薬やごはんの準備、
今日一日何をしていたかなどを話しかけたりと、
スキンシップの時間は絶対に欠かさなかった。
とはいえ…
どうしてもどうしても、ど~~~しても朝4時になると気絶したように
スイッチが切れてしまい、
床に突っ伏したまま寝たり、膝にPCを抱えたまま寝たりと寝落ち、
毎朝6時の起床時間に目が覚める…みたいな狂った生活を半年以上続けていた。
(ちなみに自分の案件もきちんとこなしていたが、
人の仕事を手伝っていたことを
評価されたり残業代を出された覚えはない。)
あれはゴールデンウィーク前の4月後半。
いつものように家で永遠に終わらない仕事の続きをし、
またいつものように午前4時頃に寝落ちしてしまった日の朝。
ふと足元を見るとへちまが私の足に絡みつくように寝ていた。
当時、転倒防止のため、部屋中のいたるところにへちま用の
ベッドを敷き詰めていた。
だからベッドは足りていたし、どこでも好きなところに
寝ればよかったのに、
なぜか私の足に絡まって寝息を立てていた。
へちまは賢く、優しい子だったのでいつも私を心配してくれ、
夜遅く帰ってきて深夜まで仕事をしていると、へちまも
あまり寝ないのが心配だった。
たしかその日も、時々こっちを見たりしていたが「もうねんねしな~」
と声をかけて
お気に入りのベッドで寝たところまで見届けたはずだったのだ。
毎日毎日日付が変わるまで家に帰ってこず、帰ってきたと思ったら
明け方まで仕事をしている…という私を見かねたのか…?
「へーちゃん!なんでそんなところで寝てるの?!ベッドあるでしょ?」
と呼びかけたら、へちまは「まったく世話が焼ける…」みたいな顔をして
こちらを見た。
そのことをツイートしたら、あるフォロワーが
「おねえちゃんと一緒に寝たいニャン♪」とリプをくれてドキっとした。
翌日、家でそのリプと写真を見ていたら、もうどうしようも
なくなってしまって一人で大泣きしてしまった。
私はこんなにもへちまに心配をかけていたのか・・・と。
へちまのために働いていたはずが、へちまに一番心配をかけ、
さみしい思いをさせてしまった。
分かっていたつもりでいたが、へちまのやさしさに甘えて
そんなボロボロな生活を送ってしまっていた。
これはもうゴールデンウイークは全滅か?というほどの
仕事量が残っていたが、
「もう絶対にゴールデンウイークは会社に行かない、仕事をしない。」
と堅く心に誓った。
ゴールデンウィークは本当に1mmも仕事をしなかった。
出かけることもあったが基本的には家にいた。
5/6、出かけて帰ってきてからその日はずっとへちまを抱っこしていた。
そして、奇しくもGW最終日の5/7に、へちまは寝たきりになることもなく、
朝ご飯をしっか食べて、25年の長い長い猫生から旅立った。
へちまは本当に本当に賢くてやさしい子だった。
どんなに遅くなっても私の帰りを待っていてくれた。
最寄り駅から防犯カメラのへちまの様子を見ると、ぐっすりと寝ていたが、
玄関を開けるとなぜか起きて待っていてくれたりする。
さっきまで寝ていたのに…。
甘えて鳴きながら私の後をついてくる・・・みたいなタイプではなかったが、
基本的に甘えん坊。
こちらが悲しんでるときや落ち込んでいる時には音もなく
「スッ」と近づいて、体の一部を私の足や手にこすりつけて
だっこさせてくれた。
私はへちまのことを本当に本当に心から愛していたが、
へちまもまた私にそれ以上の愛情をくれた。
へちまのそのやさしさには本当に本当に毎日救われていた。
どんなにつらいこともへちまがいたら乗り越えることができた。
今はへちまがいないので、いろんなことにちょっとだけ、自信がない。
今日、7/8はへちまが生きていたら27歳になる誕生日だ。
昨日、ショッピングモールの大きな七夕の笹に短冊をつるしてきた。
へちまにまた、会えますようにと。
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